コラム

恐怖のイヤイヤ期をどう乗り切る?知っておくべき上手な対処法

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恐怖のイヤイヤ期をどう乗り切る?知っておくべき上手な対処法
育児に悩みは尽きないもの。ママたちの悩みに、子どもの「発達心理」の研究をされている菅原ますみ先生(お茶の水女子大学教授)がアドバイスします。

悩めるママからの相談

「2才の息子は、イヤイヤ期まっさかり。『○○しよう』と言うと、必ず『イヤ!』。とくに遊んでいるときに『そろそろごはんだからお片づけしよう』とか、公園などから帰ろうというと、ものすごく怒ります。

車が大好きで、ミニカーで遊ぶことが多いのですが、怒ると私に向かって投げつけてきたりします。『物を投げるのはよくないからやめてね』などと言うと、たたいてくることもあります。

この時期特有のものかもしれませんが、どのようにしつけすればいいのでしょうか。強くしかったほうがいいのか、迷います」(2才男の子のママ)

菅原先生より/「イヤイヤ」は健全な姿。しかる前に「いい」「悪い」を教えましょう!

かわいい赤ちゃんだったわが子がおもちゃを投げたり、ママをたたいたり。「なんでこんなことに?」とショックを受けるお母さんは少なくありません。けれど、これこそが「テリブル・ツー=恐るべき2才児」と言われる、この年齢ならではの特徴なのです。

0才の頃、赤ちゃんにとってママと自分はあまり区別がついていないものでした。1才半を過ぎてようやく、「自分は自分であり、ママはママなんだ」ということがわかってきます。
鼻に赤い色をつけて鏡を見せたとき、1才前半の子どもは鏡の中の子の鼻に手を伸ばしますが、1才半を過ぎるとと自分の鼻を触る子が多くなってきます。この段階でようやく「自分」が認識できてくるというわけです。

そして2才。「自分」をちゃんと認識し、「自分じゃない人」がたくさんいるということがわかるようになりました。だから、「自分の!」「自分で!」を主張することができるようになるのです。
でも「他人の気持ち」がわかるのはまだ先。いま世界は「自分」が中心です。ママが怒ろうが困ろうが、イヤなものはイヤ。泣いて自己主張します。……と、これがこの年代の健全な発達の姿なのです。

ルールを理解しないと、しかっても意味がない


このイヤイヤまっさかりのときこそ、しつけスタートに最適な時期です。ただそれは、「いけないことをしたからしかる」という意味ではありません。

「しかる」ことが効果をもたらすのは、世の中のルールを知っていて、自分のしていることが悪いことだと自覚している人に対してのみです。残念ながら2才児は、まだそこまで達していません。2才児は「これはOK」「これはダメ」という世の中の基本的なルールを少しずつ知り始める段階なのです。

「しかることが教えることになるのでは?」と思うかもしれませんが、激しい口調やたたくなどの暴力が伴うと、子どもは恐怖心をつのらせ、何かを学ぶという精神状態でなくなってしまいます。学習効果という意味では、穏やかに、毅然と言って聞かせることが有効です。

「いたーい!」などと大げさな口調で言うと「遊んでいる」と思いますから、「おもちゃを投げたら、壊れちゃうのよ。うさぎさん、痛い痛いだよね。投げないでね」「ママもたたかれたら痛いの。だからやめてね」と、お子さんの目を見て真剣にルールを伝えましょう。

だからといってすぐにルールが身につくわけではないので、同じような場面がきたら、今度はどうかな?、と期待を持って見守りつつ、できなくても根気よく、穏やかにルールを繰り返し伝えてあげましょう。まだ自分のちからで気持ちや行動をコントロールすることが難しい年齢段階なのえで、一緒に怒りを募らせても状況は悪化するばかりです。

「ダメ」と言われてあきらめられたら、たっぷりほめよう

イヤイヤが激しくて、言ってもきかない、手がつけられない、ということもあるでしょう。そのときには、「じゃ、ビデオ見ようか」「おやつにしようか」など気分転換をうながして、トラブル場面を強制終了にしてしまうことも必要だと思います。体調が悪い、眠い、まだ理解が難しいなど、さまざまな理由でしつけにふさわしくない状態のことも多いものです。穏やかにトラブルを回避しつつ、成長を待つことが必要な時期です。

できれば、おもちゃを投げるまえにママが「投げないでね。おもちゃをママにちょうだい」とお子さんに伝え、お子さんがおもちゃを投げるのを止めることができればそれが一番いいと思います。

それでも投げちゃうのが2才児ですが、何度か繰り返すうちに、投げるまえにやめられることもあるかもしれません。大人にしてみれば「当然のこと」なのですが、2才児にとっては「ものすごいこと」です。自己コントロール力がつき始めた証。

それでも悔しくて、泣いてしまったりすると思うのですが、そこに子どもの必死の努力を感じとってください。そして「よくがまんしたね」とほめてください。「ママは、ぼくの悔しい気持ちをわかってくれる」と思うと、次のがまんにつながっていきます。

小さな階段をひとつひとつ上がるように、丁寧にしつけていきましょう。

取材・文/神 素子
お茶の水女子大学基幹研究院人間科学系教授。子どものパーソナリティー発達と精神病理を専門とし、0才~30才までの発達を追う、日本では数少ない長期にわたる縦断研究をおこなう。働きながら子どもを育ててきた先輩ママでもある。
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