部材・内装材編
工事の項目をできるだけ減らす
ひと口に新築工事といっても、そこにかかわる職人さんの種類はさまざま。ベースとなる木工事をする大工さんのほかに、外装では板金屋さん、サイディング屋さん、左官屋さん、タイル屋さんなど。内装では左官屋さん、タイル屋さん、クロス屋さん、家具屋さんなどが工事を分担します。外装材や内装材を決めるときは、どうしても材料の値段に目がいきがちですが、じつは職人さんの工賃のほうがコストに大きく影響します。つまり、職種がなるべく少なくなる仕上げ方を選ぶことが、コストを抑えるコツ。たとえば家具屋さんを頼まず、大工さんに簡単な棚をつくってもらう、水回りの壁をクロスにしたら、床もクロス屋さんが扱えるクッションフロアにする、などです。各職人さんの仕事の領域は、設計担当者に確認を。(宮地さん)
DIYに挑戦するなら、手軽なものや 一部分にする
DIYで施工に参加すれば、かかるのは材料費のみ。職人さんの工賃の分だけコストをカットできます。難易度は簡単な順に、ワックスがけ&ペイント→オープン棚の製作→タイル貼り→壁紙張り→左官仕事&デッキ製作。難しいものになると、職人さんなら数日で終わる作業に数週間かかることも。メーカー主催の体験教室に参加してみたり、自分たちの労力とコストをはかりにかけてみることも大切です。(宮地さん)
DIYはぜひおすすめしたいコストダウンテクニックですが、すべてを自分たちで仕上げようとしないことが、失敗しない秘訣。たとえば壁の珪藻土塗りなら、まずプロに難しい部分を依頼し、それを見ながらやり方を教えてもらって、簡単な部分だけ自分たちでトライする、という方法が無難です。(小山さん)
あとから仕上げられる部分を残しておく
外構と同様に、内装も入居してからゆっくり仕上げていくという選択肢があります。壁面などを下地のままにしておいて、あとから左官材やペイント、クロスなど好みの素材で仕上げます。特に子ども部屋は、汚したり落書きをしても気にならず、子どもものびのびと遊べます。仕上げは暮らしにゆとりができた段階でプロに頼んでもいいですし、DIYに挑戦するのもおすすめです。家族しか使わない納戸やクローゼットの内部などは、ずっと下地のままでもいいかもしれません。(小山さん)
【H邸 設計/プランボックス】
キッチンカウンターを手頃なラーチ材でつくり、無塗装のままに。構造材やダクト、配線があらわしの天井も、
コストダウンに貢献。
施主支給も有効。ただし、かえって手間がかかる場合も
建主が自分たちで部材や設備などをとり寄せることを「施主支給」といいます。施工業者を通して発注する場合にかかる中間マージンをカットできる、インターネットで価格の比較をしながら選べる、などのメリットがあります。
比較的簡単に施主支給できるのは畳。特に置き畳はホームセンターなどで1枚3000円ほどで手に入ります。ただし、部屋の面積にサイズをぴったり合わせるのが難しいので、大工さんに頼んで周囲を板張りにしてもらうなどの工夫を。フローリングなどの床材も施主支給できますが、平面図から必要な数量を割り出すのは、プロでなければ至難の業。木材の反りや節などの状態も、プロのチェックを受けたほうが安心です。このように、内装材や部材を施主支給するときは、設計者や施工業者との綿密な打ち合わせが必須です。(宮地さん)
【K邸 設計/宮地亘設計事務所】
【写真左】寝室の畳はホームセンターで。
【写真右】玄関の収納扉は施主支給し、宮地さん手作りの取っ手をプラス。
パイン材の床と木枠の窓も施主支給に。本体工事費1850万円で完成。
一般的なサッシでもできるこだわりの窓まわり
雰囲気のあるピクチャーウインドーをつくりたくても、特殊なサッシはやはり高価。そこで、普及品のサッシで印象的な窓まわりをつくる方法をご紹介します。ひとつは窓の手前に壁を立て、窓枠を壁で隠す方法。室内から見えるのはガラスだけになり、フィクス窓のような印象に。壁は左官仕上げがおすすめです。もうひとつは、大きな窓のかわりに安価な小さい窓を連続させ、窓と窓の間のサッシが隠れる幅の板を室内側にとりつける方法。木製窓のような雰囲気になります。(小山さん)
【T邸 設計/プランボックス】
【写真左】外の景色を印象的に切りとるピクチャーウインドー。地板をつけてナチュラルに。
【写真左】屋外側から見ると一般的な掃き出し窓。フィクス窓と違って開閉できるので、通風も可能。
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Adviser
ピーズ・サプライ
井上 徹さん
1996年設立のハウスビルダー「ピーズ・サプライ」代表。「シンプル&ナチュラル」をコンセプトに、新築、リフォーム、キッチン設計などを手がける。
MONO設計工房一級建築士事務所
菊地 一幸さん
1962年大分県生まれ。東京工芸大学工学部建築学科
卒業。92年に現事務所を設立。ローコスト住宅を数多く手がけ、神奈川県内の自宅も1000万円台で建築。
プランボックス一級建築士事務所
小山 和子さん
1955年広島県生まれ。女子美術大学芸術学部卒業。87年に小山一級建築士事務所、95年に一級建築士の湧井辰夫さんと共同で現事務所を設立。
宮地亘設計事務所
宮地 亘さん
1970年千葉県生まれ。工学院大学工学部建築学科卒業。高橋克彦建築事務所を経て2001年に独立。同年、
オフィス兼自宅を千葉市内に建てる。HP「おうちや」
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