安くて栄養満点の卵。お弁当のおかずが一品足りないとき、お給料日前にピンチのとき、いつでもオールマイティに使える万能選手ですよね。
でも、気になるのがコレステロールやカロリー。一日にあまりたくさん食べないほうがいいって本当? 調理方法によって栄養素は変わるの? 気になる卵の栄養成分や食べ方を調べてみました。
卵にはどんな栄養素が含まれているの?カロリーはどれくらい?
重量
まず、卵の基本のキをおさらい。卵には様々なサイズがありますが、1つの重量はどれくらいでしょうか?農林水産省の規格では、以下のように定められています。
LL…70g以上、76g未満
L…64g以上、70g未満
M…58g以上、64g未満
MS…52g以上、58g未満
S…46g以上、52g未満
SS…40g以上、46g未満
のサイズによって重量は変わるということですね。レシピを見て料理をするときは、この点も考慮して卵の分量を考えましょう。
栄養素
卵は、ひよこ1羽が成長するために必要な栄養素が含まれていて「完全栄養食品」とも呼ばれています。良質なたんぱく質や脂質、ビタミン、ミネラルなどをバランスよく含んでいるのが特徴。含まれていない栄養素は食物繊維とビタミンCだけです。卵に含まれる代表的な栄養素を見ていきましょう。
・たんぱく質
たんぱく質は、エネルギーとなるだけでなく、筋肉や皮膚、毛髪などの材料になったり、体の機能を保つためのホルモンや酵素などの成分にもなる重要な栄養素です。1日あたりの摂取推奨量は成人男性で60〜65g、女性で50gといわれています。
50gの卵1個には6.2gのたんぱく質が含まれています。たんぱく質は20種類のアミノ酸から構成されており、その中でも体内で作ることができない必須アミノ酸は9種類あり、その9種類の必須アミノ酸をすべて含んでいるので、卵のタンパク質は「良質なたんぱく質」と呼ばれているのです。
・ビタミン(A、D、E、B2、B12など)
ほとんどのビタミンは卵黄に含まれています。
ビタミンAは脂に溶けやすく水に溶けない性質をもつ「脂溶性ビタミン」のひとつで、目の健康に大きく関わる栄養素です。粘膜や皮膚の健康維持もサポートしています。
ビタミンDも同じく「脂溶性ビタミン」で、カルシウムやリンといったミネラルの代謝に関わり、骨を強くしてくれる働きがあります。
ビタミンB2は、脂質などの栄養素からエネルギーを作り出すことに関わるほか、成長の促進や皮膚・粘膜を保護する働きがあります。不足すると口内炎や皮膚炎などを引き起こします。
ビタミンB12は、アミノ酸や脂質などの代謝をサポートしています。不足すると貧血を起こすことが知られています。
また卵黄には、ビタミンEも豊富に含まれます。抗酸化作用があるうれしいビタミンですね。
・脂質
摂りすぎると肥満につながる栄養素ですが、たんぱく質や炭水化物と並ぶエネルギー源であり、ホルモンや細胞膜などを構成する、私たちの健康に欠かせない成分です。卵の脂質のほとんどは、卵黄由来です。
・ミネラル(カルシウム、リン、鉄など)
体内に存在し人体に不可欠である「必須ミネラル」類も多く含まれます。エネルギー代謝や脂質代謝などを担うリン、ヘモグロビンを生成する鉄、骨の形成に関わるカルシウムなどがバランスよく含まれています。
卵黄と卵白では含まれる栄養素が異なり、卵白はほとんどが水分とたんぱく質。その他の栄養素は卵黄に含まれるのだとか。
とはいえ、卵白も良質なたんぱく質の宝庫なので、バランスよく栄養素を摂取するには、卵1個丸ごとを食べるのがベストです。
さらに、最近ではビタミンEやDHAを強化した卵なども市販されていて、さらに栄養価が高くなっているものもあるので、必要な栄養素で選ぶのも一つの手ですね。
カロリー
卵は栄養たっぷりなだけに、カロリーが気になるところ。文部科学省の食品成分データベースによると、全卵100gのカロリーは151kcal。
Lサイズの卵1個は70g以上76g未満なので、カロリーは84~90kcalくらいになります。意外に高いと思った方もいるのではないでしょうか。
生のままでも、ゆで卵にしても、カロリーは100gあたり151kcalと変わりません。卵焼きなどはカロリーが高くなりますが、これは砂糖やみりんなどを加え、油で焼いているから。
ダイエット中であれば、同じ卵を食べるにしても、ゆで卵や温泉卵などがいいですね。
卵の殻には栄養がある?
