「マイホームはほしいけれど予算には限りがあるし。建てるならローコストで! 」とほとんどの人が思うこと。そのために工夫をこらし、予算内で理想の住まいを実現したローコスト実例が人気を集めています。
ローコスト住宅とは
ただし、一口に「ローコスト住宅」といっても、とらえ方はさまざま。そこで目安として使われるのが坪単価( 延べ床面積3.3 ㎡当たりの建築費 )です。
ハウスメーカーや地元の工務店、建築家などに家づくりを依頼した場合、坪単価50~60万円であれば十分にローコスト!(参考記事 ローコストなハウスメーカーの選び方と注意ポイントを徹底解剖!)。
「いやいやチラシでもっと安いのを見たことがあるよ」という方がいるかもしれません。例えば坪単価が30~40万円の家などです。それらは一般に「超ローコスト住宅」と呼ばれる家で、土地と建物がセットで販売されているケースがほとんどで, これはハウスメーカーが建てた家ではなく、「パワービルダー」と呼ばれる不動産会社が手がけているのが一般的です。(参考記事 ずばり知りたい! ローコスト住宅とは?)。
みんなの家づくり予算はいくら?
実際のところ、ローコスト住宅はどれくらいの人に支持されているのでしょうか? そこで「みんなの家づくり」では、30~40代を中心に、すでに家づくりをした人とこれから家づくりをする人それぞれ300 人にアンケートを実施。家づくりの予算について調査し、結果をグラフにまとめました。
まずは、すでに家づくりをした人へのアンケート結果から。建売ではなく、注文住宅を建てた人から回答を集めました。
ずばり、建物本体にかけた金額は、50% 以上が2000万円未満。しかもその半数は1500万円未満でした。「ローコスト住宅は人気がある」というイメージだけでなく、30~40代では実際にローコスト住宅を建てている人が多いということがわかりました。
同じ回答者に「家づくりで重視したこと」も聞いてみたところ、1 位は僅差で「間取り」でしたが、2 位はほぼ同じくらいの割合で「予算」。やはり予算をベースに計画を立てた人が、実際にローコストな家づくりに成功していることがうかがえます。
次に、これから家づくりをする人へのアンケート結果。「建物本体にいくらなら出せますか? 」という質問には、やはり半数以上が2000万円未満と答えています。注目したいのは、実際に建てた人と比べて、1500万円未満がやや多いこと。目標はあくまでローコストに、1500万円未満を目指す人が多いようですね。
「家づくりで重視すること」への回答も、1 位は僅差で「予算」。ここでもローコスト住宅はたんなる憧れではなく、家づくりのコストについてシビアに考えている人が多いことがわかりました。
ローコスト住宅の魅力とデメリット
ローコスト住宅の魅力は、もちろん「安いこと」ですよね。とはいえ、十分な建築費をかけていないローコスト住宅には、それなりのデメリットがあります。
たとえば、選べるプランや仕様のバリエーションが限られていて、変更に多額のオプション費用がかかったり(参考記事コスト住宅の“落とし穴”が知りたい! )、そもそも工事の安全性に問題があったり( 参考記事 破格!「超ローコスト住宅」のカラクリ )。ローコストで建てられると人気の平屋にも、建てた人からはメリットとともにデメリットも報告されています( 参考記事 ちょうどいい暮らし方が人気! ローコストで実現する平屋 )。
こうしたデメリットに気づかず、安さだけを追求してしまうと、あとから「ここは失敗だった! 」と後悔することに( 参考記事 ローコスト住宅で起こりがちな失敗例を知りたい! )。安い家には安いなりの理由があることを知って、ローコストでも満足できる家づくりに役立ててください。
代表的な間取り
ローコストで家を建てようと思う場合、家の形や間取りは必然的に似てきます。まず、家の形状はシンプルな箱型であること。1階と2階の床面積がほぼ同じで、1階と2階が外壁でつながっているように見える「総2階建て」のほうが断然建築コストが安くなるからです。そして、間仕切りをなるだけ減らしたオープンなプランであること。シンプルなプランほど建設費は当然抑えられます。部屋の間仕切りは、必要と感じた時に追加設置ができるので、まずは空間を区切らずオープンにしておくというのもアイディア。
そして、洗面室、トイレ、浴室などの水回りを1カ所にまとめることもコストダウンに影響するので、間取りだと並んで配置されているケースが多くなります。
ローコスト住宅の間取り例(事例写真の最後に間取り図があります)
13坪
15坪
17坪
22坪
お役だちコラム
・プロが教える!注文住宅コストダウンための具体的な34のテクニック
・【プランニング編】コストダウンのアイディア集
・コストダウンはここを削る!家づくり建築予算の配分ポイント
・【建築費を抑える5つのPoint!】難条件でも大満足の家を建てるアイディア
・ローコスト住宅の間取りのポイント
・ちょうどいい暮らし方が人気! ローコストで実現する平屋
家づくりのプロからのアドバイス
社団法人 住まいと土地の総合相談センター 代表理事 市村崇さん
一戸建ての坪単価は、あくまで予算と建物の規模によって決まるもの。最初から「坪単価○○円の家」を目指すのは考えものです。私はホームインスペクター( 住宅診断士 )として、さまざまな建築現場を調査し、欠陥工事の実態も見てきました。ローコスト住宅や超ローコスト住宅という言葉は魅力的ですが、「安い家」そのものが目的にならないように気をつけて!
ローコスト住宅を建てた先輩にインタビュー!
高知県・U さん宅
Q1 家づくりの予算と規模はどのくらい?
A 本体工事費が1492万円で、広さは28坪、坪単価は約54万円になりました。「予算内のプランニング」をモットーにしている設計事務所を選んで、最初からはっきりと予算を伝えていたので、大幅に予算オーバーするプランは上がってこず、80万円アップくらいで済みました。
Q2 ローコストな家づくりに成功した理由は?
A まずは依頼した「キリコ設計事務所」さんのスタンス。地元・高知県の木材を独自のルートで安く仕入れているということで、建築費を大幅に抑えられました。ほかには、収納部分に構造用合板を使って大工工事で仕上げてもらったり、コンロやトイレ、洗面台などのランクを少し下げたり。できるところはDIYをするなどして、コストダウンを目指しました。
Q 3これは痛かった! という出費は?
A わが家の場合、もともと立っていた車庫と倉庫を解体する費用や、土地の形状を整える造成費用などがかかりました。宅地ではない場所に建てるなら、最初から必要経費として考えておくといいかもしれません。
Q4 家づくりを経験して感じることは?
A もともとコストダウンのために始めたDIY を、いまも家族で楽しんでいます。収納の棚をつけたり、庭づくりをしたり。これからも子どもの成長とともに手を加えられるところが出てきそう。コストをかけてすべて完璧に作ってしまうより、このほうが家づくりを長く楽しめると思います。
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この記事のライター:後藤由里子
主婦の友社刊「はじめての家づくり」をはじめ、数々の住宅・生活関連記事を手がけるライター。キャリアは20年、これまでの実例や建築家、ハウスビルダーへの取材件数は300以上に及ぶ。
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