にんじんには栄養がいっぱい。
だから残さず食べようね、と、自分だけでなく、お子さんに言い聞かせている人も多いことでしょう。
でもこの栄養たっぷりと言われているにんじんですが、
実は火の通し方によって、栄養がダダ漏れになってしまう可能性もあるんです…。
にんじんは茹で時間がカギ!?
にんじんの茹で時間は、カレーなどに使う一口サイズの乱切りの場合で15分ほど。
これは水から茹でた場合です。
お湯から茹でるほうが早くやわらかくなるという声も聞きますが、お湯からの場合は、外側が早くやわらかくなり。中心部はまだ生煮えといった状態になりやすいのでおすすめできません。
最近の研究で、にんじんに含まれる主な栄養素であるβカロテンが、茹でている間に湯の中へと流出してしまっていることがわかり、その栄養分を余すところなく取り入れるためには、調理の仕方にひと工夫が必要であると言われ始めました。
ちなみにカレーにシチューに肉じゃがなどの煮込み料理であれば、にんじんを煮込んだその煮汁ごと食べるので、にんじんの栄養分が煮汁へ逃げていても、さほど気にしなくて大丈夫です。
にんじんをまるごと茹でれば大丈夫?
にんじんのカロテンが流出しにくい茹で方のひとつがこの丸ごと茹でる方法です。
よく洗って皮ごと茹でれば、皮がラップのような働きをしてくれるので、蒸し調理に近い感じになり、カロテンが失われる量も少量で済むでしょう。
ただ時間がかかります。
一口大でも水から15分はかかるにんじん、丸ごとの場合は30分は見ておきたいもの。
圧力鍋なら、鍋の機種にもよりますが、15分加圧で自然減圧といったところでしょうか。
そしてこの丸ごとゆでたにんじんをどう使うか。
離乳食などなら、まとめてゆでて冷蔵庫や冷凍庫で保存し、ピューレ状にして使うということもできますね。
にんじんに含まれる栄養素は?
逃したくないにんじんの栄養素をここでまとめてみます。
βカロテン
緑黄色野菜に多く含まれるβカロテンですが、なかでもでにんじんは、βカロテンを多く含む食品の代表のような存在です。
βカロテンは、皮に多く含まれているため、できるだけ皮をむかずに食べると良いと言われていましたが、昨今、農薬の問題などもあり、離乳食などには皮はやはり避けたほうがよさそうです。
また、βカロテンは加熱調理することで吸収率が高くなる栄養素。
にんじんも、茹でるのではなく、油で炒める、揚げるなどの調理のほうが、このβカロテンを何倍も効率よく吸収できます。
ビタミンA
ビタミンAは、皮膚を健康に保ち、潤いを与えてくれるビタミンです。
また皮膚や粘膜の乾燥を防ぐということから、増えているドライアイを防ぐ効果もあるという、注目の栄養素です。
カリウム
体内にある余分な塩分を排出する働きをしてくれるカリウム。
血液の循環が良くなったり、むくみを防いだりと、体の中で重要な役割を果たしています。
循環器系だけでなく、筋肉や神経の伝達活動も行うため、カリウムが極端に不足すると、筋力低下や疲労感、心不全などの原因になると言われています。
食物繊維
タンパク質、脂質、炭水化物、ビタミン、ミネラル、の5大栄養素に続いて、「第6の栄養素」と言われるほど重要な働きをする食物繊維。
食物繊維には、便のかさを増やす「不溶性食物繊維」と、便をやわらかくして排泄しやすくしてくれる「水溶性食物繊維」があるのですが、にんじんにはその両方の食物繊維が含まれているので、便秘解消と整腸作用のどちらも助けてくれるありがたい野菜なのです。
にんじんの健康効果は?
