米粉は料理やお菓子作りに人気の素材です。
米粉パンに米粉クッキー、ベトナム料理のフォーなどなど。
でも、小麦粉に比べて販売店が少ないし、お値段がちょっと高いというのが難点ですよね。
ここで朗報! 実は米粉は家庭でも手作りすることができるのです。
米粉人気の秘密を探りつつ、米粉の作り方や米粉を使った料理&スイーツのレシピをチェックしてみましょう。
米粉が何なのか知りたい
まず、米粉とはどんなものなのか、おさらいしてみましょう。
米粉とは、お米を細かくして粉状にしたもの。
お米を粉状にすることで、炊飯をして「ごはん」として食べるだけでなく、いろいろな使い方ができるようになります。よく似たものに、小麦の粒を粉にした小麦粉がありますよね。
小麦粉は粉状になっていることで、パンやケーキ、揚げ物料理、麺などに幅広く使うことができます。
米粉もそれと同様。米粉パン、米粉クッキー、米粉ケーキ、米粉を衣に使ったフライ、米粉の餃子など、いろいろな食べ物を米粉で作ることができるのです。
ちなみに、白玉粉や上新粉なども米粉の一種です。
白玉粉、もち粉、道明寺粉はもち米から作る米粉。
上新粉はうるち米から作る米粉。
どんなお米を使うかによって、米粉の仕上がりや用途は変わってくるというわけです。
ところで、米粉そのものは日本では奈良時代から存在していたのですが、最近になって注目を集めるようになっています。
とくに小麦粉の代用品として、米粉を使うことが増えているようです。
どうしてなのでしょうか。
では、そんな気になる米粉人気の秘密について、続けて見ていきましょう。
米粉を使うメリットが知りたい
米粉と小麦粉を比べると、小麦粉のほうが扱っている販売店が多く、価格が手ごろなものが流通しています。
それでも、米粉を使う人がたくさんいるのは、おそらく、米粉を使いたくなる理由があるからでしょう。
米粉を使うことのメリットについて考えてみると、次のようなポイントがあるようです。
アレルギーの人でも食べやすい
小麦粉にはたんぱく質の一種「グルテン」が含まれていますが、
これはアレルギーの原因になることがある成分。
グルテンによるアレルギーを持つ人は、小麦粉を使った食べ物を避け続けることになります。
例えば、パンやケーキ、カレー、麺料理など…。
これはとても辛いことですよね!
そこで米粉の出番。
お米にはグルテンが含まれていないので、小麦粉を米粉に置き換えることができれば、
食べられるものの範囲がぐんと広がるのです。
もちもち、サクサクとした食感
実は近年、製菓用の微細米粉が市販されるようになったのだとか。
米粉で作れるメニューの幅が広がったので、米粉の人気がますますアップしたのかもしれませんね。
米粉は水分を吸収しやすいので、パンやケーキにするともちもちした食感に。
また、油の吸収率が小麦粉よりも低いので、天ぷらなどの衣に使えば、サクサクとした仕上がりになります。
小麦粉とはまた違う食感が楽しめるのが魅力。
ダマになりにくい
米粉は小麦粉のように、カレーやホワイトソースのとろみ付けに使うことができます。
しかも、グルテンが入っていないため、小麦粉よりもダマになりにくいというメリットも。
お米の栄養素が摂取できる
お米には炭水化物、たんぱく質、脂質、ビタミンB1、食物繊維などが含まれています。
米粉にすることでも、そうした栄養素をほぼ変わりなく摂取することができます。
なかには「炊飯したごはんが好きではない」という人もいると思いますが、
お米の栄養を摂ってほしいときには米粉パンなどで口にする、という方法が取るのもいいかもしれません。
米粉の作り方が知りたい
だんだん米粉の良さがわかってきましたよね。
でも、小麦粉よりも高い価格や、調達しにくい点はやっぱり気になるところ。
そこで、今回ご紹介したいのが、家庭で米粉を作る方法です。
お米と、家庭によくある道具さえあればカンタンに作れるので、ぜひ試してみてくださいね!
