わらび、ぜんまい、ふきのとう、たらの芽など…食卓に季節感を届けてくれる山菜。
でも、料理しようと思うと、ちょっと扱うのが面倒に感じたことはありませんか?
「そもそも、山菜のことはよく知らない…」という人も多いのではないでしょうか。
そこで、山菜の基礎情報から料理するときの下処理、レシピ、保存方法などをまとめてみました。
知っている人もおさらいをかねて、チェックしてみてくださいね♪
山菜とは?
「山菜」とは本来、食べることができる植物のなかで、山野で自力で育っている植物のこと。
これに対して、畑でヒトが食用に栽培している植物が「野菜」です。
ただし最近では、山菜に分類されている植物でも、栽培されるものが増えてきました。
野菜なら、ヒトの工夫次第である程度は量を増やしたり、品種改良をしたり、ハウス栽培などによって出荷時期を広げたりすることができますよね。
でも、山菜の場合は基本的に自然のなかで育つので、収穫時期は限定的。
収穫数も野菜に比べると、ごくわずかになります。
また、山菜と言えば、味の特徴はほろ苦さ。
あのほろ苦さは実は、山菜が山野で強く生きるために身に付けている武器とも言えるもの。
例えば、「たらの芽」や「ぜんまい」のように山菜の多くは、植物の若い芽です。
これから大きく育つために、外敵から自分で身を守る必要があります。
そこで備えているのが、苦みやえぐみ。
口にするとペッと吐き出したくなるので、外敵は二度と襲ってこなくなる!という仕組みなのです。
この苦み、えぐみは「アク」であり、ヒトも山菜を食べるときには下処理で取り除きます。
ですが、ほのかに残った苦みは滋味深さとなって、山菜独自の魅力ともなっているのです。
では、山菜について、さらに詳しく見ていきましょう!
山菜の種類
山菜の歴史は古く、日本最古の歌集「万葉集」には27種類もの山菜が登場しています。
数はさらに増え続け、今では山菜の種類はなんと300種以上!
山菜という名前から、山里に生えているようなイメージもありますが、山林部はもちろん、都会や海の近くにも自生していることがあります。
なかでもポピュラーな山菜を5つピックアップしました。
◎たらの芽
タラノキの芽、ということで「タラの芽」。雑木林の日当たりのいいところに育ちます。
「山菜の王様」とも呼ばれるほど、風味がよく、うまみがあり、苦味は少ないので、山菜が苦手な人でもおいしく食べられます。
収穫時期は3~4月初旬。
たらの芽といえば、やっぱり天ぷら!ほかにも胡麻和え、油との相性がいいので炒め物やパスタなど洋風の味付けにもマッチします。
◎ふきのとう
春の訪れを知らせるように、いち早く顔を出す山菜として知られるのが、ふきのとう。
実は11月ごろには芽が出ていて、雪をかぶることでやわらかくなります。
収穫は雪解け後の2月頃~5月です。
人気の料理といえば、天ぷら。ほかにも、刻んで味噌や砂糖と一緒に煮詰めたふきのとう味噌、醤油と砂糖でさっと煮て佃煮にしてもおいしいです。
◎わらび
シダ類の一種で日当たりのいいところに群生し、葉が開く前の若芽を食べます。種類にもよりますが、雑木林の中など日陰のほうがやわらかいわらびが育ちます。
収穫時期は4~5月。
歯ざわりがよく、とろみがあるので、採りたてをアク抜きしてからお浸しで食べるのが一番です。そのほか、煮物、漬物、天ぷら、炊き込みご飯の具にもよく合います。
◎ぜんまい
ぜんまいは、土から顔を出し、幼葉を渦巻状に巻いた状態で伸びてきます。この幼葉がワタ状の繊維で覆われているのが大きな特徴です。干したものを水で戻してから煮物にして食べるのが一般的で、スーパーなどでは水煮として売られているのをよく見かけますよね。
収穫時期は4~5月。
煮物、ナムル、炊き込みご飯など、幅広く使えます。
◎行者にんにく
にんにくに似た香りや辛みがあり、強壮作用があります。
名前の由来は、奥山で修業中の行者が体力を付けるために食べたことから、とする説も。
収穫時期は4~5月。
醤油漬け、酢の物、ぬた、餃子、炒め物などの具にしても。北海道ではジンギスカンと一緒に焼いて食べるのがポピュラーだそうですよ。
山菜の下処理方法
山菜は成長するために、えぐみ、苦みを備えています。
これは「アク」とも呼ばれるもので、おいしく食べるためにはアクを抜く下処理が必要です。
山菜の下処理方法は種類によって異なりますが、基本的なものは次の通り。
◎皮をむく、根元を切る
アク抜きをする前に、皮や根元、ハカマなど食べられない部分を切り落とします。
◎茹でる
沸騰した2%の塩水に入れて茹でることでアクが抜けます。茹でた後は冷水で冷やします。
山菜の魅力はほろ苦さにあります。あまり長く茹ですぎると食感や味が損なわれますのでご注意を。
◎重曹を使う
わらびのアク抜きは重曹を使うと短時間でできます。大きな鍋や容器にわらびを入れ、少量の重曹とともにわらびが隠れる量まで熱湯をかけ、半日からひと晩おきます。ときどき様子を見ながら、食べてみて、えぐみがなければお湯を捨てて冷水にさらしてアク抜き完了です。
▼分量の目安
・わらび:約500g
・熱湯:約1リットル(わらびの倍の量)
・重曹:小さじ1~2
重曹が多すぎると、わらびが溶けておいしくなくなるので要注意。不安のときは重曹を少なめにして、あとは水にさらしてアク抜きすることをおすすめします。
◎アク抜きがいらない場合も
「行者にんにく」などアクが少ない山菜は、アク抜きせずに薄皮をむいたり、不要な部分をカットしたりしたら、すぐに茹でたり炒めたりして調理できます。
また、たらの芽やふきのとうなども天ぷらにするなら、アク抜きが不要。
山菜の適切な保存方法は?
