こだわりの家を建てたいけれど、予算があまりなくて…。と理想の家づくりをあきらめている人はいませんか?
大丈夫、建てられます!!
建主の思いと設計者の知恵とアイディアがたっぷり詰まった素敵な事例を紹介します。
深津さん宅(京都府)
家づくりの依頼先をネットで検索したとき、キーワードは「土間のある家」だったという深津さん。
「コンクリートの土間や足場板、アイアンなどの素材感がいいなと思っていたんです」。ヒットした中の1社が「アルツ デザイン」でした。オフィスを訪問し、OB宅を見学。「そのお宅の雰囲気が気に入って依頼を決めました」
実際にプランが始まっても、間取りよりも優先したのはデザインや素材でした。ネットの施工事例を集めたサイトなどを利用して、好きなイメージの家やインテリアの写真を収集。アルツ デザインの水本さんにどんどん送ったそう。
「ところが実際に図面を見ると、こだわった土間なのに『こんなに広くて大丈夫?』と不安になり、縮小を希望したんです(笑)」。狭くするとバランスが悪いし、床材を敷くとコストも上がると水本さんに説得され、最初の広さに落ち着きました。さらに家事動線も気になり始めたという奥さま。図面に希望を書き込んで何度もやりとりをしたそう。キッチンに続く家事室や家族全員のウォークインクローゼットも実現。「考え抜いたおかげでとても暮らしやすいです」
コンクリートの土間もそうですが、コストを抑えた素材やデザインが、カッコよさにつながっているのが深津さん宅の特徴。下地用合板でつくった階段も、天井板を張らずに構造をむき出しにしたリビングも、工夫が転じて魅力になっています。キッチンカウンターはタイル貼りを希望していましたが、デザインとコストの関係でコンクリートブロックに。収納扉も3枚から2枚に減らしましたが、ブルーにペイントした棚の中が見えて、かえって素敵です。
普通以上にこだわった点もたくさん。「スイッチは小さいけれど雰囲気を変えると思うので、気に入ったデザインのものを選びました」。洗面室とトイレのランプは金属作家の工房にオーダーメイド。風合いのある手作り作品は、目にするたびに心がなごみます。
コストダウン3カ条
1.コンクリートや構造用合板などラフな素材を見せてカッコよく
2.ペイントは友人たちとDIYでコストダウン&思い出づくり
3.アや収納の扉はできるだけ減らして風通しもよく
構造材やアイアン、コンクリートむき出しの素材感がカッコいい
外観
住宅街の中でプライバシーを守りつつ、開放感を得るために、壁を二重に設けて窓を隠す設計に。芝生スペースの前には木の塀を。外壁の正面は塗り壁、見えない部分はサイディングにしてコスト削減!
庭はご主人が「子どもたちとサッカーができるように」と希望して広く。
ダイニングに続くウッドデッキは、二重の壁の間で、外のような中のような空間に。
1F DK
ダイニング内に設けた階段は収納にも活用。下には蓄熱暖房機、オープン棚に本や小物、扉の中にはモデムなどを隠しています。階段は構造用の合板で造作することによってコストダウン。でも手すりはアイアンにこだわりました。
ダイニングはコンクリートの土間。カウンターはコンクリートブロックの上に鉄板を。ランダムな長さの電球ランプがアクセントに。土間を広くとることによってコストダウンにつながり、デザイン性もアップ。
1F ワークスペース
ダイニングの一角に設けたワークスペースは、主に奥さまが仕事をする場。木とアイアンのシンプルなデスクを造りつけました。
1F キッチン
キッチンの収納は扉で隠すスタイル。コストが抑えられて、さっと片づくのが魅力です。オープン棚の部分だけ壁をブルーにペイントし、飾るように収納して。
人との目キッチンはシンプルで機能的なものを。リビングとの間の壁にはレンガタイルを貼って室内窓を設置。
深津さん宅は扉の中に棚を造りつけましたが、手持ちの棚や家具を活用すればさらにコストダウンが可能。キッチンの扉は2枚にして、ふだんはよく使う方をオープンに。
1F 洗面室
木のカウンターに実験用シンク。ブルーのモザイクタイルを貼り、木枠のミラーを造作し、レンガタイルの壁にニッチも設けました。洗面室とトイレのランプはオーダーメイドです。
1F W・I・C
家族全員のウォークインクローゼットを1階に。朝の準備もお風呂上がりにも便利で、お子さんが小さい今は衣類を一括管理できて◎。
1F リビング
リビングの床はヴィンテージ風の無垢のオーク材。壁はビニールクロスより高いけれど塗り壁よりは安価な竹炭クロスを選びました。天井は構造材をむき出しにして味を出しました。
壁の1面は古材風の板張りに。「ここはどうしても実現したかった部分です」
土間のダイニングからリビングとキッチンにそれぞれ入るプラン。室内窓で声や気配は伝えつつ、空間を分けて。毎日触れるスイッチは気に入ったデザインのものをセレクト。
格子のデザインはこの家のシンボル的なもので、外まわりにも使っています。細めのアイアンでシャープに。
壁のペイントは、友人とワイワイ楽しみながらDIY
コストダウンにもなり、思い出づくりにもなったのが、DIYでの壁塗り。「ママ友に声をかけたら8家族も集合! みんなでワイワイ塗り、子どもが飽きたらパパたちと公園へ。完成後、『私の塗った壁、どう?』と見に来ます(笑)」
友人のあたたかな思いもこもった家。設計のポイントである二重の壁のおかげで、光が間接的に入ってやわらかく、夏の暑さも緩和されるそう。お子さんたちは広い土間でのびのび遊び、奥さまは好きなデザインに囲まれて大満足。内と外が自然につながるプランは、スポーツ好きのご主人にもぴったりのよう。家族みんなが楽しく暮らせる家になりました。
2F 子ども部屋
黒板ペイントもDIYで。羚くんのお誕生日を祝うイラストが描かれていました。床は汚してもお手入れしやすいフローリングに。
反対側の壁は黄色に。「300色くらいある色見本の中から選びました」。お子さんの工作なども似合う元気な色です。友人にも手伝ってもらってDIYでペイントしました。
2F ホール
子ども部屋の前のホールに長いカウンターを設置。お子さんがもう少し大きくなったらスタディスペースとして使う予定です。子ども部屋のドアは今はつけずオープンに。将来は設置も可能にしています。
2F 寝室
吹き抜けに面して窓を設け、植栽の緑も見下ろせる寝室。勾配天井が落ち着いた雰囲気をつくります。壁はDIYでブルーにペイント。
壁一面に設けたクローゼットは扉を設けず、カーテンにしてコストダウン。
1F エントランス
玄関の上に季節用品などを収納するためのロフトを設置。階段箪笥のような靴箱を上って到達します。靴箱自体が空間のアクセントになるデザインです。
玄関の前にシンボルツリーのアオダモを。木の格子もこの家のシンボルです。
1F トイレ
コンパクトなトイレには、コーナーを利用した省スペース型の手洗い器を。ステンレスの一体成形ですっきり、お手入れもラクです。
土間玄関の一角に設けたトイレ。古材風の板張り壁とブルーのペイントがコントラストに。
家づくりの本音トーク!
