すでに物件が完成しているマンションや建て売り住宅を購入するのと違って、これから家を建てる場合は住宅ローンの手順が煩雑になりがちです。
どんな審査を受け、どんな書類が必要か、また、土地の購入や家の建築の過程で手続きをどう進めればいいのか、知っておきたい情報を紹介します。
住宅ローンの手続きの流れ
住宅ローンを借りるときは、融資が受けられるかどうか、金融機関に審査を申し込まなければなりません。
最初に「事前審査(仮審査)」を受け、OKが出たら「本審査」に進みます。本審査に通ったら、「ローン契約」を結び、融資が実行されます。
事前審査(仮審査)って何?
事前審査は、家の売買契約を済ませたあとで「審査に通らなかったから残金を支払えない」ということがないように、あらかじめ金融機関で受けておく審査です。
審査の内容
年齢や年収が申込基準を満たしているかどうか
勤務先(自営業は事業)の業績はどうか
返済中のローンや過去のローンで、延滞を滞納をしていないかどうか
車ローンやキャッシング、消費者金融からの借入がないかどうか
など
必要な書類
本人確認書類(運転免許証、健康保険証、パスポートなど)
直近の年収がわかる書類(会社員は源泉徴収票、自営業は確定申告書など)
新築する物件の見積書、間取り図、土地の場合は販売チラシ
など
※金融機関によって異なります。
審査にかかる期間
早いところでは翌日、通常は2~3営業日~1週間程度で、結果が届きます。
事前審査の注意点について知りたい
土地の購入や新築を決めたら、早めに申し込む
事前審査に予想外の時間がかかったり、通らない場合もあります。
事前審査は特に「いつ受ける」という決まりはないので、家を建てると決めたら、早めに申し込んでおきましょう。
通らなかった場合は、複数の金融機関にトライする
事前審査に通らなかった場合は、別の金融機関でもトライしましょう。
一つの金融機関で通らなくても、別の金融機関でOKが出ることはよくあります。
複数の金融機関で試してみるといいでしょう。
「本審査」って何?
事前審査が通った後、土地の売買契約や建築会社と工事請負契約を結んだうえで、金融機関で最終的に受ける審査が「本審査」です。
事前審査より必要書類が多く、金融機関側のチェックも厳しくなります。
審査の内容
- 申込時の年齢(20歳以上が一般的)
- 定期的に安定した収入があるかどうか
- 完済時の年齢(80歳までが一般的)
- 勤続年数
- 年収(200~400万円以上が一般的)
- 自己資金がどれくらいあるか
- 勤務先(自営業は事業)の業績はどうか
- 安定した業種かどうか
- 返済中のローンや過去のローンで、延滞を滞納をしていないかどうか
- 車ローンやキャッシング、消費者金融からの借入がないかどうか
- 団体信用保険に加入できるかどうか(健康状態)
- 物件の評価額はどれくらいか など
-
必要な書類
- 本人確認書類(運転免許証、健康保険証、パスポートなど)
- 住民票
- 印鑑登録証明書
- 直近の年収がわかる書類(会社員は源泉徴収票、住民税課税決定通知書など、自営業は3年分の確定申告書、申告所得税納税照影書など)
- 勤続年数を確認できる書類(健康保険証など)
- 物件に関する書類(売買契約書、重要事項説明書、土地、建物の登記簿謄本、物件概要書、
- 公図、間取り図、測量図など) など
- ※金融機関によって異なります。
審査にかかる期間
1~2週間が一般的ですが、場合によっては3週間以上かかります。
ネット銀行のように郵送で書類をやりとりする場合は、時間がかかることがあるので注意しましょう。
本審査の注意点が知りたい
売買契約書や建築請負契約書の「ローン特約」を確認する
仮審査に通っていても、本審査が通らないこともないとはいえません。
売買契約や建築請負契約を結ぶときは、契約書に「ローン特約」がついていることを確認しましょう。
「ローン特約」があれば、審査に通らなかったとき、契約を白紙に戻すことができます。
「住宅ローン契約」って何?
金融機関から融資を受ける際にかわす契約で、正式名は「金銭消費賃貸契約」。貸し手と借り手が集まり、必要書類を最終確認して、契約書に押印します。
ほとんどの住宅ローンで、このとき、団体信用生命保険と火災保険にも加入します。
また、契約時には、契約書に貼付する印紙代がかかります。
必要な書類
- 本人確認書類(運転免許証、健康保険証、パスポートなど)
実印
印鑑登録証明書
住民票
収入印紙
など
※金融機関によって異なります。
住宅ローン契約の注意点が知りたい
融資実行日を確認する
住宅ローン契約を結んで、実際に融資が行われることを「融資実行」といいます。
実行日は、物件の引渡し日になるのが一般的。
「つなぎ融資」や「分割融資」を受ける場合は、融資実行日が土地代や建築工事費の支払日にまにあうように設定されているかどうか、確認しましょう。
団体信用保険と火災保険の内容を確認する
ほとんどの住宅ローンで、団体信用保険と火災保険への加入が義務づけられています。
いざというときに困らないように、内容をきちんと確認しておきましょう。
住宅ローンの団体信用保険・火災保険については、こちらの記事内で紹介しています。
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住宅ローンの「分割融資」「つなぎ融資」って何?