卵の殻のほとんどはカルシウムです。卵の殻からとれる卵殻カルシウムは、実はパンや畜肉加工品、高齢者食、ベビーフードなどに含まれています。
また、卵殻カルシウムがヒトの骨量を増加させるという研究報告も。高齢化で骨粗しょう症などが問題になる中、卵の殻にも注目が高まるかもしれません。
卵は生と加熱後で栄養素が変わるの?
生卵の場合
完全栄養食品といわれる卵。栄養素をそのまま取り込みたいなら、生卵で食べるのが一番よさそうですよね。
熱に弱いビタミンB群やたんぱく質もそのまま摂取できます。ただし、生の卵に含まれるアビジンという成分には、白髪を防いだり肌の老化を防止するビオチンの摂取を阻害する要素が。
肌や髪が気になる人はあまりたくさん摂取しないほうがいいかもしれません。
半熟卵の場合
ポーチドエッグなどの半熟卵の場合が、栄養価としては理想的。加熱すると減少してしまうタンパク質や脂質、ビタミンB群がそれほど損なわれずにすむうえ、アビジンの影響がなくなります。さらに、消化にもよいのでおすすめです。
ゆで卵の場合
ゆで卵の場合は、しっかり加熱するので、やはり熱に弱いビタミンB群やたんぱく質などは多少減ってしまいます。
また、細菌を溶かす働きのあるリゾチームなども失われてしまうのだとか。そのため、生の卵より保存状態も悪くなるのですね。
半面、髪や肌の健康によいビオチンはしっかりと加熱したほうが吸収されやすくなるといわれています。白髪などが気になっている人は意識してとってみてはいかがでしょうか。
卵を摂取するメリットは?
卵は栄養豊富なのに糖質はかなり低く、ダイエット中にもおすすめできる食品です。
たんぱく質、ビタミン、ミネラルなども含まれているので、ダイエットで欠乏が気になる栄養素も補えます。特に食べることでしか摂取できない「必須アミノ酸」が含まれていることは、卵の大きなメリットです。
卵を摂取するときの注意点は?
卵は糖質をあまり気にすることなく摂取できますが、100gあたりのカロリーは決して低いわけではありません。カロリー制限などがある人は、あまり食べすぎないようにしましょう。
また、アレルギーには十分注意を。加熱した卵なら食べられる人もいますが、半熟卵では卵白に含まれる「オボアルブミン」というたんぱく質が十分に変化せず、アレルギー症状が出ることもあるのだそう。
完全栄養食品と呼ばれる卵ですが、ビタミンCと食物繊維が含まれていないので、サラダなどを一緒に食べて、足りない栄養素を補うとよりGOOD!
卵は1日何個食べるのが体に良い?
以前は、卵を食べるとコレステロール値が上がるから食べ過ぎないほうがいいと言われていました。
でも実は最近の研究で、食事から摂取するコレステロールと、体内のコレステロール値は必ずしも直結しないということがわかり、厚生労働省も2015年に日本人の食事摂取制限基準からコレステロール上限値を撤廃しています。
つまり、毎日2個、3個、卵を食べていても必ずしもコレステロール値が高くなるとは限らないのです。ただし、これも体質によって異なります。
厚生労働省では、1~2か月、鶏卵や魚卵をやめてみて、コレステロール値が下がるようだったら、コレステロール制限が効果的な体質だと発表しています。
国の指針からコレステロール値の上限が撤廃されたといっても、コレステロールをいくら摂ってもいいということではありません。
現在では卵を食べることが必ずしも成人病に直結するわけではないことはわかっていますが、やはりコレステロールや体重が気になっている人は、1日1個を目安に、あまり食べすぎないようにしましょう。
栄養豊富な卵。上手に食卓に取り入れよう!
おいしくて安く、栄養価も高い卵。体に必要な栄養素もたくさん含まれていることがわかりました。コレステロールが高いという先入観にまどわされず、調理方法や摂り方に気を付けながら、健康に役立てていきたいですね。
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まとめ/吉田直子、暮らしニスタ編集部
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