用意するもの
・お米(使い切りやすい分量。お米2合で、できあがりの米粉は350g程度)
・ボウル
・ザル
・ミルミキサー(またはフードプロセッサーなど)
・電子レンジ
米粉の作り方
(1)お水に浸す
炊飯するときと同様に、あらかじめお米をよく研ぎ、お水に2時間以上浸しておきます。
米粉を作る前日から浸しておいてもOK。
(2)乾燥させる
浸水させておいたお米ザルに上げ、半日からひと晩ほどそのまま置いて乾かします。
(3)水分を飛ばす
お米の水分をしっかり飛ばすために、さらに電子レンジで加熱します。
お米を指で押し、粒が潰れるくらいまで加熱をしましょう。加熱後はしばらく置いてお米を冷まします。
※加熱時間の目安は、お米2合なら500Wの電子レンジで1~2分程度ですが、機種やお米の量によって異なるので調整してくださいね。
(4)細かい粉にする
ミルミキサーで細かく挽き、粉状にします。
一度に大量に入れるとミルミキサーに負担にかかり、刃が回らなくなることがあるので、数回に分けて挽くのがおすすめ。
ミルミキサーがなければフードプロセッサーやコーヒーミルで代用できます。
もしくは、すり鉢とすりこぎでもお米を砕くことができますが、
粒が粗くなりやすいので仕上げにふるいにかけて細かくするとよいでしょう。
米粉を作るのはどの器具を使うのが適しているのか知りたい
米粉を作るときの器具についても、ポイントを整理しておきましょう。
先ほどご紹介した「米粉の作り方」のなかでも、大事なのは、やはり最後の「細かい粉にする」という工程。
ここでどんな器具を使えばよいのか、知っておきたいですよね! 作りたい料理・スイーツ別に考えてみましょう。
パン・ケーキ・麺・ホワイトソース・たこ焼きなど
パンやケーキのように、ふんわりとした食感に仕上げるためには、粒子が微細な米粉を使いたいもの。
また、麺やホワイトソースをなめらかに作るにも、微細な米粉がぴったりです。
こうした米粉を作るには、一般的な家庭用ミルミキサーではうまくいかないこともあり、かなり細かく挽けるタイプのものがおすすめ。お手持ちの
ミルミキサーでは粒子が細かくなりにくいときは、
米粉作りを意識した強力タイプのミル製品が市販されていますので、取り入れるのもよいかもしれません。
もち・団子
和菓子作りに使われる上新粉は、市販されている微細米粉の粒の3倍ほどの大きさなのだとか。
粒度が適度にい米粉のほうが、おもちや断固はまとまりがよいので作りやすいようです。
家庭用のミルミキサーやフードプロセッサーでほどほどに細かく挽いてみてはいかがでしょうか。
天ぷら・唐揚げなど
天ぷらや唐揚げの衣も、粒子が多少粗い米粉でも十分においしく作れます。
家庭用の一般的なミルミキサーやフードプロセッサーを使うとちょうどよさそうです。
クッキー
水分が少ないお菓子なら、粒子が粗い米粉でもおいしく作れます。とくにクッキーをザクザクとした食感にしたいときは、あえて粒子を粗くするのもひとつの手。フードプロセッサーのほうが作るのは楽ですが、もしなければ、すり鉢とすりこぎを使って手で挽いてもよいでしょう。
米粉は無洗米や玄米でも作れるのか知りたい
さて、米粉の作り方がわかったところで、ちょっと気になるのが使うお米の種類。
とりわけ、無洗米や玄米でも作れるのか、チェックしておきましょう!
