「いざマイホーム購入へ!」と動き出した人の前に立ちはだかるのが、住宅ローンの商品種類。さまざまな金融機関から多くの商品が出ているため、何を基準に選んだらいいのか、頭を抱えてしまう人も多いでしょう。住宅ローンの種類、それぞれの特徴を知って、自分に合った商品を見極めましょう。
住宅ローンの3つの種類をチェック!
かつては住宅ローンといえば、住宅金融公庫による「公庫融資」が圧倒的シェアを誇っていました。しかし、住宅金融公庫は行政改革の一環で廃止に。現在は、民間ローン、公的ローン、その中間的存在の「フラット35」の3種が主流となっています。それぞれの特徴を見ていきましょう。
民間ローンとは?
銀行や信用金庫、JAなど、民間の金融機関が貸し出すもの。バラエティに富んだ商品がそろっているのが特徴で、融資手数料、保証料なども各金融機関によって異なります。
どの金融機関でも、申し込み時に一定の審査があります。審査の方法は金融機関によって異なり、収入が安定していなかったり、多額の借金があったりすると融資を受けられないことも。
公的ローンとは?
公的ローンには「財形住宅融資」と「自治体融資」があります。以前は公的ローンが住宅ローンの主役でしたが、民間ローンに魅力的な商品が増えた最近は、利用者はあまり多くありません。
「フラット35」とは?
民間ローンと公的ローンをミックスしたような住宅ローンです。銀行など民間の金融機関で扱っていますが、ここはあくまでも窓口。実際のローン債権は住宅金融支援機構が買い取る仕組みです。
住宅ローンの商品を比較!
金融機関ごとの特徴をおさえよう
まずは、多くの人が選択する「民間ローン」を比較! 銀行以外でも、条件にあてはまれば有利な融資が受けられるものがあるので幅広くチェックして。
銀行ローンは「固定金利選択型」が中心
民間ローンの代表的なものが、銀行が提供する住宅ローンです。以前は、どの銀行も同じ金利、同じサービスのローンを扱っていましたが、今は金利だけでなく、保証料を無料にするなど、サービスにも違いが生まれています。とくにネット銀行では、1円から繰り上げ返済ができたり、特徴のある団体信用保険が用意されていたりと、ユニークな住宅ローン商品が数多く見られます。
銀行の住宅ローン商品は、金利が一定期間固定される「固定金利選択型」が中心です。固定期間が終わったあとは、申し出をしないと自動的に変動金利になるので注意しましょう。
★金利の種類についてはこちら
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また一方で、20年など長期のローンを比較的低い金利で提供する銀行も増えています。
期間を区切って優遇金利キャンペーンを行ったり、給与振込口座があるなど、取引が多い利用者に優遇金利を適用する銀行も。検討する際は、ネット銀行も含め、多くの銀行の金利やサービス内容を比較しましょう。
信用金庫・信用組合のローンには独自の低金利商品も!
信用金庫・信用組合でも、銀行と同じようにさまざまな住宅ローンを扱っています。
なかには、独自の低金利で住宅ローンを提供しているところも。ほとんどの場合、利用できる地域、職業が限定されています。条件を確認してみましょう。
JAでは組合員向けの住宅ローンを提供
JA(農業共同組合)でも、住宅ローンを扱っています。全国共通の住宅ローンのほか、各JAによる独自の住宅ローンも。JA組合員向けの商品ですが、農業従事者以外でも、組合費を納めて組合員になっている、クレジットカードを利用している、JAバンクに給与振込口座がある、などの条件があえば利用できます。
ろうきんの住宅ローンにも魅力的商品が!
各地のろうきん(労働金庫)が提供する住宅ローンは、金利が比較的有利なものが多いのが特徴。繰上げ返済手数料が無料など、魅力的な商品もあります。各ろうきんが管轄する地域に住む人なら、会員でなくても利用できます。また、団体会員(ろうきんに出資している団体に所属している人)の場合は、保証料無料など優遇措置が受けられるところも。
生命保険会社の住宅ローンもチェック!
生命保険会社のなかにも、わずかですが住宅ローンを扱っているところがあります。保険の加入者でなくても利用できます。
公的ローンのメリットは?2つの種類をしっかり比較!
続いて、公的ローンの特徴を見ていきましょう。
財形住宅融資は短期で返済する人向き
住宅金融支援機構が、財形貯蓄をしている勤労者にむけて提供する公的住宅ローンです。特徴は、5年ごとに金利が見直される「5年間固定金利制」であること。金利は比較的低いものの、5年ごとに変わるため、今後上がる可能性もあります。短期で利用するならおすすめですが、長期のローンには向きません。
利用の条件は①住宅財形貯蓄、財形年金貯蓄、一般財形貯蓄のいずれかを1年以上継続している、②申し込み前の2年以内に預け入れを行った、③申し込み時に財形貯蓄残高が50万円以上ある、の3つをすべて満たすことです。
自治体融資は、利子補給制度にも注目!
