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姫ニスタ

今月の注目姫ニスタさんインタビュー!

Vol.【56】【にじいろ工房さん】

オーストラリア・メルボルンで、夫と、9歳・6歳・4歳の3人の息子との5人暮らし。2019年に子ども向けのアート教室「にじいろ工房 Rainbow Factory」をスタート。身近な材料を使った目にも楽しい工作アイデアは、SNSでも大人気。そのデザインセンスが評価され、2020年、暮らしニスタ大賞の準グランプリを受賞。

ストローで作る♪可愛いコースター

きれい♪可愛い♪シーグラスキャンディ

自分が学んできたことを誰かに還元できることが嬉しい

ロックダウンをきっかけに、子どもとの工作を発信

まず、今回、暮らしにスタ大賞2020の準グランプリをいただいたこと、本当にびっくりしています。
ほかの暮らしニスタのかたの記事を見ていると、みなさん、お仕事や育児などで忙しい中で生活が楽しくなる工夫をされていますよね。すごくエネルギーをいただいているんです。
そんな中で私が準グランプリなんて……ありがとうございます!
これを励みにまたがんばります!

暮らしニスタに投稿を始めたのは、2020年の8月です。きっかけは、新型コロナウイルスでした。
私は今、メルボルンで暮らしているんですが、自宅ガレージをアトリエにして、子ども向けのアート教室「にじいろ工房 Rainbow Factory」を開いていました。
月に1~2回、子どもたちに教えていたのですが、新型コロナウイルスの影響でメルボルンはロックダウンになり、2020年2月から教室が開けなくなってしまったんです。

うちは3人の男の子がいますが、学校は閉鎖され、公園遊びもダメ、友達とも会えない……。
24時間家の中で一緒に過ごす毎日が始まりました。最初はすごくつらくて、どう過ごそうかと悩み、このままじゃダメだと思ったとき、救いになったのがアートです。
簡単な物でもいいから1日一つ、子どもと工作をしようと決めました。そして始めてみると、すごく前向きな気持ちになれたんですね。
それで、同じような境遇の親子のために、作った物と作り方を世の中に発信することにしたんです。


↑レッスン風景

アート教室の記録に使っていたInstagramやブログに、子どもとの工作を投稿すると、千単位でフォロワーさんが増えるように。それだけ、世の中にはおうち時間の過ごし方で困っている親子がたくさんいたんだなとあらためて実感しましたね。
ちょうどその頃、暮らしニスタのことを知り、たくさんの方が素敵なアイデアを紹介しているのを見て、私も工作でだれかの役に立てたらいいなと思い、投稿を始めました。

「1日ひとつ」ではなくなりましたが、暮らしニスタをはじめインターネットで工作アイデアを紹介することは続けています。
工作のアイデアを考えるときに意識しているのは、スーパーで買えるものなど、画材屋さんに行かなくても用意できる材料を使うこと。特別な材料が必要だと作りたいと思っても作ることができない。作りたいときに作れるように、身近な材料でできることを考えています。

教室は12月末ごろからやっと再開ししました。嬉しいことに以前より需要が増して、多い時で週に2回ほど開催しています。

自分に自信をつけたくて、芸術の街・メルボルンへ留学


↑アーティストなら誰でも自由に壁に絵を描くことが許可されているメルボルン中心街のバックストリート。

もともと私は、京都生まれ京都育ち。
母は小学校の保健室の先生だったのですが、虫歯について教える人形を手縫いで作ったりする芸術のセンスがある人。その影響を受けて、私も図工や美術がすごく好きでしたね。

本格的にアートにふれるきっかけになったのは、中学3年生で進路を考えるとき。
実は私は水泳が大っ嫌いで!!
あと理数系のセンスが本当にないので、高校は、まずはプールがないところ、次に難しい数学を勉強しなくてもいいところを探したんです(笑)。
それで見つけたのが、ある高校の芸術コース。もともと興味があったことだったので、そこに進学を決めました。


↑高校時代の習作

高校3年間はとても楽しかった!
専門は油絵で、デッサンなど一番大事な基礎の部分もみっちり勉強できました。でも、その3年間で、「自分より油絵が上手な人は五万といる」ということがわかってしまったんです。
大学も漠然と芸術系に進みたいとは思っていたのですが、やりたいことがはっきり定まらないまま、少し興味のあった「舞台芸術」を選択。
入ってみると、日本中から情熱をもった舞台芸術好きが集まってきていて、申し訳なさや温度差を感じてしまいました。

それで、バイトでお金をためながら、本当に自分がやりたいことを見つめなおすことに。
一人で生活して自分の力試しをしたい、外国で見聞を広めたいという気持ちがあったので、大学を休学して、半年ほど滞在してみようという気持ちでメルボルンに来たのです。
当時、英語は全然しゃべれなくて、どちらかというと苦手科目(笑)。でも、だからこそ、言葉も通じない文化も違うところで一人で生きていけたらちょっとは自分に自信がつくかなと言う思いがありました。それまでは家族のもとでぬくぬくと育ってきたので、あえて外国という、未知なる逆境に行ってみようと。若気の至りですね(笑)。


↑夜のメルボルン中心街、フリンダース駅

メルボルンは、オーストラリアの中でも芸術の街として知られていて、京都とも通じるところがあります。街が碁盤の目のようにできていたり、古い建物を大切にしていたり。
6か月過ごした結果、腰を据えたいという気持ちになりました。
それで日本の大学は中退して、メルボルンの大学の芸術学部に入学。
そこからはアート漬けの日々でしたね。大学では、ファインアートなどいろいろなジャンルを学んで、最終的にはグラフィックデザインを専攻しました。

↑大学で手掛けられた猫草栽培キットのパッケージデザイン。


↑主席で卒業!!