無洗米で作る場合
無洗米でも米粉を作ることはできます。
しかも、通常の精米よりもさらにカンタンにれるので、おすすめですよ♪
無洗米の場合は、第3章でお伝えした「米粉の作り方」のうち、お米を砥いだり乾燥させたりする工程を省くことができます。
無洗米の表面に付いている汚れなどが気になる人は、無洗米を軽くゆすいでザルに上げ、水分を切ってからミルミキサーにかけてもよいでしょう。
玄米で作る場合
玄米は、精白米よりもビタミンやミネラル、食物繊維が豊富ですし、米粉にすることができたらうれしいですよね。
粒のままで炊飯して食べるより、粒子の細かい米粉にすれば消化吸収もよくなることが期待できます。
そんなふうに玄米の米粉は魅力的なので、すでに「玄米粉」として市販されています。
もちろん、家庭で作ることができますよ♪
第3章でお伝えした「米粉の作り方」のお米を玄米に置き換えればOKです。
ただし、玄米に含まれる発芽抑制因子「アブシジン酸」が気になる人は、ひと手間をプラスしてみましょう。
玄米に含まれる「アブシジン酸」は活性酸素を作り出して、体によくない影響を与える毒素と言われています。
これを防ぐには、しっかりと水に浸すことが大事。
3~6時間ぐらい水に浸して水を換え、1、2日ほど浸水させましょう。こうすることで、玄米が発芽し、発芽玄米となればアブシジン酸は無毒化するそうです。
米粉を作る際に便利な道具が知りたい
米粉を作るときには、ミルやフードプロセッサーなどのほかに、ボウルとザルは必須。
粉を細かくふるう「ふるい」もあるといいですね。
ほかにも、次のような道具があると便利です。
保存容器
でき上がった米粉は、瓶やタッパーなどに入れて冷蔵庫で保存します。
密閉できるタイプの保存容器があるとよいでしょう。
ただし、自家製の米粉は日持ちがしないのでご注意を。
クッキングシート
米粉を乾燥させるときには、きれいな紙の上に広げることができると便利。
清潔なクッキングシートなどがよいかもしれません。
すり鉢
ミルやフードプロセッサーでお米を細かく挽いた場合でも、細かくできなかったお米の粒がいくつか出てくることがあります。
そんなときには、すり鉢とすりこぎを使って細かくすり潰してあげるとスムーズ。
木べらやスパチュラ
ミルミキサーやフードプロセッサーでお米を砕いているとき、お米同士が固まってしまうことがあります。
数回に分けて砕くとき、途中で容器のふたを開けてスパチュラや木べらなどでお米をほぐすとよいでしょう。
米粉を使う時の注意点が知りたい
米粉にはメリットがたくさんありますし、家庭で作れるのはうれしいですよね。
でも、米粉を使うときには注意したいことがいくつかあります。
まず、大事なのが、自家製の米粉はあまり日持ちがしない、ということ。
業務用の器具で造られている市販の米粉とは違って、家庭ではお米の水分を完璧に飛ばすことはできません。
粉にした時から、米粉の劣化が進んでしまうので、なるべくすぐに使いましょう。
ですから、自家製の米粉を使うときは、少量ずつ作るようにするのがポイント。
残ってしまったら密閉できる保存容器に入れて冷蔵庫へ。2~3日以内に使い切ってくださいね。
また、グルテンによるアレルギーが心配な人は、市販の米粉を使うときには細心の注意が必要です。
お米にはグルテンが含まれていないのですが、市販されている米粉のなかには小麦粉がミックスされているものもあります。
なぜなら、小麦粉を少し配合したほうが、お米100%のものより調理しやすい場合があるからです。
100%お米で作る自家製の米粉ならよいのですが、市販の米粉を買うときは原材料やアレルギー関連表示をチェックするのを忘れないようにしましょう。
米粉を使ったレシピが知りたい
最後に米粉を使って作れる料理やスイーツのレシピを6つご紹介します。
ハンバーグや唐揚げ、シチュー、たこ焼き、パン、チーズケーキ…と、子どもも大人もきっと大好きなメニューを集めてみました!
