二世帯住宅にはミニキッチンを! というイメージはあるけれど、実際にとり入れているケースはどのくらいあるの? 親世帯と子世帯どちらに設置するの? など、素朴な疑問も湧いてきますよね。ここではその疑問にずばりお答えします。
キッチンは1世帯に1つが理想的!
部分共有型の二世帯住宅を選ぶ人が「ここだけは分けたい! 」と希望するのは、ほとんどがキッチン。
玄関や洗面室・浴室は共有でもいいけれど、キッチンだけは専用にしたいと思う人が多いようです。
理由は家族によってさまざまですが、多いのは例えばこんな意見。
- 「食事の好みが違うので、自分たちの好きなものを作りたい」
- 「食事する時間帯が違うので、気兼ねなくキッチンを使いたい」
- 「料理のしかたや後片づけ、掃除のしかたの違いが気になる」
- 「使いやすい調理器具が違うので、好みのものを使いたい」
- 「食材のストックを気兼ねなく保管したい」
- 「自分たち専用の冷蔵庫がほしい」
- 「友達を家に招いて一緒に料理したい」
食生活や家事の習慣は、簡単には変えられないもの。各世帯に1 つずつキッチンを設けて、お互いにできるだけ無理をしないで暮らしたい! と思うのは、自然なことかもしれませんね。
選ばれている「ミニキッチン」とは?
キッチンは1 世帯につき1 つが理想、と考える人が多いことがわかりました。
そこで登場するのが「ミニキッチンを設置する」という選択肢です。
ミニキッチンとは、フルサイズのキッチンより小さくて単身者向けの集合住宅などにとり入れられているキッチンのこと。サブキッチン、コンパクトキッチンという呼び方もあります。
シンクが小さく、コンロも1 ~2 口なので、小さなスペースに設置できるのがメリット。新築時はもちろんリフォームでもとり入れやすく、ミニ冷蔵庫を組み込んだタイプなども用意されています。
サイズがコンパクトなのは大きなメリットですが、コスト面では微妙なところ。最近はフルサイズのキッチンでも手頃なものが増えてきたため、ミニキッチンとの価格差が小さくなってきたからです。フルサイズのキッチンのほうか需要が多いことも価格が下がってきた理由です。
キッチンを設置するスペースにゆとりがあるなら、コスト面だけでミニキッチンを選ぶ人は少ないと考えたほうがいいでしょう。
ミニキッチンを設置するメリットとは?
二世帯住宅にミニキッチンをとり入れるメリットは、どちらの世帯に設置するかによって大きく異なります。
親世帯に設置する場合
親世帯の寝室などにとり入れると、親の足腰が弱って行動範囲が狭くなったとき、ひとつのスペースの中だけでラクに生活できる( 病院や介護施設の個室のようなイメージ )。
子世帯に設置する場合
子世帯の生活スペースが狭く、フルサイズのキッチンを設置できない場合でも、自分たち専用のキッチンを実現できる(その場合、メインのキッチンは親世帯と共有する )。
一昔前まで、ミニキッチンは親世帯に設置するケースがよく見られましたが、最近では減少傾向に。親世代が元気でいられる期間が伸び、いつまでも料理や家事を楽しみたい! という人が増えていることから、親世帯にはフルサイズのキッチンを設けるのが一般的になってきています。
もちろん、二世帯住宅を建てる時期( リフォームする時期 )によっては、親世代がすでに高齢で、寝室内のミニキッチンが役立つケースもあります。ミニキッチンのかわりに洗面台を設置する手も。いずれにしても、生活スペースの中に水回りがあると、身体が不自由になったときの暮らしやすさに大きな差が出ます。
いっぽう、逆に子世帯にミニキッチンを設置する例が昔に比べると増加傾向に。たとえば共働きで平日は料理をする時間がないというケースだと、「平日の子どもの食事はおばあちゃんにお願いしているから、自分たちはミニキッチンで十分! 」という考えも増えてきています。また「親世帯のキッチンはいずれ子世帯が使うことになるので、フルサイズのキッチンを2 つ設けるのはもったいない」と、実質的に考える人もいるようです。
メインのキッチンが1 つだけのほうが、二世帯のコミュニケーションが増えるという考え方もあります。週末に一緒に食事をしたり、孫がおばあちゃんに料理を習ったりといった交流は、キッチンが別だとなかなか機会がないもの。子どもの情操教育や食育という観点からも、メインのキッチンを親世帯と共有するメリットに注目してみては。
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二世帯住宅に向くミニキッチンのタイプは?
