コーヒーゼリーのような褐色の白身に、暗緑色の黄身からなるピータン。不思議な見た目や独特の香りから、ふだんの食卓には上りにくい食べ物ですよね。
でも、中国では人気がある伝統的な加工食品ですし、食わず嫌いはもったいないと言うもの。
そこで今回は、ピータンの基本情報やおいしい食べ方についてポイントをまとめてみました。
ちゃんと知ることで食わず嫌いを克服、もしくは、ピータンをもっと好きになってしまいましょう!
ピータンってどんな食べ物?
卵でありながら、ニワトリの卵とは色合いや臭いがまったく異なるピータン。とくに初めて食べるときなどは、ちょっと箸を伸ばしにくいかもしれませんね。
そもそもピータンとは、どんな食べ物なのでしょうか。作り方や味、歴史について少し詳しく見ていきましょう。
◎ピータンの作り方
ピータンとは、漢字で書くと皮蛋。あひるの卵を加工した食品です。木炭や塩、茶葉の煮出し汁などを捏ねた泥状のものを用意し、あひるの卵の殻表面に塗りつけ、もみがらで包んで甕の中に入れ、半月~数カ月熟成・醗酵させて作ります。
泥に混ぜる材料や配合、熟成期間、温度などは地域や作り手によって様々。製法によって黄身の部分がトロ~リととろけるような食感になるなど、味わいも変わってきます。
ちなみに、 卵のなかが固まっているのは、泥のなかのアルカリ成分が卵内部に浸透してタンパク質が変性するため。また、白身がコーヒー色、黄身は濃いグリーンと独特の色合いになるのも、アルカリ成分によるものです。
◎ピータンの味と香り
ピータンはあひるの卵だけに、その味は「卵の味が濃くなったもの」などと表現されます。味そのものはまろやかで、コクがあり、塩味が効いています。
ピータンが「クセがある」と言われるのは、味よりも独特のアンモニア臭でしょう。臭いについては、ピータンの種類によって多少の差があります。
ピータンは黄身の状態によって2種類に分けることができるのですが、黄身が半熟で柔らかいものは「溏心(とうしん)皮蛋」。こちらはアンモニア臭が比較的薄いので、食べやすいようです。
もう一方は、黄身が硬い「硬心(こうしん)皮蛋」というピータンで、香りとクセがより強く感じられます。慣れるまで食べにくいピータンではありますが、塩味がしっかり効いて、水分量が少ないので保存性が高いと言われています。
ちなみに、アンモニア臭については、殻をむいてしばらく放置したり、蒸したり、切って冷蔵庫に入れておいたりすると和らげることができます。臭いが気になる人は、試してみてくださいね。
◎ピータンが食用になった歴史
それにしても、日本人としては、「ピータンを最初に食べてみようと考えた人はすごい!」といった印象ではないでしょうか。中国ではどうして、ピータンが食べられるようになったのでしょうか。
ピータン誕生については、いくつかの伝説があります。ここでは3つご紹介しますね。
・ピータン伝説1/益陽県で誕生
1368~1644年の明王朝の時代。湖南省益陽県の民家で、ピータンが誕生したという説があります。その家で飼われていたアヒルが偶然にも石灰の中に卵を産み落としたのです。
灰のなかの卵は2か月ほど経ってから見つかり、皮をむいてみると中が固まっていていたので食したのが、ピータンの始まりなのだとか。
・ピータン伝説2/呉江県で誕生
同じく明朝の時代、江蘇省呉江県でのこと。とある茶館が繁盛して人手が足りず、店主は忙しさのあまり、お茶がらを炉の灰に捨てるほどでした。
そのお茶がら入りの灰のなかに、店で飼っていたアヒルが卵を産み落とし、いくつかがそのままに。後日、灰のなかから卵を見つけて殻をむいてみると、独特の色と臭いが。
店主が食べてみたところ、味は上々。これがピータンの誕生という伝説です。
・ピータン伝説3/湖南省で誕生
こちらもやはり明朝の時代。洞庭湖のほとりではあひるが数百羽、卵を産むために飛来し、近くの農民はその卵を集めて売ることがありました。
当時は、戦乱の世。ある日、軍隊がやって来ると聞き、農民は大急ぎで近くの岸辺にあひるの卵を埋めたのです。
後日、堀り起こしてみると、卵の中が固まっていて、臭いがあるものの味はまあまあ、といったもの。これがピータン誕生のきっかけになったのだそうです。
ピータンの食べ方
これまでにピータンを食べて「おいしくなかった!」という経験を持っている人は、ピータンの殻をむいてそのままかじる、という食べ方をしたということはありませんか?
