女性に多いといわれる便秘の症状。「もう3日出ていない」「出る気配もなく、いつもお腹がパンパンに張って苦しい」「お腹の中に塊がある感じ…気持ち悪くて吐き気がする」など、便秘が続くと日常生活に支障をきたすほどつらいこともあります。
便秘の状態が長く続くと慢性便秘症となり、場合によってはからだに大きな不調を引き起こす原因となることも。
そこで今回は、しつこい便秘を改善する方法について、医師の木村眞樹子さんに伺いました。
便秘に悩んで十数年。何を試してもスッキリしない…
「排便が一週間もない…」慢性便秘症の女性のお悩み
15年ほど前から便秘で悩んでいる明美さん(仮名)。長年の便秘傾向から、便秘が続くことは当たり前と思っていて、ひどい時は1週間以上も便が出ないこともありました。
「食事は毎日しているのに、月に3〜4回しか便が出ないって大丈夫なのかな?」と不安に思いつつも、便が出ない日は続きます。
しかし、便秘が続くと下腹部が張って苦しく、臭いオナラも出ます。さらにお肌も荒れてガサガサになるなど、便秘にまつわる症状で悩まされていました。
便秘薬を飲めば便が出ますが、「薬でしか出せなくなったらどうしよう」と不安を感じているそうです。
このような便秘の症状で悩んでいる人はとても多いです。しかし、デリケートな話題なので人に相談しづらいですよね。
慢性便秘症の定義とは?
慢性便秘症のガイドライン によると、毎日排便があったとしても排便に問題があると便秘症と診断されます。具体的には4回に1回以上の頻度で強くいきまなければいけなかったり、残便感があったりする状態、便の状態がコロコロの硬い便だったりといった症状が見られる時などに、便秘症と診断をされる場合が多いでしょう。
頻度に関しては、自発的な排便回数が週に3回未満であることが診断の項目に入っています。排便の回数や排便リズムには個人差がありますが、明美さんのように1週間以上便が出ないという状態は、もちろん便秘の状態といえるでしょう。
なぜ便秘になってしまうの?
では、どうして便秘になってしまうのか、便秘になるメカニズムを見てみましょう。
便秘は機能性便秘という大腸のはたらきのトラブルによって起こる場合と、大腸がんやイレウスなどの病気による器質性便秘があります。しかし、一般的に見られる健康な方の便秘の多くは機能性便秘である場合が多いでしょう。機能性便秘は次の3つのタイプに分けられます。
●弛緩性便秘
大腸の筋力低下によって便を押し出す力が弱まり、大腸の中に便が滞ってしまい、便の水分が腸に吸収されてカチコチの便になる症状。便秘の中で一番多いケースです。
●けいれん性便秘
ストレスなどによって副交感神経が興奮し、腸管が緊張して便がうまく押し出せなくなり、コロコロした便になる症状。
敏感で緊張しやすく、ストレスを溜め込みやすい人に多いケースです。
●直腸性便秘
慌しい生活によって便意を我慢し続けたり、トイレに行くことが恥ずかしいと思ったりすることで排便のタイミングを逃して、腸内に便が滞ってしまう症状。排便を我慢してしまう人や、高齢者などに多いケースです。
便秘解消のために、まずは生活の見直しを
便秘を引き起こしてしまう原因として、水分不足や偏った食生活、ダイエットによる極端な食事制限、運動不足による筋力低下などが挙げられます。
また、食生活や生活習慣の乱れが便秘を引き起こしている場合も多いため、まずは生活習慣の見直しを行ってみることが大切です。
1.水分補給をしっかりと
便秘で悩む人の多くは、水分をあまり摂っていないことが多いです。水分摂取量が少ないと便が硬くなってしまい、排出しにくくなります。
1日に1.5~2リットルの水を飲むことを目標に、意識的に水分補給を心がけましょう。
2.適度な運動を習慣づける
適度な運動を続けることも、腸の働きを促進するのにおすすめです。
日常的に運動を取り入れることで、便秘症状が改善するケースも多くありますので、まずはウォーキング、ストレッチや散歩など、無理のない運動から始めてみましょう。
腹部を刺激するために、腹筋をすることもおすすめです。
3.生活リズムを整える
不規則な生活をしている人は、慌ただしく過ごしてしまうことも多く、からだのリズムが乱れて便秘になりやすい傾向にあります。
便秘を解消するためにも、まずは生活のリズムを整えて、食物繊維を多く含むバランスのよい食事をとること、そしてしっかり睡眠時間を確保するように心がけましょう。