各自治体で設けている住宅ローンです(自治体によってはないところも)。
融資の方法は2つあります。1つは自治体が直接融資をするもの。条件は自治体によって異なり、物件や借入限度額に制限があるのが一般的です。もう1つは、所定の金融機関で住宅ローンを借りると、その利子分を一定期間補助する「利子補給制度」です。条件を満たせば「フラット35」の利子補給を行っている自治体も。フラット35を利用する人は必ずチェックしましょう。
利子補給制度は、住宅ローンの契約前に申し込まないと利用できない場合があります。住んでいる自治体に制度があるか、あるならどんな内容か、早めに調べておきましょう。
「フラット35」は長期の固定金利が魅力!
「フラット35」が銀行などのローンと大きく違っているのは、最長35年まで長期の固定金利で借りられることです。金利や借入手数料は扱う金融機関で異なるため、取り扱い金融機関の金利一覧などを見て比較してみましょう。物件価格の1割以上頭金を入れたり、返済期間が20年以下の「フラット20」だと、さらに金利は低くなります。
ただし、民間ローンに比べて、物件に対する審査は厳しく、耐久性などが住宅金融支援機構による技術基準をクリアしていないと利用できません。一方で人に対する条件は、比較的ゆるやか。収入が安定しないなどの理由で銀行ローンの審査に通りにくい人でも、「フラット35」なら利用できることがあります。
フラット35の特徴
使途 |
本人または家族が住む新築・中古住宅の建設・購入資金 |
金利のタイプ |
長期固定金利型(最長35年) |
借入額 |
100万円以上8000万円以下(1万円単位) |
融資手数料 |
金融機関により異なる |
保証料 |
無料 |
繰り上げ返済手数料 |
無料 |
繰り上げ返済の額 |
100万円から(ネット経由なら10万円から) |
団体信用保険 |
保険料は月々の返済に含まれる |
保証人 |
不要 |
融資条件 |
一戸建の場合、床面積が70㎡以上 住宅の耐久性などについて、住宅金融支援機構が定めた技術水準に達していること 申込時の年齢が70歳以下 など |
住宅ローンの賢い選び方
どんな住宅ローンを選ぶべきかは、家族構成や年齢、ライフスタイルによって変わってきます。ただ、さまざまな特徴を持つ商品があるとはいえ、住宅ローン商品の基本的仕組みはほとんど同じ。金利タイプ、返済方法、返済期間を決めたら、それに合う商品のなかから金利や諸経費を比較して選びましょう。
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住宅ローンの見直しと借り換えはしないと損?
多くの住宅ローンの返済期間は最長35年ですが、安心して返していくためにはローンの返済を定年退職までに終わらせることが理想。定年後もローンが残る場合は、返済期間を短縮するなど、ローンの見直しが必要に。住宅ローンを見直すことで、大きな節約効果も期待できます。そのひとつの手法が、住宅ローンの借り換えです。
ほかの金融機関から金利の低い住宅ローンを借りて、今借りている住宅ローンを一括返済。新しく借りた住宅ローンを返済していく。これが住宅ローンの借り換えの仕組みです。
一般的には①金利差が1%以上ある、②返済期間が10年以上残っている、③借入残高が1000万円以上ある、の3つが住宅ローンの借り換えの目安といわれています。ただ、金利差が1%なくても、返済期間が30年、借入残高が3,000万円など、ほかの条件が突出している場合は、借り換えの効果が期待できます。
借り換えの際には、新たに保証料や抵当権の設定費用などが発生します。金利が下がって返済額が減る分と、新たにかかる諸費用とを計算し、借り換えが本当に効果的かどうかを検討しましょう。最近は、保証料無料の金融機関も登場しています。
住宅ローンのプラン選びはチェックポイントを明確にするのが大切!
さまざまな金融機関が数多くの住宅ローン商品を提供していて、気が遠くなるような思いをしている人も多いかもしれません。でも、ポイントをしっかりおさえれば、自分にぴったり合った住宅ローンを探すことはそう難しいことではありません。
注意しなければならないのは、不動産会社や金融機関の言うがままに決めてしてしまうこと。人気商品だからといって、自分に合うプランだとは限らないからです。住宅ローンを検討するときには、将来に予想される教育費用、収入と返済金額のバランス、ライフスタイルなどを洗い出した上で、金利のタイプ、返済方法、返済期間を決めていくことが大切です。
こうした諸条件を明確にできれば、あとは条件に合うプランをピックアップし、比較・検討していくステージへ。住宅ローン選び成功へ、ぐんと近づくことができます。
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