形の悪い土地を克服する変形敷地の生かし方

世の中には、「細長い」「三角形」「傾斜」など複雑な形をした土地があります。土地は必ずしも整形地ではないため、変形した敷地はややこしくて買う気がしない、という方もいらっしゃるでしょう。

しかし、変形敷地だとしても、そのデメリットをメリットにしたり、問題点を解決できるアイディアがあります。

ここでは、変形敷地に家を建てるためのそれぞれの生かし方をご紹介します。ぜひ参考にしていただき、難条件を乗り越えてお気に入りのマイホームを建ててください。

細長い敷地

間口の狭い敷地では、隣地境界線と建物との間に十分な距離をあけるゆとりがないため、横(壁)からは十分な採光が望めません。そこで、上部から光をとり込むことになります。

京都などに見られる町家では、坪庭(「プラニングに役立つ人気プランの特徴とメリット・デメリット」を参考)をつくることで、うなぎの寝床状の建物に光と風を巧みに招き入れています。

同様の考え方で、建物のほぼ中央に庭をつくり、1階、2階とも庭に面した部分を大きな開口にすれば、明るい日ざしや風がたっぷりとり込めます。テラスやデッキにすれば、リビングなどの延長として活用できます。

密集地の細長い敷地では、中庭を囲むようなコの字形の建物にすると、光や風がとり込みやすくなる。デッキを設けると部屋感覚で使えて便利。

中庭は建ぺい率にも容積率にも含まれません(「購入前に知っておきたい土地の法規制」を参考)。そのため中庭を設けることで、実際の床面積以上のボリューム感のある建物になります。

中庭が無理な狭小地では、トップライト(「プランニングで役立つ住宅外装の名称一覧」を参考に)で光をとり入れましょう。

狭小地だけでなく、プライバシーの確保が難しい立地でも建物の中央付近を吹き抜けにし、トップライトから光をとり入れる方法があります。

建物の中央付近を、部屋と連続性を持たせた吹き抜けや階段室にして、トップライトを設置。上の階にも下の階にも光が広がり、密集地でも明るい家になります。場所によっては、風が抜ける開閉式にするか、日よけのブラインドなどをつけてください。

三角形の敷地

三角形や台形など角がとがった敷地に、正方形や長方形など角が直角になった建物をおさめようとすると、小さな家しか建たず、周囲にデッドスペースができます。

三角形の敷地に、角が直角になった建物を建てると、床面積が狭くなり、中途半端な庭しかとれません。

三角形や台形の敷地は、できるだけ敷地に沿った建物にすると、敷地に無駄が出ない。鋭角の先端部分は、植栽スペースや物置などに利用するとよいでしょう。

上図のように、敷地の形を素直に生かした平面にするのが一番です。鋭角部分は、物置やデッキ、駐車スペースをつくったり、庭にするといいでしょう。納戸などの大きな収納にする方法もあります。

旗ざお状敷地も同様ですが、変形敷地の価格は、方形の敷地と比べて割安なことが多いもの。ただし、建物の形は方形のほうがローコストです。敷地に合わせた建物はどうしても複雑な形になってしまうため、割高になります。

またハウスメーカーの住宅で、特に規格(企画)型プランでは対応できないことも。変形敷地の住宅に慣れている建築家に相談すると、よい提案をしてもらえるはず。

これから土地を購入する場合は、契約前に建築家に下見をしてもらうことをおすすめします。

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旗ざお状敷地 

旗ざお状敷地は、四方を隣家に囲まれ、道路に接する部分が細い路地になっています。路地の幅は2mほどしかない場合が多く、アプローチとしてしか利用できません。

けれども、旗ざお状敷地も建物までの距離があることを個性ととらえて工夫すれば、道路沿いの家とはひと味違った奥行き感や趣が演出できます。また、奥まったところに建つため、静かで落ちついた雰囲気の建物になります。

プランのポイントは、アプローチを単なる通路にしないで、建物への出入りの際に、見て楽しめるようにすること。

コンクリートを打っただけではおもしろみにかけるので、敷石の張り方や植栽に工夫してましょう。

舗装材の素材や敷き方は、建物の外観と合わせると一体感が生まれ、魅力的な導入部になります。路地幅にもよりますが、片側または両側にフェンスを配したり、季節の草花を植えたりしましょう。

旗ざお状敷地は、路地部分も敷地面積に含まれます。そのため、比較的敷地いっぱいを使って建てられる半面、建物の周囲にゆとりがなくなるため、庭がほとんどとれないことも。小さくてもよいので、2階に庭がわりに使えるバルコニーをつくるといいでしょう。

傾斜地(高低差のある敷地)

高低差がある敷地や、道路と段差がある敷地は、家が建てにくいと思われがちです。しかし、盛り土をして、平らにならさないことが肝心。なぜなら、盛り土をした部分は軟弱になることが多く。費用もかかります。土地の個性である高低差を生かすプランを考える方が得策です。

敷地内に高低差があるケースでは、スキップフロアのプランも向いています。道路から1段上がった敷地では、道路のレベルにビルトイン車庫をつくり、上を住居スペースにする方法もおすすめです。

こうすると、道路からは、実際は地階にあたる車庫が1階のように、住居スペースが2階のように見えます。住居が道路から1段上がっているため、プライバシーが守りやすいという利点もあります。

道路より低い敷地に建物を建てるときは、排水ルートを確認することが大切です。

道路レベルにしか排水ルートがないときは、水回りは2階につくることをおすすめします。1階に水回りをつくるプランにすると、排水をポンプアップする必要があるため、費用がかかるからです。

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