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Vol.【45】【いがらしかなさん】
農家の息子との結婚をきっかけに、野菜作りを経験。その後、野菜料理家として、レシピサイトなどで野菜をおいしく食べられるレシピを発信するように。暮らしニスタ大賞2019では、少ない材料から作られるセンスの光る野菜料理が評価され、準グランプリを受賞。農家さんとの共著『おいしく長く楽しめる!収穫野菜の保存テク&レシピ』(ナツメ社)では、151品の野菜レシピを考案している。
●キャベツを4つに分けて1玉消費!簡単レシピ4品。副菜、おかず、汁物、作り置き。
●麻婆だいこん。とろける!野菜たっぷりの中華おかず♪
小さい頃から料理が大好き!野菜のおいしさを伝えたい
忙しい人にも野菜を食べてほしいから、簡単レシピを発信
野菜料理家としての仕事を始めて2年程経ちます。
今は、食品メーカーさんなどからご依頼いただくレシピ開発が多いですね。
「キャベツを1/2個消費するレシピを考えてください」などテーマを与えられ、そこからレシピを考えます。
だいたいこんな感じかなと一度レシピを書き出して、作ってみる。
試作は一発で決まればいいんですが、なかなかそうはいきません。
もうちょっとこの材料を多くしようとか、焼き時間を変えようとか、何回か作ってやっと完成、という感じです。
これまで本やブログなどで発表した野菜レシピの数は、たぶん600くらい。
旬の野菜を使った、簡単なレシピかおもてなしレシピかどちらかにしています。
投稿していると、簡単なレシピが求められているのを感じます。
材料がずらりと並んでいると、忙しいときはスルーしちゃうじゃないですか。
私も以前は会社員で忙しくて、自分で料理する時間なんて全然なくて。
そんな忙しい人でも野菜を食べられるといいなと思っているので、そういう意味でも簡単なレシピに取り組んでいます。
レシピを投稿したときに、「作ってみて美味しかったです」とかコメントをくれたり写真を撮ってタグ付けしてくれたりすると、嬉しいですね。
生の春菊に、炒めたベーコンと温玉をのせ、味付けはオリーブオイルと塩コショウだけ。春菊のおいしさをしっかり味わえるシンプルなサラダ。
おもてなしレシピは、最近、家でワインパーティーをしているので、そのためのレシピも増やしたくて。
実は夫はワインエキスパートの資格をもっていて、ワインのブログもやっているほどのワイン好き。
まずは私が、今この野菜が旬だから○○を作ろう、とレシピを考えて試作して、夫が試食し、じゃあワインはこれにしよう、と料理に合わせて選んでくれます。
ワインパーティーは、会費制で自宅にお友達などを招待。畑で採れた野菜を使った料理と、それに合うワインを提供します。
ワインがきっかけで結婚。野菜作りを経験し、野菜料理家に
夫と出会ったきっかけも実はワインなんです。
当時、私は旅行会社で広報やプロモーションの仕事をしていました。
フランスで、ワインを飲みながら走るマラソン大会があり、広報担当として行ったんですが、そのツアーに夫も参加していて。
その大会では、私も写真や映像を撮るために走ったんです。
もともと走る習慣はなかったので、慌ててランウェアや靴を買って(笑)。
せっかく買ったからと、帰国後に友達と一緒に皇居ランを始めることにしました。
ツアーに参加した皆さんとはとても仲良くなったので、ツアー後も飲みに行ったりしていたのですが、夫は皇居ランも参加してくれて、それで仲良くなっていった感じです。
夫は会社員でしたが、実家が年間40~50種類くらいの野菜を作る農家。
結婚を機に二人とも仕事を辞めて、お父さんお母さんに習いながら野菜作りに携わりました。
もちろん私はそれまでまったく農業経験はなかったです。
一番大変だったのは体力かな(笑)。
やってみると本当に力仕事なんですよ!
野菜作りをするようになってから、ブログも始めました。
旅行会社では広報やプロモーション企画をしていて、もともと写真を撮ったり、発信するのが好きだったんです。
農家で野菜の美味しさを発信する人はあまりいなかったのですが、せっかく野菜作りに携わっているので、野菜のおいしさを発信していけたらいいなと。
ブログでは畑で野菜が育つ様子や農家の暮らしについて発信していましたが、中でも反響が良かったのが料理のレシピでした。
直売所などでお客さんに売っていても、「これ、どうやって食べたらいいの?」と聞かれることが多くて。
それで、野菜作りに2年ほど携わった後、野菜料理家としてレシピを発信する仕事にシフトしていきました。
ブログや暮らしニスタのレシピに登場する野菜のほとんどが、ご主人の実家の畑で作られたもの。作りたいものに合わせて、「今日は人参を3本持って帰ってきて」などとリクエストするのだそう。
冬の時期は朝6時に起きています。
夏の忙しい時は4時起きですよ。日照時間に合わせて生きている感じです。(笑)
畑は家からすぐ近くにあるので、夫は朝食を食べてから畑へ行き、夕方帰宅するのですが、
その間、私は家でレシピを考えたり試作をしたりと仕事をします。
そして18時頃に一緒に夕食を食べて、22時には就寝。
健康的ですよね!
