屋根材には、茅(かや)や桧皮(ひわだ)などの自然材、粘土瓦、化粧スレート、銅板やガリバリウム鋼板などの金属板他、様々な種類があります。その中で一般的な新築住宅に用いられるのは、主に粘土瓦や化粧スレート、金属板です。耐久性の違いなど、選ぶ際のポイントを抑えましょう。
屋根の材料を選ぶ重要性とは?
屋根材に何を使うかで、屋根の勾配やかたちが決まってきます。それには材料の重さや施工性が大きく関わっています。屋根材のうち一番重い粘土瓦は4寸勾配以上が必要。次に重い化粧スレートが3寸勾配以上。もっとも軽い金属板は建物本体への負担が小さく抑えられ1寸勾配(条件によっては0.5寸勾配)からOK。近年よく使われるようになったガリバリウム鋼板は耐久性が高く加工がしやすい、さらには銅板より安価な点からも普及が進んでいます。このように屋根材によって屋根のスタイルはおのずと決まります。
材料の種類と選び方
屋根材の一般的な耐久年数について比較してみましょう
・粘土系 → 50年以上
・金属系 → 約30年(但し、塩害地区や工業都市などは25年程度)
・スレート系 → 25年~40年
・セメント系 → 30年~40年
主な屋根材別に性能の違いを見てみましょう
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粘土瓦葺き
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化粧スレート葺き
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金属板葺き
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防水性
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暴風時はアスファルトルーフィング下地が防水の役目を果たす
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材を重ね合わせて防水性を確保する
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薄く加工がしやすいため、防水性のよい接合が可能
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耐風性
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自重があるので強いが、飛散・落下しないよう固定する
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衝撃に弱い
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軽量のため弱い
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防露性
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問題はあまりない
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接合用の金物が結露しやすい
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熱伝導率が大きいため結露しやすい
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耐寒性
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釉薬を使わない瓦は寒冷地には不向き
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凍結や積雪に弱い
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凍害の心配はなく、積雪圧にも強い
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施工性
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変形屋根に対応しづらい
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大判のため効率がいい
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長尺板モノは効率がよく、加工がしやすい
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粘土瓦
〈特徴〉
粘土を成形して高温で焼いたもの。色が多彩な釉薬瓦・陶器瓦や黒銀色に見えるいぶし瓦、赤褐色に焼き上げる素焼き瓦など、製法によって種類が豊富。耐久性は非常に高く重量があります。
〈メンテナンス〉
地震の揺れや風でずれたり割れたり、落下することがあります。配置やズレを目視で点検し、補修が必要な場合があります。
〈メンテナンスの周期〉
年に一度、目視で点検を。
化粧スレート
〈特徴〉
セメントと人工繊維や天然繊維でつくられた板状の屋根材。太陽光や風雨に強く、軽量のため耐震性にも優れています。成形加工で表情を出し、工場で焼付け塗装を行って色付け。コストが比較的抑えられる点からも採用されることが多い屋根材です。
〈メンテナンス〉
外的要因や施工不良でズレや割れ、はがれ、浮きなどが生じるおそれがあります。また塗装の仕様によっては年月を経て色があせる場合も。
〈メンテナンスの周期〉
年に一度程度は目視で点検。差し替えなど部分補修は5~6年ごと、美観が気になる場合の塗り替え(葺き替え)は15年程度が目安。
金属系屋根材
〈特徴〉
薄い鋼板の表面にメッキを施し塗装したもの。従来はトタン屋根が一般的だったが、近年はガリバリウム鋼板が主流。軽く、安く、丈夫とメリットが多く、デザイン性にも優れている点から人気が高い屋根材です。
〈メンテナンス〉
サビが発生すると耐久性を著しく損なうので、サビが出る前に塗り替えるのがポイント。
〈メンテナンスの周期〉
ガリバリウム鋼板は15~20年を目安に塗り替え。
セメント瓦
〈特徴〉
セメントを主原料に成形加工した瓦で、化粧スレートより厚く和瓦に近い。塗装品が主。細骨材(砂)に対してセメントの含有量が少ないコンクリート瓦もあります。
〈メンテナンス〉
割れやズレを補修し、色があせたら塗り替えを。コンクリート瓦には基材に色を練りこんで色あせしにくいものもあります。
〈メンテナンスの周期〉
目視点検を年に一度程度行い、必要な場合に補修。塗装品は7~8年ごとに塗り替えを検討することが望まれます。
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まとめ
屋根材を決めるとき、敷地の条件や建物の大きさ、構造などから、どんな材料を選ぶことができるのか、逆に何をすると問題が生じやすいのかを考えましょう。コスト面での検討も必要ですが、一番大事なのは、雨や風、地震といった自然の力から建物を守るために、その土地の気候風土に適しているかどうか。それらをクリアすれば、家の傷みも少なく、長期的なメンテナンス費用も抑えられるという、将来への安心材料にもなります。
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