スモークサーモンにベーコン、燻製卵など…燻すことで香りもうま味もアップさせることができる燻製。近ごろでは燻製バルなどの専門店が登場したり、家庭用の燻製キットが販売されるほど、人気が高まっているようです。
今回は そんな燻製について、基本的な作り方やおすすめの素材、家庭で燻製を楽しむためのレシピなどをまとめてみました!
燻製とは?
おつまみなどでよく食べるけれど、燻製がどんな料理なのかはイマイチわからないという人も案外多いのでは?
燻製とは、木材を燃やしてモクモクと煙を出し、その煙でいぶした保存食のことです。素材はあらかじめ塩漬けにした肉や魚などを使うので脱水されていることや、燻煙にあたることで食材のなかの水分が減り、木材から発生する成分が食材を殺菌することなどから、食材の保存性が高まるメリットがあります。
例えばスモークサーモン、ベーコン、スモークハムなどは日本でもおなじみですよね。秋田県の「いぶりがっこ」も燻製のひとつです。保存性の高さのみならず、燻すことで生まれる香りや独自の風味に惹かれるファンも多いようです。
では、燻製料理は具体的にはどんな食材や道具を使って、どうやって作られるのか…。さらに詳しく見ていきましょう!
燻製の種類が知りたい!
ひと口に燻製と言っても、作り方の違いによって「冷燻」、「温燻」、「熱燻」の3種類に大きく分かれます。この分類は、いぶすときの温度といぶす時間により分類されるようです。
種類によって保存性や食感などがずいぶん変わってきます。ぞれぞれの特徴は次のとおり。
◎冷燻
20度以下の低い温度で、じっくり長時間いぶして作る燻製。いぶす時間は短くても数日、長いと1カ月以上かかります。食材の水分がしっかり抜けて、1か月以上の長期保存ができるようになります。例は、生ハムやスモークサーモン、ビーフジャーキーなど。ハードルは高め、上級者向けの製法と言えるでしょう。
◎温燻
冷燻と熱燻の中間のような製法で、30~80度で2時間~半日ほど燻すもの。ベーコンやロースハムなどが、温燻の代表格です。水分は50%以上抜かれていますが、食感は柔らか。
市販のベーコンでもよく知られているように、真空包装されたものなら、冷蔵庫である程度保存できます。ですが、包装を開けたあとは保存性が低いので早めに食べ切るようにしましょう。
◎熱燻
冷燻とはまったく逆で、80度以上の高い温度で、短時間いぶして作るもの。時間はほんの10~30分程度です。表面がこんがりといぶされ、香りも豊かな仕上がりです。
ただし、あくまでも風味を楽しむもので、保存は効かないので、作ったらすぐに食べる料理と考えるのがよいでしょう。
熱燻はほかの2製法に比べると、簡易なスモーカーで手軽に作れるのが魅力。家庭やアウトドアなどで燻製料理を作るときは、まずはこの方法で作ってみるのがおすすめですよ。
燻製の基本の作り方・手順が知りたい!
燻製と言うと専門店でないと作れないような、難しいイメージがありませんか。基本的な作り方は、下ごしらえ、塩漬け、塩抜き、乾燥、燻煙の5ステップ。冷燻や温燻はなかなかハードルが高いですが、熱燻なら家庭でも手軽にチャレンジが可能ですよ♪
◎燻製づくりの手順
STEP1/下ごしらえ
素材を加工しやすいように下処理します。例えば、肉は余分な脂肪を切り落とし、小骨は取り除きます。魚は内蔵や血あいなど腐りやすい部分を外し、キレイに洗います。新鮮な素材を選ぶのも重要なポイント。
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STEP2/塩漬け
素材を塩で漬け込みます。このタイミングで下味を付けることになるので、塩と一緒に砂糖やスパイスなども混ぜ、調味をします。塩漬けの方法は、素材や製法の種類によって、「ふり塩」または「たて塩」のどちらかの方法で行ないます。
・ふり塩…「乾塩法」とも呼ばれ、素材に塩や砂糖・スパイスなどを混ぜたものを直接まぶすもの。
・たて塩…別名「ソミュール液法」で、塩分濃度30%程度の水に砂糖やスパイスを入れて火にかけ、3分ほど沸騰させてから冷まし、漉した液体に食材を漬け込む方法。
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STEP3/塩抜き
流水に当てて、食材表面に付いている余分な塩分やスパイスを洗います。塩抜きは食材の大きさにもよりますが数十分~丸1日ほどかかることも。塩抜きすることで食材の味を均一にすることができるのだとか。
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STEP4/乾燥
風がよく通る場所で、塩抜きの終わった食材を乾燥させます。外気が暑い場所は避けたいので、温かい季節は冷蔵庫のなかなどが適しています。
表面の水分が渇けばOKですが、表面に水分が残っていると煙の苦味成分が付いてしまうので、表面だけはしっかり乾燥させます。
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STEP5/燻煙する
木材を燃やして煙を出し、乾燥が済んだ食材をいぶします。いぶす時間と温度によって「冷燻」「温燻」「熱燻」の3製法があります。燃やすのは、サクラやナラ、ブナなどから作るスモークウッドやスモークチップ。
いかがですか?燻製の方法がだんだんイメージできてきましたよね。では次に、燻製に必要な道具をチェックしてみましょう!
