生活時間帯も価値観も異なる2つの家族が、いつまでも仲良く暮らすには、お互いの暮らしを尊重した間取りづくりがポイントです。ここでは、スペースの分け方を中心に解説します。
両世帯一緒に間取りプランを練る
二世帯の暮らしを成功させるには、どんな建物にしたいのかを両世帯でよく話し合うことです。住宅資金を負担する割合が大きい世帯の意見が優先され、そうでない世帯はなかなか本音を言いづらいもの。
そうなると、のちのち不満が出ることがあります。もちろん、家づくりのまとめ役は必要ですが、家族会議では公平に意見を出し合うことが重要です。
二世帯住宅のいちばんのメリットは、一緒に暮らす安心にあります。日本の伝統文化やマナーが、自然に子や孫に伝えられ、情操面でもメリットがあります。そのため、3世代の交流の場をぜひとも考えてください。
二世帯住宅の基本的な間取りプラン
二世帯住宅の形態は、上のように4つに大別されますが、敷地条件や、共用部分と専用部分をどう分けるのかなどにより、さまざまな形に展開できます。
玄関も水回り別々にすると、独立性は高くなりますが、建物にかかるコストも光熱費のランニングコストもアップします。
二世帯住宅を2つの住戸としてそれぞれ登記する区分登記は、税金や融資の面でメリットがあります。けれども、各世帯のスペースが構造上独立していることなどの条件があります。二世帯住宅は、総合的に判断してプランすることが大切です。
共用(同居)タイプ
玄関や水回りなどが1カ所の、大家族で暮らすスタイル。1階に両親の部屋や共用のLDKやサニタリー、2階に子世帯のプライベートを設ける間取りが一般的です。
一家に2人の主婦がいると、キッチンをめぐってトラブルになりやすいといわれています。娘世帯との同居ではさほど問題は起こりにくいのですが、息子夫婦との同居の場合は、親世帯用のサブキッチンを用意するのが理想的。娘夫婦との同居でも、2人で使えるようにキッチンはゆったりめが正解です。
共用タイプでは、お互いのプライバシーが守りにくくなるため、ゾーニングに工夫したいものです。親が外出や入浴をするときに、子世帯がだんらんしているLDKを横切ることなく、親世帯の部屋から玄関やサニタリーに直接行ける間取りにすると、気兼ねがありません。
親世帯の寝室の上に、夜の遅い子世帯のファミリールームがあると、親が熟睡できないことも、夜間は水音が響くため、2階にもシャワールームやトイレを設ける場合は、親世帯の寝室の上は割けましょう。
この共用タイプでは親世帯が遠慮しなくていいように、LDは広めに。ダイニングチェアやソファは、親の指定席を決めておくといいでしょう。食事や光熱費の分担をはっきりさせておくのも、円満同居の秘訣です。
内階段タイプ・外階段タイプ
両方とも世帯が上下に住み分けるスタイル。「内階段タイプ」は1階に2つの玄関をつくり、2階へは内階段で上がります。「外階段タイプ」は1階、2階にそれぞれ玄関を設け、2階へは外階段で上がります。
「外階段タイプ」のほうが独立性が高くなり、総2階にすれば、各世帯の床面積が均等になります。2つのタイプとも各世帯のスペースを完全に分離させることができますが、内階段やドアを設けることで、行き来できるようにもなります。
どちらも親世帯が1階、子世帯が2階に住み分けることが多いので、共用タイプと同様に、2階の生活音が伝わらない部屋の配置を考えましょう。
連棟タイプ
2つの世帯が隣り合って住むスタイルで、最も独立性が高くなりますが、ほかのタイプより広い敷地が必要になります。
両世帯とも1階、2階、庭があり、一方の日当たりが悪いということが少なくなります。上階の生活音を気にする必要はありませんが、お互いの世帯に接しているスペースの使い方をよく考えることが大切です。
親世帯の寝室の隣に、子世帯のLDKや階段を設けたプランでは、生活音が伝わりやすくなります。壁に遮音性をもたせ、境の壁面収納を背中合わせにつくるなどの工夫をしてください。
二世帯住宅のレイアウト・間取りプランを考える時のポイント
- 同居型や分離型など、建物の構成や分け方を両世帯で話し合う。だれかをまとめ役に立てて、意見を統一する。
- 二世帯の交流の場を設ける。
- 上下分離型では、2階の生活音が階下に伝わりやすいので、遮音対策を施し、間取りを工夫する。
- 水回りを共用する同郷型でも、親世帯にサブキッチンをつくると音が伝わりやすい。
- 当面必要がなくてもバリアフリー対策を。階段や廊下の幅は、リフォームで広くするのは難しい。将来、手すりを設けることを考えて、広めにとるとよい。ホームエレベーター用のスペースを用意しておくと設置が簡単にできる。水回りを増設する可能性があるなら、水道やガスの配管をしておくとリフォームが簡単。
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