ひとくちに住宅ローンといっても、金融機関にはさまざまな特徴をもつ商品があります。ライフスタイルに合わせて賢く住宅ローンを選ぶことが、満足度の高い住宅購入の決め手! 「そもそも住宅ローンって何?」という素朴な疑問から、借りる前に知っておきたいことまで、失敗しない選び方のコツをご紹介します。
そもそも住宅ローンって何?住宅ローンの基礎知識をおさらい
住宅ローンとは、自分が住むための住宅を取得するときに借りられるローンです。家は数千万円もの大きな買い物。よほどの資産家でない限り、金融機関からお金を借りる必要があるでしょう。このときに借りるのが「住宅ローン」です。自分が住むための住宅に利用するのが原則で、賃貸物件、セカンドハウスの購入のために借りることができません。
以前は、住宅ローンといえば、住宅金融公庫による「公庫融資」が中心でしたが、現在では公庫融資は廃止。銀行や信用金庫、信用組合、JAなど、民間の金融機関で借りるローンが主流になりました。公庫融資に代わる住宅ローンとして、住宅金融支援機構と民間の金融機関が共同で提供する「フラット35」も人気です。また、勤務先の財形制度を利用しているなら、「財形住宅融資」も利用可能。自治体によっては、住民を対象に「自治体融資」を実施しているところもあります。
住宅ローン選びの最大のポイント、「金利」の種類をチェック!
住宅ローンを選ぶときには、返済にかかる利息、金利の存在を無視することはできません。0.1%の金利の差でも、総額として数百万円の違いとなることがあるからです。
住宅ローンの金利は、「固定金利」と「変動金利」、「固定期間選択型」の3種に分類されます。
固定金利は、借りた当初の金利が完済まで続くタイプ。将来、金利が上昇しても、ローン金利は上がらないのが大きなメリットです。最大35年もの長期にわたって返済を続けていく住宅ローンでは、金利変動のリスクも大きいもの。固定金利型ならば、その金利リスクを背負わなくてすむ、という点が安心です。ただ、変動金利に比べると金利は高くなることが多く、また市場金利が下がったときにもその恩恵を受けられない、というデメリットもあります。
変動金利は、市場金利にあわせて金利の見直しが行われるタイプ。固定金利と比べると2倍近く金利が安いことも多く、もし将来的にも金利が変動しなければ、固定金利よりも格段にお得です。ただし、20〜30年の長期にわたって現在の金利が続く保証はなく、将来の金利変動によっては返済総額が跳ね上がる可能性も。そのリスクは決して小さくはありません。
固定期間選択型は、3年、5年、10年など一定の期間を定め、その間は金利を固定するタイプ。固定期間が終了したあとは、その先を固定金利にするか、変動金利にするかを選択することができます。
※金利の詳細記事はこちら
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また、最近は、固定金利と変動金利を合わせたハイブリッド型の住宅ローンも登場。住宅ローンのうちの半額は固定金利を利用し、残りの半額は変動金利を利用する、といった方式です。これにより、金利上昇のリスクをおさえながら、金利の安い変動金利を利用できる、というものです。
住宅ローンの金利を比較!賢い選び方とは?
金利が低ければ低いほど、返済総額もおさえることができます。たとえば、ローン総額が2500万円の場合、金利が1.5%と2.0%では、支払う利息の差は約169万円にも!(返済期間35年の場合)。一見、小さい数字ですが、返済総額では大差につながるので慎重に検討したいところです。
(例)
2500万円を借りた場合、金利差で総返済額はどう変わる?
金利/返済期間 20年 30年
1.0% 2753万円 2895万円
1.5% 2895万円 3106万円
2.0% 3035万円 3327万円
2.5% 3194万円 3556万円
※毎月返済のみで、返済中ずっと金利が変わらない場合の試算。
借りたい金利タイプが決まったら、どんな商品があるか、いろいろな金融機関のホームページなどをチェックしましょう。
また、一般に提示している住宅ローン金利とは別に、優遇金利を設けている金融機関もあります。給料振込み口座がある、ネットバンキングを利用している、クレジットカードを持っているなど、各金融機関の条件にあてはまれば適用されます。住宅ローン申請時に口座を開くだけで適用される場合もあるので、自分が利用している銀行だけでなく、ほかの金融機関の情報も調べてみましょう。
どんな商品がある?住宅ローン商品の種類を知りたい!
