家はあまりにも大きな買い物なので、資金計画をどう立てたらいいのか迷ってしまう人も多いはず。安心して返せる住宅ローンを組むために、まずは次のことをしっかり頭に入れておきましょう。
資金計画の流れを知る
家は一生のうちで最も高額な買い物のひとつ。どのようにお金をため、ローンを組むかによって、今後の生活に大きな影響を与えることもあります。次のプロセスに沿って、じっくりと検討しながら進めてください。
1. 頭金を貯める
自己資金はできるだけ多く用意しておきたいもの。コツコツと着実にためていきましょう(「家づくりの際に頭金(自己資金)を貯める方法」も参考に)。
2. 住宅ローンを選ぶ
さまざまな住宅ローンが登場しています。選び方ひとつで返済額に大きな差が出るので、それぞれの違いや特徴をしっかり見極めてください(「住宅ローンの種類(商品)とそれぞれの特徴」も参考に)。
3. 諸費用に備える
家を買うと、税金や諸費用もかかります。支払いを待ってもらえないことも多いので、あらかじめ準備しておきましょう(「建築費だけじゃない!家づくりにかかる諸経費一覧」も参考に)。
4. 住宅ローン控除を受ける
住宅ローン返済が始まると、税金の控除が受けられます。ローンの組み方で控除額に差が出ることもあるので、制度について今から知っておきましょう(「家を買うなら減税制度の住宅ローン控除を受けよう」も参考に)。
家づくりにかかる金額を確かめる
たとえば2000万円の物件が欲しいと思った場合、ぴったり2000万円だけそろえても、残念ながらお目当ての物件を購入することはできません。家を買うときには物件価格のほかに、さまざまな諸費用がかかるのです。
一般に諸費用を合計すると、物件価格の約1割になるとされています。2000万円の物件なら、200万円が目安です。
つまり合計で約2200万円。これが家づくりにかかる金額です。そしてこの金額を、自己資金と住宅ローン金額で準備します。
ローンを借りる前にライフプランを考える
家づくりは大きな目標ですが、決してゴールではありません。そこから新しい生活がスタートします。
もしも住宅ローンの負担があまりにも大きいと、新居での暮らしを楽しめないということにもなりかねません。 家に長く快適に暮らすためにも、返済計画は慎重に立てましょう。
特に考慮しなければならないのが、将来のライフイベントです。出産、車の買い替え、教育費、介護費用、自分の老後資金などなど。子どもが生まれたあとは、共働きの妻が退職して収入が減る可能性も考えられます。
ライフプラン表(Aさん家族の場合)
上の表はその一例です。大きな出費が予想される時期と、だいたいの金額を一覧にします。
次に、そのお金を用意するためには、毎年いくらずつ貯めていけばいいのか、割り算をして書き入れます。つまり「わが家のライフイベント貯蓄表」というわけです。
これをつくると、将来住宅ローン返済に回せる金額が、年ごとに具体的に見えてきます。月々の返済はいくらくらいが適当か、繰り上げ返済をできる可能性はあるのか、返済はいつまでに終わらせれば老後資金などに影響しないで済むかなどを予想しやすくなるのです。
返済できる住宅ローン金額を計算する
住宅ローンを組むときに最も大切なのは、「いくらなら安心して返せるか」です。月々確実に返済できる金額を出して、それに住宅購入用の自己資金(頭金)をプラスした合計が、無理なく購入できる物件価格です。
1.将来の住居費にあてられる金額を出す
今の家計から、将来ローン返済にあてられる年間の金額を計算します。基本は「現在家賃として払っている費用」+「住宅資金用に貯蓄している金額」ですが、将来の教育費のことなども考慮に入れましょう。
現在の住居費(家賃等)年間( )万円
+
現在の年間貯蓄額のうち住居費に回せる金額・年間( )万円
‖
( 〈A〉 )万円
2.住宅の維持費を差し引く
住宅の維持費(固定資産税など)を、1で計算した金額〈A〉から差し引きます。一戸建ての場合は、年間で15〜20万が目安。
( 〈A〉 )万円-住宅の維持費・年間( )万円
‖
( 〈B〉 )万円
3.住宅ローンを返済できる期間を出す
住宅ローンは定年までに完済するのが原則です。最長で何年間借りられるかを 計算しますが、それよりも早く返したい人は、その年数を〈C〉にします。
定年の年齢( )歳-返済開始時期の年齢( )歳
‖
( 〈C〉 )年
4.金利別の借り入れ可能額をチェックする
下の表は、年間返済額100万円あたりの借り入れ可能額です。利用すると住宅ローンの金利と、自分の返済額〈C〉の交差するところを探します。
年間返済額100万円あたりの借り入れ可能額早見表 (単位:万円)
金利 |
20年 |
25年 |
30年 |
35年 |
2.1% |
1631 |
1943 |
2224 |
2477 |
2.2% |
1616 |
1921 |
2194 |
2439 |
2.3% |
1601 |
1899 |
2165 |
2402 |
2.4% |
1587 |
1878 |
2137 |
2366 |
2.5% |
1572 |
1857 |
2109 |
2331 |
2.6% |
1558 |
1836 |
2081 |
2296 |
2.7% |
1544 |
1816 |
2054 |
2262 |
2.8% |
1530 |
1796 |
2028 |
2229 |
2.9% |
1516 |
1776 |
2002 |
2197 |
例えば、〈C〉が25年で、金利2.5%のローンを利用する場合、交差する数字は1857万円です。
5.返済可能額を計算する
4の表の金額は、年間返済金額100万円あたりの借り入れ可能額なので、自分の年間返済可能額〈B〉を100万円で割った数字を、表の金額にかけます。
④の金額( )万円×{〈B〉( )万円÷100万円}
‖
( 〈D〉 )万円
ここで出た〈D〉の金額が安心して返せる住宅ローンの借り入れ金額です。
住宅ローンの借り入れ額は少なくする
当たり前のようですが、借り入れ額が少ないほど住宅ローン返済はラクです。まずは頭金をしっかり貯めて、住宅ローンを組む全額をできるだけ少なくしましょう。
親からの資金援助が期待できるなら、この機会に。自己資金が増えるだけでなく、「相続時精算課税制度」などを利用すれば節税になる可能性もあります(「家づくりで親から頭金の援助を賢く受ける方法」も参考にしてください)。
最近は、頭金なしで多額の住宅ローンを組める場合もありますが、むやみに借りるとあとで返済に苦しむことになります。「貸してもらえる額」ではなく、「返せる額」を借りるのが、安全な資金計画の基本です。
住宅ローンの返済期間は短くする
長期の固定金利で借りられる商品が増えてきました。このタイプは、ローン期間を長く設定すると月々の返済額が低くなります。
その分、家計もラクになり、助かるように思えるのですが、長期の借金はそれだけ長い間利息を払い続けるということ。総返済額で比べると、短期のローンのほうがトクなのです。
インフレで物価が上昇し続けていた時期には、時間がたつほど借金の価値が下がったので、長期でローンを組んだほうが有利とされていましたが、現在はこの考え方は通用しません。
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