Sさん宅(東京都)】
ご夫妻と7歳の長女、4歳の長男の4人家族。共働きのお二人は「お互いに通勤しやすいことも、土地選びの決め手になりました」。家の目の前には樹齢200年になる樹木を含めた保存林が広がっています。
【難条件】狭小&変形地!
Memo.
建物の三方を道路に囲まれているSさんのお宅。もともと大きな家が立っていた敷地が分割して売りに出され、Sさんのその一部を購入。いちばん細くなった部分はカーポートとして使われていたそう。
Sさんが土地探しをしたのは、利便性の高い都心エリア。地盤がしっかりしていること、東南側が開けていることも土地選びの条件だったそう。「幸い、条件に合う土地が希望のエリアで見つかったのですが、形は細長い三角形。更地を見たときはとても小さく感じられて、ここに家族4人で暮らせる家が建つのかしら……と不安でした」
狭小・変形という難しい敷地条件をクリアしようとパートナーに選んだのは、家づくりも手がけるインテリアショップ「FILE」。代表の石川敬子さんが、女性ならではの視点を生かしたアイディアを次々に提案してくれました。「いちばん驚いたのは、広さにゆとりのある側にキッチン、狭い側にリビングを配したプラン。普通に考えたら、逆ですよね。でも、キッチンまわりには人もモノも集まりやすいから、このほうがストレスなく、ゆったり暮らせると説明してくださって」
たしかに、大きなキッチンカウンターが大容量の収納を兼ねているため、LDは収納家具を置かなくてもすっきり。子どもたちもキッチンまわりやダイニングで遊びたがるので、このレイアウトで正解だったそう。リビングは三角形の先端にあたりますが、窓から外を見通せるため、狭苦しさとは無縁。塗り壁に囲まれて、ほっとくつろげる空間になりました。
2F LDK
最も条件のいい2階にLDKをプラン。「敷地形状に合わせ、リビングに向かって建物の幅が狭くなっていますが、暮らしていて気になることはまったくありません」
天井に通常より太い梁を入れて3階の床を支え、北側に耐力壁を加えることで、すじかいの出ないすっきりしたワンルーム空間を実現。窓のレイアウトも効果的です。
2F リビング
テレビの背後の壁が三角形の先端で幅2mほど。壁に造りつけ収納などをつくらず、背の低いTVボードだけを置いて壁面を生かしていることが、見た目の狭さ解消に役立っています。脚つきのソファも、圧迫感のないデザイン。
2F キッチン
【写真1】カウンターの幅と奥行きをたっぷりとることで、作業スペースとともに収納スペースを確保しました。扉や天板のタイルの色は、手持ちの北欧家具に合わせてセレクト。
【写真2】大好きな器をたっぷりしまえるよう、背面収納は大きめに。頻繁に手にとるものやキッチンペーパーなどをおさめるオープン棚もつくりました。
【写真3】カウンター下のダイニング側には、文房具などの日用品から薬、子どもたちのおもちゃまで収納。「ここがあるおかげで、ほかに収納家具を置かなくてもLDが片づきます」
2F ワークスペース
幅が広い側のスペースを生かして、キッチン脇にワークスペースをプラン。パソコンを置き、調べものなどに使っています。ファイルケースは白でまとめて軽やかに。
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3F 子ども部屋
【写真左】長男の部屋はおもちゃでいっぱい。三角形の先端にあたりますが、子ども部屋なので特に不自由はないそう。
【写真右】長女の部屋。正面の掃き出し窓からは、このフロアの中央に設けたインナーテラスに出られます。
毎日使う水回りは狭くてもデザインにこだわり、満足度を高めて
1F 洗面室
キッチンと同様、洗面カウンターもブラウン×白でまとめました。各自で使うタオルの収納は、圧迫感のある棚ではなく、それぞれフックに吊り下げる形に。
1F トイレ