住宅ローンは、銀行などが扱う民間ローン、財形制度や自治体の公的ローン、その中間に位置する「フラット35」の3つの種類に分けられます。
もっとも多く利用されているのは民間ローンですが、公的ローンやフラット35にもメリットがあります。いろいろな住宅ローンを比較し、我が家にあった商品を選びましょう。
詳しくは以下の記事も参考にしてください。
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住宅ローンの諸経費の内訳
住宅ローンを比較する際の比較ポイントは、金利だけではありません。保証料、事務手数料などの諸経費も大切なチェックポイントです。借入額が大きいほど諸経費の額も大きくなります。住宅ローンに組み込んで借りることも可能ですが、返済負担を増やさないためにも現金で用意しておくのが望ましいでしょう。
それでは、具体的に、住宅ローンを組んだときにかかる諸経費をこまかく見ていきましょう。
保証料
住宅ローンを借りるために保証会社の保証が必要となる場合、「保証料」が発生します。金額は、借入額と返済期間で決まり、金融機関によって変わります。保証料を支払うことで、融資を受けた人が返済できなくなったときに、保証会社が肩代わりして銀行に完済してくれます。ただ、その後は保証会社に対して返済していく義務があるため、借金がなくなるわけではありません。
融資手数料
住宅ローンを組むとき、金融機関に支払う手数料です。金額は金融機関によって、3万~10万円、または融資額の2.16%(1000万円の場合で21万6000円)など。
抵当権設定登記料
融資の抵当権を設定するための費用。登録免許税(借入額の0.1~0.4%など)、登記にかかる実費6~10万円、司法書士に支払う手数料が含まれます。
印紙代
住宅ローン契約書に添付する印紙代です。借入額が1000万円超5000万円以下の場合で、2万円。
団体信用保険料
融資を受けた人が亡くなったり、高度障害でローンを返済できなくなった場合、残りのローンを支払うための保険。保険料は、借入額と返済期間で決まり、住宅ローンの返済額に上乗せされるのが一般的です。金融機関によっては、無料のところもあります。
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住宅ローン選びの比較チェックポイントは?
最も大切なポイントはなんといっても金利!
ただ、同じ金利であっても、保証料、事務手数料によってトータルの支払額は変わります。場合によっては一見金利が低くてお得に見える商品が、事務手数料を含めて考えると他の金利が高い商品よりもトータルで高くなる、といったこともありえます。
住宅ローンを比較するときには、金利、保証料、事務手数料の3つにポイントをおいて、総合的に検討することが大切です。
住宅ローン選び方とポイントはこちら
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住宅ローンの審査の流れと知っておきたい注意点
住宅ローンを組むときには、融資先の金融機関の審査を受ける必要があります。
審査の内容や必要な書類は、金融機関によってまちまち。審査に時間がかかることもあるので、早め早めの準備が肝心です。融資の実施が土地代、建設費用の支払いに間に合うように、余裕をもってスケジュールをたてましょう。
審査は2段階。「事前審査(仮審査)」で年齢、年収、勤務先の業績、返済中のローンや過去のローンで延滞、滞納をしていないかなどを審査します。
OKが出たら「本審査」へ。土地の売買契約、建築会社との建築請負契約を結んだ上で、最終的に受ける審査です。
仮審査が通っても、本審査が通らないこともあります。土地の売買契約、建築会社の建築請負契約を結ぶときには、必ず契約書に「ローン特約」がついていることを確認しましょう。ローン特約があれば、審査に通らなかったとき、契約を白紙に戻すことができます。
詳しい審査の流れは、こちら
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住宅ローンの返済をシミュレーション!自分の条件で試算をして
住宅ローンの契約時には、保証料や融資手数料などが必要に。金額の設定、支払い方法は、金融機関ごとに異なります。総額でいくら必要になるか、自分の条件に当てはめて比較してみましょう。
ほとんどの金融機関では、ホームページで資金のシミュレーションができます。借り先の候補が絞られてきたら、その金融機関のサイトで借りたい額、返済期間などをあてはめて返済総額を試算してみましょう。変動金利型、固定金利選択型を選ぶ場合も、まずはイメージをつかむために長期固定金利でシミュレーションをするのがおすすめです。
住宅ローンの返済方法は?無理のない返し方を知りたい!
