【Kさん宅(愛知県)本体工事費 約2300万円 建築面積 約17坪】
パソコン作業が好きなご主人と、お料理好きの奥さま。月に一度は共通の友人家族を誘って自宅で食事会をするのが楽しみだそう。6歳と2歳のお嬢さんのいる4人家族。“ハンス・J・ウェグナー”デザインの「デイベッド」が主役のリビング。ポリカーボネートの引き戸は、廊下の気配がわかるのと同時に、採光にも有効。
お子さんの小学校入学前に新居を、と希望していたKさん夫妻。「購入したのは隣家と接近した細長い土地。さらに、ものを置かずにクールに暮らしたい夫に対し、私はあたたかみのある雰囲気にしたいという相違点もあって……(笑)」。設計を依頼した「悠らり建築事務所」の安藤亨英さん・節子さんは、各部屋に光と風を届けられるよう、中庭を提案。室内からは中庭の緑が見え、開放的な広がりも得られます。好みの違いは、リビングをご主人向けにシンプルに、DKは奥さまのためにナチュラルテイストにすることで解決。それぞれが心地よく過ごせるように工夫しました。コストを抑えながら、理想の空間を手に入れられた秘訣は、まず建物がコンパクトであったこと。そして、計画の段階から優先順位を見極めていったこと。「料理が好きで来客も多いので、はずせなかったのは、ステンレストップのキッチンカウンターと『ミーレ』の大型食洗機。それと珪藻土の壁と無垢材の床でした」。
優先順位の低いものは、徹底してシンプルに。天井や建具の素材はシナ合板でそろえ、照明も凝ったものはやめて、浴室もユニットバスにするなどして調整。「窓の数も必要最小限にしたので、サッシ代もぐっと圧縮できました」
ほかにも、洗面台やロフト用のはしご、パントリーの棚など、可能なものは大工さんに製作を依頼。造作家具の仕上げ塗装も、ちょうど現場に入ってくれた塗装屋さんに頼んでコストダウン。「自然素材をふんだんに使った質の高い家になり、素足で生活できるのがうれしいです。キッチンも作業しやすく、友人家族との食事会もふえました(笑)」
予算内で実現! Kさん宅の “心地よさ”のポイント
- 家じゅうから中庭の緑が見えて開放感いっぱい
- 外部からの視線を上手に遮りながら採光と通風を確保
- 夫婦で異なる好み無理ミックスせずエリア分け
2F リビング
【コストダウンIDEA】床のカバ材は きれいすぎない Bランク品を選択
【写真左】パーティションの裏側は、ご主人のPCコーナー。個室感があるうえ、文具などのこまごましたものを
全部隠せます。
【写真右】テレビの壁かけ用に設けた、シナ合板のパーティション。ご主人のリクエストで、配線類も背後に
通してすっきり。
2F DK
【コストダウンIDEA】造作キッチンの 塗装を、現場の 職人さんに依頼
勾配天井で、実際より広々と感じられるDK。窓から中庭の緑とコの字形にプランされたリビングが見え、いっそう
開放的な雰囲気です。
2F キッチン
【写真左】お子さんと並んで作業しても余裕の広さ。「ステンレスは熱いものも置けて便利です」
【写真右】シナ合板とタモ積層材のオリジナルキッチン。換気扇はスタイリッシュな「ダブル」を導入。エアコンは
跳ね上げ式の格子戸でカバー。
2F ダイニング
【コストダウンIDEA】明かり取りの小窓は 予定の4つから 2つにしぼって採用
珪藻土の壁は、調湿効果や気になるにおいの吸収作用もあって快適。外からの視線を気にしないでくつろげるよう、
窓は高い位置に。
自然素材の心地よさいっぱいの 素足で過ごせる家
2F 子供部屋
勾配天井が最も高くなっている子ども部屋に、スギ材でロフトを設置。いずれ2部屋にできるよう、出入り口も
2つ設けてあります。
1F 寝室
【コストダウンIDEA】天井と壁を シナ合板で統一
