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二世帯住宅の間取りの考え方とポイント

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二世帯住宅の間取りの考え方とポイント

話を伺ったのは→スタイル工房

新築から部分リフォーム、フルリノベーションまで手掛けるハウスビルダー。生活を見据えたプラン提案と、自然素材を使ったデザインに定評がある。物件探しから請け負うワンストップサービスも充実。

https://www.stylekoubou.com/

 二世帯住宅の間取りには、玄関から水回りまですべて分ける完全分離型、玄関や水回りなどを共有する部分共有型、いわゆる同居スタイルの完全共有型という3 つのバリエーションがあります。選び方の決め手となるのは、敷地や予算などの条件のほか、両世帯のおつきあいのしかたや将来のライフスタイル。お互いに安心していい関係を築けられる二世帯住宅を目指しましょう!

 

二世帯住宅の間取りのポイント

二世帯住宅の間取りを考えるときに、かならずおさえておきたいポイントをまとめました。子世帯と親世帯、どちらの意見も平等にリサーチすることが大切です。

 

  • 予算

家づくり資金をどのくらい用意するか

→建築コスト、建物の床面積、共有型か分離型か、登記区分の割合など、家づくりのすべてに関わる

 

  • 生活習慣

起床する時間、洗面・歯磨きなどの時間、出勤・外出する時間、食事する時間、入浴する時間、就寝する時間など

→LDK と寝室のレイアウト、水回りの共有・分離、玄関の共有・分離などに関わる

 

  • 家事のしかた

料理は好きor苦手?   掃除は好きor苦手?   洗濯物は外干し派or乾燥機派? など

→キッチンや水回りの共有・分離、洗濯機や物干しバルコニーのレイアウトなどに関わる

 

  • 趣味

どこでどんな趣味を楽しみたいか

→ガーデニングが趣味なら庭を残すなど、建物全体のプランに関わる

 

  • 来客の人数や頻度

どちらの世帯にどのくらいの頻度で、何人くらいのゲストを招きたいか

→玄関の共有・分離、玄関やLDの広さなどに関わる

 

  • ランニングコストの分け方

水道・ガス・電気料金をどう分けたいか

→配管やメーターの設置などに関わる。特に水道管を引き直すには多額の費用がかかるので要注意!

 

  • 将来の生活の変化

親世帯の老後にどう備えるか

→親世帯スペースのバリアフリー仕様のとり入れ方に関わる

 

  • 将来の建物の使い方

子世帯だけになったとき、親世帯のスペースをどう使うか( 賃貸にするなど )

→共有型か分離型か、将来リフォームする可能性があるかなどに関わる

 

 

完全分離型の間取りの特徴とは?

完全分離型の二世帯住宅とは、玄関・LD・キッチン・洗面室・浴室など、すべてのスペースをそれぞれの世帯に設けるプランのこと。各世帯の分離のしかたは、2 ・3 階建てを上下階で分けるケース( 上下分離型 )と、建物の中央で左右に分けるケース( 左右分離型 )がありますが、左右分離型ではかなり大きな敷地が必要になるため、上下分離型のほうが一般的といえるでしょう。

< 完全分離型のメリット >

  • お互いのスペースの独立性が高く、プライバシーを保ちやすい

  • キッチンが別なので、自由に家事や食事ができる

  • 洗面室・浴室が別なので、生活スケジュールのズレが気にならない

  • 玄関が別なので、ゲストを自由に招きやすい

  • 将来、どちらかの世帯を賃貸物件などとして活用しやすい

  •  

< 完全分離型のデメリット >

  • 各世帯のスペースをゆったりとるには、広い敷地が必要になる

  • 水回りの数が多いため建築コストが高く、メンテナンス費用もかかる

  • お互いの気配が伝わりにくい分、万一の病気・事故に気づきにくい

【事例】お互いに自立した暮らしを目指して、外階段つきの二世帯住宅を実現

Oさん( 東京都 )

 

 

敷地をやや掘り下げ、1 階部分を半地下風にすることで、高さ制限をクリア。ゆったりとした3 階建てを実現できました。

 

 