子育てで遠ざかっていたアート活動を2019年に再開

大学を卒業するとき、最初は日本で就職したいと考えていました。
でも、当時スウェーデンで働いていた夫からプロポーズを受け、私もスウェーデンに行くことに。
結婚して2年目には長男が生まれて、生活が一変しました。

本当はガツガツ仕事したい気持ちがありましたが、大学で時間をかけて学んだことを生かせる場がなかなかありませんでした。
でも、ボランティアや短期の仕事で、現地の日本語学校でアートを教えたりする機会もありました。スウェーデンって冬が長い国なので、家の中の小さなもの一つひとつとっても素敵なものが多いんです。生活の中に自然にデザインが組み込まれている。そういう暮らしには、いろいろなことを教えてもらいましたね。


↑ストックホルムの街並み。水に囲まれているので北欧のベネチアと言われています。


↑第一子が誕生の頃

その後、夫の仕事でメルボルンに戻ってきたのが2013年。
そこからは専業主婦です。2人目、3人目の子どもも生まれて、育児に忙殺されていたというか(笑)。

本当にアートのことをすっかり忘れていて、育児で精いっぱいの数年間を過ごしていました。
そんな中、オーストラリア人の友達が、子どもにアートを教えてもらえないかと声をかけてくれたんです。
それが2019年。「にじいろ工房」を立ち上げるきっかけになりました。

「虹」って雨上りに出るもので、大変なことがあっても前向きに明るい気持ちになれる、希望の象徴だと思うんです。虹=希望をつくる場所、というイメージで名前を付けました。
最初は1人の子どもから始まった教室も、だんだん輪が広がって、依頼を受けて出張教室をするようにもなりました。


↑自宅アトリエの様子。


↑出張レッスンの様子。

子どもってすごく自由で、大人が思いつかないような発想でいろいろな物を作るので、そこから私もエネルギーをもらっています。すごくやりがいがありますね。
今はコロナの影響で不定期開催ですが、来年になると一番下の子が小学校に入学して自分の時間が増えるので、もっと本腰を入れてやっていきたいなと思っています。


↑子どもたちに人気の工作「宇宙のビン詰め」


時間ができたら自分のための創作も再開したい

今回、コロナをきっかけに子どもとの工作を始めてよかったのは、まずは子どもといる時間がポジティブなものになったこと。家でずっと一緒にいるとどうしても怒ることが多くて、いっつも怒っていたんです(笑)。
でも、一緒に何かを生み出すことは、お互いにとっていい働きがありました。

あとは、インターネットでシェアしたことで、いろいろな人に見ていただけたこと。
Instagramでは、日本やオーストラリアだけでなく、ヨーロッパなど世界のいろいろな地域のかたから、「作りました」とか「楽しかったよ」とかコメントをいただくんですが、それが本当に嬉しいんです。
私はこれまで、どこか自信が持てないところがあって、自分が世の中の役に立てているのかという葛藤があったのですが、今は自分が学んできたことを誰かに還元できている、そういう気持ちになれたので、とてもよかったと思っています。

ずっと育児で大忙しだったので、落ち着いたら、ゆっくり絵を描きたいとも思っています。
やっぱり、自分が最初にアートに取り組んだのが油絵だったので、できれば油絵を描きたいですね。ただ、油絵は乾くのに時間がかかるのでなかなかできなくて、最近は空いた時間で水彩画を描き始めました。


↑最近描かれた水彩画。依頼を受けて描くこともあるそうです。

アート以外では、自然豊かなところに住んでいるので、週末に家族で山や森に出かけたりするのが楽しみです。癒されますね。
でも、ロックダウン中は山に行くこともできず……。運動がしたくて、一輪車を始めました(笑)。
みんなに笑われながら練習して(笑)、ちゃんと乗れるようになったんです!
楽しいですよ、一輪車! 筋肉痛になりますけどね(笑)。

いくつになっても、新しいことに挑戦していきたいと思っています。


↑森の秘密基地。大人4人ほど入れるサイズの大きな穴があるのだとか!


↑車を30分ほど飛ばせば海もある環境。夕暮れの海岸の風景。


↑ご自宅の様子です。リビングの壁の一部に黒板塗料を塗って落書きスペースに。外国育ちのお子さんたちに自
分のアイデンティティを知ってほしくて、家系図風に親族の写真を飾っているそう。

取材・文/大島佳子


これまでの姫ニスタさんのインタビュー

★Vol.55 AKKOさん

★Vol.54 junkaさん

★Vol.53 かよママさん

★Vol.52 勝連さおりさん

★Vol.51 玉田悦子さん

★Vol.50 iie designさん

★Vol.49 横田ちひろさん

★Vol.48 ひろさんきっちん♪

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