生活費のなかでも負担が大きいのが毎月の光熱費ではないでしょうか。なかでも、高くなりがちなガス代を抑えるためには、毎日の使い方を工夫することが大切です。
しかし、生活に直結しているぶん、日々の節約だけでガス代を抑えるのは難しい場合もありますよね。効率的にガス代の負担を減らすためには、ただ節約するだけではなく、ガス代がどのような仕組みで算出されるのか、ガス料金の計算方法を知っておくことが大切です。この記事では、ガス代の計算方法を知りたいという人に向けて、都市ガスとプロパンガスごとの基本的な計算方法について解説します。
また、毎月のガス代を押し上げる2大要因であるお風呂とキッチンで行えるさまざまな節約術についても紹介します。
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ガス代の基本的な計算方法と目安
ここでは、ガス料金の基本的な計算方法について解説します。
4人暮らしの一般家庭を例にあげて、ガス料金の計算方法と目安について具体的に説明します。実は、ガスにはプロパンガスと都市ガスの2種類があります。自由料金のプロパンガスと公共料金である都市ガスでは、ガス代が大きく異なります。そのほかにも、ガスの成分や火力、供給方法などが異なりますが、詳しい違いについてはこちら。
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はじめに…
まず、自宅がプロパンガスと都市ガスのどちらを使用しているかを確認しましょう。
家の外に大きなガスボンベが設置されている場合は、プロパンガスを使用しています。プロパンガスの場合は業者がガスを運んできて外のガスボンベに入れてくれますが、都市ガスの場合は道路下のガス管から各家庭にガスが供給されています。発熱量を比べると、プロパンガスは都市ガスの約2.23倍ですが、ガスの運搬コストなどがかかるぶん、ガスの値段はプロパンガスのほうが高めです。
また、プロパンガスは自由料金であり、各会社が自由に料金を決められます。そのため、会社によっては料金に大きな差が出るのが特徴です。プロパンガスの場合、請求書には合計額だけが記載されており、ガス単価については明記がない場合が多いでしょう。
都市ガスは国の規制がかかる規制料金のため、地域によってガス単価に差が出にくいのが特徴です。
ガス代の計算方法と目安
それでは具体的に、ガス代の計算方法について解説していきます。
ガス代は基本的に、基本料金と従量料金(ガス単位料金×ガス使用量[㎥])を合算して計算されます。
|
プロパンガス |
都市ガス |
基本料金 |
1,800円 |
1,000円 |
従量料金 |
512円×11.3㎥ |
150円×20㎥ |
合計 |
7,586円 |
4,000円 |
プロパンガスの場合
地域差などもありますが、一般的にプロパンガスの基本料金は1500~2000円ほどで、全国平均は約1800円です。ガス単価の全国平均は512円ほどで、家族4人の場合での月間平均使用量目安は11.3㎥です。つまり、基本料金を除いたガス代は、家族4人の場合では約5786円(すべて税抜)です。これに基本料金目安の1800円を足した約7586円が、プロパンガスを家族4人で使用した場合のガス代目安となります。
都市ガスの場合
基本料金も単位料金も使用量によって若干変動しますが、一般家庭が使用する20~50㎥程度だと基本料金は約1000円、1㎥あたりのガス単位料金は150円ほどです。家族4人の場合、月間使用量を仮に20㎥とすると、基本料金を除いた従量料金は3000円ほどです。
それに基本料金の約1000円を足した4000円ほどが毎月のガス代目安となります。ただし、ここで紹介しているのは、あくまでも目安のガス代です。ガス単価は原料費などの影響で毎月見直されており、ガス代の料金表も毎月異なっています。正しく計算したい場合は、契約している都市ガス会社のサイトにアクセスしてガス代の計算ツールを使用してみると、より正確なガス料金が求められます。
ちなみに…
また、プロパンガスは都市ガスの約2.23倍の火力があることから、両者の料金を正確に比較する場合は都市ガスの単価に2.23をかけて換算する必要があります。
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お風呂とコンロで使うガス代の計算方法
毎月のガス代がどのように計算されるかだけでなく、その内訳を確認するとどのようなことにガス代がかかっているのかが具体的に見えてきます。
家のなかでもっともガス代がかかるところは、大量のお湯を使うお風呂と火を使うコンロの2つです。以下では、お風呂とコンロ別にかかるガス代の計算方法について説明します。
お風呂のガス代の計算方法とは
まずは、お風呂のガス代の計算方法について見ていきましょう。浴槽に張るお湯の温度を1度下げるだけでも、年間のガス代はかなり節約できます。ここでは、「高温浴」の場合と「微温浴」の場合について解説します。
