お料理好きな人も、あまり得意じゃない人も せっかく家を新築するのなら、快適でおしゃれなキッチンにしたいもの。 キッチンのプロに、快適なキッチンづくりのコツを教えてもらいました。
キッチンプランニングのコツ
レイアウトや設備選び、収納プラン。キッチンづくりには選択肢がたくさん。 理想どおりのキッチンをつくるために、最初に考えておきたいポイントをまとめました。
Point.1 今のキッチンの悩みをリストアップ
今使っているキッチンを基準に考えると、どうしたら快適になるかがイメージしやすくなります。「狭い」「収納が足りない」というざっくりとしたものでなく、「作業台が狭い」「食品ストックを収納する場所が足りない」など、具体的にリストアップするのがポイント。
Point.2理想のキッチンの写真を集め、 キーワードを見つける
自分の考えをまとめるのはもちろん、家族と相談するにも、依頼先にイメージを伝えるにも、雑誌の切り抜きやウェブサイトの画像などがあると、ぐっとわかりやすくなります。それらをもとに「モザイクタイル」「見せる収納」など好きな理由のキーワードを拾ってみて。
Point.3システムvsオーダー あなたはどちら派?
システムキッチンはベーシックなものなら安価な点が魅力ですが、素材や収納の選択肢は少ないのが欠点。オーダーキッチンはコストと手間がかかる分、理想どおりに仕上げることができます。システムキッチンに造作カウンターや収納棚をプラスするセミオーダーもおすすめ。
Point.4「レイアウト」「素材」「設備」 「収納」の4つのアプローチ
キッチンは、機能性、メンテナンス性、インテリア性などさまざまなことを考慮したい場所なので、何を優先すべきかわからなくなりがち。そんなときは「レイアウト」「素材」「食洗機やコンロなどの設備」「収納」に分けて考えをまとめると、整理しやすくなります。
Point.5「収納は多いほどよい」 とは限らない
「収納たっぷりのキッチンにしたら、賞味期限を切らすストック食材がふえた」「一度も使っていない鍋や道具がたくさん……」という声も多く耳にします。もちろん、多少ロスがあっても収納ストレスから解放されるならOKという考え方も。
Point.6「憧れ」と「自分の性格」の 見きわめが決め手
「見せるキッチンは素敵だけれどこまめな掃除が必要」「すべてをしまうキッチンは掃除がラクだけれど味けない……」。どちらを優先させるかはあなたしだいですが、使い勝手はもちろん、“見た目に好きと思えること”も快適さのひとつの要素ということを忘れずに。
家族の「家事参加度」が プランニングのカギ!
キッチンをプランニングする際は、ご主人やお子さんが家事に参加するタイプかどうかが意外と重要です。一緒に料理をするかどうかはもちろん、配膳や食べ終わったお皿を運んでくれるかどうかで、レイアウトや収納のプランニングも変わってきます。手伝いやすいキッチンにすると、自然と手伝うようになるケースも。
【武藤邸】
家族が一緒に料理することが多い武藤さん宅のキッチン。回遊できる大きなアイランドキッチンは、どちら側からも参加できるように、立ち上がりはつけずフラットなスタイルに。配膳や片づけも家族みんなでするので、食卓との間もスペースをとってゆったりと。
ムダな動きをできるだけ省いて快適なキッチンレイアウト
家事ラクNo.1「サイドキッチン」
キッチンと食卓が横並びになったスタイルは、配膳、片づけがスムーズに行えるとあって、今、一番人気。シンクとコンロ、どちらを食卓側に持ってくるかがポイント。料理教室をするお宅では、コンロを食卓側にするとプレゼンテーションが盛り上がります。
キッチンが暮らしの中心「対面式キッチン」
LDとの一体感があり、舞台のように見栄えがする対面式キッチン。手元を隠したい場合はカウンターに15㎝くらいの立ち上がりをつけるのがおすすめ。ただし、食卓とキッチンが分断されるので、配膳や片づけは意外と大変という面も。
スペース効率No.1「テーブルを囲むキッチン」
L型のキッチンで食卓を囲むスタイルは、食卓を作業台として使えて、限られた空間を有効に活用できます。家族みんなで料理をしたり、友人が集まる機会の多い家にぴったり。手元や足元が見えるので、インテリアの一部としてコーディネートするのがおすすめ。
“ママの城”派におすすめ「コックピットキッチン」
料理好きで「キッチンは一人で立ちたい」というママには、U型や通路の幅が狭いスタイルがおすすめ。「半歩で手が届く範囲」にコックピットのようにすべておさまるのが理想です。コンパクトな分、パントリーを別に設けると、より充実のキッチンに。
意外と重要! キッチンと食卓の位置関係
【レイアウトの基本】
キッチンで作った料理を食卓で食べるので、キッチン単体でなく、食卓も含めてレイアウトを考えておくと、その後の快適度がぐっとアップします。キッチンのレイアウトには、上の図のように「壁との関係」(上)と「キッチンの形」(下)で名前がついています。打ち合わせ時などに知っておくと便利です。
キッチンのデザインとメンテナンス性を左右する素材選び
食材が飛び散っても受け止める素材選びを
食材を扱う場所なので、できるだけ自然素材を使うのがおすすめです。ある程度汚れていくことを想定して、それを受け止める素材を選ぶのが快適キッチンのポイント。人造大理石は一般的にメンテナンス性にすぐれているといわれますが、常に磨き上げないと清潔感を保てないので、日々の掃除が意外と大変。
【天板】ステンレス / モザイクタイル / 木
