「狭小・住宅密集地に負けない」アイディア
広く感じるデザインや 窓のつけ方などで 狭さと暗さをカバー
狭小・住宅密集地に家を建てる際、敷地いっぱいに広く、また、できるだけ高く計画したいところですが、家づくりにはさまざまな法規制があり、土地ごとに建てられる建物の広さや高さも決められています。また、エアコンの室外機を置くスペースなども考慮する必要があります。
でも、床面積だけで暮らしやすさが決まるわけではありません。視覚的に広く見せる工夫や縦の空間を活用して狭さをカバーしたり、窓のつけ方などで日当たりや通風を確保しながらプライバシーを守ることも可能です。小さくてものびのびと、豊かさを感じながら暮らせる家づくりのプランを、設計者や施工会社とじっくり検討しましょう。
住宅密集地で眺望や建物の高さに制限があっても、窓の位置やロフトなどで難条件を克服。
「狭さ」を克服するアイディア
【コツ1】ロフトを設けて使える面積をふやす
ロフトは条件を満たせば容積率に算入されないので、小屋裏のスペースを有効活用できます。居室の天井とつなげてつくれば広々とした空間をつくり出せますし、シーズンオフ用品の収納として活用すれば、その収納スペース分だけ居室を大きくすることができます。
【コツ2】実質的にも視覚的にも広くなる 出窓を活用
出窓も条件を満たせば延べ床面積に算入されず、出窓分の奥行きがプラスされます。部屋のコーナーに出窓を設けると、対角線状に長い奥行きが出て、視覚的に広く感じられる効果が。座れる高さの出窓なら、ベンチとしても利用できるので椅子を置くスペースも削減!
【コツ3】天井の高さなどを変えて、空間にメリハリを
一様に天井の高さをそろえるのではなく、その場所の性質に合わせて天井の低い部屋・高い部屋を使い分けることで、空間にメリハリが生まれ、居心地もよくなります。高さ制限で天井が高くできないときは、勾配天井(斜めの天井)にして高さを確保しましょう。
【コツ4】目線の抜けをつくると視覚的な広がりが生まれる
リビングやダイニング、キッチンなどのパブリックスペースは、間仕切り壁やドアをなくすと、長い距離で目線が通るので視覚的に広く感じ、空間の豊かさを味わえます。途中に数段でも段差を設けると、その分、距離ができ、フラットな床に比べて広く見える効果が。
【コツ5】廊下を減らし、居室スペースを 広くする
廊下のスペースを極力減らし、LDなどの居室にとり込めば、部屋は広くなります。写真は、玄関ホールに直接2つの部屋が続き、リビング内に階段を設けたプラン。玄関の位置と階段の位置によっては、1階に廊下のない間取りも可能。
【コツ6】近隣の景色を借りる「借景」で開放感を
公園、街路樹、学校など計画地から緑が望めるなら、積極的にプランにとり入れましょう。敷地に庭を設ける余裕がなくても、ほかから景色を借りることができれば居心地のいい居室に。窓の先が抜けていると圧迫感が緩和され、季節の移ろいも感じられます。
「明るさ」を確保するアイディア
【コツ1】トップライトで 壁窓の3倍の 明るさを確保
屋根につくる窓をトップライト(天窓)と呼びます。壁窓に比べて3倍の光量があるといわれ、小さくても十分に採光できるので、壁面に大きな窓がとりにくい住宅密集地や日当たりの悪い1階でも、明るさの確保に有効。上から降り注ぐ明かりは壁窓と違った趣も。
【コツ2】高窓やトップライトの併用で 2階LDをより明るく
2階は光が入りやすい高窓やトップライトがつくりやすく、住宅密集地でも明るいLDを実現できます。天井を高くして高窓を設けると、視覚的な広さも確保できて、より効果的。視界を遮るものもほとんどなく、視線が上に抜けます。
【コツ3】リビングの延長にデッキなど 明るいスペースを設ける
デッキやバルコニーなど、光が当たる明るいスペースがリビングに続いていると、視覚的に明るく、空間ものびやかに感じられます。高窓を併用する、デッキと部屋の床段差をなくして中と外がつながっているように見せる、などの工夫もあわせて行うといいでしょう。
「風通し」をよくするアイディア
【コツ1】2方向に開口部を設けて風が抜ける間取りに
敷地の特徴をよくつかみ、風の流れをとり込むようにしましょう。季節によっても風の流れは変わります。風通しをよくするには、複数の開口部を設けて風の入り口と出口をつくるのが理想的。また、高い位置に窓を設けると、上下に空気の流れができて効果的です。
【コツ2】スケルトン階段で 家全体を風通しよく
上下階をつなぐ階段は、風の通り道にもなります。壁で仕切られていなかったり、蹴込み板をなくしたスケルトン階段は、空気の流れを遮る壁や板がない分、建物全体の風通しをよくするのに有効な手段。視線が抜けるため、空間が広く見えるメリットもあります。
【コツ3】奥まった居室などは ルーバーで 通風を確保
空気がこもりがちな奥まった部屋や、通気をよくしたいキッチンなどは、細長い板をすき間をあけて平行に組んだルーバーを利用することで、風通しを確保。断熱性能が高い住宅なら各部屋を間仕切りする必要はなく、冷暖房の熱損失にそれほど影響しません。
「プライバシー」を守るアイディア
【コツ1】窓位置の工夫で 採光や通風、 プライバシーも確保
高窓や床面近くにつける地窓は、目線を遮りながら採光や通風を確保できるので、道路沿いや隣家が近い場合に最適です。図面を作成する前の計画段階で近隣の窓位置などを確認し、通りからのぞかれず、隣家からの目線が届かないようなプランを立てましょう。
【コツ2】ブラインドで 外からの視線だけ シャットアウト
ブラインドは、スラットの向きを調整することで、外からの視線を遮りながら、光と風を室内にとり入れられるメリットがあります。カーテンと違って、上下方向の開閉なので、目の高さまでブラインドを下げ、外部の視線が届かないようにすることも可能。
【コツ3】自然な雰囲気の ルーバーフェンスや 植栽で目隠し
外構で目隠しをつくる場合、明るさと通風を確保するならルーバーフェンスがおすすめ。自然素材でつくるとリラックスした空間に。日中は外から家の中は見えにくく、また前面に植栽があると、より安心感が得られ、自然を感じることもできます。
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監修
トトモニ
2009年、設計士と現場監督がチームを組み、家づくりの会社を設立。モットーである「自然と、家族と、つくり手と、ともに造る」から「トトモニ」という会社名に。自然素材を生かした、共感から始まる家づくりをめざしています。
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