寒い冬などは、熱いお風呂に肩までつかると気持ちいいですよね。
お風呂のガス代は、
「湯量(L)×上昇させる温度(℃)÷(ガスの燃焼量[kcal]×給湯器の熱効率[%])×ガス単価(円)」によって求められます。
つまり、上昇させる温度が高くなればなるほど、必要なガス代が増えることになります。
高温浴(42~43℃)をした場合のお風呂のガス代
42~43度の高温浴の場合、一般的な200Lのお風呂で都市ガスボイラーを使って15℃の水から43℃までお湯を沸かすとすると、28℃も温度を上げなくてはいけません。
上記の計算式に当てはめて計算したものが以下の表になります。
|
プロパンガス |
都市ガス |
湯量 |
200L |
200L |
上昇させる温度 |
28℃ |
28℃ |
ガスの燃焼量 |
24,000kcal |
10,750kcal |
給湯器の熱効率 |
80% |
80% |
ガス単価 |
512円 |
150円 |
合計 |
149円 |
98円 |
標準的な都市ガスの場合、お湯の温度を1度上げるのに必要なガス代は3.5円ほどです。プロパンガスの場合、お湯の温度を1度上げるために必要なガス代は約5.3円です。高温浴の場合は、プロパンガスのほうが費用は高めになることがわかります。
微温浴(37~39℃)をした場合のお風呂のガス代
42~43℃のちょっと熱いと感じる「高温浴」は心身へのリフレッシュ効果もありますが、その一方で交感神経を刺激して血圧や心拍数を上げてしまうリスクへの注意が必要です。
高温浴に対して少しぬるめの37~39℃のお湯につかることを「微温浴」といいます。副交感神経を刺激する微温浴にはリラックス効果が期待できるほか、ぬるめのお湯に長い時間つかることで芯から体が温まりやすくなります。
上記と同じように計算した結果が以下の表になります。
|
プロパンガス |
都市ガス |
湯量 |
200L |
200L |
上昇させる温度 |
24℃ |
24℃ |
ガスの燃焼量 |
24,000kcal |
10,750kcal |
給湯器の熱効率 |
80% |
80% |
ガス単価 |
512円 |
150円 |
合計 |
128円 |
84円 |
このように、たとえ1回の入浴でも湯の温度を数度下げるだけでもガス代には差が出るのがわかりますね。年間に換算すると、都市ガスでは5000円以上の節約が可能となり、ガス代が高めのプロパンガスでは、8000円近い節約が期待できます。お風呂でガス代を節約したい場合は、健康にも効果的な微温浴を選ぶといいでしょう。
コンロのガス代の計算方法とは
つぎに、コンロのガス代を計算する方法について見ていきましょう。同じように調理をしたつもりでも、使う火力によってガス代に差が出てきます。強火・中火・弱火といった火力別の1時間ごとのガス代を、都市ガスを使った場合とプロパンガスを使った場合に分けて説明します。
火力別のコンロのガス代
一般的に、ガスコンロの性能はkWで表されます。ガス代を計算する際には、それを発熱量(MJ)に換算し、1kW=3.6MJ/hで計算します。ガスコンロのガス代を求める計算式は
「出力(kW)×3.6MJ/h×時間(h)÷ガスの発熱量(MJ/㎥)×ガス料金(円/㎥)」です。
ガスの発熱量は、一般的な都市ガスで45MJ/㎥、プロパンガスで99MJ/㎥となります。
これらを念頭においた上で、火力別の計算結果について表にまとめたものが以下になります。
●強火2.97kWのガスコンロを1時間使った場合
|
プロパンガス |
都市ガス |
出力 |
2.97kW |
2.97kW |
時間 |
1h |
1h |
ガスの発熱量 |
99MJ/㎥ |
45MJ/㎥ |
ガス料金 |
512円 |
150円 |
合計 |
55円 |
36円 |
●中火1.68kWのガスコンロを1時間使った場合
|
プロパンガス |
都市ガス |
出力 |
1.68kW |
1.68kW |
時間 |
1h |
1h |
ガスの発熱量 |
99MJ/㎥ |
45MJ/㎥ |
ガス料金 |
512円 |
150円 |
合計 |
31円 |
20円 |
●弱火0.38kWのガスコンロを1時間使った場合
|
プロパンガス |
都市ガス |
出力 |
0.38kW |
0.38kW |
時間 |
1h |
1h |
ガスの発熱量 |
99MJ/㎥ |
45MJ/㎥ |
ガス料金 |
512円 |
150円 |
合計 |
7円 |
5円 |
コンロのガス代も、都市ガスとプロパンガスを比較した結果は、プロパンガスのほうが高めです。
火力では弱火がもっともガス代を抑えられ、1時間の調理で必要なガス代を強火と比べると大きな差となります。長時間の強火は料理を焦がす原因にもなりますので、必要がなくなったらすぐに中火か弱火に切り替えるのが経済的です。日々のちょっとした積み重ねでも、年間ではガス代を大きく節約できるでしょう。
簡単にガス代を節約する方法が知りたい!