保存方法についても、チェックしておきましょう。
基本的には山菜は日持ちがしないので、その日のうちに下処理を始めたり、すぐに食べたりするのがおすすめ。でも、食べ切れないときには次のような方法で保存できますよ。
◎冷蔵庫で保存
基本は、山菜を新聞紙に包んで冷蔵庫の野菜室へ。
ただし、ゼンマイの場合は、下処理で茹でるときに、茹でたあとそのまま水に浸して冷蔵庫へ入れ、水を毎日交換すれば1週間ほど保存することができます。
◎長期の場合は冷凍保存
茹でて下処理を終えたものは、冷凍庫で保存することもできます。
ただし、新鮮なものより食感や香りは落ちてしまいます。
山菜を使ったレシピをご紹介
最後に、山菜を使った定番メニュー、山菜おこわ、山菜そば、山菜の天ぷらについて、おすすめのレシピをご紹介します。
いずれのレシピも茹でてアク抜きをした下処理済みの山菜を使うもの。
市販されている山菜の水煮を使ってもよし。
生の山菜を下処理したものならさらに風味豊かに作れますよ♪
ぜひ作ってみてくださいね。
◎美容と健康をサポート!雑穀レシピ♪【山菜おこわ】
【材料(2人分)】
雑穀米(デトッ穀キレイノモトブレンド)…1/4合(40g)
もち米…1合(150g)
山菜(水煮)…50g
油あげ…1/2枚
白だし…25㏄
自然塩…小さじ1/4
山菜おこわだなんて料理中級者向け?と思っていたら、実はカンタン。
山菜を水煮にまでできていれば、あとは水切りをして、吸水させたお米やほかの材料と一緒に炊き込むだけでOKです。
白だしと雑穀米を利用すれば、おこわの色合いもアップするのでおすすめ。
2019.05.10白だしを使用すると雑穀の色もとってもキレイ!調理も簡単です。 ポリフェノールなどの栄養を重視したい場合は、雑穀の浸した水を捨てずに炊飯時に使用してください。 ・レシピ作成:雑穀クリエイター/持田怜美・料理作成・フォト:美容...続きを見る
◎今年をおいしく締めくくる年越しそば「山菜そば」
【材料(1人分)】
冷凍そば(冷凍「日本そば」)…1玉
山菜(水煮)…1/2袋(50g)
油揚げ(細切り)…1/4枚
水…300cc
めんつゆ(希釈タイプ)…適量
七味唐辛子…好みで
山菜そばも、山菜の水煮があればカンタン。
つゆと山菜の水煮、油揚げを鍋に入れてひと煮立ちすればつゆの準備はOKです。
レンジ調理ができる冷凍そばを使えば、そばを茹でる手間もなし。
器にそば、温めたつゆを盛り付けて完成!
家庭で作れば、具沢山にできるのもうれしいですね♪。
2015.12.30今回は年越しそば「山菜そば」のレシピを紹介します。冷凍そばならレンジ調理できるので、ちょっと目を離していたら伸びてしまった、なんていう失敗もナシ。おいしいおそばで年越しできますよ。そして、新しい年が明けたら「年明けうどん」...続きを見る
◎大人のお味?サクッとおいしいフキノトウのフリット!
【材料(2人分)】
山菜(ふきのとうなど)…6個
もち粉…30g
パルミジャーノ…15g~
水…大さじ3
揚げオイル…適量
塩…少々
黒コショウ…少々
フリットはイタリアのフライ料理。
天ぷらとは衣が少し違うのですが、具材によってはこんな衣もおすすめです。
このレシピでは衣にもち粉、パルミジャーノチーズを使うのがポイント。
パルミジャーノのコクと香りがふきのとうの苦みを和らげ、サクッと揚がります。
ワインにもぴったり!
2018.04.18まさに春を告げる山菜の一つ ふきのとう・・・天ぷらや 味噌と合えるふき味噌が一般的ですね。その独特の香りと苦みが好き嫌いを分けるところでしょうか・・・私は好きです~今回は ふきのとうのフリットフリットはイタリアのフライ料理...続きを見る
まとめ
山菜は下処置が面倒なイメージがありますが、慣れてしまえば意外と気軽に扱えるかも?!
季節感たっぷりな食材なので、これからも積極的に取り入れていきたいですね。
まずは下処理が簡単な山菜メニューから挑戦してみてはいかがでしょうか。
取材・文/北浦芙三子
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