雨や雪、日差しから住まいを守り、また美観を形づくる屋根。その仕上げ材として日本家屋で古くから使われているのが粘土瓦、いわゆる和瓦です。ひと口に瓦といっても製造方法や形状によって種類は豊富。様々なバリエーションで和風、洋風いずれにも対応できます。屋根の仕上げ材として歴史ある瓦について詳しく解説します。
永く瓦が使われてきたのはなぜ?
瓦の歴史は古く、日本でも1400年以上も前から建築物に使われてきました。防水や防火、断熱といった、建物を守る機能に優れている点が特徴的。さらに瓦は割れても1枚ずつ交換でき、耐久性があって塗装などのメンテナンスが不要なこと、断熱性が高いことから夏場に涼しいなどの魅力があります。瓦自体は半永久的に使うことができるので、解体された家屋の瓦は再利用するなどエコな点も見逃せません。
どうやって作られるの?
天然の粘土を成形し、高温で焼き上げてつくられることから粘土瓦と言います。粘土瓦の中でも釉薬を施し色付けして焼いたものを「釉薬瓦」または「陶器瓦」、釉薬を使わずにいぶして仕上げたものを「いぶし瓦」と呼びます。釉薬瓦は様々な色が出ますが、いぶし瓦は「いぶし銀」で知られる銀色。他にナチュラルな赤色をした素焼き瓦があり、その色味から赤瓦とも呼ばれます。これは明るい色合いなので洋風住宅によく似合います。
デザイン(形状)の違いを見てみよう
ここでは釉薬瓦(陶器瓦)の代表的な3つの形状についてその特徴を解説します。
一般的に和瓦といってイメージするのがこの形、伝統的な波形をしています。Japanの頭文字からJ形と呼ばれます。
凹凸の少ないフラットな形状。以前はJ形に比べて数は少なかったのですが、近年は和モダンスタイルに似合うと選ぶ人が増えています。
輸入住宅をはじめ洋風スタイルに用いられる洋瓦。以前は山と谷が別々になっていましたが、最近は山と谷が一枚の瓦になった形が主流です。山が2つ付いているM型もあります。
瓦のメリット・デメリット
耐久性:色落ちがなく耐久性が高い。
耐風性:自重があるので強いが、飛散・落下しないよう固定する。
耐寒性:陶器(釉薬)瓦は温度変化に強い。(釉薬を使わない瓦は寒冷地には不向き)
陶器瓦はスレートや金属系の屋根材と比べて重量があります。そのため屋根部が重くなり重心が高くなるので耐震性には注意が必要。構造設計をする際に、瓦の重量も計算に入れて耐震性能を確保することが重要です。
メンテナスは必要?
瓦自体は退色もなくメンテナンスフリーですが、地震の揺れや風でずれたり、割れや落下の心配があります。また瓦は大丈夫でも固定している漆喰は劣化します。瓦の配置やズレを目視で点検し、漆喰や下地材にも異常がないか確認。状況に応じて補修が必要です。目視点検を年に一度程度行うことをおすすめします。
まとめ
住宅に施される屋根材の中でも、古くから身近な材料として使われてきた粘土瓦。日本の気候風土に育まれながら、洋風スタイルなど時代の文化にも適応しながら発展し、デザインの可能性は広がっています。それを施工するには熟練の職人技が不可欠なので、信頼できる業者を選びたいとこ。施工実績や実際にお住まいのご家族に意見を聞くなどして、瓦屋根を家づくりの選択肢の一つとして検討してみてはいかがでしょう。
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