βカロテンやビタミンAなど、にんじんに含まれる栄養素がわかったところで、にんじんを食べ、効率よくその栄養を摂取することで期待できる健康効果を見直してみましょう。
肌を健やかに保つ
にんじんを食べると、お肌や目がきれいになる、などとよく言われますが、これは本当なんです。
ビタミンAが美肌キープの鍵というのは、上の項でも触れていますが、にんじんにたっぷりと含まれているβカロテンは、体内でビタミンAに変換され、ビタミンAと同じ働きをするのです。
ビタミンAというのは、こういったありがたい作用がある反面、摂取しすぎると肝臓によくない影響を与えるなど、摂取のしすぎにも注意しなければなりません。
ところが、このにんじんのβカロテンは、必要な量だけがビタミンAへと変化し、余分なものは排除されるという、賢いカロテンだということがポイントです。
また、ビタミンAは、鼻や喉の粘膜を保護し、強くしてくれるので、風邪の季節には、感染予防にもかなり役立ちます。
ビタミンAが不足すると、暗いところで目が見えなくなる、いわゆる「とり目」の症状があらわれるなど。
健康を損なう場合があるので、ある程度の量はしっかりと摂取したい栄養素なのです。
高血圧や不整脈などの予防
ニンジンに含まれるカリウムには、塩分の摂り過ぎを調節する働きがあり、高血圧の予防にも役立つと言われています。
ただ腎臓の機能が低下している場合、カリウムの過剰摂取には注意しなければなりません。
その場合は主治医の指導に従いましょう。
整腸作用も期待できる
にんじんには不溶性、水溶性、両方の食物繊維が含まれているため、便を増やし、腸の働きを刺激して便通を良くする効果と、腸内環境を良くして、腸の中の善玉菌を増やしてくれる作用があります。
また食物繊維には、体内で糖や脂質を吸着して、排出させるというありがたい働きも。
コレステロール値が高い人などには、ぜひ積極的にとって欲しい野菜です。
栄養素を逃がさないためのポイントは?
にんじんの数ある健康効果を知ると、中でもとびきり含有量の多い、βカロテンを逃さず取り入れたいと思った人も多いでしょう。
どのように調理すれば、このβカロテンを逃さず吸収できるのでしょうか。
βカロテンはお湯には弱い栄養素なのですが、茹でる以外の方法で調理すれば、その豊富な含有量を保ったまま、お口の中へと送り込むことができます。
ひとつめの方法は、焼いたり、揚げたりすることです。
にんじんを適当な大きさにカットしてフライパンに入れ、油やバターなどで炒めます。
フライパンの中で、油でコーティングするのです。
こうすれば、油膜に守られたβカロテンは、外へ流れ出さずにそのまま食べることができるのです。
いったん油膜を作って守ってやれば、その後にスープやだしなどを注いで炒め煮のようにしても大丈夫だそう。
また、「油でコーティング」ですが、にんじんのグラッセを作るときは、バターを溶かしたお湯でにんじんを茹でますが、これも理にかなった方法です。
バターの油分があるため、にんじんからβカロテンが流出するのを防いでくれるのです。
このメニュー、バターをたっぷり使うのは、ただおいしいからだけではなかったんですね。
そして、もう一つのおすすめな調理法は、蒸すことです。
自分がサウナか湯船につかるか、その場面を想像してみてください。
どちらが栄養を流出させがちか、イメージがわくのではないでしょうか。
蒸し器を出して、となると面倒に感じるかもしれませんが、レンジでチンも、言ってみれば蒸し野菜のようなもの。
時短狙いばかりでなく、にんじんの栄養を逃さず摂取するためにも、にんじんの調理にレンチンを活用するのは悪いことではありません。
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レンジを使った時短方法を紹介!
にんじんの主な栄養分であるカロテンを失わず調理する方法、電子レンジ加熱の基本のやり方をおさらいしてみましょう。
まずにんじんの量と加熱時間の目安ですが、中サイズのにんじん1/2本(約100g)に対して、600wで1分半〜2分が目安です。
電子レンジの機種にもよりますが、大体このあたりの時間で好みの固さになるよう調整してください。
にんじん1/2本を使いたいサイズにカットしたら、耐熱皿に平に並べて、大さじ1の水をふりかけ、ラップをして、600wのレンジで1分半〜2分加熱。
これが基本です。
このレンチンしたにんじんは、冷めたら冷蔵庫で保存もできます。
多めに作っておけば、数日間は色々な料理に少量ずつ使えるので便利ですね。
にんじんを使った簡単レシピを紹介
暮らしニスタに届いているにんじんを使ったレシピの中から、にんじんん栄養を余すところなく摂取できそうなレシピをご紹介します。
【娘ちゃんお手伝い編】胃腸強化で血行促進☆『サラダでげんき』を作ってみた!