ユニットタイプのミニキッチンは、各メーカーからさまざまなタイプが販売されています。代表的なサイズは、間口900 、1050、1200、1500mm。設置するスペースや使う目的に合わせて選びましょう。
サンワカンパニー コンパクトキッチン
グッドデザイン賞を受賞したステンレスキッチンをはじめ、ほかにはないデザインにこだわったさまざまなタイプが揃う。
lixil ミニキッチン
カウンター下がオープンな収納、扉つきの収納、冷蔵庫などのバリエーションがあり、水切り棚や照明つきのユニットと組み合わせることも可能。
タカラスタンダード ミニキッチン
間口900mm と120mm の2 タイプ。ミラー扉つきの棚を選べば、洗面台としても活用しやすい。
ハウステック ミニキッチン
シンプルなデザインのキャビネットに、30種類以上のデザインの扉を組み合わせることができる( 受注生産 )。
二世帯住宅でのミニキッチンのつくりかたは?
ミニキッチンの導入のしかたには、「二世帯住宅に向くミニキッチンのタイプは? 」でご紹介したような既製品のほかに、造作工事でつくるケースもあります。
シンク、コンロ、換気扇、カウンターなどをそれぞれ用意して、大工工事で組み立てるので、サイズやレイアウトは自由自在。既製品ではおさまらないスペースにキッチンをつくりたいときにも対応でき、素材やデザインにこだわりたい人にもぴったりです。ただし、設備や部材をひとつずつ発注するため、安価な既製品に比べるとコストはやや高めになります。
ところで、キッチンに必要な機能というと、おもに水場とコンロですよね。そう考えると、ミニキッチンではなく小さなシンクだけを設置して、簡単な調理には卓上IHコンロを使うという手もあります。あとは作業台になる小さなカウンターや、冷蔵庫・電子レンジなどを置けば、よりローコストでキッチン風のスペースが完成。お茶をわかしたり、食品のあたため直しができればOK! という使い方には適したアイディアです。
キッチンではなく、小さな洗面カウンターを設置する手もあります。洗面室が1 つしかない共有型の二世帯住宅では、自分たちのスペースで洗面や歯磨きができると便利ですよね。ただし、手洗いボウルの排水口にはゴミ受けがないので、食器洗いのときに不便なことも。調理用シンクの中から、洗面に使っても違和感のないデザインを探してみては。
また、IHコンロだけにするプランには換気扇がないので、周囲が油で汚れるような調理には不向き。あくまでお茶をいれる程度のサブキッチンとして使うほうが無難です。
ミニキッチンのある二世帯住宅の実例紹介
最後に、ミニキッチンをとり入れた二世帯住宅の実例を見てみましょう。こちらのお宅は一戸建てではなくマンションのリフォーム例。子世帯の夫婦と両親が同居するスタイルで、ほぼ完全共有型の間取りですが、親世帯のスペースにミニキッチンを導入しました。
玄関を入って右が子世帯、左が親世帯のスペース。ワンフロアに二世帯が同居していますが、玄関ホールのドアで仕切られているので、親世帯にも十分な独立性があります。
ミニキッチンは「サンワカンパニー」でセレクト。カウンター下がオープンになったシンプルモダンなデザインです。洗面台としても使いやすいよう、壁面のキャビネットはミラー扉にしました。
親世帯スペースには大きな引き戸を採用。閉めると2 つの個室ができ、フルオープンにするとミニキッチンまでがワンルームになる仕組みです。(設計・施工/スタイル工房)
一口にミニキッチンといっても、とり入れ方はさまざま。やはり面積などの条件や、両世帯の考え方、暮らし方によるところが大きいんですね。ミニキッチンをとりまく現状を含めて、ぜひ参考にしてみてください。
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この記事のライター:後藤由里子
主婦の友社刊「はじめての家づくり」をはじめ、数々の住宅・生活関連記事を手がけるライター。キャリアは20年、これまでの実例や建築家、ハウスビルダーへの取材件数は300以上に及ぶ。
アドバイス/スタイル工房
新築から部分リフォーム、フルリノベーションまで手掛けるハウスビルダー。生活を見据えたプラン提案
と、自然素材を使ったデザインに定評がある。物件探しから請け負うワンストップサービスも充実。https://www.stylekoubou.com/
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