「ブリオッシュ」と言えば、なんとなくのビジュアルイメージは浮かぶけれど、詳しくはよくわからない!という方が多いかもしれません。
ブリオッシュはいったどんなパンで、どうやって作るのか、どんな食べ方がおいしいのか、など…。
知っているようで知らない、ブリオッシュにまつわる情報をここでチェックしてみましょう。
ブリオッシュとは?
ブリオッシュとは、パン生地の種類のひとつ。
フランス発祥の伝統的なパンで、パン生地のなかでも一番リッチな配合で作られるものと言われています。
何がどう「リッチ」なのかと言うと、その理由はバター、卵、砂糖を生地にたっぷり使うことにあります。
バター、卵、砂糖の配合については様々で、甘みが強いタイプ、甘みが少ないタイプなどいろいろ。
配合によって砂糖が多い「ブリオッシュ・シュクレ」、
バターが織り込まれた「ブリオッシュ・フィユテ」などと呼び分けます。
配合によってはパンと言うよりケーキに近くなることも。
古くは18世紀、王妃マリー・アントワネットの失言「パンがないならお菓子を食べればいいじゃない」という言葉がありますが、その「お菓子」はブリオッシュであったとも言われています。
また、 形もいろいろ。
ちょこんと丸い帽子をかぶった雪だるまみたいな形のブリオッシュが有名ですが、
丸くて大きなものや、三つ編みになったもの、王冠型、食パン型などバラエティ豊かです。
ブリオッシュの特徴
ブリオッシュはバター、卵、砂糖が贅沢に使われているだけあって、食味がリッチ。
食感はフワフワしっとり。
卵の配合が多いものなどは生地の色が黄色がかっています。
甘みがあってお菓子のようですが、食事パンとされることも珍しくありません。
フォアグラのテリーヌやクリームチーズなどとも相性がよく、
濃厚でリッチな味わいの一品として食事に華を添えてくれることもあります。
もちろん、菓子パンへのアレンジや、お菓子の素材とするにもぴったり。
実際に、ブリオッシュ生地にレーズンを入れて山型に焼いた「クグロフ」や、
シロップやラム酒などを染み込ませ、クリームやフルーツで飾る「サヴァラン」など、
ブリオッシュからお菓子に発展したものもあるほどなのです。
名前の意味は?
「ブリオッシュ」という名前について、その由来は諸説あります。
例えば、フランス・ノルマディー地方で昔使われていたノルマン語で、
「生地を捏ねる」、「砕く」などの意味をもつ「brier」から派生したと考える説などがあります。
さらに、ブリオッシュは形によっても名前が変わります。
それぞれの名前の意味は、次の通り。
◎ブリオッシュ・アテート
ポコンと帽子がのったような、雪だるまのような形のもの。
アテートは「頭」の意味。
これは中世フランスの僧侶をモチーフにした形で、フランスの寺院の儀式などに用いられたのが名前の由来と言われています。
◎ブリオッシュ・ムースリーヌ
円柱型のブリオッシュのこと。
日本の着物や長襦袢にも使われる「モスリン」という織物に例えたくなるほど、食感がやわらいかいことから名付けられたのだとか。
◎ブリオッシュ・ナンテール
食パンのように四角い形のブリオッシュ。
名前は、パリ郊外にあるナンテールという町の名前に由来します。
他のパンとの違いは?