Q 最終的にいくらくらいのコストカットに成功しましたか?
A 希望を全部盛り込んだら、400万円くらい予算をオーバー。最終的にその分は全額コストカットしました。でも、そんなにがまんした気はしていません。アルツ デザインさんがコストを抑えるところとこだわるところのメリハリをつけてくれたからだと思います。
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Q 家づくりを進める中で「まじか!?」と驚いたことがあれば教えてください。
A そんなこまかいことまで私たちがひとつひとつ決めるの?と驚きました。たとえばスイッチをどうするかとか。おかげで気に入ったデザインのスイッチが選べてよかったですが。照明器具も自分たちで選べたので、金属作家の工房にオーダーしました。
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Q コストにおける意外な盲点やつまずきポイントがあれば教えてください。
A 塗り壁が高くつく、というのは想像以上でした。それでもビニールクロスはいやだったので、竹炭クロスを使ったり、ペイントしたりしました。あと、扉も高いですね。だから子ども部屋のドアをなくし、寝室のクローゼットも扉をやめてカーテンにしました。
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Q これから家づくりを始める人にぜひアドバイスをお願いします。
A 共感できる依頼先を見つけることがいちばんだと思います。じつは別の会社と何度か打ち合わせをしたのですが、どうしてもイメージがきちんと伝わりませんでした。アルツ デザインさんはすぐわかってくれて、センスがいいのである程度おまかせしても安心でした。
profile
スポーツ大好きなご主人と、ご自宅でWEBデザインの仕事をする奥さま、保育園に通うちゃん、くんの仲良し4人家族。ご主人の実家の隣家が売り出されたので、購入して建てかえることに。
主な仕様
床/[1階]土間コンクリート、ラスティックオーク無垢フローリング [ポーチ]土間コンクリート [2階]既製品フローリング
壁/[1階]オガファーザ+デュブロン塗装、竹炭クロス、ポーターズペイント [2階]竹炭クロス
給湯/「パナソニック」エコキュート
キッチン/本体:既製品(Ⅰ型・幅255㎝)レンジフード:「サンワカンパニー ミニマル」 水栓金具:既製品
浴室/浴槽:「LIXIL」システムバス
洗面/ボウル:「TOTO SK106」
トイレ/[1階]「パナソニック アラウーノ」
サッシ/「YKK AP」アルミペアガラスサッシ
玄関ドア/既製品
屋根/ガルバリウム鋼板
外壁/左官塗り+吹きつけ仕上げ
断熱方法・材質/高性能グラウスール
DATA
家族構成 |
夫婦+子ども2人 |
敷地面積 |
198.30㎡(59.99坪) |
建築面積 |
61.42㎡(18.58坪) |
延べ床面積 |
103.47㎡(31.30坪) 1F59.96㎡+2F43.51㎡ |
構造・工法 |
木造2階建て(軸組み工法) |
工期 |
2015年11月~2016年4月 |
本体工事費 |
約2220万円(そのほか24時間換気システム約32万円、蓄熱暖房機約37万円、照明器具工事約32万円、外構工事約130万円、設計料10%) |
設計デザイン費 |
約240万(税込み) |
3.3㎡単価 |
約71万円 |
設計・施工 |
株式会社 ALTS DESIGN OFFICE ☎0748-63-1025 |
施工 誠工務店 |
☎075-632-8809 |
設計のポイント
アルツ デザイン オフィス
水本純央さん 小林広美さん
アルツデザインオフィス:2012年に水本さんが設立。「私たちはデザインをすることが好きで、日々デザインすることを楽しんでいます。デザインを通してご家族一組一組に合う豊かな空間を提案したいと考え、活動しています」
深津さんのお宅のコンセプトは「窓の家」。外から見ると窓がほとんどなく、中に入ると窓がたくさんあるというプランを、壁を二重に設けて開口をずらすことで実現しました。壁の間に芝生の丘を設けることで、窓や開口から植栽が顔を出し、自然が徐々に内部にとけ込んでいるような感覚を生じさせます。ご予算に合わせた提案をすることも大切な要素です。深津さん宅では1階にこだわりの素材を使い、2階は既製品にするなどのメリハリをつけて、コストを調整しました。
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