デザイン、設備、収納などバリエーションがふえ、選択の幅が広がってきたキッチン。このページでは、理想的なキッチンをつくるために知っておきたいポイントと最新情報をまとめました(「キッチンのスタイルとレイアウトのプランニング(設計)方法」も合わせてお読みください)。
キッチンはオープンタイプが人気
最近は、キッチンを家族のコミュニケーションの場としてとらえ、リビング・ダイニングとの境がない開放的なスタイルが人気。そのためキッチンメーカーでは、対面式やアイランドタイプなどのオープンキッチンを数多く提案しています。
また、手入れや掃除のしやすさ、収納の工夫、デザイン性などが一段と向上している点にも注目。
手入れがしやすいコンロやレンジフード、壁材や扉をはじめ、使いやすい収納、シンプルでモダンな扉や取っ手のデザインなど、さまざまな機能や工夫が充実しています。
使い勝手や予算に応じてキッチンパーツを選ぶ
キッチンは機能性を最優先したプランニングを。広い作業スペースと出し入れしやすい収納を確保し、メンテナンスのラクな素材や設備を選びましょう。
収納部分の扉の色や壁面のタイルに工夫を凝らすなど、ダイニングやリビングとも調和するようなインテリアに仕上げることも忘れずに。
ワークトップ
主な素材は人造大理石とステンレス。人気の人造大理石は独特の素材感があり、色や柄も豊富。
でもステンレスより多少高価で、メーカーによって使っている樹脂が異なるため、耐熱性や耐傷性などが違います。実用性を重視するなら、熱や汚れに強いステンレスがおすすめ。
収納
フロアユニットの上段から床面近くまでが、空間を立体活用した引き出しに。コンロまわりから調理スペース、シンクまわりまで、必要なものがさっと手に取れる「らくパッと収納」。「サンヴァリエ〈リシェル〉」/LIXIL(サンウエーブ)
奥にしまったものまでとり出しやすく、キャビネット内を有効活用できるスライド式の引き出し収納が主流です。昇降式吊り戸棚も人気で、上部ユニットの内部のかごを引き下ろし、調理中でも必要な物がさっととり出せます。
また、最近はゴミ箱もキャビネット部分に収納が可能に。出し入れがスムーズなワゴンタイプが便利です。炊飯器やポット、電子レンジなど家電用の収納アイテムもチェックしてみて。
シンク
最近は、間口がコンパクトでも奥行きを広げ、大きな鍋もゆったりと洗えるように設計されたものが多くなっています。
素材は耐久性のあるステンレスが主流で、水が跳ねる音を低く抑える静音タイプも人気。
水栓器具
センサーで吐水・止水できるタッチレス水栓に、省エネ機能「エコセンサー」をプラス。ホース引き出し式。「ナビッシュ(エコセンサーつき)」A7タイプ ¥12万4200/LIXIL(INAX)
片手で簡単に湯音調節や吐水・止水ができるシングルレバーの混合栓が一般的。ヘッドが引き出せるハンドシャワーつきは、調理器具やシンクを洗うのに便利です。
また、調理中でも使いやすいのが、手をかざすだけで水が出るセンサーつきのタイプ。足元のスイッチを踏むだけで操作ができる商品もあります。
浄水器が組み込まれた水栓器具を選べば、見た目もすっきりとした印象に。
食洗機
システムキッチンの場合はビルトインタイプがほとんど。前開きタイプ、引き出しタイプがあり、最近は立ったまま食器などが出し入れできる引き出しタイプが人気です。
家庭で一度に洗う食器の量をチェックして、庫内の容量が適当かどうかを確認してから選びましょう。洗浄時の運転音もチェックポイントです。
コンロ
バーナーの間隔が広く、3つの鍋の同時調理が可能。「サンヴァリエ〈リシェル〉」の「ひろまるコンロ」/LIXIL〈サンウエーブ〉(左)
IHを横に配列。3つの鍋がゆったり置けて、手前を下ごしらえや盛りつけに使えるワイド設計。「リビングステーション」の3口IH「トリプルワイドIH」/パナソニック(右)
ガス式と電気式に分かれます。最近のガスコンロは効率的な燃焼機能に加え、消し忘れタイマーや設定温度を保つ機能、天ぷら油過熱防止機能などの安全装置のついた機種が多くなっています。
ガラストップでゴトクがシンプルな形状の、掃除がラクな商品も一般的に。
一方、空気が汚れない加熱機器として注目されているのがIHクッキングヒーター。磁力を誘導して鍋を直接あたためるので熱効率がよく、電気代はガス代と同程度。
炎が出ず、プレート表面が熱くならないため安全性にすぐれ、フラットなトッププレートはお手入れも簡単です。ただし、使用できる調理器具に制限がある点に注意が必要。
レンジフード
外壁に設置して外に直接排気する「プロペラファンタイプ」と、ファンを内蔵し、天井や壁の中にめぐらせたダクトを通して外部に排気する「シロッコファンタイプ」に大別されます。
最近はシロッコファンタイプが一般的で、アイランド型や対面キッチンなどでも用いられています。
フードは補集力の高いものがふえ、フッ素樹脂加工や親水性加工などの工夫で拭き掃除がラクなものが人気。特殊加工によって油汚れが簡単にとれるフィルターや、フィルター自体をなくした商品なども登場しています。
扉
システムキッチンの場合はキャビネットの扉の材質によって価格が大きく変わります。主な扉材には、化粧シート、木製、ホウロウ、ステンレスなどがあり、化粧シートがいちばんお手頃な価格。
