おいしくて健康にもよいことで人気のオリーブオイル。なかでも、搾りたてで酸化度の低いものがグレードの高いエクストラバージンオリーブオイル、ということはご存じでしたか?
オリーブオイルはヨーロッパからの輸入品が多く、産地も製法も迷うほどさまざまあって、つい無難に価格と勘を頼りに選びがち。改めて選ぶポイントをおさらいしたいと思います。
オリーブオイルって定義があるの?
オリーブオイルは日本でも生産されていて、小豆島が産地として有名ですね。近年では質の高さが世界でも認められています。
日本の食用オリーブオイルにはJAS(日本農林規格)の定めるエクストラバージンオリーブオイルとピュアオリーブオイルの2種類があります。さらに世界へ目を向けると、オリーブオイルほど規格の厳しく定められた油もないといっていいほどで、国連下部組織の国際オリーブ協会(IOC)は9つに区分しています。
国際基準のオリーブオイルって?
前出のIOCは、生の果汁から変質させない条件下で採油されたものをオリーブオイルとし、品質と純度の検査によって大きく3つ、果実100%の「バージンオリーブオイル」と、「精製オリーブオイル」、そしてオリーブオイルでなくポーマス(絞りかす)油と明記する「オリーブポーマスオイル」に分け、さらにその中でグループ分けをして計9つに区分しています。
栄養と風味を測り、食用か非食用か分類するのも果実を無駄にしない工夫で、この中には非食用も含まれます。
オリーブの実の70~80%の栄養成分はオレイン酸で、他にも体内でつくれない必須脂肪酸のオメガ3系や6系の多価不飽和脂肪酸のリノール酸とα-リノレン酸が豊富です。
またオリーブ油特有の辛みや苦みを決めているのが含有量1〜2%の微量成分で、抗酸化物質のポリフェノールをはじめ、トコフェロール(ビタミンE)、クロロフィル、植物ステロールも含まれます。
これらの栄養素はいずれも悪玉コレステロールを減らして健康維持に役立ちますが、こうした果実の栄養がほぼそのまま生きているのがエクストラ・バージン・オリーブ・オイル(頭文字をとってEVOOとも表記。以下EVOO)です。
オリーブの実は枝から採取した瞬間から酸化しますが、酸化により100g中0.8g以下の脂肪酸が遊離している=酸度0.8%以下のオイルは最高峰でエクストラの格付けに。つまり、丁寧に摘まれ、すぐに搾って空気に触れないようボトリングされた、ほぼフレッシュジュースのバージンオリーブオイルということ。EVOOを選ぶべき理由がここにあります。
オリーブオイルには偽物がある!?
日本では酸度2.0%未満をクリアした「オリーブオイル」もしくは酸度0.6%以下の「精製オリーブオイル」が食用オリーブオイルとされ、IOC基準の9区分でいうところの「EVOO」と、VOOに満たない油を精製した「精製オリーブオイル」、またこそれにVOOをブレンドした「ピュアオリーブオイル」の3区分が販売されています。
IOCでいうEVOOを区分しない日本では、酸度をクリアすれば、精製オリーブオイルに少しIOC基準のEVOOを加えてEVOOと表記することも許されており、これはIOC基準の本物のEVOOとは別物と言えます。
本物のオリーブオイルを見分けるチェックポイント
質の高いオリーブ油を手に入れられるように、下記のチェックポイントをどうぞご参考に。
○遮光瓶
オリーブ油は最も酸化しにくい油ですが、空気中の酸素、湿気、熱、光、金属イオン、微生物や酵素は、酸化を招く大敵。とりわけ紫外線は蛍光灯の光にも含まれるので、基本的にEVOOは濃色の遮光瓶に詰められています。
○酸度
ラベルに「Acidez(西)」「Acidità(伊)」「Acidity(英)」などの表記があれば、酸度が低いものが多いです。IOC基準のEVOOは酸度0.8%以下。低いほど努力している証です。
○DOP(原産地呼称保護)、IGP(地理表示保護)
EUが認証するこれらのマークがあれば、公的に認められた地域特性のあるオリーブ油です。
DOPは、町村などの限定的な地域内で、親から子へと継がれている製法に従って生産された特産品を保障。
IGPは、少なくとも生産加工の1工程がその地域で行われ、地域で定める基準に合格した特産品であることを保障します。
○手摘み
手摘みの表示(イタリア産ならRaccolte a Manoなど。Manoは「手」)があれば、丁寧な作り。値段は高めです。
○自社で生産・瓶詰め
栽培、収穫、搾油、瓶詰めと自社で一貫生産していたら、鮮度管理が自慢。シングルエステート(単一農園)ともいいます。
○オーガニック
Bioの認証マークは、有機無農薬栽培の目印(認証を取らない小規模生産者も)です。
○摘んでから搾油までの時間
オリーブの実を摘んで○時間以内に搾油と記していれば、鮮度に自信あり。
○コールドプレス
伝統製法の石臼ではなく遠心分離機を使った圧搾方法で、酸化の少ない30℃未満の加熱なら「コールドプレス(低温圧搾)」と表記できます。
○原産国
表のラベルが外国語なのに原産国表記がないものは日本で瓶詰めを行っています。
○味見する
テイスティングできれば、鼻と舌でチェック。収穫時に若いグリーンオリーブほど高ポリフェノール含有で辛味と苦味が強く、実が黄、赤、黒へと熟すほど甘味が加わります。
賞味期限は通常、瓶詰めから18か月。1年を経たものは香りが少なくなり、料理用に適します。
○価格
EVOOは産地のスーパーで500ml4ユーロ前後ですので、輸入コストが乗って日本でなら1,200〜3,000円になるでしょうか。手間のかかった高級品は高くなりますが、実質より高額すぎるものもあるので、酸度や製法と併せて判断を。また数百円と安すぎるものは質が落ちると考えられます。
本物のオリーブオイルのおすすめ4選
有機JAS認証 エキストラバージンオリーブオイル ゾットペラ社(有機EVOO 250ml)
シチリア島・モンティ・イブレイ村に1000年続く農園で、希少品種トンダ・イブレアの樹齢450年を超える木々を守り続けるZottopera社。2017年産は力強く複雑なアロマが特徴で、酸度0.18%以下、コールドプレス製法。国際品評会で多数受賞しています。
「ファミリー・ノスタルジア」 早採りのエキストラ・バージン・オリーブオイル(EVOO 1L)
ギリシャ・カラマタ市内の原産地名称保護(PDO)認証ラベル付。7代にわたるパナグレアス家によるコロネイキ種のシングルエステートEVOOは、農薬不使用で早採りだから、健康もしっかりサポート。酸度0.1〜0.5%。
カークランドシグネチャーオーガニック エクストラバージンオリーブオイル(有機EVOO 1832g)
コストコの独自企画・開発ブランド。原材料をオリーブ大国のイタリア、ポルトガル、チュニジア、スペイン,ギリシャに求めた有機食用オリーブ油。お安くて料理にたっぷり使えます。
カルボネール(ピュアオリーブオイル 250ml)
ノンフィルター製法で果汁の風味をできるだけ残したスペイン産の本格派。お安いので妙め物、焼き物、揚げ物、アヒージョ(オイル煮)にたっぷりどうぞ。
参考/文部科学省「食品成分データベース」
まとめ/武位教子
コメント
全て既読にする
コメントがあるとここに表示されます