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Vol.【48】【ひろさんきっちん♪さん】
長野県在住で妻と2人の子どもと暮らしながら、ブログやYouTubeでレシピを発信。もともとは会社員、2019年からは料理研究家として独立して活動中。得意なのは、時短で簡単、調味料が少なく薄味でもおいしいレシピ。暮らしニスタの料理コンテストでも複数のレシピで入賞しています。
●シンプルなのにヤバウマ「ピーマンと厚揚げの焼きびたし」
●しょう油1:みりん2で味付け決まる!
「やってみたら?」の妻の言葉で、サラリーマンから料理研究家へ
ご自宅のキッチンで試作をするひろさんきっちん♪
仕方なく始めた料理が、工夫するうちに楽しみになった
料理をするようになったのは、中学1年生の頃です。
たまたま親が仕事で帰りが遅くなるとき、「ちょっとやっといて」と言われたのが始まりで。
最初は、なんで俺がやんなきゃいけないの!?って感じだったんです(笑)。
チャーハンとか焼そばとかを、パッケージを見てそのまま作るような感じでした。
でも、作りながら、こうすればもうちょっとおいしくなるのかな……と試しているうちに、作ることが好きになっていきました。
高校卒業後は地元の製造会社に就職して、小指の爪くらいの精密なセンサーを顕微鏡で見ながら造るような仕事をしていました。
働いてからも、ずーーっと料理はやっていましたね。
結婚しても、どちらかというと家事が得意なのは僕のほうだったので、食事は僕が担当していました。
お弁当も含めて3食全部。
友達が家に飲みに来たときや家族の誕生日にも料理を作っていて!
みんな、「おいしいおいしい」って言ってくれるんですよ。
じゃあブログでもやってみようかなと思って、3年くらい前からレシピの発信を始めました。
家庭でのお祝い時に、ひろさんきっちん♪さんが作ったメニュー例。
しばらくするとブログに仕事の依頼が来るようになったんです。
レシピ開発や商品レビュー、モニターなどです。
2年間くらいは、会社員とかけもちしていたのですが、料理の仕事が続くようになったとき、妻が「料理家になったら?」と後押ししてくれたんです。
それで、思い切って15年勤めた会社を退社して、2019年にフリーランスになりました。
親や友達には「やめろ」って言われましたけど、僕の料理をよく食べてくれていた会社の同僚などは「この会社にいたらもったいない、やったほうがいい」と言ってくれました。
サラリーマンを辞めて料理研究家としてやっていくことについて、やはり不安でしたよ(笑)。
その気持ちを解消するためには動くしかない!
もともと飽きっぽいところがあったので、前の仕事もよく15年も続いたなって自分でも思っているほどなんですけど(笑)、切り替えが早いほうで。
もしも仮に料理研究家としてダメになっちゃったとしても、また切り替えて次の仕事に進めばいいやくらいの感じで今、取り組んでいるところです(笑)。
料理にまつわる得意なことを、幅広くできるのが楽しい
今は、引き続きレシピ開発などの仕事を続けています。
他には、地元のイベントで料理教室を行ったり。
写真を撮ることももともと好きなので、地元の飲食店でメニュー写真を撮影し、メニューのレイアウトを作ったりもしています。
料理を軸にして、自分ができること、得意なことをやっている感じですね。
ひろさんきっちん♪さんがレイアウト製作したメニュー。
あとは、週に何回か、メキシコ料理店のキッチンで働いています。
もともとその店のメニューの撮影をさせてもらったんですが、そのときアルバイトを募集していると聞いて、「じゃあ僕が手伝いますよ」と(笑)。
メキシコ料理は全然知らないジャンルだったので、興味もありまして。
今は、自分のレシピのヒントにもなっていますね。
メキシコ料理からヒントを得たタコスのアイデアレシピ
2020.02.18タコスの皮「トルティーヤ」をコーンポタージュで作りましょう♪強力粉でモッチモチで美味しいですよ〜具はサラダチキンを使うので簡単に美味しくできますよ!ホットプレートで焼いてパーティーレシピで盛り上がる!!続きを見る
フリーランスになって約一年、仕事の波はあります。
例えば今回の新型コロナの影響では、仕事がかなりふっとんじゃいました。
でも辞めたいとは思わない。
厳しいなりに、なんとかしてやってみようと思っているところです。
やっぱり、得意なことを生かせていること、幅広くやりたいことができることが楽しい。
あとは、誰かの役に立っていると感じられるのがいいですね。
暮らしニスタへの投稿で、主婦のニーズがわかった
ブログのほかに、今は、YouTubeで動画の発信もしています。
始めた理由は、やはりいろいろな人にレシピを見てもらいたかったから。
媒体によって見る層が違うので、YouTubeではエンタテインメント性を出す、暮らしニスタはアイデアを紹介する、ブログは自分が発信したいことを書く、そんな感じで内容を分けています。
暮らしニスタへの投稿は、最初は妻がMontanaさんと知り合いになったことがきっかけです。
夫が料理好きだと伝えたら、暮らしニスタを紹介してくださって。
昨年末は、2019年暮らしニスタ大賞受賞式のパーティにも参加させていただきました。
でも実は僕、「暮らしニスタ」は女性の方が多いということを、そこまで意識していなかったんです。
会場に着いてみて、「あれ?俺、ここに来ていいのかな?」って(笑)。
あれ???って思いながら、とりあえず会場の周りを2周したんです(笑)。
でもここだよな、と(笑)。
着いてすぐ、「ひろさんですね!」って言っていただいて、すぐわかるんだ、すごいなと思っていたら、みんなが「ひろさんだ!」と。
なんでわかるんだろう?と思ったら、男性は僕一人だった(笑)。
温かく声をかけてくれる方が結構いて、いろいろお話も聞かせていただいて、行ってよかったなって思いました。
暮らしニスタ大賞授賞式パーティーのスナップショット。暮らしニスタさんたちと談笑中の様子をパチリ!
