独特の香りが食欲をそそる「ごま油」。健康効果も注目されて、普段から愛用している人も多いですよね。
そのごま油、実は種類がいくつかあって、好みによって選ぶことができるんです。ここでは、ごま油のカロリーや栄養などの基本的な情報から、おすすめのごま油商品、人気レシピまでをまとめてご紹介します。
ごま油とは?
まずは、ごま油の基本情報からチェックしてみましょう。
ごま油とはゴマ科のゴマ種子、いわゆる「ゴマ」を原料とする油のこと。植物を原料とする食用油には「なたね油」や「べに花油」などいろいろなものがありますが、ごま油もそのうちのひとつ。ゴマには油分が約50%とたっぷり含まれていることから、古くからごま油が製造されていたそうです。
ごま油の作り方は、大昔からそれほど変わっていないと言われています。古代には、ゴマを焙煎してすり潰したものをお湯の中に入れ、浮いてきた油を取り出す方法がすでに確立されていたとか。主に中国でこの方法が採用されていたと伝わります。
その後、江戸時代にはゴマを焙煎したあと、お湯を使わない製法が主流になります。お湯に入れる代わりに圧力をかけ、にじんできた油を採取する方法が採られるようになったのだそうです。これは「圧搾製法」と呼ばれるもの。そのほか、化学溶剤を使って効率よく搾油する「抽出法」という方法があります。
ごま油の種類は?
ひと口に「ごま油」と言っても、いろいろな種類があります。例えば、原料となるゴマがどこで生産されたのかによって仕上がりが変わるそう。また、ゴマの種類や焙煎や搾油の方法などによっても、ごま油の色や香りに違いが出ます。大まかな分類は次の通りです。
◎原料の違い
原料の違いで、次のように分類できます。ちなみに、よく似た名前の植物油に「えごま油」がありますが、こちらはシソ科のエゴマ種子を原料としているのでごま油とは別物です。
・純正ごま油
原料はゴマ100%。ゴマには白ごま、黒ごまなどがありますが、1種類にしたり組み合わせて使ったり、その配合によっても風味や味わいが異なります。
・調合ごま油
原料はゴマを基本にしながら、大豆やナタネなどほかの植物から搾った油をブレンドしたものです。
◎焙煎の度合いによる分類
原料のゴマを焙煎するかしないか、焙煎するとすればどの程度行うか。その度合いによって次のように分類されることができます。
・太白ごま油
ゴマ種子を焙煎することなく、生のまま油を搾り取るもの。透明に近い色。独自の香りがなく、味もまろやかなので幅広い料理に使えます。
・純正ごま油(淡口タイプ)
ゴマ種子を浅く焙煎してから油を搾るもの。ごま油独自の香りはあるものの、やわらか。琥珀色のような茶系ではありますが、色合いは淡めです。揚げ物、炒め物、ドレッシングなどいろいろな料理に活用できます。
・純正ごま油(濃口タイプ)
ゴマ種子を深く焙煎してから油を搾るもの。色が濃く、香りが強いごま油です。中華料理をはじめとする料理の香りづけにも使われます。こうした色や香りは、ゴマ種子中の成分が熱で分解されて出てくるもので、焙煎の温度や長さによって度合いが変わります。
ごま油のカロリーは?
健康によい成分が含まれていることから、ヘルシーなイメージがあるごま油。そうは言っても油脂のひとつですから、カロリーは低いとは言えません。文部科学省の食品成分データベースによると、ごま油100g当たりのカロリー(エネルギー)は、921kcal。これはオリーブ油、なたね油、えごま油と同じです。
ごま大さじ1杯は13g程度でカロリーは120kcalほど。ご飯をお茶わん1/2杯程度ですので、なかなかの高カロリーですよね。いくら健康によいとは言え、ダイエット中のときなどは摂り過ぎには注意したいところ。
ごま油の栄養について知りたい!
文部科学省の食品成分データベースによると、ごま油100g当たりの成分は脂質が100gで、その他の成分はごくわずか。「脂質ばかり」と思うとハイカロリーな点が気になりますが、ごま油の脂質の8割は健康によい脂質。だから、ごま油は健康的なイメージがあるのですね。では、もう少し詳しく見ていきましょう。
◎リノール酸とオレイン酸
ごま油の脂質はリノール酸とオレイン酸の合計が8割以上を占めます。この2種類の脂質は健康によい脂質として知られています。
まず、「リノール酸」はヒトが体内で作ることができず、食べ物から摂取することが求められる必須脂肪酸の一種。体内の組織を正しく機能させたり、血液中のコレステロール上昇を抑えたりする働きがあると考えられています。
もう1つの主成分「オレイン酸」は、体内のコレステロールの状態を改善するのに効果が期待できます。コレステロールにはHDL(善玉)とLDL(悪玉)がありますが、オレイン酸はHDL(善玉)コレステロールは維持し、LDL(悪玉)コレステロールだけを減らす働きがあるのです。
◎ゴマリグナンが活性酸素を除去
過剰に摂取すると体内を酸化させて老化を引き起こす「活性酸素」は、女性としては注意したい成分ですよね。その「活性酸素」が余分に体内に入ったとき、余剰分を取り除いてくれるのが「抗酸化物質」です。
ゴマには特有の成分として「ゴマリグナン」が含まれているのですが、これも「抗酸化物質」の一種。ごま油にも「ゴマリグナン」は0.5~1%ほど含まれています。
ごま油の選び方は?