暮らしニスタを始めたのは2019年です。
同じく野菜料理のレシピを発信されいてるmidoriさんと以前から仲良くさせていただいていて、
midoriさんの暮らしニスタでの活動を見て、アットホームで楽しそうだなと思っていました。
他のみなさんの記事をすごいアイデアだなと思って拝見しているので。
料理以外の情報も充実しているので、収納アイデアなど、実はいろいろ試しています。
そして、投稿をはじめて半年くらいで暮らしニスタ大賞の準グランプリをいただいたのは、本当にびっくりしました。
小学校の自由研究で作ったレシピノートは、今でも見返します
結婚するまで農業経験はありませんでしたが、小さい頃から野菜も料理も大好きでした。
母がすごく野菜が好きで、野菜料理は毎日必ず食卓に並んでいたんです。
料理のお手伝いもよくするほうでした。
そして、小学4年生の夏休みの自由研究は料理がテーマ。
最初は母からレシピを教わって作っていましたが、そのうち自分で考えて作るようにもなって、夏休みが終わってからも料理の記録を続け、びっしり書き留めた大学ノートが3冊残っています。
私は、3人兄弟のいちばん上なのですが、おやつはきっちり3等分。
でも、自分でおやつを作ったときは、たくさん食べてもいいっていうルールがあったんですよ(笑)。
だから、おやつをいっぱい食べたくて、スイーツばっかり作っていましたね(笑)。
当時、将来はケーキ屋さんになりたいと考えていたくらいです。
実はその頃のノートを、いまだに使っているんです。
ノートには、母から習ったレシピが書いてあるので、母のあのレシピはどうだったっけというときに見返します。
小学4年生の自由研究をきっかけに書き始めたレシピノート。レシピや出来上がり写真、ご両親による感想などが書かれています。お母さまのビーフシチューのレシピがお気に入りで、今でも自分で作るときに参考にするそうです。
器選びやスタイリング、写真撮影も勉強中
ブログなどに載せている料理は、自分で撮影しています。
写真撮影は、旅行会社で働いていたときに講座に行ったりして勉強していました。
それからときどき習いに行っていて、今も写真とフードスタイリングの教室に通っているんです。
夫のワインのブログに載せる写真も撮ってあげています(笑)。
食器も大好きで!!
渋谷や自由が丘のお店をめぐっては作家さんの器を買い集めています。
普段の食事では食洗機でがんがん洗えるものを使って(笑)、作家さんの器は撮影用に。
ワインパーティーのときは、個々の取り皿は食洗機で洗えるものを使いますが、盛皿は作家さんのものにしています。
お料理の邪魔をしない、自然な色合いの器が好きですね。
繊細な柄が美しい、望月万里さんのカメリア皿。ケーキ皿として使います。料理を乗せるとこんな感じに。↓
これらはタナカマナブさんの器でオーブンでも直火でも使用可能。鍋物やグラタンに使います。↓
自然で優しい風合いの木の器やカトラリー、ざるもお気に入り。野菜の色が引き立ちます。
お料理以外では、音楽が大好き!
小さい頃からエレクトーンをやっていて、中学時代は吹奏楽部、高校時代は合唱部に所属していました。
そして今、やっぱり歌が好きだなと思って、アカペラをやっています。
月に1回習いに行ってまして、友達ともゆるゆると集まって歌っています。
あとは、最近はあまりやっていないのですが、お裁縫もします。
お料理と同じでもともと母の趣味で、小学校の頃から大好きで。
その頃は、リカちゃん人形の洋服を作っていました。
結婚式のカラードレスも、実は自分で作ったんですよ。
生地を買って本を見ながら制作しました。
リビングに飾っている結婚式の写真。カラードレスはいがらしさんの自作です。本格的!
料理は「底なし沼」! 自分ならではのテーマを見つけたい
私自身が好きな野菜は……トマトかな。
小さい頃から大好きなんですが、農家で野菜作りを経験してからますます好きになりました。
スーパーで売っているトマトは、傷まないようにまだ固い段階で早採りされているものが多いと思います。
でも農家なら完熟した状態のものを収穫して、すぐいただくことができます。
完熟トマトは、めちゃめちゃ美味しいんです!!
そして、野菜料理で今、マイブームなのが、昆布だしで作るポタージュ。
以前はコンソメを使っていましたが、コンソメって結構味が強いので、野菜の味が負けちゃうと思って。
昆布だしを使ってポタージュを作ったら、すごくおいしかったんです。
優しい味で、野菜の味が前面に出てくる気がして。
やっぱり自分が野菜好きなので、野菜の美味しさを伝えたい。
野菜が主役になるような料理ができたらいいなと思っています。
これからやりたいのは、畑で採れた野菜を使った料理教室です。
野菜を直接食べてもらうことが、一番おいしさを伝えられると思うので。
ワインパーティーはそのための準備でもあります。
まずは自分が全部料理して、それをみんなに食べてもらい、そこから教えられるようになったらいいなって。
今でも私自身もときどき料理教室に通います。
最近は、未利用野菜(カット野菜などで使われなかった部分)を使ったレシピの教室や、ヴィーガン料理の教室など。
香辛料の使い方とか、お肉なしでおいしくする工夫とか、発見があります。
料理ってつくづく「底なし沼」だなって思います(笑)。
世界中にいろいろな料理があって、すべてを学ぶことはできないじゃないですか。
マズイところに足を踏み入れてしまった、と(笑)。
私は「野菜」というジャンルに区切ってはいますけど、もっと狭めて自分のテーマを持ちたいなって。
今、それを模索しています。
ワインに合う野菜料理? それもいいですね(笑)。
取材・文/大島佳子
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