暮らしニスタに投稿するようになって、主婦のかたが気になるポイントがよくわかるようになりました。
例えば食材も、男の僕からするとまず肉!って思うんですが、暮らしニスタでは厚揚げやもやしを使ったもののほうが人気があるんです。
きっとみなさん、メインのおかずは唐揚げとか生姜焼きとか自分なりのレシピを持っていて、副菜で何作ったらいいかわからないのかなと。
特に厚揚げやもやしは、調理のバリエーションが少ないので、新しいレシピを知りたいのかもしれませんね。
厚揚げを豚肉で巻いたアイデアレシピ。棒状のトンカツのようです。
2019.12.20今日はパーティーにも喜ばれる「厚揚げレシピ」を紹介します!厚揚げを細く切って薄切り肉でグルグル巻いて揚げるだけ♪普段は地味な厚揚げが「とっても華やか」に大変身〜手掴みで食べれば満足、満足!続きを見る
最近、苦労したレシピはシフォンケーキ。10日連続で試作しました
レシピを考えるときは、食材は、例えばそのときの旬の野菜とか、葉物野菜が高い時期ならきのこを使ったレシピにしようとか考えます。
それから、調理方法。
レンジで蒸すのか、炒めるのか、揚げるのか、グリルで焼くのか。
次に味。
夏ならさっぱりめ、冬なら濃いめにしようとか。
その組み合わせで考えて、試作して、うまくハマった料理を紹介しています。
試作をしたら家族にも食べてもらいます。
特に野菜のレシピについては子どもに食べてもらう。
子どもの反応がいいものは、暮らしニスタやブログでも反応がいいんです。
ちなみに、家族から好評なのは鶏むね肉の唐揚げ。
リピート率が高いですね。
試作は、納得いくまでやっています。
一発でできるものもあれば、何度作ってもうまくいかないものもあって(笑)。
最近難産だったのは、シフォンケーキ!
10日連続くらいで作って家族に食べさせました(笑)。
最後に、1日目のレシピをもう一度作ったら、あれ?これが一番うまくね?ってなって、結局一番初めのレシピに戻った(笑)。
ハマると作りたくなっちゃうんですよ。
工夫して、全部試して、一番おいしいものを出したいので。
シフォンケーキを試作中。
ほかに、僕のレシピには鍋一つで作る「ワンポットパスタ」というのがあります。
パスタって結構めんどくさいですよね。
鍋で茹でてお湯を切って、フライパンで仕上げて。
ワンポットパスタは、基本的に初めに材料を入れちゃえば煮ておしまい。
インスタント感覚で作れちゃうので、子どもでもできるし、一人暮らしの人にも好評なレシピです。
このワンポットパスタは、水からパスタを入れて作るんですが、試作では沸騰させてから入れるなどいろいろ試しました。
結果、水から入れたときが一番もちもちしておいしかったんです。
カルボナーラのワンポットパスタ。こちらは水ではなくて、パスタを牛乳に入れて煮て作ります。
1週間に1日は料理を離れて、読書などインプットの日に
朝は6時に起きて、まず筋トレして目を覚まします(笑)。
料理研究家になってしばらくしたら太ったんですよ。
それで、YouTube見てやるようになりました。
それから朝食を作って、保育士をしている妻や子どもたちを送り出して、午前中は、前日に作った料理のレシピをまとめる作業を。
昼食は、レシピ作成を兼ねて。作りながらYouTubeの撮影をすることもあります。
午後は、YouTubeの動画編集をしたりして、夕食を作って。
週に何日かはそのあとメキシコ料理店のキッチンで働いているので、1日3食以上作ってますね(笑)。
でも、1週間のうち1日は、料理も撮影もしない完全オフの日を作っています。
その日の食事は妻に任せて、自分は本を読んだり、他の人の記事や動画を見たりしています。
会社勤めのときは料理をしない時間があったんです。
でも、独立してからずっと料理し続けてたら、一回、限界が来たときがあった。
ヤバイ、料理したくない……って。
1週間に1日休むとまた作りたくなるので、今はそうしています。
料理を作る人の苦労を減らすようなレシピを考えたい
レシピを考えるときに特に意識しているのは、再現性と応用の高いものにすること。
普通、レシピはメニューによって手順が変わりますが、僕のレシピは、手順は一緒で材料を変えるだけで作れるものが多い。
例えばワンポットパスタは、牛乳を入れればカルボナーラ、トマト缶ならトマトソース、水でならペペロンチーノ。
その都度レシピを調べなくても、一つの方法を覚えておけば、材料を変えるだけでバリエーションを増やすことができます。
実は、料理研究家になろうと思ったときからの夢は自分のレシピ本を出すことなんです。
ひとつひとつ違うレシピを紹介するよりも、ワンポットパスタのような、料理の意外な方法を伝えて、作る人の苦労を減らすような本が作れたらと思っています。
取材・文/大島佳子
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