燻製に必要な道具が知りたい!
家庭で燻製を作るには、道具が必要です。本格的なスモーカーもありますが、カンタンに作れてお手頃な燻製キットなども販売されているので、ライフスタイルに合わせて選びましょう。
でも、もし、そうした道具がなくても、家庭にあるもので代用することができます。必要な道具は次の通り。
・中華鍋や深めの鍋・フライパン
・フタ(ボウルでも可)
・網
網は、鍋に入れたときに中華鍋の底と5cm程度空間ができる大きさのものなら、100円均一ショップで手に入るようなもので十分です。フタは高さのある食材を覆えるように、丸みのあるタイプがおすすめ。ボウルでも大丈夫です。
中華鍋がない場合は、テフロン加工がされていない深さのある鍋を選びます。一度スモーカーとして使うと付いた燻煙を取り除くのは難しいので、その鍋は燻製専用の鍋と決めてしまうのがよいかもしれません。
・燻煙材(木材)
煙を出す燃料になる木材が必要。木材は大きいままでは扱いにくいので、木材を粒状に切った「スモークチップ」や、細かく砕いてから棒状にした「スモークウッド」がよく使われています。
木の種類は、サクラ、ナラ、ブナ、ヒッコリー、オニグルミ、リンゴ、ホワイトオークなど。サクラは香りを生かして、マトンなどクセのある素材の臭い消しに使うなど、素材に合わせて選ぶとよいでしょう。
燻煙材は一般的なホームセンターやアウトドアショップで売られているものを使うのがおすすめ。どうしても代用したい場合は、茶葉などで代用する達人もいるようですが、慣れないうちは市販の燻煙材を使いたいところ。
・アルミホイル、ビニール袋など
スモーカーと木材のほか、下準備をするときに使う密閉できるビニール袋やキッチンペーパーは用意しておきたいもの。
燻煙するときには、アルミホイル、クッキングシート、温度計、軍手があるとスムーズに作業ができますよ。
ほか、食材を包むだけで脱水ができる脱水シートがあると、さらに便利です。
家庭でもできる簡単な燻製の作り方とは?
では、燻製のなかでも手軽にできる熱燻の手順をご紹介します!基本的に、食材は味付けし、表面を乾燥させてからいぶしましょう。
生食できない肉や魚介類などは、いぶした後、きちんと中まで火を通してから食べるようにしてくださいね。
【熱燻の手順】
①フライパンの底にアルミホイルを敷き、その上にスモークチップを置きます。さらにチップの上に金網を置きます。
②網の上に食材をのせます。チーズやナッツなどは網にアルミホイルかオーブンシートを敷いてからのせるとよいでしょう。
③フタをして中火で加熱し、白い煙が出てきたら、中弱火に。10分程度そのまま加熱すれば完成です!
燻製におすすめの食材18選!
