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Vol.【54】【junkaさん】
生活に古い家具や道具、手仕事を取り入れるアイデアを紹介しているjunkaさん。もともとは幼稚園の先生でしたが結婚を機に退職し、現在は専業主婦で、夫と中学3年生の長男、中学2年生次男、小学2年生の長女と神奈川県で暮らしています。2019年暮らしニスタ大賞に入賞。5周年記念パーティではフォトブースの小物やデコレーションの制作を担当しました。
●手ぬぐいが好き。我が家の手ぬぐい活用法
●かばんの中身も整えたい
祖母や母から受け継いだ物や知恵を娘にも伝えていきたい
一期一会で奥が深い古家具・古道具を暮らしに
暮らしに古い物を取り入れるようになったのは、10年ほど前からです。
一番初めに買ったのは、氷冷蔵庫。
たまたまYahoo!オークションで見つけて「欲しい!」と思い、落札しました。
でも、当時の自宅は、MOMO NATURALやFrancFrancなどで購入した白い家具で統一されていて、氷冷蔵庫が浮いちゃってたんですね。
そのときは東京の目黒に住んでいて古道具屋さんが多かったので、徐々に、ちゃぶ台、照明…と物を増やしていきました。
古い家具や道具は、一期一会。
古道具屋に行っても、気に入る物がなく空振りすることもあります。
逆に、気に入ったら躊躇しないで買うようにしています。
今使っている食器棚は、お店で見つけたときはメンテナンスをする前で埃まみれだったんですが、「これがいいです!」と予約して購入しました。
古い家具は高いイメージもあるかもしれませんが、例えば最初に買った氷冷蔵庫は3万5千円。
海外のアンティークに比べたら高いわけではなく、現代の家具ともそれほど変わらないんですよね。
古家具に古いものにハマるきっかけになった氷冷蔵庫は、戦後の物。中には、普段使いの生活雑貨やバッグが入っています。
古道具屋さんから聞いたのですが、「今の家具は壊れたら買い替えること前提で作られている、でも昔の家具は壊れたら直して使えるように作られている」と。
うちで一番古いのは明治時代の薬箪笥なんですが、もう100年以上前の物がこうして使える状態で残っているのは、そういうこと。
そう考えると、年季の入った木の色や人の手でついた汚れも、より愛着がわいてきます。
うちの薬箪笥は鉄の釘でなく木の釘が使われているんですが、釘も時代によって変化しています。
氷冷蔵庫も、メーカー名が左から書かれているか右から書かれているかで、作られた年代がわかります。
知れば知るほど奥が深くどんどんマニアックになっていく(笑)。
古い家具にはそういう楽しみもありますね。
食器棚は「昔ながらの民宿の食器棚」や「おばあちゃんちのいっぱいに詰まった食器棚」をイメージしているそう。食器は、雑貨店だけでなく、スーパーのワゴンや、閉店する飲食店の「ご自由にお持ちください」箱も覗きます。旅先や、何かの記念に買うことも。
閉店する中華料理屋さんからは、ラーメン鉢やバットを。お店のかたがぼそっと「この中に餃子のタネを入れて餃子を作ったんだよなぁ」って話していたのが印象的で、「絶対に大事にします!私が生かします!」と伝えて譲り受けたそうです。
大正時代の物で、約2万円で購入。長男が小学1年生の頃は勉強机にしていました。今はjunkaさんが作業するときに使っています。
祖父母がやっていたお寿司屋さんの味を受け継ぎたい
古い家具や道具を使うようになってから、私の祖母が家に遊びに来たことがありました。
そのとき祖母は、照明を見た途端、昔の記憶が鮮明によみがえってきたそうです。
照明は、昭和の戦前から使われていたガラス製のもの。
祖母に聞くと、戦時中は光がもれないように照明に黒い布をかぶせていて、終戦を迎えた夜に布を取ったのだそうです。
「今の電気より、その当時の電気は暗かったのよ。でも布を取ったときに、眩しすぎて見られなかった。電気ってこんなに明るかったのかって思った」と話してくれました。
そのときの祖母の表情がとても印象的で、もっともっと物を大切にしていきたいと思うようになったんです。
祖父母の家はもともとお寿司屋さん。
昔ながらの料理の作り方や道具の使い方は、うちの母まではわかっていましたが、私が受け継がなければ店の味は途絶えてしまう状態でした。
でも古い物をきっかけにして、その味も私が受け継いで、娘にも伝えたいと考えるように。
それからは、お寿司の細巻や軍艦の作り方、卵の味付けなどを教えてもらって、少しずつ生活に取り入れるようになりました。
junkaさんが子どもの頃に遊んでいた、懐かしのおもちゃ「こえだちゃん」の着せ替え人形。雛人形と一緒に飾っていたという小さな茶器や箪笥。箪笥はjunkaさんのおじさまの手作り。今はお嬢さんがこれで遊んでいます。
結婚前は、ただの捨てられない女子&汚部屋女子
私、実は汚部屋出身なんです(笑)
独身時代の実家の部屋は、寝る場所だけ確保して、食べかけの物や洋服が散乱した足の踏み場もない部屋。
両親や兄は、部屋の紹介などでメディアに出る話をすると、「あの汚部屋女子が!信じられない!!」って(笑)。
