平屋を建てる際には、平屋ならではのプランニングがあります。複層階の物件とは何が違ってくるのか、平屋建築の注意点があることを知っておきましょう。
平屋の通風と採光
新築で平屋を建てるときは、通風と採光のことをしっかり考えましょう。
日本の風は、季節にもよりますが、主に南北に吹きます。通風のための開口部は、ぜひ南北にとりましょう。南北に開口したとき、東西に開口したときを比べると、風通しは全然違うのです。24時間換気システムなどもありますが、自然の風の気持ちよさにはかないません。壁を多くしすぎて、風の通り道を塞いでしまわない間取り作りも重要です。
また、光が入らず昼間から電灯をつけなければいけない家も残念なものです。平屋の場合は特に床面積が大きくなるため、建物の中央部に光が届きにくくなります。家の中に光を取り入れるためには、トップライト(天窓)やハイサイドライト(高窓)など窓の形状で工夫する、光庭(※光庭…建物内に自然光を取り込むためのスペース)を作るなどの方法があります。予算があれば、中庭を作ってくつろぎの空間にし、第2のリビングとして使うなどの方法もとれます。
平屋は高コスト?
新築で平屋を建てたいと思いながら、諦めて複層階の建物にする場合、その多くはコストの問題です。
平屋は2階建てや3階建てと違い、必要な広さを縦に重ねず、横方向にとるわけなので、基礎工事の必要な部分が広くなります。基礎工事は工事の中でも高額なので、その分建築費用がかかります。同じ理由で屋根も広くなり、屋根材を多く使うことになります。「平屋は高い」と言われるのはこういうわけです。
ただ、生活動線をしっかり考えてコンパクトな間取りを作るなどの工夫で、床面積としては小さくても満足できる家になることはあり得ます。
平屋の屋根断熱
新築で平屋を建てるなら、屋根の断熱に気を配りましょう。外部の熱が建物内に入ってくる経路のうち、15%は屋根からと言われます。平屋は屋根の面積も広くなるため、屋根部分の断熱が必須なのです。
断熱層は最低でも100mm以上、暑い地域などでは200mmを確保してもよいくらいです。また、断熱材には樹脂系と繊維系がありますが、しっかりした断熱性能を求める場合には、樹脂系のスタイロフォームを使用するのがおすすめです。担当の設計士とよく相談してください。
平屋の防犯対策
新築で平屋を建てる場合、もうひとつ気をつけてほしいのが防犯対策です。平屋は出入りがしやすく、災害などのときにもすぐに避難することができます。しかしそれは、外からも侵入しやすい家だということです。玄関、窓などの開口部が1階部分にたくさんありますので、防犯対策をしっかり行ないましょう。
防犯のためには、高い塀などで囲って死角を作らないこと、セキュリティカメラを設置し、それをステッカーなどで分かりやすく周囲に知らせておくことなどが大切です。
また、割れにくい防犯ガラスの設置もよいでしょう。防犯ガラスの割れにくさは、解体業者が気を重くするほどです。割れないわけではありませんが、割るためにとても時間がかかるため、防犯性能に優れています。
平屋でも守りたいプライバシーの確保方法
新築で平屋を建てるとき、気になるのがプライバシーの確保です。周囲の目線からプライベート空間を離すため、2階にリビングを置くなどの工夫が平屋ではできません。近隣の家や道路に接しておらず人の目が届かない面があればよいのですが、住宅密集地などではその条件もなかなか厳しいものです。
リビングなどを人の目に触れにくいところに配置するといった間取りの工夫で対応するほか、基礎を高く作るという方法もあります。何十センチか高くするだけで、隣家と窓の高さがずれたり、道を歩く人と目線がずれたりしてプライバシーが守りやすくなります。基礎を高くすると工事費も高くなるのですが、水害などのときに床下浸水しにくい、地面から湿気があがってきにくいなど、プライバシー確保以外の利点もあるので、検討してみるとよいでしょう。
まとめ
住みやすい、憧れの平屋。コストが高いほかにも、建てるときに気をつけるべき点がいくつかありました。どんな注意点があるかを知っておけば、設計の工夫によって解決できることも多くありそうです。設計士とよく話し合って、満足感の高い家づくりをしてください。
記事作成協力 UnirTechnica(ユニールテクニカ)株式会社
★おしゃれな注文住宅を建てたい方はこちら
★注文住宅のカタログを取り寄せたい方はこちら
あわせて読みたい記事はこちら
2017.08.04さあ、家づくりを始めよう。そう思ったとき、まず最初に迷うのが「どの業者に建ててもらうのか」それを決めるための1つの手段が「相見積もり」です。あなたの家づくりに最適なパートナーを選ぶために、複数の依頼先業者への相見積もりを行...続きを見る
2017.08.25 水に浮くコンクリートがあるのをご存じでしょうか? セメントの中にスポンジ状の気泡を作って軽量化したコンクリートがALC。コンクリートの丈夫さと軽さを兼ね備えた外壁材なのです。 ALCとは? ALCのAはAutoclave...続きを見る
2017.08.14平屋の間取りはどのように決めるとよいでしょうか。おすすめは、家事がスムーズにこなせるように動線をよく考えることです。家事動線を重視すると、無駄なスペースのない効率的な間取りを作ることができます。 平屋の間取りの動線設計の大...続きを見る
コメント
全て既読にする
コメントがあるとここに表示されます