牡蠣にあたる確率と時期
牡蠣は、「一定の確率であたる」と表現されることがあります。
実際のところ、1個であたる人もいれば、15個食べてもあたらない人もいて、どれくらいの確率であたるのははっきりしていないようです。
時期については、牡蠣にあたる原因でダントツ1位の「ノロウイルス」に注目して考えてみましょう。ノロウイルスは10月~4月にかけて発生が集中。とくに12月から翌年1月がピークになる傾向があります。
牡蠣の性質上でも、冬に水温が低くなると、ウイルスを吐き出す力が弱くなり、体内にウイルスを残しやすくなってしまうのだとか。寒い季節はとくに注意が必要ですね。
牡蠣は一度あたるとあたりやすくなる?
「牡蠣に一度あたって、そのあと2度も3度もあたってしまった!」という人が、なかにはいるかもしれません。では、牡蠣は一度あたると、あたりやすくなるのでしょうか?
その答えは「ちょっと違うかも…」というところ。
実は、牡蠣に何度もあたる経験をした人は、「牡蠣アレルギー」である可能性が大。牡蠣アレルギーであれば、生はもちろん、加熱調理したものであっても、牡蠣を食べるたびに「あたる」ことになるんです。
逆に、アレルギーではなく、ノロウイルスなどの原因で牡蠣にあたったなら、どうでしょう。この場合は、「次もあたりやすくなる」ということにならないので、必要以上に牡蠣を敬遠することはありません。
ただし、ノロウイルスにかかった経験があれば、「免疫ができて、もう一生かからないの?」と言うと、こちらも残念ながら答えはNO。
ノロウイルスの型はいくつもの型があるので、1つの型についての免疫ができても他の型に対しては効かないため、何度でもかかってしまうことがあります。
牡蠣にあたった時の治療法
もし、牡蠣にあたってしまったら…。あたる原因によって治療方法が変わってきます。原因がはっきりしないときは、まずは病院で診断を受けるとよいでしょう。
原因がノロウイルスの場合、ウイルスをやっつけるのに直接効く薬などは今のところ、ありません。しかし、健康な人であればそれほど重症にはならず、症状は1~3日で症状が治まるもの。その期間に落ち着いて、対処療法を行なっていきましょう。
具体的には、水分補給をして脱水症を防ぐよう心がけます。
とくに子どもやお年寄りなどにとって脱水は大敵!様子をみながら、水分と栄養の補給をしっかりサポートしてあげるようにしましょう。脱水症状がひどい場合は、病院で点滴を打つことも検討します。
抗生物質は、下痢を長引かせることがあるので通常は処方されません。吐き気を抑える薬や整腸剤などが使われることはあります。下痢をとめる薬は逆に病気の回復を遅らせることがあり、市販の常備薬などが自宅にあったとしても、使わないのがおすすめです。
また、ノロウイルスは感染力の強い病気です。もし、同居している家族がノロウイルスに感染しているとわかったら、手洗いや消毒をこまめにするなど、感染拡大を防ぐための対策をしっかりとりましょう。
牡蠣を安全に食べる方法
最後に、牡蠣を安全に食べるために、大切なポイントをご紹介します。おいしい牡蠣グルメをこれからも満喫するために、参考にしてみてくださいね。
◎Point/生で食すなら「生食用」を
スーパーなどに行くと、牡蠣は「加熱用」と「生食用」が販売されていますよね。牡蠣を生で食べたいときは、必ず生食用のものを選びようにしましょう。
ただし、生食用であっても、食品衛生法上のルールにもとづいた基準をクリアしているだけ。そこに「牡蠣にあたる原因」1位のノロウイルスの基準は含まれておらず、「この牡蠣はノロウイルスがいないよ」と証明するものではないだとか。体調が悪く、抵抗力が落ちているときなどは、生食は控えるのがおすすめです。
◎Point/加熱処理をする
ノロウイルスや、腸炎ビブリオをやっつけるには、加熱処理が有効。85度以上で90秒以上、牡蠣の中心部まで加熱することでウイルスを死滅させることができます。牡蠣フライや牡蠣鍋、炊き込みご飯、スープなど、加熱して作る料理でおいしく安全に牡蠣を楽しみましょう♪
ただし、牡蠣アレルギーや貝毒の場合は、残念ながら、加熱による処理は効果が期待できないようです。
◎Point/採れた海域で選ぶ
どうしても生で牡蠣を食べたい!というときは、実は、鮮度よりも採取地が安全面では大事なポイント。
牡蠣がどんな海、どんなエリアで採られたのかを気にしてみましょう。汚水がたくさん流れ込むような近海や、人口の多い地の海域では、海水のなかにウイルス量が多くなります。
なるべく汚水の少ない海で採られた牡蠣なら、ノロウイルスにあたる確率が低くなります。
◎Point/時期で選ぶ
前の章でお話ししたように、寒い時期は牡蠣がウイルスを吐き出す力が弱まります。冬の牡蠣は生で食すには注意が必要かも?!
「牡蠣は冬が旬」というイメージがありますが、牡蠣には種類がいろいろあって、イワガキのような夏が旬の牡蠣もあります。生で牡蠣を味わいたいときは、暖かい季節が旬の牡蠣に注目してみるのもよいかもしれません。
◎Point/あたらない牡蠣が登場?
今は生で食べてもあたらない牡蠣を目指した養殖方法の研究が進んでいます。例えば、ノロウイルスの影響を受けにくい海水を使い、陸上で養殖される広島のブランド牡蠣「オイスターぼんぼん」など。
こうした方法で育てられた牡蠣なら、ノロウイルスが原因で牡蠣にあたる確率はかなり減らせるかもしれませんね。生ガキを食べたい人は、チェックしてみてはいかがでしょうか。
まとめ
牡蠣にあたるのは避けたいけれど、おいしい牡蠣グルメは諦めたくないですよね!
安全に食べる方法がいくつかあることがわかりましたし、これなら、牡蠣に「あたる」確率をぐっと下げることができそうです。おいしい牡蠣を食べるために、ぜひ試してみてくださいね。
文/北浦芙三子
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