【材料 】(3~4人分【お話でアドバイスした動物】)
キャベツ:1/4玉
きゅうり:1本
トマト(大):1個
【ネコ】かつおぶし:1袋(2.5g)
【イヌ】ハム:3枚
【スズメ】とうもろこし:1本
【アリ】さとう:小さじ2
【馬】にんじん:1本
【シロクマ】昆布(おしゃぶり昆布):5g
【ゾウ】サラダ油:大さじ2
【ゾウ】塩:小さじ1/2
【ゾウ】酢:大さじ2
【娘ちゃん】ちりめんじゃこ:適量
教科書に出てくるお話のレシピは、色々な野菜を動物がすすめてくれるもの。
にんじんをおすすめしているのは馬!ということで、イメージはぴったりですね。
生で食べればβカロチンも逃さずたっぷり摂取できるので、にんじんのサラダは最高におすすめです。
2019.11.12小学1年生の娘ちゃん、毎日宿題を頑張っているんですが、その中の1つで音読をしているんです。その音読で、「サラダでげんき」というお話しを学んでいます。お話しの内容は…りっちゃんという女の子が、お母さんの為にサラダを作ろうとし...続きを見る
こま肉でやわらか♡『豚肉の黒酢あんかけ』揚げない・作り置き
【材料(2~3人分)】
豚こま肉 :200g
片栗粉A: 適量
ピーマン :3個
れんこん: 1節
にんじん: 1/2本
酒 :大さじ1
黒酢: 大さじ3
砂糖、みりん: 大さじ2
醤油、 酢: 大さじ1
片栗粉B :大さじ1
サラダ油: 大さじ1
豚コマで作るので、時短&お財布にやさしい、野菜たっぷりの酢豚。
にんじんはフライパンで炒める理想の調理法です。
最後に一たらしするごま油が風味をグンとアップしてくれますね。
2019.11.10酢豚っておいしいけど、油を使って肉を揚げるのが面倒…。でも豚こま肉を使えば、火の通りがいいので揚げずに焼くだけでOK。しかもコスパもよく、柔らかくジューシーといいことずくめなんですよ。たくさん作って夕飯のメインに、残りは翌...続きを見る
ごま油香る舞茸と野菜たっぷりビビンバ風炒め
【材料 (2人)】
舞茸:1パック(140g)
人参:1/2(100g)
小松菜:1袋(140g)
合いびき肉:180g
ごま油:大さじ1
aチューブのにんにくとしょうが:各4g
a塩・コショウ:少々
aごま油:小さじ2
bコチュジャン:大さじ1
b砂糖:小さじ2~3
b日本酒:大さじ1
b醤油:大さじ1
bごま油:大さじ1
b片栗粉:小さじ1
卵黄:1個
白ごま:少々
舞茸1パックをたっぷり使って、ヘルシーなビビンバ風に。
ひき肉にしっかりと味をつけておくと、ごはんの上にのせて食べても激しくウマい♡
他にも栄養たっぷりな野菜がたくさん入っていますが、もちろんにんじんもお忘れなく…
2019.11.05舞茸を1パック使ってコチュジャンなどで味つけしたビビンバ風な炒め物です。ご飯の上にのせてもおいしいです。おいしく作るポイントは2つ!ひき肉にごま油やチューブのにんにく、しょうが、塩・コショウでしっかり味付けしておくことと、...続きを見る
ごぼうとにんじんの南蛮漬け
【材料 (作り易い分量)】
ごぼう:1本
片栗粉:大1.5
にんじん:1本
片栗粉:小2
A醤油:大3
A酢:大3
A砂糖:大1
A酒・みりん:各大1
焼き油:適量
七味:適量
揚げたにんじんとごぼうを、つけだれにどぼん!するだけのシンプルおかず。
ですがなんでこんなにおいしいの?と思わせる、野菜の力を生かした一品です。
にんじんも揚げ焼きなので、栄養は中にぎゅっと詰まったまま食卓へ。
理想のにんじんメニューです。
2015.09.22ごぼうとにんじんの南蛮漬けごぼうとにんじんの南蛮漬けこのレシピを編集コメントてりってりの見た目も魅力です^^ 揚げ焼きした野菜のコクと、甘酸っぱい味付けが、大人も子供も癖になります☆続きを見る
まとめ
栄養価の高い野菜だけに、その価値を保ったまま食卓へ、という気持ちが強くなってしまいますね。
せっかく食べるのですから、おいしくて栄養たっぷりな状態で♪これを実現させたいものです。
文/伊波裕子
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