パンのなかにはバターや砂糖、卵を使ったパンはほかにもありますよね。
では、そうしたパンとブリオッシュはどう違うのでしょうか。
チェックしてみましょう。
◎クロワッサンとの違い
クロワッサンはフランス発祥のパンで、バターなどを生地に織り込んで作るもの。
焼き上がったときにはサクサクの食感になります。
ブリオッシュはバターを生地に混ぜて捏ねるため、焼き上がりの食感はフワフワとしています。
また、クロワッサンは三日月形または菱形ですが、ブリオッシュの形は様々というところも違います。
◎デニッシュとの違い
デニッシュはデンマーク、またはオーストラリアが発祥とされるパン生地。
クロワッサンのようにバターを生地に織り込んで作るため、焼き上がりはサクサク、ザクザクとした食感なので、フワフワとしたブリオッシュとはこの点が大きく違います。
クロワッサン生地より砂糖や塩分が多い傾向がありますが、
作り手によってはクロワッサン生地と同じものを使うことも。
◎食パンとの違い
食パンは、食パンそのものの定義がはっきりしていません。
お米などの代わりに食べられる「主食用のパン」が食パンである、という考え方などがあります。
ですから食パンの種類は様々で、卵やバターを使わずシンプルな素材で作るあっさりとした食パンもあれば、ブリオッシュのように砂糖や卵、バターを使ったリッチな生地のものもあります。
ブリオッシュ生地を食パン型に入れて焼き上げた「ブリオッシュ食パン」というパンが販売されていることもあります。
ブリオッシュの基本的な作り方
ブリオッシュの基本的な作り方は次の通り。
温度管理がたいへんですが、ホームベーカリーやオーブンレンジの発酵機能を使うとカンタンにできます。
よかったら、試してみてくださいね。
◎材料(作りやすい分量)
強力粉…200g
生イースト…8g
砂糖…18~30g
塩…4g
卵…140g
無塩バター…100~120g
◎ブリオッシュの作り方
(1)バターを除き、ほかすべての材料をボウルに入れ、しっかり捏ねます。
(2)バターを溶けないように、少しずつ加えて練り込みます。
バターをすべて入れたあとも、生地を引っ張ると薄い膜が見えるほどまで生地を捏ねます。
(3)生地をまとめてボウルに入れ、ラップをかけて26~28℃くらいの場所で一次発酵させます。
発酵時間の目安は60~90分ほど。
1.5~2倍の大きさになるまで続けます。
ホームベーカリーやオーブンレンジの発酵機能を利用すると便利。
(4)生地に軽くパンチをしてガスを抜きます。
そのあと、冷蔵庫で冷たくなるまで休ませます。
(5)生地を取り出して打ち粉をしたペストリーボードの上に置き、スケッパーで好みのサイズに切り分け、成型するかバター(分量外)を塗った型に入れてラップをかけ、26~28℃くらいの場所で60分ほど置き、ニ次発酵させます。
(6)表面に塗り卵(分量外)を塗り、180~190℃に予熱したオーブンで約15~20分焼く。
ブリオッシュのアレンジレシピを紹介
ブリオッシュはそのまま食べてもおいしいのですが、アレンジができるのも魅力のひとつ。
市販のブリオッシュを使ったアレンジや、ちょっと変わったブリオッシュ生地の作り方など、アレンジレシピを3つご紹介します。
◎フレンチトースト
【材料(作りやすい分量)】
砂糖…大さじ1
生クリームもしくは牛乳…大さじ2
たまご …3個
バター…10g
ブリオッシュ(好みのパン)…適量
使うパンの種類や切り方などによって味わいが変わるのがフレンチトーストの面白いところ。
バターたっぷりのブリオッシュを使えば、濃厚リッチな味わいに仕上がります。
フライパンで両面をカリッと香ばしく、中はふわふわに焼き上げましょう。朝食にもぴったり。
◎夏はパン×アイス!煮りんごを添えて☆
【材料(4人分)】
りんご(中)1個…200~250g
砂糖…30g
バター…10g
ブリオッシュ(好みのパン)…人数分
お好きなアイス…人数分
はちみつやシロップ…適量
カフェなどで見かける温かいブリオッシュと冷たいアイスと相性抜群のコンビ。
ブリオッシュとアイスを準備すれば、自宅でも楽しむことができます。
アイスだけでもいいのですが、手作りの煮りんごを添えてワンランクアップさせてみましょう。
りんごは皮ごと使って見た目も可愛く。
2018.08.01こんにちは。パン教室BlueBearBreadsです☆今年は夏を迎えてから、猛暑が続いていますね。毎年夏になると教室でおすすめしているのが、パン×アイスの食べ方です。レストランやカフェでも、アイスがのったハニートーストをよ...続きを見る
◎Pretzel bread
【材料(4個分)】
準強力粉…180g
強力粉…20g
イースト…4g
グラニュー糖…20g
お塩…3g
全卵…60g
牛乳…60g
ヨーグルト…20g
バター…24g
ドライクランベリー…60g
レーズン…20g
[トッピング&仕上げ]
ザラメ ・アーモンドスライス・粉糖…各適
生地から作るアレンジレシピ。
ブリオッシュ系のリッチな生地に真っ赤なクランベリーとレーズンを合わせ、プレッツェル風に焼きます。
生地はサクッとほどよい食感。
トッピングにザラメとアーモンドを振ってシュクレっぽく仕上げ、おめかしすればプレゼントにもなりそうです。
2018.12.20?Xmasをイメージして作りました?ブリオッシュ系のリッチな生地に真っ赤なクランベリーとレーズンを合わせて ?プレッツェル風に焼きました? ベースに準強力粉を使った サクッと程よい食感です?トッピ...続きを見る
まとめ
バターや卵、砂糖が豊富でリッチな味わいのブリオッシュ。
いろいろな形のものがあり、食べ方も幅広いことがわかりましたよね。
ときには家庭で取り入れて、食卓やおやつをますますリッチに演出してみてはいかがでしょうか。
取材・文/北浦芙三子
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