【Mさん宅(東京都)】
ご夫妻と13歳の長女、10歳の長男の4人家族。以前はマンションに住んでいましたが、「子どもが友達を連れてきたりすると、足音が響くのでは……と気になって、のびのび暮らせる一戸建てに住みかえを決めました」
Mさんが新居を建てたのは、都心の閑静な住宅地。都市部によくある細長い敷地条件を見事にクリアして、明るくて風通し抜群の住まいを実現しました。
建物全体のプランは、道路から少し掘り下げた地下フロアに寝室、1階に水回りと子ども部屋、2階にLDKを配したもの。「家族がいちばん長く過ごすパブリックスペースを快適に、と考えて生まれたプランです」。ワンルームのLDKは、おおらかな勾配天井に包み込まれるような心地よい空間。リビングのメインバルコニーのほか、南側に並べたハイサイドライト、ダイニングのバルコニー、さらにキッチンのサービスバルコニーからも光が入り、都心にいることを忘れてしまいそうなゆったりとした空気が漂っています。
「風通しがいいのも、この家の特徴。じつはもともとこの近所に住んでいて、風のよく吹く方角を知っていたんです。それを窓のレイアウトに生かせました」。気候のいい時期は窓をあけ放って、光と風を同時に楽しんでいるというMさん。「窓をあけてくつろげるのは、このエリアが静かで車の通りも少ないおかげ。こうした条件もあらかじめわかっていたので、安心して家づくりができました」
窓をあけ放って光と風をとり込めるかどうかは、周囲の環境しだい…そんな大切なことにも気づかせてくれました。
2F DK
2つのバルコニーから光がたっぷり入るDK。家事動線を考え、アイランドカウンターの周囲をぐるりと回れるプランを採用しました。
2F キッチン
システムキッチンは「ヤマハ」の製品。人造大理石張りのカウンターは奥行きが1mもあり、ゆったりとお皿を並べて作業できます。
家事に便利な サービスバルコニーが 採光&通風にも活躍
【写真左】キッチン一角のユーティリティコーナー。料理やあと片づけと洗濯を同時にこなせる賢いプランです。室内干し用のポールも設置。
【写真右】洗濯物を外に干したり、ゴミをまとめておいたりするための小さなバルコニーを、キッチンに接続。家事スペースの快適さを高めて。
2F LD
2面に設けたバルコニーから 心地よい光と風がたっぷりと
視線の入りにくい道路側にメインバルコニーをつなげ、さらに南側にも屋上に通じるバルコニーを設置。ふんだんに光をとり入れて。
2F リビング
天井に沿って 光が広がる ハイサイドライト
【写真左】モダンなインテリアに杉板張りの勾配天井がやさしいアクセントをプラス。天井が低い部分にはテレビボードを造りつけました。
【写真右】天井ギリギリにつけたハイサイドライトも、採光に大きく貢献。斜めの天井に沿って光が広がるため、より明るい印象になりました。
2F バルコニー
リビングのメインバルコニーにはオリーブの鉢植えを。軒下を板張りにしたことで、室内から天井がつながっているように見えます。
2F LDK
2階は間仕切りのないワンルーム。キッチンの部分にだけ屋上を設けたことで天井が下がりましたが、かえって落ち着いた空間に。
階段
ガラスの間仕切りで 階段ホールに光を導いて
【写真左】階段ホールが暗くならないよう、LDKとの間の壁をガラスにしました。視線が抜けることで室内が広く感じられるのもメリット。
【写真右】ガラスの間仕切りのおかげで、階段ホールはこの明るさ。上から落ちてくる光が白い壁に反射して、美しい陰影を生み出しています。
1F 子ども部屋
長女の部屋。愛らしいアイアンフレームのベッドはご本人が選んだものだそう。
いずれ長男の部屋にする予定ですが、現在は予備室として活用。左手の小窓はシューズクローゼットとの間の風抜き窓です。
B1F 寝室
2面に開口部を 設けて、地下でも 明るく風通しよく
2つの窓とガラス入りドアがあることで、地下とは思えない明るさに。窓には開閉式のシャッターをつけたので、あけたままでも安心して休めます。
階段のデザインが印象的。「地下は夏涼しくて冬暖かいので、寝室には最適です」
1F 玄関ホール
スリット窓でも あけられるタイプに こだわってセレクト
【写真左】縦長のスリット窓から光をとり入れて。通風もできるよう、開閉できるタイプを選びました。人が通れない幅なので防犯面も安心。
【写真右】玄関のたたきにつなげたシューズクローゼット。靴のほかに戸外で使うものもしまえるため、納戸としての役割も果たしています。
1F 浴室
シックなカラー&デザインのユニットバスを選択。「マンションと違って、浴室やサニタリーに窓があって明るいのがうれしい!」
1F 洗面室
プライバシーを守りながら 光と風をとり込んで快適に
玄関と同様、あけられるスリット窓を選び、外から視線が入りにくい位置にレイアウト。トイレとの間はタオルウォーマーで間仕切り。
外観
【写真左】片流れ屋根と木製ルーバーがアクセントになった外観。敷地が道路から上がっているため、ガレージのある部分が地下にあたります。
【写真右】外階段を上ると玄関が。ガレージの奥にも地下の寝室に通じるドアがあり、雨の日はここからぬれずに出入りできます。
屋上バルコニー
光や風とともに ダイナミックな 眺望も満喫!
洗濯物を干すほか、天気のいい日は外ごはんも楽しめる屋上バルコニー。周囲に高い建物がなく、晴れていると富士山まで望めるそう。
DATA. Mさん宅(東京都)
設計のPOINT
アトリエグローカル一級建築士事務所 宇野 健一さん
条件のいい2階にLDKを配したうえで、リビング、ダイニング、キッチンにそれぞれバルコニーを設けたり、屋上にバルコニーをつくるなど、小さいながらもアウトドア空間を点在させて戸外とのつながりを高めました。また、共働きで忙しい奥さまのご要望で、アイランドキッチン近くにユーティリティコーナーを配置。コンパクトな動線でぐるぐると回遊しながら料理と洗濯を同時進行でき、家事をしている間も光あふれるLDの心地よさを味わえると思います。
プロフィール
1964年神奈川県生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業、神戸大学大学院工学研究科環境計画学科修了。㈱現代計画研究所勤務を経て、2000年に現事務所を設立。
家族構成 |
夫婦+子ども2人 |
敷地面積 |
89.18㎡(26.98坪) |
建築面積 |
44.22㎡(13.38坪) |
延べ床面積 |
123.83㎡(37.46坪) B1F 40.93㎡ + 1F 43.38㎡ + 2F 39.52㎡ |
構造・工法 |
地下RC造+木造2階建て(軸組み工法) |
工期 |
2011年11月~2012年5月 |
設計・施工 |
アトリエグローカル一級建築士事務所(宇野健一) TEL: 03-5912-5123 |
施工 |
広井建築工房 TEL: 045-811-2910 |
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