同じ木製でもグレードがあり、突き板を加工したものは無垢材の扉よりも安くなります。
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レイアウトは作業の流れと動線に沿って考える
キッチンでの作業効率をよくするには、シンクやコンロなどの配置がポイント。
基本ルールは、「作業の流れと動線に沿って配置する」ことです。
一般的な流れは
「食材をとり出す→水洗い&下ごしらえ→加熱処理→盛りつけ→食卓に運ぶ」
ですよね。ここにキッチン機器をあてはめると・・・
「冷蔵庫&食品庫→シンク&作業台→コンロ&鍋など→食器棚&配膳台→食卓」
となります。
でも、ただ横一列に配置すればよいというわけではありません。全体の距離はせいぜい4mくらいまでにしておかないと、端から端まで移動するのが大変だからです。あまり距離が長くなりそうなら、Ⅱ型やL型、アイランド型などのレイアウトも検討して、作業動線が短く効率的になるようにプランしましょう。
また、冷蔵庫は飲み物などをとり出しやすいように、ダイニングに近い場所に配置すると便利です。
キッチンの高さを使う人に合わせる
キッチンカウンターの高さが使う人に合っていないと、無理な姿勢をとることになり、作業がしにくいもの。腰痛などの原因にもなってしまいます。 使いやすい高さは、下のように身長から割り出します。 カウンターの高さは、身長(cm)×0.5+5(cm)が目安。 現在のキッチンの高さを基準にして、プラスマイナスしてもよいでしょう。 ショールームでは、家にいる状態になるように靴を脱いで高さを確認してください。
広い作業スペースと収納の確保
上記のほか、使いやすいキッチンにするポイントは、広い作業スペースと出し入れしやすい収納の確保、そしてメンテナンスのしやすい素材を選ぶことです。
ゆとりあるカウンターがないと、下ごしらえも盛りつけなどの作業もはかどりません。シンクとコンロのまわりには必要なスペースを確保することが大切です。
下の図では、Ⅰ型キッチンを例に、それぞれのスペースの目安をあげていますので参考にしてください。ちなみに、Ⅰ型キッチンの場合、4畳半か6畳の部屋にちょうど設置できる、間口2m55cmのものがポピュラーです。
また、カウンターの広さを決めるときは、現在のキッチンを基準にして、あと何cm広ければ使いやすくなるかを調べてみるのもおすすめです。狭いキッチンなら、シンク前に出窓をつけると、ちょっとしたものが置けて重宝します。
こちらの記事でもさまざまなキッチンレイアウトや、自分に合ったキッチンスタイルの見つけ方を、家づくりのプロが解説しています。
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家づくりでのキッチンの選び方
キッチンの選び方はレイアウトだけではありません。コンロやシンク、レンジフードや水栓なども、ぜひこだわって選びたいところ。
こちらの記事では、家づくりの際のキッチン選びについて、特に設備にしぼって解説しています。
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種類別のキッチンレイアウト実例集を見て参考にしたい
ここでは種類別のキッチンレイアウトの実例を写真でご紹介。それぞれの特徴が一目でわかりますよ。
【アイランド型】
アイランドカウンターとダイニングテーブルを一体型にしたプラン。家事をしている間も家族とふれあえます。( 神奈川県・M さん )
コンロは壁側にレイアウト。調理中の油はねなどが気になりません。よく使うものはハンギング収納にしています。
【ペニンシュラ型】
カウンターをペニンシュラ( 半島 )のように配置したキッチン。奥にはたっぷりしまえるパントリーもプランしました。( 高知県・U さん )
カウンターの中からダイニングを見たところ。シンク前の壁を立ち上げたので、ダイニング側から汚れものが丸見えになりません。
【Ⅰ型】
シンプルな壁づけのI 型キッチン。コンパクトで無駄がなく、ダイニングに入る家族との一体感も味わえます。( 埼玉県・U さん )
【Ⅱ型】
白い面材でまとめたシンプルモダンなキッチン。カウンターの内側が見えないのですっきりした印象です。( 東京都・S さん )
Ⅱ型キッチンの対面カウンター側。シンクもコンロもこちら側にレイアウトしました。
I 型キッチンの壁側。ものが置けるカウンターと、大容量の壁面収納を造りつけました。
【L型】
窓に向けてレイアウトしたL 型キッチン。オープンスタイルなので、親子で一緒にキッチンに立ってもゆとりがあります。( 大阪府・Y さん )
シンクの前を窓にして、手元を明るく。コーナー部分にものを置けるため、作業スペースはゆったり。
【U型】
カウンターをU 型に配置して、一部をダイニングテーブルとして使っています。木製カウンターのぬくもり感も◎。
キッチンは吊り戸棚も含めて、すべてオリジナルで造作。カウンター下はオープンにして、コーナー部分も収納に無駄なく使っています。( 埼玉県・I さん )
こちらでも素敵なキッチン実例をご紹介しています。
キッチンのレイアウトはもちろん、実際の使い方や暮らしの中での生かし方も、ぜひ参考に!