雑貨などはもともと好きで、小さい頃のおもちゃも残していたし、幼稚園の時に使っていた上履きの袋も取ってある、捨てられない女子でした。
片付けられるようになったきっかけは、結婚ですね。
なぜなら、夫に嫌われたくなかったから(笑)。
でも、今の暮らしも、おもちゃや上履き袋を捨てずにいたところからつながっているのかなと思います。
古い物に興味をもったことで、単に捨てられなかったのが、持ち方がわかったのかもしれません。
実際、おもちゃや上履き袋は娘が使ってくれました。
持ち帰ってもらえて嬉しかった、暮らしニスタ大賞のディスプレイ
2019年暮らしニスタ大賞授賞式の会場飾り付けの様子。
暮らしニスタに投稿するようになったのは2019年。
きっかけは夫の一言です。
「せっかく古い物が好きなんだから、何かやってみれば?」と。
その頃、ちょうど暮らしニスタのことを知ったので登録したのですが、アイデアってどう書いたらいいのかわからなくて、しばらくの間は投稿せずにみなさんの記事をチェックしていました。
私、国語の成績が「2」とかだったので(笑)。
でもそのうち、読むも読まないも自分が決めることじゃないからいいや、と。
自分の世界観を伝えるだけでいい、好きなことや伝えたいことを書いていこうという気持ちになって、投稿を始めました。
興味をもってくれる方が1人でも2人でもいてくれるだけで嬉しいと思っています。
昨年は、暮らしニスタ大賞でディスプレイも担当させてもらいました。
実はすごくテンパっていて、あまり覚えていないんです(笑)。
紙工作は、幼稚園の先生をしていた頃は日々やっていましたが、10年以上のブランクがあったので、最初は手こずって全然進まなくて。
暮らしニスタの皆さんには子どもっぽいかな?でも懐かしさを味わってもらうのも楽しいかな?と悩みながら、結局ほぼ自己満足で作りました(笑)。
でも当日、いろいろな方々が撮影してくれて、最後は「持って帰っていいですか?」と言ってもらえて私の手元に残らず全部引き取っていただいたのが嬉しかったですね。
やって良かったなと思いました。
没頭しやすい性格で、ダーツのプロを目指したことも
今のような暮らしを始める前は、7年間くらい、夫婦でダーツにハマっていました。
プロテストを受けようかと思っていたほどです。
子どもが生まれてからは、夫は仕事帰りにダーツバーに行き、私はその間に子供を寝かしつけて、夫が深夜帰宅したら私がダーツバーに行き朝までやる、という生活(笑)。
練習でうまくいかなかったときは、帰宅してから寝ている夫を叩き起こしてフォームを「見てくれ!」って言ったり(笑)、試合で負けるとこんなにも泣くのかっていうくらい悔し泣きしたり。
趣味の域を超えて、2人で真剣にやっていました。
でも、子どもが幼稚園に入ると続けられなくなってきて、あるとき長男に「ママはもう夜出かけないよね?」と言われて、きっぱり辞めました。
7年間没頭して、貴重な経験ができたからこそ、潔く辞められたんだと思います。
没頭しやすい性格なんです。
「こうと決めたらこう!」というタイプ。
一時期、暮らしかたについても没頭しすぎて、子どもたちが窮屈になってしまったことがあります。
「これはそこに戻して!もうここは汚さないで!」って。
でも、それは、私が勝手に作った決まりであって、子どもたちには関係ないんですよね。
今はそうならないように、ゆっくりしています。
誰かが遊びに来たとき、ごろごろしてもらえるような、窮屈じゃない家づくりをしたいというのが、今の私が向かっているところです。
今、趣味といえるのは刺し子かな。
刺し子の布巾を生活に取り入れたら楽しそうと思って始めました。
布巾として使ったり、ハンカチがわりにしたり、友達にプレゼントしたりしています。
もともとは、ボタン一つまともに付けられないほどで、見様見真似で始めた初心者なのですが……。
刺し子って、「無」になれるんです。
だからぼーっとしたいときにいいんですね。
私が刺し子をしているのを見て、長男も波縫いの練習で作ったり、それを見た長女がやりたいというので始めたり、家族でやっています。
junkaさんが作ったクロス類。
もう一つの趣味は、御朱印巡り。
もともと歴史が好きなこともあって始めました。
鎌倉、京都、大阪、山形、栃木、伊豆など旅行のたびに御朱印帳を持って行き、必ず1社は巡って、御朱印をいただいています。
そして、今、一番楽しみにしているのが引っ越しです。
結婚して16年なんですが、今度が7回目の引っ越し(笑)。
現在は2LDKですが、子どもが大きくなってきたので部屋数の多いところを探しました。今度のおうちは、キッチンがタイル貼りで鉄のタオル掛けがついていたりして、ちょっと古い雰囲気があるところが気に入っています。
今は、荷造りをしながら、新しい家の空間づくりをイメージしているところ。
新居は畳の部屋に合わせて、先日、こたつを購入しました。
昔ながらの、赤いコードのこたつです。
テレビ台も新調する予定。
引っ越しが済んだら、古道具屋さんに探しに行こうと思っています。
とにかく今は、引っ越しのことで頭がいっぱい (笑)。
新しい暮らしを楽しみたいですね。
取材・文/大島佳子
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