和風建築との相性がとくによく、味わい深い印象を演出できるモルタルの外装壁。最近主流を占めているサイディングとは異なる趣があり、オリジナリティを感じさせる外観をつくりだすのに適しています。
モルタルとは
モルタルは、セメントに砂と水を混ぜたもの。ペースト状にしたモルタルを左官コテで外壁の下地に塗りつけて造るのがモルタル外壁です。
セメントやコンクリートと混同して認識されることがよくありますが、セメントは、モルタルやコンクリートを作るための材料で、粘土、石灰石などを原料とする粉体。水を混ぜると硬くなる性質をもちます。
コンクリートは、セメントに砂と砂利、水を混ぜて固めたもの。モルタルよりも強度があるため、建築資材として住宅のほか、ダムや橋、道路などに用いられます。
モルタル外壁の特徴
メリット
○さまざまな形状に対応できる
モルタルをコテで塗っていく手法のため、平面だけでなく曲面もつくれるのが大きな特色。デザインの自由度が高く、表面の風合いも多彩で、オリジナリティのある外壁ができます。
○つなぎ目のない壁にできる
パネルをつなげて外壁を作るサイディングは、どうしてもつなぎ目ができてしまいますが、モルタル外壁なら、つなぎ目のない美しい壁面にできます。
○金属系の外壁材のように表面が熱くならない
金属系サイディングのように、表面が触れないほど熱くなる心配がありません。また、金属系にくらべて、やわらかく温かみを感じさせる印象を演出できます。
デメリット
△施工費が高め
外壁の下地作り、モルタル作りを現場でおこなって、塗りと仕上げの手作業の工程があるため、手間も時間をかかるモルタル外壁は、ほかの外壁材にくらべると、施工費は高めになりがちです。
△ひび割れを起こしやすい
表面にひびが入りやすいのが、モルタル外壁の弱点。ひび割れが生じると、そこから雨水が入って外壁の劣化が進むため、メンテナンスが必要になります。
モルタル外壁の種類
モルタル外壁は、仕上げ方の違いで見た目の印象が変わります。以下がよく見られる仕上げの種類です。
〈リシン仕上げ〉
細かい砂の粒子を塗料に混ぜて吹き付け、ざらざらした表面に仕上げる方法。土壁に似た印象になるので、和風建築になじみます。
〈スタッコ仕上げ〉
リシン仕上げに厚みをもたせた感じで、吹き付けの後にコテやローラーで表面に凹凸を加える方法。石材のような風合いが特徴。
〈吹き付けタイル〉
タイル材を吹き付けて陶磁器のような質感を出す方法。ひび割れを起こりにくくする、弾性のあるタイル材もあります。
〈左官仕上げ〉
左官職人がコテを使って手作業で仕上げていく方法。表面の模様の変化をつけやすく、左官仕上げのなかに、はけ引き仕上げ、扇仕上げなど、さまざまなこまかい種類があります。
サイディングとの違い
自由度の高いデザイン、オリジナリティを重視した外観にしたいのであれば、サイディングよりモルタル外壁のほうがよいでしょう。つなぎ目のない壁面にできるので仕上がりの美しさも、サイディングより優れています。
ただし、デザイン性の高さを求めれば求めるほど、工期は長くなり、施工費はかさみます。ある程度幅のあるデザインの揃っているサイディングのほうが、工期・コスト面では有利。職人の技能に仕上がりが左右されにくいという点も、サイディングの利点です。
モルタル外壁の補修・メンテナンス
モルタル外壁の場合、ひび割れが生じやすいので、施工して10年ほど経ったら定期的に状態を確認する必要があります。その際は、全体的な再塗装がメンテナンスとして必要になります。ひび割れがあれば、シーリング材と呼ばれる充てん材でひび割れた部分を埋める作業が必要です。ひび割れの状態によって補修の工程が変わってくるので、プロに任せるのがよいでしょう。
また、時間経過によって、表面の塗膜が劣化して防水効果がなくなる現象も起きますから、塗り替えも必要になります。
ひび割れが起きやすいモルタル壁の性質と、手作業中心の施工・補修を考えると、費用は、ほかの外装材にくらべて高めになるケースが多いといえます。
モルタル外壁の施工法
外壁の下地となる板に防水シートを貼って、その上に、ラス網と呼ばれる金網を打ち付け、モルタルを塗っていきます。金網はモルタルの付きをよくするのと、壁面の強度を高めるためのものです。
モルタルを塗っていく前の下地処理は、その後の劣化を抑える意味でとても重要な工程。時間をかけて丁寧におこなう必要があるため、モルタル外壁の施工費が割高になるのは、ある程度仕方のないことです。
まとめ
思い通りの個性的なデザインや風合いの外壁に仕上げられるのが、モルタル外壁の最大のメリット。
工期・コスト面でほかの外装材より負担は大きくなりますが、モルタル外壁にしか出せない味わいに魅力を感じるのであれば、検討してみてはいかがでしょう。
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記事作成協力 株式会社北九州住宅診断研究所
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