ワークトップの天板は食材や鍋を直接置く場所なので、清潔を保てて、耐熱・耐水性にすぐれたタイルやステンレスが人気です。タイルは種類も豊富で、ナチュラルインテリアとなじみのいい素材。目地の汚れが気になる場合は、撥水加工を施したり、濃い色の目地を使うのがおすすめ。
【写真1】ステンレス 耐熱性にすぐれ、傷もいい雰囲気に。水アカが落ちにくいのが難点。
【写真2】モザイクタイル 熱に強くお手入れしやすいが、モノが落ちると割れやすい。
【写真3】木 無垢材は水や熱にはやや弱いが、使い込むうちに味わいに。
【扉・カウンター本体】木(無垢材)/木(合板)/ 珪藻土
安価でお手入れしやすいことから、システムキッチンなどで多く使われるのがメラミン素材。ですが、つるっとした質感はナチュラルインテリアとはあまり相性がよくないので、木やステンレス、珪藻土がおすすめ。
【写真1】木(無垢材)シミや傷も、年月を重ねるごとに味わいが増すのが魅力。
【写真2】木(合板) 壁になじませたいときにおすすめ。汚れも受け止めます。
【写真3】珪藻土 ペイントで仕上げるときは、MDFなどの合板に塗装。
【壁】珪藻土 /ブリックタイル
シンクやコンロなどワークトップの前壁には、耐水性のある素材を使います。レンガやブリックタイルなどの多孔質の素材は、油や水を吸収して自然となじんでいくので、磨き上げる必要がなくてお手入れもラクです。
【写真上】珪藻土 においを吸着するので、コンロやシンクの前壁以外におすすめ。
【写真下】ブリックタイル 油や水を受け止めてやがて味になるので、コンロ前に適した素材。
【壁】モザイクタイル /タイル
【写真左】タイル 目地を濃い色にすると、汚れが目立ちにくくなって◎。
【写真右】モザイクタイル 目地は、撥水加工を施したり漂白剤でお手入れすると、いつもきれい。
【床】石 /タイル
【写真左】石 水や油を受け止めて、いい味わいに変化していきます。
【写真右】タイル 耐水性&メンテナンス性にすぐれた素材。冬場、冷たいのが難点。
【床】テラコッタ /木
床も水や汚れに強くメンテナンス性のよいタイルや石がおすすめですが、LDからひとつづきのキッチンは、LDと同じフローリングで一体感をもたせるとすっきり見えます。木は水や汚れを吸収しやすいので、保護するために撥水ワックスを塗るのがポイント。
【写真左】テラコッタ カントリースタイルに似合うテラコッタ。撥水性のコート剤で保護。
【写真右】木 足ざわりがよく、疲れない。水や油を吸い込むので撥水ワックスを。
キッチンの収納プラン!「しまう」と「とり出す」を意識
現在の収納の問題点と向き合うのがコツ
収納はモノの量を基準に考えがちですが、じつは「しまう」と「とり出す」のアクションがスムーズに行えるかどうかが快適さのポイント。今のキッチンの収納ストレスと向き合うと、理想の形が見えてきます。奥行きの浅い収納や引き出し収納、オープン棚、扉のないパントリーなどが、使いやすい収納として人気です。
【武藤邸】
【K邸】
キッチンの機能と設備!コストを考えて必要なものを見極める
先輩ユーザーの使用実感を参考に
レンジや食洗機などの設備機器は、自分に合った機能性にこだわりたいもの。それぞれによい点と使いづらい点があるので、実際に使っている人の感想を聞くと参考になります。できるだけ多くの声を聞くのがポイント。
レンジフード
掃除のしやすさがポイント。オープンスタイルのキッチンでは存在感を発揮するので、デザイン性にもこだわりたいアイテムです。
レンジ・オーブン
ガス派とIH派に分かれるレンジ(またはコンロ)とオーブン。IHの場合はオール電化住宅にしたほうが光熱費が抑えられます。
水栓金具
オープンキッチンでは意外と目立つ水栓金具。性能も考慮しながら、キッチンのテイストに合ったデザインを重視したいアイテムです。
食洗機
「つけてよかった」「つけなくてもよかった」のどちらも№1の食洗機。まとめ洗いができる大きなサイズが使い勝手がよいと評判。
キッチンのスタイルや種類
メンテナンスのしやすさと同じくらいデザイン性にも影響する素材。 素材の持ち味が決め手になっている、こだわりキッチンをご紹介!
【カフェスタイル】ブロック×古材
白くペイントしたコンクリートブロックや、あえて粗く仕上げたペイントなどのラフな質感が、カフェスタイル。
【フレンチカントリー】タイル×ペイント
白いモザイクタイルと木の組み合わせはナチュラルキッチンの王道スタイル。木部を白くすると洗練された雰囲気に。
【業務用ステンレスキッチン】カフェの厨房風
おしゃれなツール類が映える業務用キッチン。ステンレスは意外と傷がつきやすい素材ですが、それを磨き上げるのもおしゃれ。
【ナチュラルカントリー】モザイクタイル×木
黒やグレーのペイントをきかせるとフランスっぽい雰囲気に。市松模様のタイルもフレンチテイストにひと役買っています。
【ファクトリースタイル】コンクリート×スチール
打ち放しのコンクリートの素材感がカッコいい、男前なキッチン。石と同様に水や油を吸収するので、味わいが増していきます。
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Advice.
リブコンテンツ
田原 由紀子さん
ナチュラルで洗練されたデザインが人気のオーダーキッチン会社「リブコンテンツ」の代表。自身が子育てママの田原さん。実体験に基づいたプランニングも評判です。
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