米を作ったときはもちろん、市販の米粉が手に入ったときなどにも、よかったら作ってみてくださいね。
昆布入り和風ハンバーグ
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【材料(4個分)】
合い挽き肉…200g
玉ねぎ…1/2個
残り昆布…50g
塩麹…大さじ1
こしょう…少々
米粉…大さじ2
サラダ油…大さじ1
大根おろし…適量
大葉…適量
小麦・卵・乳製品不使用のハンバーグ。
卵を使わず米粉で具材をつなぐので、卵アレルギーなどが原因で我慢していたハンバーグも、このレシピで作れば食べることができます。
だしがらの昆布を細かく刻んでお肉と混ぜてしまうので、昆布の存在感が目立ち過ぎないのもいいところ。
米粉で作る☆出汁風味の鶏のから揚げ
【材料(作りやすい分量)】
鶏もも肉(鶏むね肉でもOK)…350g
塩麹…大さじ2
出汁の粉…1袋(8g)
米粉…30g
片栗粉…5g
水…65g
揚げ油…適量
市販の出汁パックならから取る出汁の粉と塩麹に鶏肉を漬け込んで、唐揚げに。
だしの風味がするジューシーなから揚げです。
衣は米粉を使って、小麦・卵・乳不使用。ただし、出汁の粉にはいろいろなものがあるので、アレルギーが気になるときは原材料を確認してみてくださいね。
2017.07.18出汁の粉と塩麹に鶏肉を漬け込んで、から揚げにしました!だし風味のするジューシーなから揚げです。小麦・卵・乳不使用です。アレルギーっこもOK。続きを見る
蒸し春野菜の米粉でソイシチュー
【材料(4人分)】
新じゃが(大)…2個
新玉ねぎ…1個
にんじん…1本
蕾菜…3個
米粉…大さじ3と1/2
豆乳…300cc
水…450cc
こめ油…大さじ1
白味噌…大さじ2
味塩胡椒…小さじ1/2
ヒマラヤ岩塩…適量
小麦粉や市販のルーを使わずに、米粉でとろみをつけたホワイトソースがポイント。
新たまねぎを煮込み、米粉、豆乳で作ったホワイトソースに、フライパンで蒸した春の野菜を盛り付けて完成です。
あっさりめのホワイトソースだから、野菜の甘さや苦味などがしっかり楽しめますよ。
2019.03.06春野菜が美味しい季節です。今回は新たまねぎを煮込んだ、米粉、豆乳で作ったホワイトソースにフライパンで蒸した春の野菜を盛り付けます。新じゃがや新たまねぎのみずみずしさ、にんじんの甘さと蕾菜の程よい苦味がバランスよくお楽しみい...続きを見る
米粉のたこ焼き
【材料(12個分)】
米粉…100g
やまいも…80g
昆布水(またはだし汁)…190cc
かつおぶし…5g
万能ねぎ…4本くらい
たこ…80gくらい
サラダ油…適量
米粉で作るたこ焼きのレシピ。小麦粉はもちろん、卵や乳製品も不使用です。
焼くときには時々表面に油を塗ることで、「外カリカリ」のたこ焼きに仕上げましょう。
米粉の種類によって吸収する水分量が変わってくるので、生地がゆるいと感じた場合は米粉を少し追加しましょう。
2018.04.27米粉で作るたこ焼きのレシピです。小麦・卵・乳不使用なのでアレルギーっこもOK!みんなで一緒に食べれるたこ焼きです♪ちなみに表面をカリカリに焼くとよりおいしいです(*^^*)続きを見る
もちもち美味しい♪じゃがいもの米粉ポンデケージョ
【材料(10個分)】
じゃがいも…200g
米粉…30g
片栗粉…10g
塩…1g
水…10g
米油(サラダ油OK)…10g
ヴィーガンシュレッド…30g
小麦粉の代わりに米粉を使って作るポンデケージョ。
植物由来の原料をベースに作った、ヴィーガン対応のチーズ代替品「ヴィーガンシュレッド」を使用しているのもポイントです。
米粉パンならではの、もちもち食感がたまらないおいしさ。
子どものおやつにおすすめです♪
2017.05.26ヴィーガンシュレッド入りのじゃがいもで作ったポンデケージョです。小麦・卵・乳不使用。アレルギーっこOK!ヴィーガンシュレッド入りでミルキーなポンデケージョになりました!こどものおやつにおススメ☆続きを見る
ふわシュワしっとり~♪水切りなしヨーグルト&米粉で 半熟スフレチーズケーキ
【材料(直径18cmの型1台分)】
プレーンヨーグルト…300g
卵…3個
きび砂糖…50g
米粉…30g
話題の半熟スフレチーズケーキを水切りなしヨーグルト&米粉で作りましょう。
ふわふわシュワシュワ、しっとりとした食感で食べ応えがあります。
メレンゲを壊さないようにふんわり混ぜるのがポイント。
微細タイプの米粉を使えば、ダマになりにくいので素早く生地がなじみますよ。
2019.07.02話題の半熟スフレチーズケーキを水切りなしヨーグルト&米粉で作ってみました。すっごい軽い仕上がりなの。でもふわシュワしっとり~な食感で食べた感があります!続きを見る
まとめ
米粉は、家庭にある器具や道具を使って、カンタンに作れるのですね! もちもち食感のパンやケーキ、サクサクとした揚げ物など、これからは米粉を使った料理やスイーツもたくさん手作りして、暮らしをますます楽しんでくださいね。
参考:文部科学省「食品成分データベース」(https://fooddb.mext.go.jp/)
取材・文/北浦芙三子
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