ガスを使わないようにすることは難しいですが、日々の使い方を少し工夫するだけでガス代の節約につながります。ここからは、お風呂とキッチンのそれぞれについて、無理なく簡単にガス代を削減できる節約術について紹介します。
お風呂でできる節約術
特に冬場のガス代を押し上げる大きな要因が、お風呂です。
ここでは、お風呂で行える簡単な節約術を紹介します。年間の節約金額は、使用するガスの種類や使い方によって異なりますので、あくまでも目安として示します。
①こまめに浴槽のフタを閉める
まずは基本的なことですが、使用後はこまめに浴槽のフタを閉めるようにして、お湯の温度を下げないようにしましょう。お湯の温度が保たれることで追い焚きの回数を減らせます。
こまめにフタを閉めることによって年間で2418円ほどの節約になり、追い焚きの回数を1回減らすことで、年間で1813円ほどの節約につながるでしょう。シャワーのお湯を出す時間を短くすることも節約になります。仮にお湯を出す時間を毎回1分短くすることで、年間では1755円ほどの節約が期待できます。
②シャワーやお湯張りの温度を下げる
ほかにも、シャワーやお湯張りの温度を下げることもガス代の節約になります。冬場は風邪を引くリスクもあるのであまり無理はできませんが、夏には試しやすい節約術です。温度調節機能が付いている場合はあらかじめ温度を設定しておくと、その都度調整する手間が省けるので楽です。
③お湯を使いすぎない・湯量を調節する
無駄にお湯を使いすぎないことにも注意しましょう。体や顔を洗っている間はシャワーを止め、使い始めのシャワーのお湯も浴槽に入れるなどして無駄に排水しないことが大切です。また、お湯張りの湯量も調節しましょう。水を入れたペットボトルを数本入れることでかさ増しになり、湯量を抑えながら肩までしっかりとお湯につかれます。真冬以外には、あえて肩までつからない半身浴もいいでしょう。半身浴は経済的なだけでなく、健康にも効果的な入浴方法です。少し寒く感じる場合はバスタオルなどを肩から掛けると冷えにくくなります。
④市販のアイテムを活用する
市販のアイテムを活用することも有効です。たとえば、節水シャワーヘッドを装着することで、シャワーの湯量をあらかじめ少なくできます。自動お湯張り機能がない場合は、水道の蛇口に取り付けることでお湯の入れすぎを予防する器具を利用しましょう。外気によってお湯が冷めるのを防ぐ保温シートを浴槽に入れておくのもひとつの方法です。家族構成に応じて、入浴方法を変えることも大切です。
⑤その他
ひとり暮らしの場合は、シャワーを中心にしたほうが節約につながりますし、逆に家族が多い場合はお湯張りをしたほうがお得になることが多いでしょう。ただし、お風呂に入る間隔を空けない、できればいっしょに入るといった工夫は必要です。お風呂はガス代が高くなりがちなぶん、実践できる節約術もたくさんあります。
お風呂に付いている自動調節機能や市販のアイテムなども活用しながら、明日からでも紹介した節約術を始めてみてはいかがでしょうか。
▼お風呂の入り方を見直して節約したい方はコチラもチェック!
