外壁にサイディングを用いる住宅が増えています。材料の調達コストが抑えられる、施工の手間がかからず工期を短縮できるという利点から、外装材の主流として人気を獲得しているようです。サイディングのさまざまな特徴を知って、住まいづくりに取り入れることを検討してみてはいかかでしょう?
サイディングとは
サイディングは、サイディングボードとも呼ばれる板状の外装材で、建物の外壁に合わせて貼り付け、継ぎ目をシーリング材という隙間を埋める材料を使ってつないでいきます。
サイディングには、「窯業系」「金属系」「木質系」「樹脂系」の4種類があり、それぞれ表面の質感、色調が異なるため、あらゆるデザインに対応できます。
ボードの厚みも14mm、16mmなど、数種類のバリエーションがあり、厚みのあるものは、表面の複雑な風合いを表現できる利点があります。
サイディングの特徴
◯質感、色調が豊富
他の外装材にくらべて、種類豊富なのがサイディングの魅力。
石積調、レンガ調、タイル調、木目調、塗り壁調といった具合に、さまざまな素材の風合いを表現できるので、あらゆるデザインに対応できる良さがあります。
◯初期費用は安い
量産できる材料の費用は低コスト。しかも、工場であらかじめ成型されたパネルを取り付ける工法なので、高度な職人技を必要とせず、短い工期で人件費を抑えられるため、初期費用は、タイルやモルタルの外壁より安いのが特色。
△メンテナンスの再塗装や継ぎ目の補修が必要
初期費用は抑えられる一方で、時間経過による劣化に対応するメンテナンスや補修が必要になります。サイディングの耐用年数は10年前後ともいわれ、表面の色褪せを修復する再塗装、劣化した継ぎ目の補修などをおこなわなければなりません。
サイディングの種類
〈窯業系サイディング〉
セメント質原料、繊維質原料を主原料とする窯業系サイディングは、もっとも多く用いられているタイプ。天然石調、塗り壁調、レンガ調、木目調などデザインの種類が豊富なうえ、耐久性、耐火性、防水性に優れている点が人気の理由です。
〈金属系サイディング〉
アルミや鋼板で作られた金属系サイディングは、人気の窯業系やモルタルなどにくらべて軽量で施工しやすい性質をもっています。断熱性に難点はありますが、耐水性、耐久性を備え、建物への負担が少ない分、地震の際に建物への影響を抑えられます。
〈木質系サイディング〉
無垢材や合板などの木材を使う木質系サイディングは、木目の風合いが温かみを感じさせるところに魅力があります。防火構造に関する規制のある地域では使用が制限される場合がありますが、最近では、そのような地域でも用いることのできるものもできています。
〈樹脂系サイディング〉
塩化ビニル樹脂製の樹脂系サイディングは、寒さに強くひび割れがおきにくい特性をもつところから、寒冷地でよく採用されています。撥水性、弾力性があって耐久性が高く、金属系などのように表面の再塗装が不要なのでメンテナンスの点でも優れています。
モルタル外壁との違い
外装剤の主流が、モルタルからサイディングへと移った一番の理由は、サイディングのほうが工期と費用を抑えられるという点。材料費が安く、軽量で施工が容易だからです。また、モルタルにくらべてひび割れの心配が少ないのも、サイディングの有利な性質といえます。
その反面、モルタル外壁にくらべると概して熱を吸収しやすいのと、複数のボードを貼ってつなげていくという施工方法の関係から、つなぎ目の劣化の問題が生じるのが、サイディングの弱点ともいえます。
サイディングの補修・メンテナンス
防水性を高め、色褪せなどひび割れなど表面の劣化を防ぐために、ほとんどのサイディングには表面塗装が施されています。時間の経過によって塗膜が劣化しますので、種類にもよりますがおよそ10年前後で再塗装が必要となります。
ボードの劣化の度合いによっては、塗装でなく、ボード自体の張り替えを行う場合も。既存のボードの上に新しいボードを張る方法と、既存ボードを剥がしてボードを張り直す方法があります。前者は後者より工費が安く済みますが、壁面にかかる負担が増える難点があります。
また、ボードのつなぎ目に使われるゴム状の素材(シーリングやコーキングと呼ばれる)も劣化するため、割れなどが生じれば、その補修も必要です。
サイディングの施工法
建物の柱に透湿防水シートを張った面の外側に、胴縁と呼ばれる板を入れて空間を作り、そこへサイディングを取り付けていきます。こうすることで、サイディングと建物の間に通気層ができ、乾燥・排水の役割を果たします。
サイディングが普及し始めた2000年ごろは、胴縁を入れず、通気層を作らずに直貼りする工法をとることが多かったようですが、湿気によるサイディングの劣化の原因となりますので、通気層を作るための張り替えが推奨されています。
まとめ
サイディングは、他の外壁材にくらべて費用と工期を抑えることができるうえ、耐久性にも優れています。もっとも多く用いられている窯業系を始めとして、4種類のサイディングがあり、さまざまなデザイン、条件に対応できるのが魅力。時間経過とともに表面塗装やつなぎ目の劣化などが生じるため、定期的なメンテナンスが必要な一面も。
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記事作成協力 株式会社北九州住宅診断研究所
http://jyutaku-shindan.com
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