和紙製の紙畳は、丈夫で水やダニにも強いそう。天井と壁のシナ合板にやさしい表情をつけるため、折り上げ天井風の意匠と間接照明を採用。
1F 洗面室
【写真左】洗面室でハンガーなどに洗濯物をかけてから外に干しに行くため、収納内部にハンガー用のバーも
とりつけました。
【写真右】「TOTO」の“病院用流し”と白いタイルで造作した、ナチュラルスタイルのオリジナル洗面台。
2人並んで使えるサイズです。
2F トイレ
「TOTO」のタンクレストイレで、すっきりと。スリムなデザインの手洗いボウルは「カワジュン」のもの。
1F 納戸
「クローゼットとは別に、ものを押し込む部屋が欲しくて(笑)」。日用品ストックやゴルフバッグなどの収納に
重宝。外には物干し場が。
中庭
光と風をとり込むため、建物をコの字形にし、中庭を設けました。シマトネリコを植え、家のあちらこちらから緑が
楽しめます。
1F 玄関
【コストダウンIDEA】たたきは、モルタル 金ゴテ仕上げで タイル工事を省略
「チャネルオリジナル」の防火設備認定のチーク材ドア。シナ合板とタモ積層材の靴箱の上には、光と風をとり込む
小窓を。
1F 階段
玄関ドアをあけるとまず目に入る階段はデザイン性も重視。左手には中庭の緑が楽しめるピクチャーウインドーが。
外観
【コストダウンIDEA】門扉や塀は設けず アプローチのみの 開放的な外観に
バルコニーの木格子は、外からの視線を遮りながら光と風を通します。
【コストダウンIDEA】外壁は、耐久性にすぐれ ローメンテナンスの ガルバリウム鋼板に
モダンな外観は、正面や背後からはスクエア形に見えるよう、V字形の勾配屋根に。2階は、中庭をはさんでリビング部分とDK部分が向き合う配置に。
DATA. Kさん宅(愛知県)
設計のPoint
悠らり建築事務所
安藤 亨英さん 安藤 節子さん
シンプル志向のご主人と、ナチュラル好きの奥さま。好みをミックスするのではなく、中庭をはさんでエリア分けしました。コの字形の建物は、採光と通風の向上とともに、窓越しに気配が感じられるため、ほどよい距離感でお互いに落ち着ける空間が得られます。コスト面では、ヒアリングを密にし、本体工事、設備、造作家具、外構工事の予算をしっかり配分。現場の職人さんでも可能な作業は依頼し、またクロス張りはやめるなど、多くの業種を入れない配慮もしました。
賢く家を建てるために… 「コストダウンの心得」
設計技法で実面積以上の広がりを演出することは可能なので、優先順位を見極めて面積をしぼり、質を高めることが必要。また、採光や通風を最大限に生かす窓の位置、エアコン効率のよい間取りなど、設備に頼らず熱効率をよくする工夫も大切です。暮らせます。
【Profile】
亨英さん(1973年生まれ)は設計事務所を経て、節子さん(72年生まれ)は住宅・リフォーム会社を経て、2007年に夫婦共同で事務所を設立。男女双方の目線を生かした設計が得意。
家族構成 |
夫婦+子ども2人 |
敷地面積 |
130.80㎡(39.57坪) |
建築面積 |
56.46㎡(17.08坪) |
延べ床面積 |
111.31㎡(33.67坪) 1F 54.85㎡ + 2F 56.46㎡ |
構造・工法 |
木造2階建て(軸組み工法) |
工期 |
2012年11月〜2013年5月 |
本体工事費 |
約2300万円 |
3.3㎡単価 |
約68万円 |
設計 |
悠らり建築事務所 TEL:052-871-5689 |
施工 |
㈲藤里建築工房 TEL:090-3305-8352 |
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