https://kurashinista.jp/column/detail/4568
キッチンでできる節約術
キッチンでの調理中にもさまざまな節約ができます。
年間の節約金額は、使用するガスの種類や使い方によって差が出ますので、あくまでも目安と考えてください。調理中にも、できるだけ無駄なガス代を使わないように、調理時間を短くすることに意識しましょう。
①フタや落としブタを使う
具体的には、フタや落としブタを使って効率的に加熱することです。
フタを使うことで、年間約3434円もの節約が見込めます。時間がかかる煮物はガス代を多く使う料理ですので、同時に2品以上煮込むといいでしょう。茹で汁を使って別の食材を茹でたり、もう一品つくったりすると効率的に料理ができます。調理方法を選べるときは、煮るよりは蒸す、蒸すよりは焼くようにするとガス代の節約につながります。熱効率のいい大きめの鍋を使うこと、洗ったあとは鍋の底についている水滴を拭って使うことによっても無駄なガス代を使わなくて済みます。余熱も無駄にしないようにしましょう。
②電子レンジを使う
たくさんの火力と時間が必要な野菜の下茹では、電子レンジを使うとガス代の節約ができ、さらに時間短縮にもなります。必要に応じて、電気ケトル・圧力鍋・炊飯器・卓上IHコンロといった調理器具を使うことも、同様に節約と時間短縮につながります。冷凍食品はできるだけ冷蔵庫などで自然解凍する、沸かす水は常温にする、大量の油を高温に熱する揚げ物はできるだけ自宅でやらないといった選択も効果的です。
③水で洗い物をする
最後に、洗い物をするときはお湯ではなく水で洗うとガス代の節約になります。お湯よりも水のほうが皮脂は流れにくいので手の乾燥予防にもつながります。桶などを使ってため洗いするとさらに効率的です。
冬場など水の冷たさが気になるときはゴム手袋をはめましょう。キッチンでできる節約術のひとつひとつは小さなものでも、積み重ねていくことで年間単位では数十~数百円単位での節約が期待できます。
▼ガス代の詳しい節約方法はコチラでもチェック!
https://kurashinista.jp/column/detail/4520
ガス会社の契約内容を見直すことも大切!
これまで述べたように、日々の生活においてガス代を節約するためにはさまざまな方法があります。
毎日工夫していくことが大切ですが、自分や家族の健康や快適な生活に影響するほど我慢するのは考え物です。まずは、今契約しているガス代が適正なのかという観点から、契約内容や料金プランを見直してみましょう。
料金プランには、利用者の家族構成や使い方に応じたさまざまなメニューが用意されており、使用量に応じて基本料金やガス単価が多少変動します。まずは自分たちの利用状況を踏まえたうえで、現在の契約内容と利用状況とがマッチしているかを見極めることが大切です。
さらに、プロパンガスよりも都市ガスのほうがガス代は低めになる傾向にあります。プロパンガスを使っている場合は、自分の住んでいる地域で契約できる都市ガスはないか探してみるといいでしょう。
https://kurashinista.jp/column/detail/4532
https://kurashinista.jp/column/detail/4567
ガス会社の見積もりを取って賢く節約しよう
節約だけに頼るのではなく、もっと効率的にガス代を節約する方法は、ガス会社に見積もりを取ることです。
特に「自由料金」であるプロパンガスの場合は、契約する会社や地域などによって料金に大きな差が出ることがあります。また、価格設定が高めであり、さらにガスボンベなどの設置費用もかかるプロパンガスよりも、都市ガスのほうが料金を抑えやすいでしょう。加えて、2017年4月から都市ガスの自由化が始まりました。従来の事業者以外の企業も新規参入しており、誰でも自由に好きな会社を選べるようになっています。つまり、各家庭のガス代を大きく抑えられるチャンスが到来したということです。
この機会を逃さず、できるだけガス代を抑えたいと考えているなら、まずは複数の会社から見積もりを取って比較してみてはいかがでしょうか。
もっとも効率的なのは、インターネット経由でガス代の一括見積もりを取る方法です。手軽な一括見積もりを活用して、豊富な選択肢のなかから自分や家族にとって最適なガス会社のプランを選ぶといいでしょう。
▼どのガス会社の料金プランがおトクかを比較する↓
2019.07.24電力会社のようにガス会社も変えられるってこと、知っている人は多いのに、ほとんどの人は切り替えたことがなくて、現状維持のままのよう。でも行動派の人たちは一足先にガス会社の切り替えを始めているんです!そして光熱費を賢く節約して...続きを見る
実際に、見積もりをしたら驚きの結果が…
2018.06.13「うちのプロパンガス、ちょっと高いんじゃない?」「でも業者は変えられないし」「公共料金だから仕方ないか」……そんな心当たりがあるあなた。 今どきのプロパンガスは、料金を比較して自由に切り替えができることをご存知でしょうか。...続きを見る
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