しらすは骨ごと食べられてカルシウムたっぷり。うま味がありながらクセは少なく、ふんわりソフトな食感も魅力的。価格も手ごろだし、いいことづくめの食材なのですが…。ただひとつ、しらすには日持ちがしないというデメリットがありますよね。
そこで、今回はしらすを冷凍して長く保存するコツを解説。上手に解凍する方法や、しらすをおいしく食べられるレシピについてもご紹介します。
ところで、「しらす」ってどんな魚?
まず、しらすについておさらいしてみましょう。しらすとは、いくつかの魚の稚魚を総じて呼ぶ名称。ニシンやイワシ、アユ、ウナギなど、幼いときに体が透明や白っぽい色をしている魚の稚魚の総称です。
ただし、スーパーマーケットなどで売られている「しらす」は、カタクチイワシの稚魚であるのが一般的。ほかにマイワシ、ウルメイワシといったイワシの稚魚などが流通しています。
「しらす」という、ちょっと上品な響きの名前。その由来は諸説ありますが、江戸時代に設けられていた奉行所「お白州」からきているという説があります。「お白州」は裁きを行う場所でしたが、罪人を取り調べる場所には白い砂が一面に敷かれていました。その白い砂利の様子に似ていることから、イワシなどの稚魚が「しらす」と呼ばれるようになったそうですよ。
しらすは水揚げ後は傷みやすいので、昔は産地で消費されるのが一般的だったのだとか。冷蔵技術が発達したことで広く各地へ出回るようになっています。
今では、しらすは食卓ではおなじみの食材です。骨をまるごと食べられてカルシウムやカルシウムの吸収を助けるビタミンDなどの栄養が豊富。子どもにぜひ食べさせたい食材です。また、うま味があってやわらかく、スプーンですくってそのまま料理に加えられるなど、食材として重宝するところも人気の秘密かもしれませんね。
「しらす」「釜揚げしらす」「しらす干し」「ちりめんじゃこ」の違いって?
スーパーなどで売られてる商品を見ると、「しらす」「釜揚げしらす」「しらす干し」「ちりめんじゃこ」……。見た目が似ている食材が並んでいて、「しらすとどう違うのかな」と思ったことはありませんか?
しらす、釜揚げしらす、しらす干し、ちりめんじゃこの4種類の食材は、似ているようでやはり違いがあります。原料は同じカタクチイワシやマイワシといった魚の稚魚なのですが、乾燥具合がちょっと違います。
◎しらす、釜揚げしらす
水揚げされた新鮮な稚魚を、大きな釜でサッと茹でる、いわゆる「釜揚げ」をされたものが「しらす」。「釜揚げしらす」とも呼びます。水分量は8割程度で、しっとりやわらかい食感です。
◎しらす干し
釜揚げした後、軽く干したものが「しらす干し」で、水分量は7割程度です。
◎ちりめんじゃこ
さらに時間をかけて乾燥させて、写真のように水分をかなり飛ばしたものが「ちりめんじゃこ」。ちりめんじゃこになると、水分は5割以下です。カリカリとまではいきませんが、食感は硬めで、しっかりとした歯ごたえがありますよ。
以上、しらす、釜揚げしらす、しらす干し、ちりめんじゃこの違いでした。ただし、地域によっては区別せず、すべて「ちりめんじゃこ」と呼ぶこともあるようです。ですから、「釜揚げしらす」のことを「ちりめんじゃこ」と呼んでいる人がいても、「間違いだよ!」とは言えないかもしれませんね。
また、軍艦巻きや丼ぶりの具などで見かける、茹でずに生のまま食べるものは「生しらす」と呼ばれます。鮮度が命なので流通にはのりにくいので、しらすの産地へ出掛けたときなどに機会があれば味わいたいですね!
しらすを冷凍するメリットが知りたい
しらすの基本情報がわかったところで、続いて冷凍保存について考えてみましょう。
しらすは栄養があり、塩茹でされているので下処理要らずで使い勝手がよい食材。スーパーマーケットなどではたっぷり入ったパック詰めになって、手ごろな価格で売られているので日常的に使いたい食材ですよね。
しらすの賞味期限の目安は、鮮魚である生しらすなら水揚げされた当日中。塩茹でされている一般的な「しらす」は冷蔵で3~5日と言われています。
そこで、おすすめなのが冷凍保存。しらすは冷凍をすることで保存期間をぐんと長く延ばすことができます。釜茹でするときに塩を使うので、塩分を含んでいる分、しらすは冷凍してもくっつきにくく、冷凍に向いているとも言われているのです。小分けにするなど冷凍時に少し工夫をしておくと、使いたいときに使いたい分だけサッととり出せるのもポイント。賞味期限を気にせずに常備できて、スムーズに使えるのはうれしいですよね。
しらすの冷凍保存方法、保存期間が知りたい
しらすを冷凍保存するときの方法についても、チェックしておきましょう。ちょっとしたコツをおさえるだけで、使いたいときにノンストレスで使えるように。これで保存期間を1ヶ月ほどに延ばすことができますよ♪
◎しらすの冷凍保存方法
1.しらすの水分を軽く拭き取り、食品ラップやアルミホイルなどで包んで小分けにします。
2.空気を抜きながら、平たくします。
3.ジッパー付きの保存袋に入れます。
4.金属製のバットなどの上に置いて冷凍庫に入れて素早く冷凍させます。
