夏は暑く、冬は寒い日本の気候。家の中では夏涼しく、冬はあたたかく過ごしたいものです。そのために必要なのが屋根の断熱。住みやすい家になるかどうかが決まる重要なポイントである屋根の断熱について学びましょう。
屋根の断熱の必要性
夏、炎天下に駐車してあった車に乗り込むと、暑くてたまりません。逆に冬は寒くて身体の芯まで冷えきります。それと同じことが、家でも起きています。けれど、車のように熱せられたら熱せられただけ暑く、冷やされたら冷やされただけ寒くなる家では暮らせませんね。そこで季節問わず快適に過ごすために家を断熱する必要性が出てきます。ここでは屋根の断熱について考えてみましょう。
屋根の断熱方法
ひとくちに屋根の断熱といいますが、方法は大きく分けて2種類があります。
屋根断熱と天井断熱といい、図のように、屋根で断熱するか、天井で断熱するかの違いです。
屋根断熱で得られる効果
屋根を断熱すると、どのような効果があるでしょうか。外部からの熱の15%は屋根から入ってくると言われています。これをそのまま放っておくと、夏は暑く冬は寒い家になってしまいます。もちろんエアコンやストーブなどを使って部屋の温度調節をするでしょうが、その冷暖房の効率が非常に悪くなるわけです。屋根の断熱をしっかり施すことで、過ごしやすい家になりますし光熱費も安くなります。
天井断熱のメリットとデメリット
天井断熱について、メリットとデメリットを知りましょう。
天井断熱とは、天井材の上に断熱材を敷き詰める方法です。
メリット
・工費が安い
断熱材が必要なのが天井の面積だけなので材料費を抑えられます。施工場所がフラットなので工事もそれほど難しくないため人件費も同じく抑えられます。
・断熱材の厚みを増やせる
断熱性能を高めたい場合、断熱材を厚く施工することができます。
・冷暖房費を抑えられる
冷暖房をかけるのは天井から下になりますので、小屋裏(天井と屋根の間の空間)の分だけ空間が小さくなります。
デメリット
・小屋裏を使えない
小屋裏にロフトを設置する、デザイン性の高い勾配天井にするなどのことができません。小屋裏は外というイメージです。
・小屋部分が暑くなる
断熱材の下、生活空間はよいのですが、屋根と天井の小屋は夏場などにかなりの高温になるため、小屋裏換気のシステムが必要です。
屋根断熱のメリットとデメリット
屋根断熱について、メリットとデメリットを知りましょう。
屋根断熱とは文字通り屋根で断熱を行なうことで、たる木(屋根の一番高い箇所から桁にかけて斜めにかかっている部材)の上で断熱する方法と、たる木の間で断熱する方法があります。
メリット
・小屋裏を使うことができる
小屋裏を書斎や収納に使う、ロフトを設置するなど、小屋裏を有効に使うことができます。
・デザイン性を高くできる
勾配天井にしたり、梁を見せたりといったデザインが自由にできます。
・小屋裏が暑くならない
熱がこもる場所がありません。
デメリット
・工費が高い
天井断熱よりも施工面積が広くなる、施工の厚みが限られているために性能の高い高価な断熱材を使用することになるなど、工費が高くなります。施工に技術が必要なため、人件費もかかります。
・冷暖房費が高くなる
小屋まですべてが生活空間になりますので、冷暖房する容積が大きくなります。
屋根断熱に使用される素材とは
屋根の断熱には、どのような素材が使われるのでしょうか。
断熱材のポイントは「空気」です。空気は、非常に熱を通しにくいものなのです。繊維を用いて空気をとどめる、空気を小さな粒状にするなどした建材が断熱材として使われます。
■繊維系断熱材
細いガラス繊維を加工したグラスウール、鉱物を繊維状にしたロックウール、木の繊維を使ったものなどがあります。現在では羊毛などの天然素材を使ったものもあります。主に天井断熱に使われます。
■発泡プラスチック系断熱材
ポリスチレン、フェノールなどの樹脂に発泡剤などを加えて、空気をビーズ状にしています。発泡プラスチック系のボード状の断熱材は躯体の外側に断熱材を取り付ける外張り工法に適しており、屋根断熱に多く使われます。
屋根断熱選びの注意点とコツ
屋根の断熱選びについて、コツと注意点を知りましょう。
屋根の断熱方法には天井断熱と屋根断熱があります。これはどちらにもメリットとデメリットがありますので、自分たちの家に向いた断熱方法を選んでください。また断熱材自体も多くの種類があり、それぞれに性能が違います。断熱性能だけでなく防音性や防虫性にも優れたもの、吸放湿性を持つもの、防火性能に優れたものなどさまざまですので、工法や予算に合わせて選んでください。
まとめ
屋根の断熱を適切に行なえば冷暖房効率もよくなりますし、外気の気温に左右されにくい、暮らしやすい家になります。どのような断熱法でどのような断熱材を使えばよいのか、暮らし心地をよくするためにしっかり検討してください。
記事作成協力 UnirTechnica(ユニールテクニカ)株式会社
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