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Vol.【31】 【桃咲マルクさん】
100均などのプチプラ食器を使ったカフェ風レシピ、おしゃれな雑貨紹介が人気の料理ブロガー。誰もがあっと驚くようなアイデア料理で、はなまるマーケット挽き肉料理選手権、トロピカーナ・小林製薬・映画にちなんだレシピ他、数々の受賞歴を持つ。京都府宇治市出身、現在は滋賀県大津市在住。夫と長男、次男、長女の5人家族。
●子供から大人までついつい手が出る?のり塩味の『里芋ねっとり揚げ団子』
- ●恐怖のハロウィンチーズバーガーセット
ワクワク感あふれる、独創的でかわいい料理を追及
キャンドルに見立てたゼリー
子どもたちに、美味しいものを食べて楽しい時間をすごしてもらいたい!
料理を始めたきっかけは、20歳のころにハマったダイエットでした。45kgで「太い」って会社の人に言われて。無理をして1ヶ月で39kgまで減ったんですが、体を壊してしまい、それをきっかけに通信教育で栄養学の勉強をしたんです。それからは栄養バランスを考えながらカロリーを控えたお料理を作るように。実は私の母が料理上手で、買ったお惣菜やインスタントラーメンですら食べたことがなく、それまでは自分ではおでんも作ったこともないくらいで。
その後、嫁いだ先は洋菓子店。義父がパン担当で夫がパティシエ、私は袋詰めや売り子担当として働きながら子どもたちを育ててきました。自営業で休みがなく、近所の方がお子さんをディズニーランドなどに連れて行くのを私は笑顔でお見送り。うちの子どもたちのことは、どこへも連れていってやれませんでした。
私自身は、母が作る料理のおかげでとても幸福な子どもだったと思います。学校からの帰り道、自宅から漂ってくるお味噌汁や煮物の匂いに「今夜のご飯はあれかな?」と胸を躍らせ、土曜日の午後には焼きたてのパンやケーキをハフハフと頬張って。そんな温かい思い出があったからこそ、せめて子どもたちには美味しいものを楽しく食べさせよう!と考えるようになりました。私がお料理でいちばん大切にしているのは「楽しくて笑顔になれること」なんです。
今も仲が良いマルクさんご両親の若い頃の写真。構図などはお父様が決めて撮影されたそう。マルクさんが大切にしているお気に入りの一枚で、リビングに飾っています。
思い立ったら即行動!ブログを始めて新しい世界が広がった
ハイジの白パン。アニメで見たチーズに近づけるために、ストローでチーズに穴を空けました。
最初のブログ、『mamaの鍵』を始めたのは2010年頃。料理ブロガーさんによるブログ開設本を書店で見て「こういう形で記録するのも楽しいかな?」と考えたのがきっかけです。数日後にはPCを購入、1日12時間もPCの前に座ってブログの書き方を猛勉強!毎日更新し、多いと40人ほどコメントをいただくようになりました。お返事を書くのに朝までかかることもありましたが、文章で話をするのが楽しくて、話をするためにブログを更新するようになっていきました。同じ時代に生きながら本来は知り合えない方とお話できるのは大切な時間。今でも宝物だと思っています。
数ヶ月後、ブログ用に『原始人のお肉』というメニューを作ったところ、たまたま『はなまるマーケット』で挽き肉料理の募集があり、何気なく応募してみたんです。テレビ出演が決まってブログで告知したら皆さんがとても盛り上がって下さって。結果、優勝できたときのお祝いコメントもたくさんいただき、嬉しくて涙が出ました。
『はなまるマーケット』挽き肉料理選手権で優勝した『原始人の肉』。やっくんから「これおいしい」というセリフが出たときは、心臓が高鳴ったそう。
25年間マッサージを続けてくれる夫は、一緒に居て心地いい相手
夫とはお見合い結婚でした。どんな話題でも話が途切れないというのが最初に会ったときの印象で、それは今も変わりません。休みの日は、朝から晩まで一緒にいますし、ずっとしゃべり相手。
自営業で子育てをするのは大変な部分もありましたが、掃除や洗濯は夫がしてくれていましたし、今でも私の肩こりを心配して毎日1時間くらいマッサージしてくれます。結婚して25年になりますが、夫は「まだ結婚して3年くらいしか経ってへん気がする」って言うんです。どんだけボケてはんのや!って感じですけど(笑)私がお弁当を作ると「ありがとう美味しかった」とメールしてくれますし、私のほうもマッサージをしてもらったら何かしてあげようって思います。やっぱり、お互いに感謝の気持ちを持つことがいちばん大事ですね。
パティシエのご主人が作ったブランデーケーキです。したたるほどにブランデーが染み込んでいて絶品! マルクさんの大好きな味。
個性的なアイデアが湧くのは資格や知識がないからこそ
食パンで具材をくるみ、ガイコツに見立てたアイデアメニュー。