◎しらすを冷凍保存するときのコツ
・賞味期限ギリギリになって、残ったものを冷凍するのではなく、購入したその日に冷凍保存をしておくのがおすすめ。当日食べる分だけよけておき、残りはすぐに冷凍保存をするとよいでしょう。
・しらすの劣化を防ぐコツは、できるだけ酸化をさせないこと。包むときにはしっかり空気を抜き、酸化を防いでくださいね。
・平たく伸ばして冷凍庫へ入れることで、使うときに解凍しやすくなります。また、薄いほうが割りやすく、少量だけ使いたいときにも便利。
・金属は熱伝導がよいため、金属製バットの上に置くことで急速冷凍しやすくなります。バットがないときはアルミホイルで代用してもOKです。
しらすの解凍方法が知りたい
冷凍したしらすを使うときには、そのまま温かいご飯にのせたり、炒め物にパラパラと加えたりして凍ったままでも使えます。アツアツご飯の熱で食べる頃にはちょうど解凍されているので、おいしく味わえます。
でも、和え物にしたり玉子焼きに混ぜ込んだりと、加熱をしないで使いたいときには、解凍してから使いたいですよね。冷凍しらすをおいしく解凍する方法について、いくつか見ていきましょう。
◎冷蔵庫で解凍
一番のおすすめは冷蔵庫でゆっくり解凍させること。食べる6時間ほど前に冷凍庫から冷蔵庫へ移して解凍させます。余分な水分が流れ出ることが少なく、購入したときのようにふっくら、しっとりとした食感へと近づけることができます。
◎自然解凍
寒い季節なら食べる2、3時間前、夏場なら1時間ほど前に冷凍庫から出し、日光の当たらない場所に置いて自然解凍させます。冷蔵庫で解凍するよりは水分がやや出ますが、スピーディに解凍できて食感も損ないにくいのがメリット。ただし、しらすは水分が多く、長時間放置すると痛みやすいので、解凍できたらすぐ使うようにしましょう。
◎流水解凍
すぐに使いたいときには、電子レンジで解凍してしまいがちですよね。でも、電子レンジでは加熱し過ぎて食味を損なうので避けたいところ。急ぎのときには、保存袋などに入れた冷凍しらすをボールに入れ、15分ほど水道水を流しかけると解凍できます。しらすに直接水がかからないように注意してくださいね。
しらすを美味しく食べるレシピが知りたい
しらすは塩茹でされているので、下処理なしでそのまま使える便利な食材です。いろいろな料理に加えておいしく味わえますよね。ここでは、しらすを使ったおすすめレシピを3つご紹介します。
◎★カリフラワーとブロッコリー入り。しらすたっぷりのペペロンチーノ★
【材料(1~2人分)】
パスタ…100~200g
カリフラワー…1/3個
ブロッコリー…1/3個
スナップエンドウ…4~8個
しらす(小分け)…80~160g
すりおろしにんにく…小さじ1~2
塩こしょう…適量
鷹の爪…適量
オリーブオイル…適量
しらすはパスタの具材としても大活躍! このレシピでは、ペペロンチーノ風のオイルベースのパスタに、しらすの塩気やうま味が効いています。カリフラワー、ブロッコリー、スナップエンドウをパスタと一緒に茹でて、オイルソースで和え、最後にしらすをたっぷりのせれば完成です♪
◎材料2つのおつまみ・安心おやつ しらすせんべい
【材料(6枚分)】
しらす…30g
すりごま…小さじ1
しらすで作る、簡単おつまみ。カルシウム不足を補うにも役立つしらすだから、子どものおやつにもぴったりです。しらすとゴマを合わせてペタンコにし、電子レンジで3分ほど加熱すれば、パリパリのしらすせんべいのできあがり!しらすのうま味とごまの風味がクセになる味わいです。
2019.06.06しらすで作る、簡単おつまみです。しらすは骨や歯をつくるカルシウムとカルシウムの吸収を助けるビタミンDも入っているので、こどものおやつにもうってつけ。ごまの風味で香ばしく仕上げます。続きを見る
◎しらすと三つ葉の落としさつま揚げ。
【材料(3~4人分)】
はんぺん…2枚
しらす…100g
三つ葉…1/2束
白だし…大さじ1/2
しょうゆ…小さじ1/2
砂糖…小さじ1
卵白…2個分
片栗粉…小さじ1
サラダ油…揚げ焼き程度
しらすを使った、ちょっとボリュームのあるおかずを作るなら、揚げものはいかがでしょうか。こちらは、はんぺんで作る簡単さつま揚げ。しらすと三つ葉の風味がよい仕事をしてくれます。揚げたてをそのままでも、煮物に加えても美味。たくさん作って冷凍しておくのもいいですね。
2018.05.11はんぺんで簡単にさつま揚げを作りました。しらすと三つ葉の風味がとても美味しいさつま揚げです。作り置き・冷凍OKです。続きを見る
まとめ
子どものカルシウム補給に、大人のおつまみ作りにと活躍する「しらす」。賞味期限が短い食材ですが、冷凍しておけば使いたい分だけ少しずつ使えることがわかりました。いつも冷凍庫にストックしておけば、栄養いっぱいのおかずやおまつまみがパパッとできそうですね。
文/北浦芙三子
参考:文部科学省「食品成分データベース」(https://fooddb.mext.go.jp/)
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