置き家具は造りつけよりリーズナブル
造りつけ収納は機能的ですっきりと見える半面、製作コストがかさむ、移動できない、簡単につくりかえられない、というデメリットもあわせもっています。そこで見直したいのが、市販の置き家具の活用。収納が欲しい場所にスペースだけ設けておき、気に入った家具を配置します。手頃なものを選べば造りつけ収納よりずっとローコストで、暮らしに合わせて簡単に移動でき、飽きたら自由にとりかえられます。
素材やデザインにバリエーションがあるのも魅力。古びた味わいのあるユーズド家具から、無駄がなくてリーズナブルな「イケア」「無印良品」などの収納家具まで、使う部屋に合わせてセレクトできます。リビングで使っていたものを子ども部屋でリユースする、といった使い方もおすすめです。(井上さん)
【K邸 設計/ピーズ・サプライ】
玄関収納も置き家具。学校の下駄箱風のシェルフに靴を並べて。
【写真左】趣のあるユーズドのキャビネットを背中合わせに2台置き、キッチンの配膳カウンターとして活用。食器類もたっぷりしまえます。
【写真右】キッチンのキャビネットの裏側。引き戸や引き出しをフル活用。
オープン棚はローコストで 使い勝手も抜群
箱状の枠も扉もないオープン棚は、やはりローコスト。安価なツーバイ材などを使えば数千円ででき、DIYで設置するのも比較的簡単です。棚板の素材や棚受け金具のデザインによって、好みのイメージも演出できます。
扉がないため、「あける、探す、閉める」というアクションがいらないのもメリット。これだけで家事の手間がぐっと軽減されます。特にキッチンで毎日使う調理器具や調味料などは、オープン棚に並べてすぐ手にとれるのが理想的。棚板の奥行きを浅くしておけば、ものが重ならないのでひと目で置き場所がわかり、とり出すのも戻すのも簡単です。(小山さん)
【S邸 設計/プランボックス】
洗面室の壁面にレールをとりつけ、可動式のオープン棚を設置。タオルなどがさっと手にとれます。
【 I 邸 設計/プランボックス】
安価なツーバイ材を無塗装のまま使用。棚受け金具のないすっきりしたデザインも目を引きます。
ウォークインクローゼットに 家具工事は不要
ゲストの目にふれないクローゼットの内部では、安価な既製品の収納アイテムを活用するのが賢い選択。引き出しなどのついた収納システムをつくるには家具工事が必要になり、人件費がかさんでしまうからです。
ハンガーをかけるポールをつけたり、簡単な棚をつくるだけなら、大工さんにお願いできます。ポールの下をあけておき、そこに既製品の引き出しを並べれば、面積に無駄がなく使い勝手もよくなります。デザインの気に入らないタンスなども、クローゼット内におさめてしまえば気にならないはず。出入り口のドアを省き、カーテンやロールスクリーンで代用するのも、小さなコストダウンテクニックです。(小山さん)
【H邸 設計/プランボックス】
寝室の出入り口に、タンス置き場とウォークインクローゼットをプラン。衣類をとりに行くのも収納するのもラクなレイアウトです。
【写真左】手持ちのタンスがすっきりおさまるよう、壁をへこませたのがポイント。
【写真右】クローゼットの両側に棚とポールのみを設置。入り口のドアは省いてコストを抑え、出入りもしやすく。
カウンターデスクはDIYで十分
天板に脚をつけただけのカウンターデスクは、手軽に自作できます。木材のカットをホームセンターなどに頼めば、あとは組み立てるだけ。自分でカットするなら丸のこを用意しましょう。ネジ留めにはインパクトドライバーがあると便利です。シンプルな構造なので、天板のサイズや脚の長さを変えるといったカスタマイズも簡単です。(宮地さん)
【M邸 設計/宮地亘設計事務所】
宮地さんの自宅。仕事部屋のデスクは、ホームセンターで購入した板に脚をつけ、スチールチェストを組み合わせた
もの。
古材をとり入れるならアクセント程度に
使い込まれた味わいが魅力の古材ですが、床全面にとり入れるなどというのは、やはりハイコスト。インテリアのポイントとしてとり入れれば、さほどコストがかからず、かえって素材感がきわ立ちます。おすすめなのはオープン棚の棚板。空間内で質感を変えたいときに活躍し、多少の反りや割れなどがあっても用途に支障は出ません。(小山さん)
【H邸 設計/プランボックス】
アンティークショップで見つけた古材の板と棚受け金具で、小さなオープン棚を製作。素朴な質感がディスプレイを引き立てます。
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Adviser
ピーズ・サプライ
井上 徹さん
1996年設立のハウスビルダー「ピーズ・サプライ」
代表。「シンプル&ナチュラル」をコンセプトに、
新築、リフォーム、キッチン設計などを手がける。
MONO設計工房一級建築士事務所
菊地 一幸さん
1962年大分県生まれ。東京工芸大学工学部建築学科
卒業。92年に現事務所を設立。ローコスト住宅を数多く手がけ、神奈川県内の自宅も1000万円台で建築。
プランボックス一級建築士事務所
小山 和子さん
1955年広島県生まれ。女子美術大学芸術学部卒業。87年に小山一級建築士事務所、95年に一級建築士の湧井辰夫さんと共同で現事務所を設立。
宮地亘設計事務所
宮地 亘さん
1970年千葉県生まれ。工学院大学工学部建築学科卒業。高橋克彦建築事務所を経て2001年に独立。同年、
オフィス兼自宅を千葉市内に建てる。HP「おうちや」
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