DATA

家族構成    夫婦+両親+犬2 匹

敷地面積    133.66㎡(40.43坪)

建築面積    61.50 ㎡(18.60坪)

延べ床面積  151.65㎡(45.87坪)

            1F61.50 ㎡+2F61.50 ㎡+3F28.65 ㎡

構造・工法  木造3 階建て( 軸組み工法 )

設計        プランボックス一級建築士事務所( 小山和子、湧井辰夫 )

            www.mmjp.or.jp/p-box/Company/

 

子世帯

夫の実家を二世帯住宅に建て替えました。お互い自由に気兼ねなく暮らせるように、1 階が両親、2 ・3 階が私たちという完全分離型を選択。子世帯は外階段を上がり、デッキを通って玄関に入る間取りにしましたが、このデッキがカフェのようで快適! キッチンがデッキに面しているので、明るい空間で家事ができるのもいいですね。

 

 

子世帯・2Fデッキ

木製の外階段を上がると子世帯のスペースが。デッキは北側なので直射日光が当たらず、くつろぐのには最適とか。

 

 

子世帯・2F玄関

玄関にはデッキから出入りします。グリーンのドアはDIY でペイントしました。

 

 

子世帯・2Fキッチン

アイランドキッチンをデッキ側にレイアウト。外を眺めながら家事ができるうえ、トップライトもあるので明るさは抜群!

 

 

子世帯・2F LDK

ダイニングテーブルとキッチンカウンターを一列に配置したプラン。左奥にリビングが続いています。

 

親世帯

以前は昼間でも照明をつけるほど暗かったのに、建て替えてからはどの部屋も明るくてびっくり。水回りも機能的で無駄がなく、手入れがラクなのも気に入っています。広くはないのにどこにも不便がないので、快適なホテルみたいですね」

 

 

親世帯・1Fリビング

小さな空間でもすっきり見えるように、シンプルなインテリアでまとめました。床は手入れのラクな塗装済みフローリング。

 

 

親世帯・1F DK

1 階では明るさの確保が大きなテーマ。右手の壁に横長のハイサイドライトをつけて、プライバシーを守りながら採光しています。

 

 

親世帯・1Fトイレ& 洗面室

洗面室には掃除しやすい既製品の洗面台をセレクト。トイレは間口や奥行きを広くとり、手を添えて立ち上がれるカウンターも設けました。

 

部分共有型の間取りの特徴とは?

部分共有型( 一部共有型ともいいます )の二世帯住宅とは、玄関・キッチン・洗面室・浴室など、どこかのスペースを両世帯で共有するプランのこと。玄関のみを共有してそれ以外のスペースを分けるプランだと、完全分離型に近くなります。

 

< 部分共有型のメリット >

  • 面積が限られていても、二世帯住宅を実現しやすい

  • 水回りの数が少ない分、建築コストとメンテナンス費用を抑えられる

  • 両世帯のふれあいが増え、お互いの気配も伝わりやすい

  •  

< 部分共有型のデメリット >

  • 気配が伝わる分、お互いのプライバシーを保ちにくい

  • 洗面室・浴室が共有だと、生活スケジュールのズレが気になる

  • 水回りの使い方や家事のやり方などの違いが気になる

  • 玄関が共有だと、ゲストを招くときに気を遣う

 

【事例】予算と面積に合わせて部分共有型を選択。両親の趣味のスペースも充実

Tさん宅

 

建物はほぼ総二階。敷地の一部を堀り込んで地下のガレージをつくり、その段差をスキップフロアとして生かしました。

 

DATA

家族構成    夫婦+子ども1 人+両親

敷地面積    100.80㎡(30.49坪)

建築面積    65.49 ㎡(19.81坪)

延べ床面積  134.95㎡(40.82坪)

            B1階( 車庫 )13.28 ㎡+1F58.80 ㎡+2F62.87 ㎡

構造・工法  地下1 階RC造+1 ・2 階木造( 軸組み工法 )

設計        明野設計室一級建築士事務所( 明野岳司、美佐子 )

           http://tm-akeno.com/top.html

 