健康によい効果が期待できるごま油。種類もいろいろあるのですが、いざ、買うとなったらどれを選べばよいのでしょうか。選ぶときのポイントをチェックしてみましょう。
◎焙煎の度合いはどうか
先にお話しした通り、ごま油には原料となるゴマを焙煎したものと、していないものがあります。焙煎の度合いは香りの違いを左右するもの。ナムルを作るときのように、ごま油の香りや風味を強めに効かせたいときにはしっかり焙煎されたものを。
逆に、幅広く使えるように香り控えめなものがほしいときには、焙煎度合いが軽い淡口タイプか、焙煎がされていない「太白ごま油」を選ぶのもいいですね。
◎圧搾製法か抽出法か
ごま油は、ごまに圧力をかけてにじんできた油を採取する「圧搾製法」と、化学溶剤を使って効率よく搾油する「抽出法」の2種類の製法のどちらかで作られるのが一般的。メーカーや商品によっても異なりますが、圧搾製法のごま油のほうが、体にやさしく、ゴマ本来の味と香りが感じられるとする考え方もあります。
◎卓上に置くかどうか
ごま油は調理中に使うだけでなく、食べる人が卓上で「ちょいがけ」することもありますよね。もし、卓上に置くことがありそうなら、小さめのボトルのものを選ぶとスマート。最近では1滴ずつ押し出せて酸化防止機能も備えたボトルタイプもありますので、使い方が合わせて選ぶのがいいでしょう。
ごま油のおすすめが知りたい!
ごま油を選ぶポイントがわかったら、「じゃあ、具体的にどのごま油が人気なの?」と気になるところ。そこで、大手通販サイト、Amazonの売れ筋トップ10のごま油をご紹介します。(2020年1月31日現在)
◎第1位 マルホン 太白胡麻油 1650g
精選したゴマを煎らずに生のまま搾ることで、ごま油独自の色と香りを抑えた一品。香りに邪魔されることなく、和・洋・中のどんな料理に合いやすい普段使いのオイルです。シフォンケーキなどのスイーツの材料にも。
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◎第2位 かどや 純正 ごま油 200g
純正ごま油ではAmazonランキングトップの人気。ゴマを香ばしく煎り上げ、丁寧に搾った香り高い味わいです。安政5年創業の老舗メーカーが、伝統製法を活かし作り続けるロングセラー商品です。炒め物や揚げものなどにも。
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◎第3位 九鬼 純正胡麻油こいくち 600g
「こいくち」の名称通り、ゴマを強く焙煎し、力強いコクと香りのごま油に仕上げた純正胡麻油。麻婆豆腐やチャーハン、野菜炒めなどの香り付けや焼肉のタレ、ナムルやスープの仕上げなど中華料理・韓国料理にぴったりです。
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◎第4位 かどや 銀印ごま油 1650g
良質のごまを香ばしく煎って搾油した、純正ごま油。風味が強く、ゴマ特有の芳醇な香味づけとしてひと役買ってくれますよ。とくに中華料理や焼き肉などにおすすめ。大容量のポリボトルで扱いやすくコスパがいいのもポイント。
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◎第5位 九鬼 太白純正胡麻油 600g
ゴマを焙煎せずに搾油する太白ごま油のなかでも、こちらは厳選した良質のゴマを原料に使用。低温圧搾法で絞ったごま油です。色や香りがないので、オリーブオイルのように料理やスイーツ作りに広く活躍します。使いやすいペットボトルタイプ。
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◎第6位 かどや 純正ごま油濃口(PET)600g
ゴマを香ばしく煎り上げ、丁寧に搾った純正タイプのごま油。家庭用タイプより焙煎をさらに強くした業務用スタンダード商品で香り高さが魅力。炒め物をはじめ、中華料理や揚げ物などごま油の香りをより強く感じたい調理にどうぞ。
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◎第7位 九鬼 ヤマシチ純正胡麻油 340g
明治19年創業のごまの総合メーカーが、伝統の屋号「ヤマシチ」と命名した逸品。厳選した良質の胡麻をほどよく煎り、圧搾法で絞ったごま油です。味はまろやか、香りは軽く、和風料理にも使いやすい汎用性の高さが魅力。
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◎第8位 九鬼 太白純正胡麻油 1600g
第5位で登場した九鬼 太白純正胡麻油の大容量タイプ。とくに厳選した良質のゴマを焙煎せずに、低温圧搾法で絞ったごま油です。色や香りがなく、ゴマのうま味を感じられるのが魅力。幅広い料理やスイーツ作りなどにたっぷり使えます。
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◎第9位 九鬼 太白純正胡麻油 340g
