好きな自治体に寄附ができ、返礼品として地域の特産品などがもらえることで人気の「ふるさと納税」。その上、税金も控除されるとあって、お得感いっぱいですよね。今年こそは、ふるさと納税にチャレンジしよう!と思っている人もいるでしょう。
でも、住宅ローン控除を受けている人はちょっと注意が必要です。ファイナンシャルプランナーの中村芳子さんに、ふるさと納税と住宅ローン控除の関わりを教えてもらいました。
ふるさと納税の仕組みとは?
そもそも、ふるさと納税とは、好きな自治体・応援したい自治体に寄附をすると、自己負担額の2,000円を引いた全額が、税金(住民税・所得税)から控除される制度。
さらに、寄付をした自治体からお礼として地域の特産品などがもらえるところが大きな魅力となっています。
ふるさと納税の基本についてはこちらの記事に詳しくまとめていますので、ご覧ください。
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ふるさと納税の税金控除額には上限がある!
ふるさと納税で寄附をして、自己負担金2,000円だけでさまざまな返礼品をもらうためには、寄附金額に上限があります。つまりは、税金が控除される額に上限があるということ。上限を超えて寄附しても、税金は控除されず、戻ってこない純粋な「寄付」となるわけです。
その上限額は、年収と家族構成によって異なります。
総務省のサイトでは、ふるさと納税上限額を一覧にした表を掲載しています。あなたのご家庭の年収と家族構成から、いくらまでふるさと納税で寄附ができるかひと目でわかるので、まずは一度確認してみましょう。
【出典】総務省『ふるさと納税ポータルサイト』の「全額控除できるふるさと納税額(年間上限)」より
そもそも住宅ローン控除って何?
住宅ローン控除とは、住宅ローンを利用すると、10年間、年末の住宅ローン残高の1%を所得税から控除してくれる(戻ってくる)制度です。一定の条件を満たせば利用することができます。(住まいを購入した時期や物件によって%や期間は違ってくる)
「例えば、年末の住宅ローン残高が3,000万円の場合、1%の30万円が控除される計算になります。ただし、控除される税金には上限があり、一般住宅なら40万円、認定住宅なら50万円となります。
さらに、控除額が30万円であっても、納める所得税が20万円の人の場合は払い戻される税金は20万円、10万円の場合は払い戻される税金は10万円。収めている税額以上には控除されません」と中村さん。
また、住宅ローン控除では、所得税で引ききれない分は、翌年支払う住民税から差し引かれます。住民税から控除できる額にも上限があり、住宅の種類などによって変わります。
詳しくは下の表でチェックしましょう!
住宅ローン減税を受けている場合のふるさと納税の注意点
住宅ローン控除を受けていても、ふるさと納税を利用することはできます。
でも、両者を併用する場合は注意が必要。ふるさと納税を寄附金の上限額内で行ったとしても、住宅ローン控除を受けることで、思うような控除が受けられないことがあるからです。
例えば、次のようなケースで見てみましょう。
●今年の所得税 20万円
●翌年から支払う住民税 30万円
●今年末の住宅ローン残高 3,000万円
住宅ローン控除は、3,000万円×1%=30万円となります。
まず、今年納めた所得税20万円から20万円が戻ってきます。
さらに、引ききれなかった10万円分は、翌年納める予定の住民税30万円から差し引かれ、住民税が20万円に減額されます。
すると、住民税は10万円分残っていますね。
上の例のように住宅ローン控除後に、所得税や住民税に残る部分があれば、ふるさと納税をしても控除が受けられます。
反対に、所得税や住民税に残る部分がなければ、控除されません。
住宅ローン控除を受けて、所得税が全額戻ってきて、さらに住民税からも控除されている場合は注意しましょう。控除を受けられないか、受けられても金額は小さくなることも。
今年見込まれる収入が、前年の収入とあまり変わらないようであれば、所得税・住民税の額を予測し、今年末の住宅ローン残高に1%をかけて住宅ローン控除額を算出して、所得税と住民税がどのくらい残るか試算してみるのも手ですね。
その上で、所得税や住民税に残る部分があれば、ふるさと納税でも税金が控除されます。
また、ふるさと納税のポータルサイトなどのシミュレーターを利用するのも手軽。
住宅ローン控除などを踏まえた形で試算することができるものもあるので、自己負担金2,000円でふるさと納税ができる金額を確かめることができます。
とはいえ、あくまでも目安なので、控除のメリットを最大限に受けるには、試算した金額より少な目に寄附をするほうが安心です。
住宅ローン控除を利用するとワンストップ特例は使えない?
会社員などの給与所得者で、寄附先が5自治体以下の場合に利用できる「ワンストップ特例」。確定申告不要でより手軽にふるさと納税ができるため、利用している人も多いでしょう。
しかし、住宅ローン控除を受けるには、最初の年は確定申告をする必要があります。そのため、ふるさと納税をした人は、ワンストップ特例を使えず、確定申告をしなくてはいけません。
ただし、2年目からは、住宅ローン控除を受ける場合も年末調整で対応できるため、確定申告は不要になります。つまり、ふるさと納税をした場合、ワンストップ特例が利用できることになります。
ワンストップ特例を利用すると、税金の控除は、所得税からの還付はなく、住民税の減額のみになります。その場合も、住宅ローン控除を受けて、住民税に残る部分がなければ、節税メリットはなくなりますので、ご注意を。
住宅ローン控除で所得税と住民税からいくら控除されるのかをしっかりチェックして、上手にふるさと納税を活用したいですね!
【監修者プロフィール】
中村芳子◎ファイナンシャルプランナー。有限会社 アルファアンドアソシエイツ 代表取締役。家計診断や、複雑な金融や保険をわかりやすく解説する記事や講演に定評がある。女性向けの個人マネー相談も人気。『いま、働く女子がやっておくべきお金のこと』(青春出版社)、『結婚したら、やっておくべきお金のこと』(ダイヤモンド社)などお金に関する著書も多数。
中村さんのサイト『いま、やっておくべきお金のこと』はこちら
取材・文/長沼良和
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