住み手の個性そのままの“シンプルだけどちょっとかわいい家”

【Iさん宅(埼玉県)　本体工事費約2210万円　建築面積約14坪】

ご夫妻と4歳の長男、1歳の長女の4人家族。「1年くらいかけてマイホームの資金計画を立てました。ちょうどその間に第2子を授かり、家族の将来のライフスタイルがなんとなく見えたのも、いいタイミングだったと思います」

「家づくりを計画するずっと前からホームページをブックマーク。新築を考え始めたときに、まっ先に思い浮かんだのもここだったんです」。Iさんがそう話すのは、家づくりを依頼したハウスビルダー「ピーズ・サプライ」。シンプルでいてどこか懐かしく、ボーイズライクな雰囲気をあわせもつ独特の作風が、ご夫妻の好みにぴったりだったといいます。

まだ手探りの状態からオフィスを訪れ、ざっくばらんに予算と要望について相談。ユニークなのは、このスタート時点でのバランスのとり方。まず建物にかけられるおおよその金額を決め、そこから総予算内におさまる価格の土地を探したのだそう。幸い、奥さまの実家がある市内に条件のいい土地が見つかり、「ピーズ・サプライ」の担当者からもお墨付きをもらって、プランニングをスタートさせました。

「リクエストしたのは、1階にLDK、2階に個室を3つ、玄関ホールはちょっと広め、LDKの床は無垢材、ということくらい。キッチンと洗面台だけは好きなデザインや素材にしましたが、それ以外はごくごくシンプルに、とお願いしました」

こんな飾らないお二人のスタンスも、予算内で希望を実現できた大きな理由。無駄なスペースを省き、建物のボリュームをしぼったことも功を奏して、それほど大きな妥協や無理をすることなく、思い描いていたマイホームが形になりました。

「予算内」達成のコツ3カ条  by Iさん

• 家づくりの総予算から建物にかけられるコストを先に確保
• 総2階のプランで生活空間を広げつつ、建材の無駄をカット
• 廊下や収納にスペースを割かず、建物全体をなるべくコンパクトに

1F　キッチン

【コストダウンIDEA】手頃なシナ合板を面材に使い、レトロなブラウンで塗装。

【写真左】グレーのタイルやステンレスで、ハードすぎないボーイズライクなキッチンを実現。「ハーマン」のコンロは厨房風のデザイン。
【写真右】下部には和のユーズド建具をはめ込んだ食器棚が。「この建具の雰囲気がキッチン全体のイメージのもとになりました」

背面側に設けた吊り戸棚。引き戸のデザインや色合いがどこか懐かしさを感じさせます。

ダイニングで目を引く「ストリングシェルフ」。「北欧雑貨が好きなので、それが映えるシンプルな飾り棚を探しました」

1F　DK

【コストダウンIDEA】壁と天井は一般的なクロス張りに。

1階の床は幅広のボルドーパイン材で統一。内装をシンプルにした分、ちらりと見えるキッチン収納の表情が引き立ちます。

1F　リビング

【コストダウンIDEA】スペースが必要な収納は設けずコンパクトな広さに。

「子育てが終わったらソファを置く予定。LDは当初のプランより面積をしぼりましたが、デッキをつなげたせいか狭さは感じません」

2F　子ども部屋

【コストダウンIDEA】ロフトはつくらずプレーンな斜め天井の空間に。

2つある子ども部屋はそれぞれ6畳ほど。「1階は収納を減らしましたが、反対に2階の個室にはクローゼットを用意しました」

水回りや外構にも好みの素朴なデザインをとり入れて

1F　浴室・洗面室・トイレ

【コストダウンIDEA】洗面台のカウンター下は扉のないオープンなつくりに。

【浴室】掃除のしやすさを重視して「TOTO」のシステムバスを選択。「LDKの近くなので、子どものお風呂の世話がラクにできます」

【洗面室】白の角タイルと実験用シンクで清潔感を演出。床のクッションフロアはタイルより施工費が安く、足が冷えないというメリットも。

【トイレ】「どこか1カ所だけ板張りのスペースをつくりたくて、トイレの中にしました」。白いペイントで仕上げて、ぬくもり感たっぷりに。

2F　和室

【コストダウンIDEA】扉を省いてコストカット。出し入れもラクラク。

「ベッドを使いたくなかったので、寝室は和室に。今は親子4人で休んでいます」。奥には布団収納を兼ねたクローゼットも。

1F　お手洗いコーナー

ホールの一角に小さな水回りが。陶器のボウルやモザイクタイルの質感が、和室の入り口に使ったレトロな建具と絶妙にマッチ。

1F　玄関ホール・シューズクローゼット

【コストダウンIDEA】壁を立ててスペースだけつくり、棚は既製品を活用。

【玄関ホール】「チェッカーガラス入りのリビングドアは、ぜひとり入れたかったもの。いずれ気に入った靴箱を見つけて、たたきに置く予定です」

【シューズクローゼット】たたきを袖壁で仕切り、棚用のスペースだけ用意。「1階の大型収納はここだけなので、納戸がわりに掃除機などもしまっています」

外観

建物全体のプロポーションは、デッキ部分だけをへこませたシンプルな総2階。南側の隣地が畑なので、日ざしが遮られることもなく、すべての部屋に光が届きます。

外構は東京・自由が丘の人気店「プロカント」に依頼。「自転車置き場と物置が必要だったので、好みのテイストのところにお願いしたくて」。仕上がりはイメージどおり。

物置も納屋を思わせるかわいらしい風情。「ピーズ・サプライ」施工のデッキとの一体感も◎。

設計のPoint

ピーズ･サプライ 代表　井上 徹さん

都市部の防火地域や準防火地域では指定のサッシを使わなければならないため、開口部の多い家なら窓だけで100万円近くコストアップします。意外と見落としがちですが、敷地条件が工事費に影響することもぜひ覚えておいてください。

【Profile】
1996年設立のハウスビルダー。「シンプル&ナチュラル」をコンセプトにしたインテリア性の高い住宅のほか、リフォーム、キッチン設計なども手がける。横浜にショールームを展開。家づくりに際して「あれも欲しい、これも欲しい」ではなかったIさん。そのため、さほどコストダウンを意識することなく自然な形でプランができ上がりました。また、購入された土地が郊外で、防災指定がなかったことも建築費を抑えられた理由。

Profile.

Iさん

ご夫妻と4歳の長男、1歳の長女の4人家族。「1年くらいかけてマイホームの資金計画を立てました。ちょうどその間に第2子を授かり、家族の将来のライフスタイルがなんとなく見えたのも、いいタイミングだったと思います」

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