子世帯

築30年ほどの実家を建て替えて、両親と一緒に暮らすことに。予算や面積に限りがあったので、最初から玄関や水回りは共有でいいと考えていました。特におふろは1 日のうち数時間しか使わないので、共有のほうが無駄がないと思います。そのかわり、リビングやキッチンを別々にすること、多趣味な父と母のためにそれぞれ個室をつくることを優先させました。

 

 

子世帯・2F LD

ソファなどは置かず、ダイニングテーブルをくつろぎの場にしています。手前のLDと奥の寝室の間をスキップフロアにして、パブリックとプライベートをほどよく分離。

 

 

子世帯・2F  キッチン

料理に集中できる独立型キッチンを選びましたが、ダイニングとの出入り口は間口を広くとり、行き来しやすくしました。

 

 

子世帯・2Fワークスペース

スキップフロアの上にプランした、小さなワークスペース。PCを使うほか、本や書類の収納にも活躍しています。

 

親世帯

2人とも趣味が多い( 父: サッカーのコーチと囲碁、母: 着付けと日本舞踊 )ので、それぞれの個室をつくってもらいました。どちらも4 畳半の広さですが、1 人で過ごすには十分ですね。2 人とも今まで以上に趣味の時間が充実しましたし、孫が遊びに来るのも楽しみになりました。

 

 

親世帯・1F LDK

こちらでは壁づけのI 型キッチンにして、スペースを有効に活用。キッチン収納がたっぷりあるので、リビングで使うものもしまっているそう。

 

 

親世帯・1F  母の部屋

2 つの個室はどちらも畳敷き。直射日光で着物が傷まないように、お母さまの部屋は北側に配置しました。

 

 

共有スペース:1F 洗面室& 浴室

二世帯で共有している水回り。生活のスケジュールがズレているため、入浴の時間が重なることはほとんどないそう。

 

 

共有スペース:1F 玄関

玄関も二世帯で1 つ。ここと同じレベルに親世帯のLDK とお父さまの部屋があり、スキップフロアを上がったところに共有の水回りとお母さまの部屋があります。

 

完全共有型の二世帯住宅の特徴とは?

玄関からキッチン、水回りまで二世帯で共有するのが、完全共有型。二世帯住宅というより、いわゆる昔ながらの同居スタイルです。

分離型にも共有型にも共通するのは、夫婦どちらの親と一緒に暮らすのかという問題。特に完全共有型の場合は、家事のやり方や料理のスタイルなどが似ていることから、妻の親との同居のほうが成功しやすいと言われています。また、完全共有型でも暮らしの自由度を高めたい場合は、子世帯にミニキッチン( ※リンク「ミニキッチン」へ )やシャワールームなどを設ける手もあります。

 

< 完全共有型のメリット >

  • 面積にも建築コストにも無駄がない

  • 子どもに違う世代との暮らしを経験させることができる

  • 将来、子世帯だけになったときにも暮らしやすい

  • 万一の病気・事故に気づきやすい

 

< 完全共有型のデメリット >

  • お互いのプライバシーを保ちにくい

  • 生活スケジュールや家事のやり方などの違いが気になる

  • ゲストを招くときに気を遣う

 

【事例】スキップフロアで狭小のハンデをクリアして、お母さまと同居中

Mさん( 東京都 )

 

外から見ると細長い3 階建て。敷地の一部を堀り込み、スキップフロアを採用したことで、この中に6.5 層ものフロアを積み重ねることができました。

 

DATA

家族構成    夫婦+子ども2 人+母

敷地面積    63.16 ㎡(19.11坪)

建築面積    37.68 ㎡(11.40坪)

延べ床面積  97.20 ㎡(29.40坪)

            1F30.43 ㎡+2F33.33 ㎡+3F33.44 ㎡

            ( ロフト9.44㎡は除く )

構造・工法  木造3 階建て( 軸組み工法 )

設計・施工  ( 株 )KURASU( 小針美玲 )

            kurasu.co.jp

 