道具と作り方がわかったら、「どんな食材を燻製にしようか」とワクワクしてきますよね♪ そこで、家庭でも失敗の少ない“熱燻”におすすめの食材を18種類ご紹介します。
◎燻製におすすめの食材1…豆腐
燻製にすると味わいは濃厚に、食感はねっとりとして、まるでチーズのように変身! なかでも木綿豆腐が扱いやすくておすすめ。下ごしらえは水切りをしっかりと行い、表面を乾燥させること。チーズより低カロリーなので、とくに女性に好評のようです。
◎燻製におすすめの食材2…卵
ゆでたまごを燻製にした「くんたま」は、おつまみとしても大人気ですよね。黄身はとろ~り半熟にするのか、しっかり固めにするのか、自分好みに調整して作りましょう。調味した漬け汁に数時間浸したのち、水分を乾燥させてから燻製に。
◎燻製におすすめの食材3…豚バラブロック肉
豚バラの燻製と言えば、みんな大好きなベーコンのこと! 自家製のできたてベーコンは市販品とは違った、風味豊かな味わいです。スパイスなどで自分流に下味を付けて楽しみましょう。ただし、熱燻とはいえ、中まで火を通すために30分以上加熱時間が必要です。
「豚バラ肉からベーコンを作るのはハードルが高い!」という人は、市販のベーコンを軽く燻すだけでも香りが格段にアップするので試してみる価値ありです。
◎燻製におすすめの食材4…豚レバー
チーズのようにうま味が凝縮された味わいで、レバーが苦手な人でも食べられるのが豚レバーの燻製。レバーの豊富な栄養は魅力的だけど、独特の香りが苦手で…という人は、一度作ってみてはいかがでしょうか。
ほかのレバー料理と同様に、よく洗ったり下味を付けたり、臭みを抜いたりする手間はかかりますが、ごちそう感のある仕上がりです。
◎燻製におすすめの食材5…鶏ささみ肉
低カロリーで高たんぱく、おサイフにもやさしい鶏ささみ肉。いつもと違った味わいで楽しみたいな、と思ったら、燻製にチャレンジしてみませんか? 余分な脂分がないので下ごしらえの手間も比較的カンタン。
◎燻製におすすめの食材6…サケ
魚貝類のなかでは、燻製の定番食材はやっぱりサーモン。スモークサーモンは冷燻で作りますが、手軽に塩鮭や刺身用サーモンを熱燻で仕上げても、いつもと違った風味が楽しめて◎。
◎燻製におすすめの食材7…牡蠣
牡蠣はちょっと茹で牡蠣を買うか、生の牡蠣を茹でて中まで熱を通してから使います。好みのスパイスなどで下味を付けて燻製にしたものは、ホームパーティの一品にもなる雰囲気です。貝では、ほかにもホタテもおすすめ。
◎燻製におすすめの食材8…タコ
スーパーなどで売られているタコの刺身。10分程度といぶすだけでもいいのですが、30分~1時間ほど燻すと噛みしめるほどおいしい一品に。
◎燻製におすすめの食材9…ちくわ
魚貝類でお手軽なのはちくわ。そのままでもうま味たっぷりなのに、燻製にするとさらに味わい豊かになり、お酒のアテにぴったりです。
下ごしらえなしでそのまま燻製にできるから、マヨネーズにマスタードを混ぜてみるなどトッピングに凝るのも楽しそうですね。
◎燻製におすすめの食材10…明太子
旨さがさらに凝縮して、ご飯がすすむ一品に! おにぎりの具にしたり、蒸したじゃがいもにトッピングしたりしてもおいしく味わえます。
◎燻製におすすめの食材11…チーズ
スーパーなどで手に入るリーズナブルな価格のプロセスチーズでも、燻製にするとおいしさがパワーアップ。ビールがすすむこと請け合いです。下ごしらえいらずで、そのままいぶすだけで作れるのも魅力。
◎燻製におすすめの食材12…枝豆
居酒屋のおつまみなどで登場することがあるのが、枝豆の燻製。しっかり乾燥させておき、さや付きのままで熱燻にするのがおすすめです。塩茹でした枝豆や、冷凍枝豆を解凍して使ってもOK。
◎燻製におすすめの食材13…たくあん
漬け物は燻製にすると意外なおいしさに驚くかも。なかでも沢庵は、まろやかになり、風味がアップ。お酒のアテにもご飯のお供にしても、くせになること請け合いです。
◎燻製におすすめの食材14…ナッツ
ナッツは燻すことでますます香ばしく、大人っぽい味わいになります。ワインやビールのおつまみにするにもぴったり。とくにアーモンドがポピュラーですが、クルミ、カシューナッツなども美味。ミックスナッツを使えば、一度にいろいろ味わえて便利です。
◎燻製におすすめの食材15…マシュマロ
スイーツでは、バーベキューの定番でもあるマシュマロがおすすめ。乾燥せずにそのまま使用できるのでラクチンです。加熱すると溶けるので、いぶす時間は5~7分程度でOK。香ばしさとトロリとした食感がやみつきになる一品です。
◎燻製におすすめの食材16…いちじく
いちじくも燻製にするとおいしいと評判のフルーツ。もともとドライフルーツでいちじくは定番ですが、燻製にすると、風味が増して、さらにおいしくなるのです。サラダに使ったり、生ハムを添えたりすればお酒のアテにも。
◎燻製におすすめの食材17…バナナ
バナナは燻製にするとトロッとして、風味もアップ。優雅な味わいになります。
◎燻製におすすめの食材18…ドライフルーツ
ホームパーティで活躍する、フルーティでお洒落なおつまみ。レーズン、ドライいちじくなど、いろいろなドライフルーツが燻製の食材にできます。下ごしらえは不要で、そのまま軽く燻すだけでOK。
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燻製のおすすめレシピが知りたい!
