「朝起きると手がこわばって動かない…」「指先がしびれてボタンを外すのに時間がかかる…」
このように、手指にしびれ、痛み、こわばりといった不調を感じ、なにか重大な病気ではないかと不安に思われたことはないでしょうか。
「年齢のせい?」「酷使しすぎ?」「病院に行くべき?」と、ひとりでお悩みの方も多いでしょう。この記事では、手指に関する不調について、その原因と解消法を薬剤師が解説します。
(文/薬剤師 白倉みか)
手指が痛い!これって病気?
個人差はありますが、閉経を迎えた女性の閉経時期をはさんだ前後10年間を「更年期」といいます。実は、40代を過ぎた女性が感じる手指の不調は「更年期」が原因であることが多いといわれています。
更年期ではホルモンのバランスが崩れ、心身にさまざまな不調があらわれる方がいます。
たとえば、女性ホルモンであるエストロゲンは更年期に減少します。エストロゲンが減少すると皮膚が薄くなり、乾燥しやすくなり、刺激に敏感になった皮膚がしびれや痛みを感じやすくなるといわれています。
また、このエストロゲンの減少は、手指の腱や腱鞘(けんしょう)のむくみを引き起こし、腱鞘炎につながることが知られています。
腱鞘炎が長く続くと、関節軟骨にも悪影響を与えるという報告もあります。進行すれば、手指が曲げにくくなり、ついには変形してしまう方もいます。
しびれや痛みがなかなかおさまらない、生活に支障が出る、そのほか、からだに異変を感じる場合は、我慢せずに医師に相談しましょう。
こわばってスマホがスムーズに打てない…これも更年期の可能性
更年期が原因である手指の不調は、箸が持ちにくかったり、朝起きたときにこわばっていたり、細かな作業ができなくなったり、といった日常生活の不便さから、気づく方が多いです。
症状は、まず、腫れや痛みから生じ、そのうちしびれやこわばりが出てきます。
更年期の手指の疾患には、腱鞘炎のほかに、手根管症候群、母指CM関節症などが挙げられます。
3.更年期の「手指の痛み」4つの解消法
手指の不調の原因が更年期であれば、血行促進やホルモンバランスを整えることで改善される場合があります。4つの解消を見ていきましょう。
1.痛む部分を直接ケア
血行を良くするために、しびれている部分をマッサージしたりからだを動かしたりしてみましょう。ぬるめのお風呂にゆっくり入り、温めることも大切です。
症状がひどい場合は、迷わず病院を受診しましょう。テーピングで固定したり、鎮痛剤、ステロイド剤の関節内注射などの服薬で対処することもあります。
2.バランスの良い食事
日々の食事を意識するだけで、しびれや痛みの改善が期待できます。
バランスの良い食事を心がけ、ビタミンC(血管を丈夫に保つ)やビタミンE(血液の流れを良くする)なども摂りましょう。
また、エストロゲンの減少を予防するために、大豆イソフラボンもおすすめです。
腸内細菌は大豆イソフラボンからエストロゲンによく似た成分であるエクオールを生成するとされており、積極的に摂ることで減少した女性ホルモンを補う効果が期待できます。
ただ、エクオールをつくれる腸内細菌を持つ人は日本人の2人に1人といわれているため、サプリメントなどで補うのもいいでしょう。
大豆イソフラボンは、豆腐やおから、油揚げ、納豆、豆乳など、大豆を原料とする食品のほとんどに含まれます。
3.自律神経を整える
女性ホルモンであるエストロゲンが不足すると、血流を調節している自律神経が影響を受けます。その結果、血の巡りが悪くなって手足がしびれる症状が出る場合があります。
乱れた自律神経を整えるために、次のことを意識してみましょう。
・規則正しい生活を送る
・栄養バランスの良い食生活を心がける
・ウォーキング、テニス、水泳など、興味のある運動を疲れない程度に行う
・湯船に浸かり、からだを温める
このように、日常の生活を少しずつ改善していくだけで自律神経を整えることができます。しかし、長年しみついた生活習慣はぐに変えようと思っても、そう簡単にいくものではありません。
そこで、自律神経を整え、ホルモンバランスの乱れを改善するのに効果が期待できる「漢方薬」もおすすめです。
4.「漢方薬」を飲む
漢方薬は現在生じている不調を抑えるだけではなく、からだ全体に作用し、ホルモンバランスや自律神経の乱れを根本から整えていきます。
実際に多くの症例により効果が認められているうえ、自然の生薬素材がからだにやさしく働くため、一般的には西洋薬よりも副作用が少ないといわれています。
漢方薬なら自分の症状や体質に合ったものを毎日飲むだけなので気軽に継続できます。
効果が認められている漢方を毎日の生活に取り入れることで、健康を維持して手指の痛みやしびれのない快適な生活を目指してはいかがでしょうか?
<手指のしびれや痛みにおすすめの漢方薬>
・疎経活血湯(そけいかっけつとう):体力中等度で、痛みがあり、ときにしびれがある方に
冷えている部分をあたためたり、部分によって過剰な水分とり除いたりすることで、しびれや痛みを改善します。
・桂枝加苓朮附湯(けいしかりょうじゅつぶとう):胃腸虚弱で体力の乏しい冷え症の方に
からだをあたため、痛みを発散させる作用があります。関節痛や神経痛、冷えによる痛み、手足のしびれやこわばりに適応します。
オンラインの漢方サービスなら気軽!
ただし、漢方薬を選ぶときに重要なのは、その人の状態や体質に合っているか、ということです。うまく合っていないと、効果を感じられないだけでなく、場合によっては副作用が生じることもあります。
どの漢方薬が自分に合うのかを見極めるためには、プロの力を借りるのがおすすめです。「あんしん漢方」などのオンライン漢方サービスに、一度相談してみるのもいいでしょう。
「オンライン個別相談」なら、AI(人工知能)を活用した漢方のプロが、お手頃価格で、一人ひとりに効く漢方薬を見極めて自宅に郵送してくれます。スマホで完結するサービスですので、対面では話しにくいことも気軽に相談できますよ。
▶「あんしん漢方」を詳しく見てみる
更年期と上手に付き合い、手指の不調を改善しよう
多くの方は日常生活の大半で、手指を使った作業は避けられないでしょう。
更年期は多くの女性が迎えるものです。上手にホルモンバランスや自律神経をコントロールし、しびれや痛みのない快適な生活を送りましょう。
<この記事を書いた人>
薬剤師 白倉みか
横浜、都内で病院薬剤師として12年間勤務する。アロマテラピー検定一級。漢方養生指導士。
仕事をしながら結婚、出産、育児といったライフイベントとの両立の大変さを体感する。
自らの経験から、現代の働く女性に寄り添う形で薬や医療の知識を一般にわかりやすく広めたいと考えている。
▶あんしん漢方(オンラインAI漢方)
コメント
全て既読にする
コメントがあるとここに表示されます