これから迎える大掃除のシーズン。今年はやっぱり新型コロナウイルス対策が気になりますよね。ドアノブや食器、洗面台などをこまめに除菌しているという方も多いかもしれません。
ただし、意外と忘れがちなのが「床」の感染症対策です。実はドアノブや食器などにウイルスが付着する場合、床から広がっているケースが多いのだそう。
そこで今回は、ウイルス対策に効果的な床掃除の方法を専門家に教えていただきました。大掃除に限らず、毎日のお掃除にもぜひ役立ててくださいね。
感染経路の4割が家庭内感染!家での対策が必須です
毎日のように増えていく新型コロナウイルス感染者。東京都の発表では、感染経路がわかっている人のうち、なんと4割が家庭内で感染だといわれています。マスクをせずに近い距離で接することが多い家庭内では、やはりクラスターが発生しやすいのでしょう。
特に12月に入ってからは増加傾向にあり、外出の機会が多い大人がウイルスを家庭に持ち込み、子どもや高齢者が感染するケースが目立っているとか。家族の健康を守るためには、外出先で気をつけるのはもちろん、家庭内でもしっかりした対策が必須といえそうです。
床にはウイルスを含んだ飛沫がいっぱい
では、家の中ではどのようにウイルスが広がっていくのでしょうか。日本で初めて抗ウイルスフローリングを開発した朝日ウッドテックでは、くしゃみや会話による飛沫の拡散実験を行いました。
くしゃみや会話をすると、飛沫の粒子が口から勢いよく飛び出します。大きい粒子は水分の重さで早く落下し、小さい粒子はエアロゾルとなって遠くに飛散します。その範囲は1.5mほどで、手前から奥までまんべんなく落下していることがわかりました。
ところが、玄関で靴を脱ぐ日本では、床に手や体で触れる機会が多いですよね。日常生活をちょっと想像するだけでも、床でスマホを見ながらくつろいだり、洗濯物を畳んだり、ひざをついてリモコンを取ったり・・・何気なく床に触れているシーンが思い浮かぶはずです。
実際にアンケートを取ってみると、回答者の6~7割が「床で洗濯物を畳む」「床に座ってテレビや映画を見る・ゲームをする」といった行動がよくある・たまにあると答えています。
それなのに、家の中で「床の感染症対策」を行っている人は、わずか17.5%でした。テーブルや洗面所などは注意して掃除していても、床を見逃している人がほとんどだったのです。
床から手についたウイルスは、リモコンや食卓、食器棚の取っ手、コップなどに付着して、どんどん範囲を広げていきます。青い蛍光塗料をウイルスに見立てた実証実験では、床を起点として家じゅうに広がっていく様子が捉えられていました。
こうした結果を見ると、やはりウイルスが床にあるうちにできるだけ取り除き、そこから広がるのを食い止めるのが得策といえるでしょう。
床掃除は「モップ型ワイパー」で「静かに行う」のがベスト
ここからは床掃除の具体的なテクニックをご紹介しましょう。
教えてくれたのは「健康を守るお掃除士」松本忠男さん。病院清掃に30年間かかわってきた経験を生かし、著書「健康になりたければ家の掃除を変えなさい」(扶桑社)をはじめ、テレビやラジオでも「人の健康と命を守るお掃除の大切さ」を発信しているスペシャリストです。
Point① ハウスダストを巻き上げないように注意する
ウイルスを含んだ飛沫は、ホコリや髪の毛、はがれた皮膚の破片などの細かなゴミ(ハウスダスト)の上に降り注ぎます。そこで床掃除の最大のポイントは、このハウスダストの量をしっかり減らすことになります。
ハウスダストは軽く、風で舞ったり飛び散ったりしやすいため、フローリングの場合は掃除機よりもモップ型ワイパーで静かに取り除くのがおすすめです。
ワイパーはなるべく体から離して動かしましょう。ワイパーと体(足)の距離が近いと、動くたびに風が起こり、そこにあったハウスダストを舞い上げてしまいます。舞い上がったハウスダストは掃除後に舞い降りてくるため、掃除の効率が悪くなってしまうのです。
ワイパーを動かすスピードは、なるべくゆっくりと。激しく動かすとやはり風が起こり、ハウスダストが周囲に飛び散ってしまいます。
1回の掃除をていねいにすれば、頻度は少なくてもOK。大急ぎの掃除をバタバタと毎日するよりも、ゆっくりした掃除を週2~3回したほうが効果的です。結果的に家事の時短にもつながりますね。
Point② ワイパーは1方向にだけ動かす
ワイパーをゴシゴシと前後に動かす人をよく見かけますが、これはNG。床の汚れはワイパー先端の側面に溜まっていくため、手前に引くとせっかく集めた汚れを床に置いてきてしまうのです。
正しい動かし方は「一方向のS字」です。ワイパーを1つの方向に進めたら、手前に引かずにクルッとUターンして戻ってくるようにします。ワイパーの側面で汚れをキャッチしながら押し進めるようなイメージですね。
こうするとワイパーの汚れた部分が床を往復することなく、ウイルスが縞状に残るのを防ぐことができます。テーブル上を拭くときもこの動作で行うのがおすすめですよ。
Point③ 壁際でもUターンさせる
ハウスダストは人の動きや窓からの風などに乗って移動し、壁や家具などにぶつかって止まります。つまり部屋の壁沿いや隅に汚れが溜まっていくということ。そこで床掃除は部屋の広い場所からスタートして、隅のほうを最後にすると効率がよくなります。
壁際や部屋の隅を掃除するときも、基本は「一方向のS字」です。ワイパーを壁際まで進めたら、ワイパーが描く弧の分を残してUターンさせます。壁にぴったり押し付けてしまうと、ワイパーが運んできた汚れが壁に付着してしまうので注意しましょう。
Point④ 先に水拭きするのはNG
「水拭きのほうがスッキリして気持ちいい」という方もいますが、ハウスダストは水分を含むと層になって溜まっていくため、先に水拭きをすると逆効果になってしまいます。
水拭きをしたい場合は、まず「一方向のS字」でから拭きし、ハウスダストを取り除いてから水で拭いて、最後にもう一度から拭きで仕上げるのがベストです。
大掃除で床用洗剤を使うときも、まずはから拭きをするのが先決です。ベタベタする油汚れなどには0.2%程度に薄めた洗剤を使うと、洗剤成分の残留が気にならないでしょう。
抗ウイルス素材のフローリングにも注目が集まっています
「お掃除だけでは心配」「もっと根本的にウイルス対策がしたい」という方には床そのものを抗ウイルス仕様にするという手もあります。
たとえば朝日ウッドテックが手がける「ライブナチュラルプレミアム」では、仕上げ塗装に抗ウイルス機能をプラス。床の上に存在する特定ウイルスの数を減少させます。抗菌製品技術協議会ガイドラインで品質管理・情報公開された製品に表示されるSIAAマークつき。こうした製品をリフォームなどでとり入れれば、より安心な暮らしに役立ちそうですね。
まとめ
「床掃除は家族の健康を守るため」というアドバイスに納得した人も多いはず。掃除をしやすくするために、床にものを置かない、置いたらすぐに片づける習慣も身につけたいところです。年の変わり目を機に、ぜひこれまでのお掃除や片づけを見直してみては。
画像提供/朝日ウッドテック
撮影協力/ミサワホーム新川崎展示場
取材・文/後藤由里子
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