最近、若いファミリーの間で「平屋」が人気なのをご存じですか? コンパクトで無駄がなく、家族のふれあいを味わえて、小さく建てれば建築費を抑えられる、などのメリットが注目されています。一方で見落としがちなデメリットも。ここではローコストで建てる平屋について、おしゃれな実例をまじえながら詳しくご紹介します。
1000万円台で建てた平屋で理想の暮らしを満喫中!
「平屋」とは、地下階や2 階・3 階のないワンフロアの住まいのこと。いわば“マンション感覚で暮らせる一戸建て”といえるかもしれません。平屋の住まいは見た目にもかわいらしく、集合住宅では実現できない外観デザインへのこだわりもかなえることができます。
石川さんファミリーが建てた平屋にもこだわりがいっぱい。家づくりのパートナーには、作風が好みだった地元の工務店を選び、2000万円以下でワンフロアのマイホームを実現しました。
そもそも、石川さんはなぜ平屋を選んだのでしょうか?
「自分自身が平屋で育ったこともありましたが、子どもが小さいうちは2 階まで目が届かないので、平屋は絶対! と思っていました。しかも子どもはいずれ巣立っていくもの。自分たち夫婦の将来のことを考えても、平屋がベストだったんです」(奥さま)
LDK
LDK は18畳とゆったりした広さ。キッチンを囲む大きなカウンターがダイニングテーブルを兼ねています。壁のしっくいをはじめ、キッチンのペイント部分もDIY で仕上げました。
子供部屋
3人の子どもたちが伸び伸びと遊べて、巣立ったあとも使いやすいよう、子ども部屋はワンルームに。アイアン風の間仕切りはご主人の自作。裏側には、これも自作した本棚があります。
デッキ側
平屋で快適に暮らすためには、隣家からの視線を遮る工夫も重要。石川さん宅では建物をコの字型にして、中庭を囲むように各部屋を配置することで、プライバシーと採光・通風を両立させました。
サニタリー
モルタルのカウンター+医療用シンク+黒目地のタイルで、奥さまがイメージした通りの洗面台が完成! カウンター下におさめたキャスターつきの棚も、DIY でつくりました。
外観
外壁には手頃なサイディングを使いつつ、玄関回りにレッドシダー、軒裏にスギ材を張ってメリハリをつけました。写真では見えませんが、屋根にはガルバリウム鋼板を採用。
家族構成
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夫婦+子ども3人
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敷地面積
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226.80㎡(68.61坪)
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施工延べ床面積
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109.32㎡(33.07坪)
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本体工事費
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約1995万円( そのほか外構工事150 万円、設計料50万円 ) 3.3 ㎡単価・・・約60万円
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設計・施工
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㈱ライフラボ
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コーディネート・施工
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㈱河井建築
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平屋の暮らしが注目されている理由とは?
特に平屋を支持している層は、大きく2 タイプ。老後の暮らしを見据えたシニア世代と、「家族でいつもいっしょに過ごしたい」と考える若い子育て世代です。シニア世代にとっては、階段の上り下りがなく、体が不自由になったときにも暮らしやすい住まいとして。子育て世代にとっては、階段で空間が区切られることのない、家族の一体感を味わえる住まいとして。それぞれの理由で人気を集めています。
石川さんは代表的な後者のタイプ。さらには自分たちが年齢を重ねたあとのことも考えた上での選択でした。家族の一体感をより重視するファミリーでは、フロアそのものをあまり細かく仕切らず、ひとつながりのオープンな空間としてプランするケースも。無駄を削ぎ落としたシンプルな住まいは、ものをあまり持たない、ミニマルな暮らしを目指す人からも支持されています。
平屋のメリットとデメリットをずばり知りたい!