たしかにピータンは食べる時に加熱をする必要がないので、そのままでも食べられるます。ただし、ゆで卵は塩などをかけることでおいしくなるのと同様に、ピータンもほかの食材と混ぜることで魅力が増します。
独特の臭いも調理の手間をかけることで、軽くすることができるんです。
では、ピータンの基本的な食べ方はどんなものなのでしょうか。日本では、ピータンは中国料理店で冷たい前菜として使われることが多いようです。縦に何度か切って、白髪ネギなどの薬味を添えるのが手軽で基本的な食べ方と言えるでしょう。刻んだピータンを薬味と一緒に豆腐にのせる「ピータン豆腐」なども人気。
また中国では、ピータンの食べ方は地域によるものの、やはり冷菜とされたり、ピータン豆腐やピータン粥などがポピュラーな食べ方になっています。
ピータンをおいしく食べられるレシピ
ピータンはそのまま切っておつまみにしてもよいのですが、食べ慣れないうちは料理にして楽しむのがおすすめ。
そこでピータンの魅力を感じられる、定番のピータン料理のレシピを3つご紹介します。各材料は好みに合わせて量を調整してみてくださいね。
レシピの前に、ピータンの殻をむく方法をご紹介。買ってきたピータンは泥状のもので覆われています。まず水道水で泥を洗って落とし、次に殻全体にヒビを入れて、ゆで卵と同様にむけばOK!あとは、そのまま調理可能です。
◎ピータンレシピ1/ピータン豆腐
ピータンの定番料理と言えばコレ! 本場中国でも、日本の居酒屋などでも人気のメニューです。
【材料】
・豆腐(好みで絹ごし豆腐やもめん豆腐)
・ピータン
・好みの薬味(ネギ、ショウガ、みょうが、ニンニク、ザーサイなど)
・ごま油
・しょうゆ
・酢
1.豆腐は水切りをしておきます。
2.ピータンと薬味を粗みじん切りにし、混ぜます。
3.お皿に食べやすく切った豆腐、2をのせ、ごま油としょうゆ、酢を混ぜ合わせものをかけて完成。
◎ピータンレシピ2/中華粥
いつものお粥も、ピータンをのせるだけで本格的な中華粥に変身。パクチーを添えるのもおすすめです。
【材料】
・米
・鶏肉または豚肉
・ピータン
・ネギ
・ショウガ
・ごま油
・しょうゆ
・塩
1.鶏肉または豚肉は、たっぷりの水で茹でてスープを取ります。
2.米を洗って1のスープでじっくり炊き、お粥を作ります。
3.お粥を炊いている間に、ピータンの殻をむき、小さめの角切りにします。ネギ、ショウガを千切りにし、ピータンと一緒に適量の醤油・ごま油で和えます。
4.お粥が炊けたら塩で味を調え、1と3をのせます。好みでパクチーを添えても。
◎ピータンレシピ3/ショウガの甘酢漬け添え
中国ではスーパーマーケットでピータンを買うと、ショウガの甘酢漬けが添えられていることが多いのだとか。相性抜群だから、一度は試してほしい食べ方。
【材料】
・ピータン
・新ショウガの甘酢漬け
・ネギ
1.ピータンを食べやすい大きさに切ります。ネギは白髪ネギにします。
2.新ショウガの甘酢漬けをスライスし、ピータンに添え、白髪ネギをのせて一緒にいただきます。
ピータン以外のアヒルの卵の食べ方
あひるの卵から作られるピータン。でも、あひるの卵そのもの味わう食べ方は、ピータンのほかにもいくつかあるんです。
例えば、あひるの卵を塩漬けにしてゆでる「シエンタン」(鹹蛋)。塩卵とも呼ばれます。シェンタンは塩水に酒やわら灰などを混ぜたものに卵を浸し、1カ月ほど浸して、塩分を浸透させて作るもの。
ピータンはそのまま食べられますが、シェンタンは食べる前にゆでる必要があります。中国では、シェンタンは塩気が強いので、酒の肴にしたりお粥に添えたりするのが定番なのだとか。
ほかにも、あひるの卵をもろみに漬けて作る「ソウタン」(糟蛋)や、お茶の葉で煮た「チャーダン」(茶蛋)などがあります。日本で手に入れることはちょっと難しいかもしれませんが、中国へ出掛けたときなどに味わってみてはいかがでしょうか。
ネット通販を利用すれば家庭で手軽にピータンが食べられます!
ここまで読んで「ピータン、トライしてみようかな?」と思った食わず嫌いだった方、「ああ!ピータン食べたくなっちゃった!」というピータンラバーの方。普通のスーパーなどでは手に入らないので、ネット通販を利用するのがオススメですよ!
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あひるの卵に石灰・粘土・もみ殻を「塗り、土中に埋めて密閉し、5〜35°Cで3〜6ヶ月ほど熟成させ、発酵させて仕上げます。刻んでおかゆに入れたり、豆腐と合わせてピータン豆腐でいただくのもオススメ!
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まとめ
いかがでしたか? ピータンは日本人にとってはなじみにくい食べ物のひとつですが、食べ方によってはおいしくいただけそうですよね。ピータンのような異国のユニークなグルメにもトライして、ますます豊かな毎日を過ごしてくださいね。
文/北浦芙三子
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