階段下の空間を利用してトイレをプラン。省スペースのタンクレスタイプを選びました。夜間に使うことを考えて、もうひとつのトイレは子ども部屋のある3階に設置。
1F 玄関
ドアの色とそろえた靴箱を設置し、シックな雰囲気に。外構をフェンスなどで囲んでいないため、玄関ドアは道路に面してではなく、外壁を一部へこませたスペースに設けました。
1F 寝室
クローゼットと納戸に衣類がすべておさまるため、寝室内には収納家具がいらず、ベッドのみ置いてすっきりと。斜めになった壁に台形の棚をつけ、ベッドまわりのこまごましたものや読みかけの雑誌などを置いています。
「狭小&変形地」に負けない3つのコツ
「更地を見たときはあんなに小さかったのに、実際に住んでみると狭いと感じることはほとんどありません。特にキッチンからの眺めが広々としているのがうれしい!じつはほかの住宅メーカーでプランを出してもらったときは、耐震強度を高めるために室内にすじかいが出てしまっていたんです。FILEさんは梁や耐力壁の入れ方に工夫して、すじかいの出ないプランを提案してくれたので、すっきりしたワンルームのLDKをつくることができました」
白とブラウンを基調にしたシンプルでナチュラルな内装は、以前から愛用している北欧家具に合わせてコーディネートしたもの。シックなモザイクタイル仕上げのキッチンカウンターや、ちょっとレトロなキッチンキャビネットのデザインも、インテリアの見せ場として役立っています。
限られた面積を 最大限に生かす
斜めになった壁に既製品のキッチンを設置するとスペースに無駄ができてしまいますが、Sさん宅では造作キッチンを採用して壁の形状を生かしました。また、階段ホールに面した壁は耐力壁。このおかげで室内にすじかいが出ず、抜け感のある大空間を実現。
狭いからこそ 収納スペースを
モノがごちゃごちゃ出ていると見た目が煩雑になり、その分だけ狭苦しい印象に。居室の面積を削ってでも収納スペースを設けておくと、室内がすっきり片づいて広く感じられます。納戸などの集中収納のほか、ちょっとしたすき間を生かした分散収納も十分に役立ちます。
開口部の設け方を 工夫して、視線を抜く
幅の狭いリビングで効果を発揮しているのが、床の近くまでとった窓。視線の低い部分まで外とつなげることで、壁にはさまれているという圧迫感を軽減しています。窓から見えるのは、道路の向かい側にある保存林の木々。この借景もリビングにゆとり感をもたらしています。
DATA. Sさん宅(東京都)
設計のPOINT
FILE(ファイル) 石川 敬子さん
眺めのいい2階にワンルームのLDKを配し、梁や耐力壁で支えることで、室内にすじかいの出ない開放感のある空間をつくりました。もうひとつのポイントは収納計画。面積にゆとりのあるキッチン側に収納を集中させることで、広さの限られたリビング側では壁面を生かし、すっきり見せることができました。そのほかのスペースでも、要所に収納を確保。小さな家だからこそ収納にゆとりをもたせて、モノがあふれていない暮らしを実現できるように工夫しました。
【Profile】
前身となる「グリーンゲイブルス」を1991年に創業。2011年に「FILE」として再スタートし、新築やリフォーム、キッチン設計・施工、インテリア販売などを手がける。
家族構成 |
夫婦+子ども2人 |
敷地面積 |
約50㎡(約15坪) |
建築面積 |
約33㎡(約10坪) |
延べ床面積 |
約99㎡(約30坪) 1F 33㎡ + 2F 33㎡ + 3F33㎡ |
構造・工法 |
木造2階建て(軸組み工法) |
工期 |
2012年8月〜12月 |
本体工事費 |
約3100万円(照明、窓まわりを含む) |
3.3㎡単価 |
約104万円 |
設計 |
FILE(石川敬子) TEL: 03-3716-9111 |
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