「広い家はあまり必要ない」と考える人にとって、最大の魅力は”暮らしやすさ”。実際に平屋に暮らすかたがたからは「階段の上り下りがないので、毎日の生活動線も家事動線も短くてすむ」「どこにいても家族の様子がわかる」「床がフラットなので掃除がラク」といった声が聞かれます。 建築面積(建坪)が同じ家であれば、上階部分の床・壁・柱・天井・外壁などにかかる建材費や施工費をカットできるのも、平屋のメリット。特に面積の大きい外壁は、建築費への影響も大きいため、建物そのものをコンパクトにし、建材も手ごろなものを選べば、それだけ建築費を抑えられます。
石川さん宅でも、やはり外壁がコスト調整のポイントに。当初希望していた左官仕上げをあきらめ、ローコストなサイディングに変更したことで、大きくコストダウンできたそう。屋内でも、天井板を省く、床は無垢材でも1 段階グレードを落とすなど、面積の大きい部分を中心にコストダウンを図りました。
一方で、延べ床面積の小さい平屋では、建物の坪単価( 1 坪あたりの工事費 )はぐんと高くなります。また、建築費の中でも大きな割合を占めるのが、基礎・土台・屋根の建材費と施工費。平屋では床面積を増やすほどこれらの面積も大きくなるため、そのぶんコストが大幅にアップします。コンパクトな総2 階のほうがローコストになるケースも少なくないため、平屋だけでなくほかのプランも検討し、比較してみるのがおすすめです。
ほかに想定されるデメリットは、敷地条件によって快適さが左右されやすいこと。建設予定の敷地が平屋に向いているか、きちんと読み取る必要があります。もし都市部の住宅密集地などに平屋を建ててしまうと、日当たりや風通し、プライバシーを確保するのは困難なはず。2 階建てや3 階建てを選んで、上階にLDK を設けるほうが快適に暮らせるかもしれません。最初から平屋を希望するのであれば、それに見合う土地を探すところからスタートするのが正解です。
平屋のメリット
- ・階段の上り下りがなく、生活動線・家事動線が短い
- ・フロアで空間が分断されず、家族の一体感を味わえる
- ・掃除がラク
- ・バリアフリーにしやすく、将来の安心感がある
- ・同じ建築面積(建坪)であれば、上階部分にかかる工事費をカットできる
平屋のデメリット
- ・2・3階建てに比べると坪単価が高い
- ・床面積を増やすと、大幅にコストがアップする
- ・敷地条件によって快適さが大きく左右される
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平屋にありがちな注意ポイントとは?
ローコストで平屋を建てる場合、どうしても床面積が小さくなるため、やはり問題になりやすいのは”狭さ”です。入居してから「荷物が増えて収納スペースが足りない」「個室がとれなかったのでプライベートな空間がない」「子どもが受験勉強に集中できるスペースがない」「新築時は子どもが赤ちゃんだったから気づかなかったけれど、中学生・高校生になったらLDが狭く感じられる」などなど、思いがけない住みにくさに直面することも。「将来もこの広さで快適に暮らせるかどうか」をしっかり考えておいて。
最初はコンパクトな平屋を建てておき、手狭になったり、経済的なゆとりができたときに増築するのも一案。その際は、敷地にまとまったスペースをあけて建物を配置する、増築しやすい工法を選ぶなど、新築時のプランにも配慮が必要です。将来の増築を視野に入れていることを、設計者にあらかじめ伝え、そのためのアドバイスを受けましょう。
コンパクトな平屋によくあるお悩み
- ・子ども部屋などの個室をつくりにくい
- ・収納スペースが少ない
- ・家族が成長するにつれて手狭に感じられる
- ・水回りに十分なスペースを割けず、洗面所が混み合う
どんなプランにもメリットとデメリットがあり、平屋も例外ではありません。小さく建てればコストを抑えられるけれど、生活面積を考えたら割高になることなど、デメリットまできちんと理解したうえで、メリット生かした“ 小さな暮らし" を満喫できたら理想的ですね。
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この記事のライター:後藤由里子
主婦の友社刊「はじめての家づくり」をはじめ、数々の住宅・生活関連記事を手がけるライター。キャリアは20年、これまでの実例や建築家、ハウスビルダーへの取材件数は300以上に及ぶ。
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