私の料理は、普通ではありえない組み合わせ、独創性を感じさせる可愛い見た目を意識しています。関西人なので、まず「まったく違う材料で作ると面白いかな?」って考えるんです。ホテルで何かを食べたり、海外で買ったレシピ本でスイーツの写真を見て「これをおかずにしてみよう」とパッとひらめいたり。
栄養士や調理師といった資格がないからこそ、普通ならありえないようなアイデアがわくのかもしれません。専門知識があれば、この食材にはこれを合わせるという型がある程度決まってくると思うんですが、その知識がないんです。だから「基本の料理は栄養士さんや調理師さんのほうが美味しいはずなので、プロのレシピを見てくださいね」といつもお伝えしています。
性格は昔からよく天然だね!って言われます。方向音痴だし、他の方が言ってはることを理解できないことも多い。でもそれってもしかしたら、人とは違う角度から物事を見ているということかな?と思っています。
ベビースターラーメンのコンテストで受賞したレシピ。ご飯にかけるふりかけ等は他の方もしはるかな?と思い、アメリカンドッグにしたのだそう。卵を入れ忘れたら、生地自体がザクザクした意外性のある仕上がりに。
数字好きで凝り性。分量を変えながら同じ料理を10日間作ることも
天然系とは言え、ぼーっとしていることはあまりなくて、常に何かを考えているほうです。特に数字が大好きで数字を見るとワクワク嬉しくなって、車のナンバープレートに並んだ数字同士を割ったり引いたりかけたり。数字へのこだわりと言えば、よくレシピに「野菜を7mmに切る」と書くんですね。1cmでもないし5mmでもない、と研究した結果7mmがベスト!ってことがよくあって。「出た!マルクちゃんの7mm」なんてコメントをいただきます。
独身時代のお小遣い帳とカロリー手帳。独身時代の収支ノートは数年間継続し、ダイエットしたときには食事をしっかりと記録していました。数字、表、記録マニアなのだそう。
レシピ考案中に何かが気になりだすと、夜中2時半くらいに起きて作り直すことも。1回レシピを考えても、作ったものを半分残しておいて、次の日に少し分量を変えたものとくらべてみるんです。「もう少し醤油を足してみよう」とか「簡単に作れるように調味料を同量ずつにしてみるとどうかな?」とか。例えば以前『暮らしニスタ』に投稿した酢豚は、最初に黒糖・黒酢・お酒を同量で作ったんですが、酢の分量が気になって。少しずつ分量を変えながら10日間毎日家族に出してリサーチしました。温泉卵やブロッコリーなどはタイマーで測りながら1分ずつ茹で時間を変え、10回くらい作ってみます。
調味料の分量を変えて10日間味見をし続けた黒酢の酢豚。料理研究家とも言える探求心でレシピを開発しています。
この凝り性なのはおそらく父のDNAですね。父は決めたことを毎日する人。朝8時に独学でピアノを弾き、ギターを弾き。絵も好きで、模写を800枚も描いて「30万円支払うので売って下さい」と言われたこともあるそうですよ。
ブログの写真は明るいうちに撮り、夜は毎日バイキング!
恐怖の目玉ハンバーガー。ハロウィンのメニューとして考案。
ブログで紹介している料理は、基本的に1人前をスタイリングして日中の明るいうちに撮影しています。完全にブログ用のテーブルセッティングです。実は我が家の夕食、毎日バイキング形式なんですよ。サラダに煮物、唐揚げなら1kg揚げて。お肉を食べたい子とお魚を食べたい子がいるから、たいていメインディッシュはお肉とお魚の両方。新聞の上におなべを乗せたりして、ブログの世界観とは全然違う(笑)そこから、家族それぞれが好きなおかずをワンプレートによそっています。子どもが小さい頃は1人前ずつ分けて出していたんですが、浪人して太った次男に「ようけ食べさせて太った」って言われまして……。(笑) それで、食べたいだけ好きなの取って!ということになりました。もちろん昼間撮影した料理も並べて、家族の感想を聞いています。
夕食バイキングの様子。毎日、肉料理、魚料理と盛りだくさん。ここから各自が食べたいものを好きなだけ自分で取り分けるシステムです。
夕食のとりわけに写真の3coinsのプレートを5~6年愛用しています。まだ1度も割れたことがない優秀品!
美味しさは各家庭で違うものだから「美味しい」とは書かないようにしています
私のレシピは、そうやって家族に徹底リサーチして作りますが、それはあくまでもうちの家庭の味。味付けは各家庭で違うと思うんですよね。なので美味しいとは書かないようにしています。有名な方のレシピで作ったら「え?薄い!」とか、近所の人がくれはったのが甘すぎることもあるじゃないですか。それと同じで、私のレシピが誰にとっても絶対的に美味しい!というわけではないから、その方の家庭の味に合わせて醤油を増やしたり砂糖を減らしたりしていただけたらいいなと思っています。
取材・文/雨宮あかり
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