最後に、家庭で挑戦しやすい燻製レシピをご紹介します。本格的な道具がなくても、家庭によくある道具でできる燻製のレシピや、市販の燻製食品をアレンジして手早くおいしい一品に仕上げるレシピなど、燻製にまつわるレシピを5つ厳選しました。どのレシピも、燻製独特の香りでちょっと贅沢な気分に導いてくれること間違いなし!
鍋じゃない土鍋の活用法 土鍋で超簡単に自家製燻製
【材料】
ゆで卵…適量
ざらめ…小さじ1
スモークチップ…ひとつかみ
鍋料理に活躍する土鍋とスモークチップ、100円均一ショップなどで手に入る餅網、アルミホイルを使って、即席スモーカーが作れます。用意ができたら、ゆで卵を網にのせてフタをして燻すだけ。ほかにも焼きいもなど好きな具材で楽しめますよ♪
2016.10.31鍋のシーズン到来!でも、我が家のようなせまーいキッチンにでーん!と鎮座されると正直、ほんっと!お邪魔。だから、鍋料理デーじゃない日も使って邪魔に感じなくなりたかったのデース。主婦目線のお洒落家のみに土鍋を使って オシャレ料...続きを見る
チップ不要☆ フライパンで20分☆ カニ味噌入りはんぺんの燻製
【材料(2人分)】
はんぺん…1枚
カニ味噌缶(身入り)…30g
麦茶パック…1袋
ティーバッグ…1袋
白砂糖…大さじ1
こちらはスモークチップ不要でますます手軽! 木材の代わりに、茶葉を使うアイデア燻製です。茶葉は麦茶と紅茶をブレンドするのがこだわり。はんぺんは香しく、なかに挟んだカニ味噌は水分が飛んで味が濃厚になり、やみつきの味わいに。
2018.09.03はんぺんにカニ味噌をはさみ、フライパンで20分燻したらできちゃう最高のお酒のあてです*^^*燻すことで、はんぺんとカニ味噌の水分が飛び、さらに燻製の香りがついてのんべえにはたまらないおつまみになりました*^^*燻製というと...続きを見る
アウトドアで簡単★チーズの燻製
【材料(作りやすい分量)】
プロセスチーズ…6個
スモークチップ(桜)…1/2カップ
よくある6P入りのプロセスチーズがオシャレに変身。キャンプなどのアウトドアシーンはもちろん、ホームパーティの一品にするにもぴったりです。おうちにいるときでも気軽に作れますが、燻すときには香りが強めに出るのでご注意を。
2017.05.07簡単に作れるチーズの燻製です♪キャンプなどのアウトドアはもちろん、家でも気軽に作れてパーティやおつまみにぴったり♪続きを見る
むね肉で!”揚げない唐揚げの即席サーモンタルタルかけ”
【材料(2人分)】
とりのむね肉…1枚(約350g)
スモークサーモン切り落とし…40g
ディル(パセリでも代用可)…3枝
マヨネーズ…大さじ4
練乳…大さじ1
レモン汁…大さじ1
塩、胡椒…各少々
小麦粉…大さじ1
片栗粉…大さじ1
油…大さじ3
プチトマト・パセリ(付け合わせ用):適量
火を使わずに作れる即席タルタルが光るメインディッシュ! スモークサーモンを使うことで、燻製の香り豊かなタルタルソースが簡単に作れます。スモークサーモンはみじん切りにするので、切り落としタイプでいいのもうれしいポイント。
2018.01.26むね肉を大さじ3杯の油で揚げ焼きするだけなので、排水も汚さず、ペーパーで拭きとれるエコレシピむね肉をパサパサさせない為には、温度調整をするだけでOK!火を使わず作れる即席タルタルが光るメインディッシュ!今回は香りの高いスモ...続きを見る
10分で出来る!燻製豆腐のカルボナーラ
【材料(1~2人分)】
ショートパスタ…150g
燻製豆腐…200g
卵…2つ
すりおろしたパルメザンチーズ…1掴み
細かくしたニラ…1/2束
燻製豆腐を使ったカルボナーラ。メインになる具材は、ショートパスタよりも細長く切って、こんがりきつね色に焼き付けた燻製豆腐です。卵やチーズともマッチして、香しい一品に仕上がります。調理時間10分、材料5つだけでパパッと作れるのもいいところ♪
2015.12.25忙しく時間がないときでも大丈夫!材料5つ、10分ですぐできちゃう、燻製豆腐を使ったカルボナーラです。続きを見る
まとめ
燻製は短いものなら10分燻す程度から作れるので、意外と手軽ですよね! キャンプなどのアウトドアシーンで取り入れれば、ますます盛り上がれそうです。まずは家庭にある中華鍋などを使ってチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
文/北浦芙三子
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