これだけはおさえたい! コストダウンのポイント
心地よい住まいを賢く無駄なく建てる!
限られた予算内で理想の家をつくるためには、効果的なコストダウンの工夫が欠かせません。ローコスト住宅に積極的にとり組む建築家のかたがたに、プロならではのアイディアをうかがいました。
基礎や構造のコストダウンはNG
基礎や構造はあとからとりかえがきかないうえ、建物の耐震性や耐久性にかかわる大切な部分。ここで建築費をカットするのは厳禁です。
一般的には、木造3階建て以上の家を建てる場合、建築確認申請の際に構造計算書が必要になります。木造2階建てでは簡易的な計算のみを行うのが普通ですが、できれば構造計算のプロに頼んで作成してもらうのがおすすめ。設計者に相談すれば依頼してもらえます。構造計算書の作成は、将来の安心のためという目的のほかに、適正なコストコントロールにも効果が。梁や柱の太さや本数などがオーバースペックになっていないかをチェックできるため、無駄なコストを削れることもあります。(宮地さん)
坪単価にはこだわらない
ローコストな家づくりでいちばんおすすめできないのは、ずばり「広くして安くしたい」という考え方。こうすると確かに坪単価は下がりますが、全体的に“密度の薄い家”ができるだけで、住んでからの本当の満足感は得られないと思います。
そもそもこの「坪単価」という基準は、建売住宅をベースにしたもの。「こんなに広いのにこんなに安い」というメリットを強調しているのでしょう。プランの似ている建売住宅はほかに基準がないため、購入する側もこれを目安にしがちです。でも、本来、家づくりでめざしたいのは“どれだけ希望の詰まった、密度の濃い家をつくれるか”。
予算が少ないならなおさら、坪単価にこだわらず、小さくても家族の希望を凝縮したプランを考えるのがおすすめです。(井上さん)
施工業者には“明朗会計”を依頼する
ほとんどの施工業者は、見積もりの際、材料や設備機器にひとつひとつ値段をつけず、ざっくりとした金額を提示してくるもの。その中には業者自身の利益も含まれているのですが、それを分けずに上乗せするのが一般的です。
建築業界ではなぜかこの方法がまかり通っていますが、本来はもっと“明朗会計”であるべき。見積書にはひとつひとつの仕入れ値をきちんと載せ、施工業者自身の利益も別項で記載する。そうすれば、建主にとっては、どこを削ってどこをグレードアップするかというコストコントロールがしやすくなります。施工業者にとっては、材料の仕入れ価格をそのまま伝えているため、無理な値切り方をされることがありません。こうしたシステムをとっている業者は多くはありませんが、見積もり依頼をする際に打診してみてはいかがでしょうか。(菊地さん)
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Adviser
ピーズ・サプライ
井上 徹さん
1996年設立のハウスビルダー「ピーズ・サプライ」
代表。「シンプル&ナチュラル」をコンセプトに、
新築、リフォーム、キッチン設計などを手がける。
MONO設計工房一級建築士事務所
菊地 一幸さん
1962年大分県生まれ。東京工芸大学工学部建築学科
卒業。92年に現事務所を設立。ローコスト住宅を数多く手がけ、神奈川県内の自宅も1000万円台で建築。
プランボックス一級建築士事務所
小山 和子さん
1955年広島県生まれ。女子美術大学芸術学部卒業。87年に小山一級建築士事務所、95年に一級建築士の湧井辰夫さんと共同で現事務所を設立。
宮地亘設計事務所
宮地 亘さん
1970年千葉県生まれ。工学院大学工学部建築学科卒業。高橋克彦建築事務所を経て2001年に独立。同年、
オフィス兼自宅を千葉市内に建てる。HP「おうちや」
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