子世帯

建て替えではなく、あらたに敷地を購入しての新築でした。予算に合わせて住みたいエリアで狭小敷地を手に入れ、スキップフロアで生活面積を増やすことに。母を迎え入れることが最初から決まっていたので、狭小でも家族5 人が無理なく暮らせる家を目指しました。

二世帯住宅という意識はあまりなくて、普通におばあちゃんが一緒に住んでいるという感覚です。ただ、母の部屋は必要だったので、1 階の水回りの近くにレイアウトしました。これは設計をお願いした「KURASU」さんからのアドバイスで、玄関にもバス・トイレにも行きやすい配置になりました。

親世帯

私からは住まいへのリクエストはなくて、ほとんど「子どもたちにおまかせ」。住みはじめてからも特に不満はなく、息子夫婦と孫たちとの生活を楽しんでいます。

 

 

2F LDK

リビングとDKを分けているのは、5 段ほどの短い階段。フラットなワンルームより変化がつき、狭い印象を払拭しています。

 

2F DK

シンプルなI 型キッチンをとり入れたDK。「共働きなので、食事の用意は母にお願いすることも。サポートしてもらえるのは助かりますね」

 

リビング

 

2Fリビング

DKからリビングを見下ろしたところ。ソファ回りを壁で囲んだことで、かえって落ちつける雰囲気になりました。

 

3F洗面コーナー

3 階の寝室の入り口に、子世帯専用の洗面台を設けました。1 階の洗面室はお母さまとの共有なので、混雑防止に役立ち、移動する手間も省けます。

 

 

1F  洗面室・浴室

水回りは玄関ホールから出入りします。洗面脱衣室とトイレをワンルームにして、狭さを解消。お母さまにも使いやすいプランです。

 

 

1F  母の部屋

玄関ホールから数段下がったところに、お母さまの部屋の入り口が。1 階の南側を半地下風に堀り込み、その段差をスキップフロアに生かしました。

 

 

親世帯のバリアフリー仕様はどこまでとり入れる?

二世帯住宅をプランするとき、悩みがちなのがバリアフリーの問題ですよね。ここでは、よくあるバリアフリー仕様について、基本となる考え方をご紹介。どのレベルまで想定してどんな準備をしておくか、家族できちんと話し合いましょう。

 

  • 段差のない床

スキップフロアの家などを除けば、一般的な住宅にも取り入れられていることが多い。小さな段差のほうがかえってつまづきやすいので、もし段差ができてしまう場合は高低差を大きめに。

 

  • 水回りの手すり

立ち上がる動作が必要なトイレや、すべりやすい浴室には、あらかじめ手すりがあるとどの世代でも安心して使える。トイレでは手すりのかわりにカウンターをつける手も。

設計・施工/スタイル工房[/caption]

 

  • 廊下の手すり

脚が不自由になったときのことを考えると、車椅子より“ 伝い歩き" のほうが現実的。将来手すりをつけられるように、壁面に下地を用意しておくと安心。腰くらいの高さにモールディングをあしらうだけでも、手を添えて歩くのがラクになる。

設計・施工/スタイル工房[/caption]

  •  
  • 室内の手すり

LDや寝室に手すりはちょっと……と感じるなら、腰くらいの高さの収納を動線に沿って造りつけたり、家具を置いたりするだけでも、伝い歩きがしやすくなる。

設計・施工/スタイル工房[/caption]

 

  • 間口の広い水回り

洗面室やトイレの入り口は、開き戸ではなく引き戸にしておくと、人が支えて出入りしやすくなる。浴室も広く開口できる建具にして、浴室そのものも1 坪以上の広さにしておくと、デイサービスなどの介助を受けやすい。

 

 まとめ 

分離型にも共有型にもメリットとデメリットがあり、必要な建築費や面積にも大きな差が出ます。バリアフリーのとり入れ方も含めて、両世帯でよく話し合い、みんなにとって納得のいくプランを選ぶのが理想的です。

 

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この記事のライター:後藤由里子
主婦の友社刊「はじめての家づくり」をはじめ、数々の住宅・生活関連記事を手がけるライター。キャリアは20年、これまでの実例や建築家、ハウスビルダーへの取材件数は300以上に及ぶ。

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