睡眠時間が安定してくると、自律神経が整うようになり、腸の活動にも良い影響を与えます。
また、毎日決まった時間にゆっくりトイレに入る習慣をつけることもおすすめです。朝忙しいと、どうしても便意を我慢してしまいがちですので、毎朝トイレに入る習慣をつけることも便秘解消に役立ちます。
医師の回答「漢方薬でつらい便秘は改善します」ポイントは体質にあった漢方選
「便秘をナチュラルに解消したい」
「根本的に便秘体質を治したい」
そんな方には漢方薬がおすすめです。
漢方薬は自然の生薬から作られている医薬品として、さまざまな症状に効果が認められています。
便秘の解消には、「大黄」という生薬が含まれた漢方薬が効果的です。
大黄というのは便秘に有効な生薬として知られており、大黄の含有量により効き目も違います。
また、漢方では便秘そのものを解消するだけでなく、「ストレス軽減」、「血の巡りを良くする」、「水分代謝を改善する」といった作用から、からだ全体を理想的な状態に導いていきます。そのため、根本的な体質の改善をめざしていけるでしょう。
そして、漢方薬は自然の素材がからだにやさしく働くため、一般的には、西洋薬よりも副作用が少ないといわれています。安心して続けられますので、便秘だけでなく、便秘による食欲不振などの症状や、便秘による肌荒れに悩む方にも、ぜひ試していただきたいお薬です。
さらに、「便秘解消のために、栄養バランスの整った食生活や、運動習慣を続けたい」と思っていても、実際に続けるのは難しいという場合でも、漢方薬なら自分の症状や体質に合ったものを毎日飲むだけです。そのため、手間なく気軽に継続できるという点もメリットです。
漢方医学を日常生活に取り入れることで、健康を維持して快適な生活をめざしてはいかがでしょうか?
<つらい便秘で悩む方におすすめの漢方薬>
●大柴胡湯(だいさいことう):便通が悪くガッチリした体型の方
気の巡りを整えてストレスを軽減し、便通を改善するように働きかけてくれます。
●防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん):お腹がぽっこり出て、便通が悪い方
血流や水分代謝を促して、溜め込んだ便や不要物を体外へデトックスするように働きかけてくれます。
ただし、漢方薬を選ぶ時に重要なのは、その人の状態や体質に合っているか、ということです。うまく合っていないと、効果を感じられないだけでなく、場合によっては副作用が生じることもあります。
どの漢方薬が自分に合うのかを見極めるためには、プロの力を借りるのがおすすめです。「あんしん漢方」などのオンライン漢方サービスに、一度相談してみるのもいいでしょう。
「オンライン個別相談」なら、AI(人工知能)を活用した漢方のプロが、お手頃価格で、一人ひとりに効く漢方薬を見極めて自宅に郵送してくれます。スマホで完結するサービスですので、対面では話しにくいことも気軽に相談できますよ。
▶「あんしん漢方」を詳しく見てみる
諦めないで!便秘は解消できる!
なかなか改善しない便秘は、長年の生活習慣の乱れが影響している可能性が高いです。
便秘を解消するためには、まずは生活習慣を整えることが大切。「出ないから仕方ない」と諦めてしまうのではなく、水分をしっかり補給しながら、安定した睡眠時間を確保して生活リズムを整えることから始めてみましょう。
適度な運動をすることも、便秘解消に効果が期待できます。
慢性的な便秘体質で悩む方や、すぐに生活習慣を改善することが難しい方には、漢方薬もおすすめです。ただし、漢方薬は個人の体質や体力とのバランスを見ながら選ぶ方が効果が上がりやすくなりますので、専門家に相談しながら自分に合う漢方薬を見つけてみましょう。
▶からだの不調の原因をチェック!(無料)
<監修者>
医師 木村 眞樹子
医学部を卒業後、循環器内科、内科、睡眠科として臨床に従事。
妊娠、出産を経て、産業医としても活動するなかで、病気にならない身体をつくること、予防医学、未病に関心がうまれ、東洋医学の勉強を始める。
臨床の場でも東洋医学を取り入れることで、治療の幅が広がることを感じ、西洋薬のメリットを活かしつつ漢方の処方も行う。
また、医療機関で患者の病気と向き合うだけでなく、医療に関わる人たちに情報を伝えることの重要性を感じ、webメディアで発信も行なっている。
▶あんしん漢方(オンラインAI漢方)
コメント
全て既読にする
コメントがあるとここに表示されます