住宅ローンを組むときに最も大切なのは「金融機関から借りられる額」ではなく、「自分が安心して返せる額」です。今の住居費などから、毎月確実に返していける金額を割り出しましょう。借りていい住宅ローンの金額がわかります。
住居費にあてられるお金は、「現在、家賃として払っている金額」に「住宅資金用に貯蓄している額」を加えた金額から計算します。ただし、貯蓄には、子どもの教育費、家族旅行、車の買い替えなどに回す分もあるはずです。住居費にあてる金額は、その分を差し引いて考えましょう。
月々の住居費(現在の家賃など) 現在の年間貯蓄額から
×12ヵ月 住居費に回せる金額
年間( )万円 + 年間( )万円 =( )万円…A
家を購入すると、固定資産税がかかります。また、将来、メンテナンスのための外壁塗装なども必要になります。こうした維持費を先ほど算出した「A」から差し引いた額が、ムリなく返せる住宅ローンの返済額です。
ちなみに、戸建の場合、固定資産税の目安は、年間15〜20万程度です。
安心して返せる
Aの金額 住宅の維持費 住宅ローンの年間返済額
( )万円 - ( )万円 = ( )万円…B
B(年間返済額)を12で割れば、毎月の返済額が計算できます。その金額をもとに、下の表でムリなく返せる住宅ローンの額の目安を出してみましょう。
[例]
毎月の返済額から割り出した
借り入れ可能額早見表(金利2%の場合)
毎月の返済額/返済期間
20年 25年 30年 35年
70,000 1383万円 1651万円 1893万円 2113万円
75,000 1482万円 1769万円 2029万円 2264万円
80,000 1581万円 1887万円 2164万円 2414万円
85,000 1680万円 2005万円 2299万円 2565万円
90,000 1779万円 2123万円 2434万円 2716万円
95,000 1877万円 2241万円 2570万円 2867万円
100,000 1976万円 2259万円 2705万円 3018万円
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住宅ローンの返済期間はどう決める?返済総額にも影響する重要ポイント!
住宅ローンが老後の負担にならないように、返済は定年までに終わらせるのがセオリーです。ローンの開始年齢から、定年退職までの年数を計算しましょう。定年後も働き続けるつもりであっても、収入が不安定になることを想定して、あてにしない計画をたてたほうが安心です。定年よりも早く返し終わりたい人は、完済したい年齢で計算しましょう。
定年の年齢 返済開始の年齢 返済期間
または返し終わりたい年齢
( )歳 - ( )歳 = ( )年…C
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住宅ローンで控除が受けられる?知っておきたい制度をチェック!
住宅ローンを利用して住宅を購入、または新築増改築した場合、一定の要件を満たせば「住宅ローン控除(住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除)」という制度が受けられます。税金が一定額戻ってくるもので、「住宅ローン減税」とも呼ばれています。
実際に控除される税額は、「年末時点までのローン残高の1%」で、所得税から差し引かれます。ローン残高が2000万円なら、戻る税金は20万円です。上限額は2019年6月末までは年40万円。控除を受けられる期間は最長で10年間です。
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住宅ローンの借り換えで返済額が減らせるって本当?
住宅ローンを借りたあと、より低い金利の住宅ローンに組み直すのが借り換えです。金利が低くなる分、返済額を減らせるのがメリットです。
借り換えの仕組みは、低金利のローンを組んで高金利のローンを完済する、というもの。保証料や抵当権の設定費用など、諸費用が新たに必要になります。現在のローンと新たなローンの金利差が少ないと、諸費用で相殺されてしまうこともあるので、よく検討することが大切です。
一般に借り換えが有利となるのは、①残債が1000万円以上、②返済期間の残りが10年以上、③いまの金利と借り換え先の金利差が大きい、の3つがそろった場合です。
ほとんどの金融機関のホームページで、借り換えのシミュレーションができます。諸経費も含め、トータルでどれだけ返済額が減らせるかがわかるので、さまざまな金融機関で効果をシミュレーションしてみましょう。
借り換えの効果が薄い場合、いま住宅ローンを組んでいる金融機関で、金利引き下げの交渉をするのも一つの方法です。
原則として、すでに住宅ローンを借りている人が同じ銀行で低利の住宅ローンに借り換えはできません。でも、金融機関側にすれば、住宅ローンを組んでいる人が他行に借り換えるのは痛手。本気で他行への借り換えを検討していることがわかれば、場合によっては金利の引き下げ交渉に応じてくれることも。同じ銀行で、いまのローンより低利のローン商品が出ていたら、トライしてみてもいいでしょう。
住宅ローンに関わる用語をおさらい!
住宅ローンを検討するときには、これまで耳慣れない用語がたくさん出てきます。不動産業者、金融機関の担当者とスムーズに話を進めるためにも、「住宅ローン用語」を覚えておくと安心です。
【金利】住宅ローンの借り入れ金額に応じてかかる利息の割合。「固定金利型」「変動金利型」「固定期間選択型」の大きく3種に分けられる。
【保証料】住宅ローンの返済中に返済が滞った場合に備え、保証会社に支払うもの。保証料は、借入額と返済期間で決まる。
【審査】年齢、年収、勤続年数などが考慮され、融資可能かの審査がある。審査基準は金融機関によって異なる。
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まとめ
納得できる住宅ローンを選ぶために
金利、諸経費、返済期間をじっくり検討!
家は一生で一番の大きな買い物! 目先の数字だけにまどわされず、トータルでいくら必要になるのか、返済期間に無理はないか、住宅ローン以外に教育費、旅行費などの出費にも対応できるか、余裕をもった計画を立てることが大切です。さまざまな商品を比較検討し、納得のできる選択をしましょう!
★おしゃれな注文住宅を建てたい方はこちら
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