第5位、第8位にランクインしている九鬼 太白純正胡麻油のミニ瓶タイプ。厳選した良質の胡麻を煎らずに低温圧搾しているので、色や香りはなく、料理やスイーツ作りに広く使えます。卓上に置いて、オリーブオイルのように使っても。
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◎第10位 日清オイリオ 日清ヘルシーごま香油 600g
コレステロールゼロを実現したヘルシーなごま油。一番搾りごま油と低温焙煎ごま油、良質のなたね油をブレンドした調合ごま油です。焙煎したごまの豊かな香りとごまのうま味をにじませながら、ヘルシーな料理が作れるのがすごいところ。
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◎第11位 マルホン 太香胡麻油ペット 450g
浅炒りタイプの純正ごま油。厳選したゴマをほんのり焙煎してから圧搾したもので、琥珀色の色合いと上品な芳香、まろやかな風味があります。炒め物の香りづけやコク出しはもちろん、和食や天ぷらの揚げ油まで幅広く使えます。
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◎第12位 九鬼 純正胡麻油こいくち 340g
第3位にランクインした「九鬼 純正胡麻油こいくち」のサイズ違い。ミニ瓶なので、「ちょいがけ」用に卓上に置いておくにも便利です。良質の胡麻を強く煎り、圧搾法で絞った力強い香りがあるので、ごまの風味を付けたいときに大活躍。
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ごま油を使ったおすすめレシピが知りたい!
最後に、ごま油を使った人気メニューを3つご紹介します。シンプルな材料で作れて、応用の効くレシピを厳選しました。よかったら試してみてくださいね。
◎ナムル5種(「cot.cotの副菜パート7」より)
【材料(各1~2人分)】
<トマトのナムル>
トマト(大)…1個
刻みにんにく…小さじ1~2
ごま油…少々
白すりゴマ…小さじ1~2
塩…少々
<ピーマンのナムル>
ピーマン…2個
刻みにんにく…小さじ1~2
ごま油…少々
白すりゴマ…小さじ1~2
塩…少々
<グリーンアスパラのナムル>
グリーンアスパラ…適量
刻みにんにく…小さじ1~2
ごま油…少々
白すりゴマ…小さじ1~2
塩…少々
<きゅうりのナムル>
きゅうり…1本
刻みにんにく…小さじ1~2
ごま油…少々
白すりゴマ…小さじ1~2
塩…少々
糸唐辛子…好みで
<サラダほうれん草のナムル>
サラダほうれん草…適量
刻みにんにく…小さじ1~2
ごま油…少々
白すりゴマ…小さじ1~2
塩…少々
ごま油を使った料理として覚えておきたいのが、ナムルのレシピ。トマト、ピーマン、グリーンアスパラの5種類の作り方をマスターしておけば、ほかの具材で応用も効きそう。メインの具材が変わっても、ごま油、白すりゴマ、にんにく、塩の配合は同じなので覚えやすいのも◎。
◎【今日作りたくなる!】簡単やみつきタレのレシピ【材料4つ♪】
【材料(2人分)】
白だし…大さじ1
酢…大さじ1
ごま油…大さじ1
にんにく(チューブ)…1cm
材料4つだけで作れて、野菜をやみつき料理に変えてくれるタレのレシピがこちら。そのままドレッシングにもなるので、いろいろな素材に合わせて楽しむことができます。写真のように叩ききゅうりにこのタレをかけるだけで美味な一皿に。好みで黒こしょうをトッピングしても。
2019.09.27野菜を簡単にやみつき料理に変えてくれる「美味しいタレ・ドレッシング」を作りましょう!材料4つで簡単ですよ〜続きを見る
◎なつかしいお味~ごま油香るジャガイモと玉ねぎのお味噌汁
【材料(2人分)】
新じゃが…4個(150g)
新玉ねぎ…1/2個(100g)
だしパック…1個
水…2カップ
みそ(麦みそ)…大さじ1
ごま油…少々
ちょっと意外なようですが、お味噌汁にもごま油が使えます。おすすめは、ほくほくの新ジャガイモと甘い玉ねぎの沢山なお味噌汁。仕上げにごま油を垂らすとコクが増してたまらないおいしさになります。レシピの考案者にとっては実母が作ってくれた懐かしい味なのだとか。
2019.05.20ほくほくのジャガイモと甘い玉ねぎのお味噌汁、我が家流は仕上げにごま油をたらします。母がよく作ってくれたなつかしいお味です。続きを見る
まとめ
香りよく、うま味があるごま油。実は種類によって香りや色、うま味の出方がずいぶんと異なることがわかりました。料理やスイーツに広く使うための太白ごま油、ちょいがけ用には濃口の純正ごま油…などといくつかストックしておいて、ごま油を使い分けるのも楽しいかもしれませんね♪
参考:文部科学省「食品成分データベース」(https://fooddb.mext.go.jp/)
文/北浦芙三子
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