住宅ローンは家を抵当にして組むローンですから、家が完成したあとに支払われるのが原則です。
でも、注文住宅の場合、家ができていなくても、土地の購入代金の支払いや建築工事の進み具合にあわせて分割で建築費を支払わなければなりません。
自己資金でまかなえないとき、利用できるのが「分割融資」と「つなぎ融資」です。
分割融資
土地と住宅で一つのローンを組み、「土地の購入時」「建築工事の着工金」など、お金の必要なタイミングで数回に分割して融資を受ける方法です。
土地の購入時と家の着工時の2回分割して融資が受けられ、竣工時に残りが支払われるのが一般的ですが、3回に分割して受けられる金融機関もあります。
メリット
一つの住宅ローンですむので、金利が同じで資金計画がたてやすく、諸経費も一度しかかからないのがメリットです。
デメリット
ただし、融資実行のたびに手数料がかかります。
また、土地を買ってから所定の期限内に家を建てなければならないため、土地の購入と家の建築時期や工事計画を同時に進めなければならず、スケジュールがタイトになりがちです。
つなぎ融資
「つなぎ融資」とは、文字どおり、家が完成するまでの“つなぎ”として借りるローンのこと。借りたお金は、家が建ったあと住宅ローンに組み込んで返済します。
メリット
無担保で融資が受けられるのが、いちばんのメリットです。
デメリット
本来の住宅ローンとは別にもう1本ローンを組むため、諸経費がかかります。
また、担保なしで借りるため、金利も高め。短期のローンなので、つなぎ融資分は住宅ローン控除の対象外になります。
選ぶときはどうすれば?
分割融資とつなぎ融資は、それぞれにメリット、デメリットがあり、どちらが有利かは個々の状況で変わります。サイトなどでかかる経費をシミュレーションして、どちらがいいか検討しましょう。また、扱っていない金融機関もあるので、早めに情報を集めることもたいせつです。
家の新築と住宅ローン手続きの流れ
所有する土地に家を建てる場合の住宅ローンの手続きの流れ(目安)
所有する土地に家を建てる場合は、建築工事中の「契約時」「着工時」「上棟時」「完成時」にまにあうようにローン契約を結ぶのがポイントです。
それぞれいくら資金が必要か、自己資金でどこまで支払えるかなど検討して、スケジュールをたてましょう。
住宅ローン 家の建築
家の予算を決める
↓
建設会社を決める
↓
金融機関に住宅ローンを申し込む 間取りなどを相談する
↓ ↓
事前審査 ← 見積を出してもらう
↓ ↓
本審査 ← 工事請負契約を結ぶ(契約金支払い)
↓ ↓
住宅ローン契約 着工(建設費の一部支払い)
↓土地代、建築費は ↓
↓分割融資、 上棟式(建設費の一部支払い)
↓またはつなぎ融資 ↓
↓ 竣工・引渡し(建設費の残金支払い)
↓
入居
住宅ローン返済スタート
土地を買って家を建てる場合の住宅ローンの手続きの流れ(目安)
土地と住宅を一つのローンにする場合、土地を買ってから所定の期間内に家を建てなければなりません。住宅ローンの審査を受けるときに、建築の計画書や見積りが必要だったり、金融機関によっては工事請負契約書が必要なケースもあります。融資先の条件をよく確認して、スケジュールを建てましょう。
住宅ローン 土地の購入と家の新築
土地と家の予算を決める
↓
住宅ローンを探す 土地と建築会社を探す
↓ ↓
↓ 土地を決める
↓ 建設会社と間取りなどを相談する
金融機関に住宅ローンを申し込む ↓
↓ ↓
事前審査 ← 土地の売買契約を結ぶ
家の見積りを出してもらう
↓ ↓
本審査 ← 工事請負契約を結ぶ(契約金支払い)
↓ ↓
住宅ローン契約 土地の代金を支払う
↓ 着工(建設費の一部支払い)
↓ ↓
↓分割で融資実行 上棟式(建設費の一部支払い)
↓またはつなぎ融資 ↓
↓ 竣工・引渡し(建設費の残金支払い)
↓
入居
住宅ローン返済がスタート
まとめ
住宅ローンは借入額が大きいだけに慎重に選びたいものですが、情報が多すぎてどこから手をつけていいのか分からないというのも現状。だいたいの流れや注意点をこの記事で理解したら、あとは実行するのみです! まずは金利的に納得のいく金融機関を絞り、それぞれの商品特徴を見比べてみましょう。メガバンクではなくても、ネット銀行でもいい商品はたくさん出ています。情報を上手に活用して、お得で安心感の得られるローンを組んでください。
★おしゃれな注文住宅を建てたい方はこちら
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