【この建築家と家を建てたい】大きなアイランドキッチンが家族だんらんの場に
大きなテーブル兼カウンターで “作りながら食べる” ライフスタイルを満喫中!
リビングにもダイニングにもつながるキッチンがわが家の中心!
失敗しないキッチンレイアウトにするために注意すべきポイントはなに?
キッチンレイアウトで失敗しないために、それぞれのプランで気をつけたい注意点を挙げてみました。
I(1)型・Ⅱ(2)キッチンでの注意ポイント
I(1)型・Ⅱ(2)型キッチンで気をつけたいのは「動線が長くなりすぎないようにする」こと。カウンターを広くしたいからと幅を広げすぎると、横移動の距離が長くなり、かえって作業しにくくなります。必要なカウンターの広さと動線の長さのバランスを取ることが大切です。
U型・L型キッチンでの注意ポイント
U型・L型キッチンでは、「コーナー部分の使い方」がポイント。ここを使いこなせないと、せっかくの収納スペースが無駄になってしまいます。
システムキッチンなら、コーナー部分用の回転式ラックなどのパーツを活用するのが一般的。大工さんなどにお願いして作ってもらう造作キッチンの場合は、カウンター下をオープンにしておいて、ワゴンなどを組み込む方法もあります。
アイランドキッチンでの注意ポイント
アイランド型で特に注意したいのは、「シンクやコンロをどう配置するか」ということ。それによって必要な空間の広さが大きく変わってくるからです。代表的な2つのパターンをご紹介しましょう。
<アイランドにシンクとコンロを設置した場合>
シンクとコンロの間に調理スペースとして60cmは必要で、コンロやシンクの脇は最低15cm、鍋などを置くなら30cmは欲しいところです。
シンクとコンロの間に調理スペースとして60cmは必要で、コンロやシンクの脇は最低15cm、鍋などを置くなら30cmは欲しいところです。
<アイランドにシンクだけを設置した場合>
アイランドの幅はパターン1に比べて小さくなりますが、カウンターを2列に配置することになるので、スペースの奥行きが必要になってきます。 壁側のカウンターにコンロとシンクを設置し、アイランドを大きな作業台として使うのも便利です。
また、「収納不足になりやすい」ことも、アイランドキッチンの要注意ポイント。キッチンとは別にパントリー(食品庫)を設けたり、家電やゴミ箱の収納場所をあらかじめプランにしておくだけで、すっきりとしたアイランドキッチンをつくることができます。
オープンキッチンでの注意ポイント
LDとつながっているオープンキッチンでは、「においや油汚れが広がりやすい」のが気になります。
排気能力の高い換気扇や、コンロの幅より広いレンジフード(コンロが幅60cmなら、レンジフードは幅90cmにするなど)を選ぶといいでしょう。
通常のレンジフードではなく、コンロの近くに排気口がある下引き排気装置もおすすめです。
IHクッキングヒーターも、上昇気流による油などの飛び散りが少ないため、オープンキッチン向き。ただし、天ぷらや炒め物が多いお宅なら、コンロは壁に向けたほうがベターです。
オープンキッチンはLDから見通せるので、「生活感が出やすい」のも問題。
防ぐにはやっぱり収納が大切です。
LD側から見える収納は扉つきにするなどして、ごちゃつき感を防いだり、冷蔵庫をLDから死角になる場所に配置すると、さらにすっきりした印象になります。
対面式キッチンの場合、シンクの前を25cmくらい立ち上げておくと、シンクの中の汚れ物がLDから見えなくなります。
パーティをよく開くなら、食洗機をつける手も。
食後すぐに食器類をセットすれば、シンクやカウンター上がすっきり。
静音設計の機種なら、運転中も会話の邪魔になりません。
まとめ
キッチンレイアウトにはさまざまなポイントがあるんですね。
しかも、キッチンの使いやすさには大きな個人差があります。
料理する人の体格や家事のクセ、しまいたいものの量なども、家庭によってそれぞれ。
ぜひ、自分の普段のキッチンの使い方を見直してみて、理想のキッチンレイアウトを見つけてください。
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