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ミラノから行く小旅行 vol.2北イタリアの古都 パヴィアを訪ねて「食」情報

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ミラノから行く小旅行  vol.2北イタリアの古都 パヴィアを訪ねて「食」情報

人気暮らしニスタ、曽布川優子さんによる北イタリアの古都パヴィアを巡るレポートの第2弾!
今回はパヴィアの食の世界――特産品やおいしい物、おいしいレストランを紹介してくれます。

 *yuko*(曽布川優子)さん
https://kurashinista.jp/user_page/detail/9024

パヴィアの食の世界

まずパヴィアの食についてお話しする前に、パヴィアが属するロンバルディア州の食についての特徴をお伝えします。
ロンバルディア州は、内陸性で寒暖の差が激しく、比較的湿度が高いエリア。
冬に霧がよく出るのも特徴で、昔は霧が出ると交通が遮断されて街や村は孤立した状態になっていました。
それで、地域それぞれの食文化が発達したといわれています。

そういう理由もあり、ロンバルディア州の料理の性格を一言で語ることは難しく、パヴィアやミラノをはじめ、おのおのに個性があるのだとか。

リゾットの食文化が盛ん!

パヴィアの特徴は、まず米、カルナローリ米と、カエル料理やガチョウやアヒルを食べることです。
ティチーノ川やポー河と豊かな水源に囲まれていたパヴィアは、昔から稲作が盛んでした。
特に、パヴィア郊外にある、グロペッロ カイロ―リ(Gropello Cairoli )にあるユネスコ世界遺産のエリア内であるサンマッシモ保護区(Riseruva San Massimo)で作られる米、カルナローリ米は、100%純正のカルナローリ種で作られている最高級品で、パヴィアやミラノはもちろんイタリア全土のシェフたちの間で評判を得て使われているそうです。

こちらが、カルナローリ米(Carnarolli Riseruva San Massimo)です。
収獲したときには30%近くあった水分を14%から11%まで減らすことによって芯のあるしっかりとした米になり、煮崩れしにくく、リゾットに最適な米となります。
オーガニックで自然が調和して育った世界一の米だそうです。
国内では1kgの箱が9ユーロで販売しているそうですが、どこのスーパーにも置いているようなものではありません。レストランをはじめ特別な一部の店に置いているそうです。
当然、パヴィアのプリモピアット(最初の一皿)はリゾットが主流です。


パヴィアの旧市街地にあるレストラン「ラ・トーレ・デッリ・アクイラ」でいただいた、アスパラガスのリゾット。


「カーナ・ヴィットリア」というレストランでいただいた、アスパラガスのリゾットです。
「Risotto Riso Buono alla asparago verde 360°」
直訳すると「360度グリーンアスパラを使ったおいしいお米を使ったリゾット」
リゾットは、季節の野菜を使って作ることが多いです。

こちらは「リゾット・サン・マッシモ」。
カエルの肉とブッラータというチーズのリゾットです。
パヴィアでは水田が多いのでカエルを飼育していて食べるそうです。
今回食べる事ができませんでしたが、カエルや、カワスズキ、ザリガニ、グリンピースなどを入れた修道院風リゾット(Risotto alla certosina)は名物料理の一つになっています。

ビスコンティ城で食べた「リゾット・アッラ・エルベ・アロマティカ」。
地元のクレモーザというチーズとロンバルディア州のフランチャコルタというスプマンテで味付けしたリゾットです。
スパゲッティなどのパスタが全くないわけではありませんが、パスタというと乾燥麺より、手打ちタイプが多くなります。

有名なのは、「ピサレイ(Pisarei)」という手うちパスタ。
生地にパン粉を加えて作るのが特徴で もちもちとした食感です。
サフランとレモン風味のピサレイに、ソースはラグーとストラッキーノチーズ。

こちらはボラジネというホウレン草に似た葉っぱのマルファッティ(Malfatti)。
マルファッティは茹でてペースト状にしたボラジネにパン粉とリコッタなどを練り合わせたニョッキのように成型したものです。
ラビオリやカネロ二の中身のようです。

アグリツーリズモ・キエリコーニのアヒル肉のラグータリオリーニ。
タリオリーニは卵入りの手打ち麺でもちもちの食感が、アヒル肉のラグーとよく絡んでいました。

畜肉加工品はなんといってもサラミが有名!

パヴィアが産地のDOPになっているサラミで、salame di Varzi (サラ―メ・ディ・ヴァルジ)。細かく切った豚肉で作られています

★DOP・・・チーズやワインなど特定の特産品を保護するために産地・素材・製法などルールを定めたものに対してつけられるもの。

ホテルのアペリティーボでいただいたサラミは黒コショウ入りでした。

★アペリティーボ・・・食事の前に軽食を食べながらお酒を楽しむ習慣のことをいいます。

パヴィアの旧市街地にあるレストラン「ラ・トーレ・デッリ・アクイラ」でも、お通しのように最初にサラミとパンが出てきました。

「アグリツーリズモ・キエリコーニ」のサラ―メの盛り合わせ。
パヴィアのサラ―メは豚肉ばかりではありません。

ローカ・チューカのサルーミの盛り合わせ。ガチョウ肉を使っています。
右はこの地方の特産物でIGPになっているサラ―メ・ドーカ・ディ・モルターラ。
ガチョウの皮にガチョウのひき肉を詰めて加熱して作るサラミです。

★IGP・・・DOPが生産から工程まですべてを定めるのに対して、IGPは1工程だけ
       決められた場所で決められたルールで作られたものにつけられる。

パヴィアの旧市街地にあるレストラン「ラ・トーレ・デッリ・アクイラ」のアヒル肉の首の部分を使ったテリーヌ風。

ガチョウやニワトリ。
パヴィア郊外のレストランは、こんな風に放し飼いにしているところもあります。


イタリア料理に欠かせないチーズについて

イタリア人にとってチーズは欠かせないものです。
そのまま食べるのはもちろん、パンにはさんだりお菓子や料理に使ったりおつまみとして食べたり・・・。
その地方地方で特色のあるチーズが生産されています。
パヴィアのスーパーにもチーズコーナーにはこの地方のものやイタリア全土のチーズがずら~りと並んでいました。

チーズはDOP指定のものがいくつかありますがポー河流域で生産されるチーズの一種、グラナ・パダーノを使った料理などをよく見かけました。
こちらはビスコンティ城でのアペリティーボに出てきた丸ごとのグラナ・パダーノ。

ホテルのアペリティーボにも出てきました。
グラナ・パダーノの「グラナ」は、「粒状の」という意味で割ると粒々に崩れるチーズをそう呼んでいました。
パルミジャーノよりも熟成期間が短い分、塩分量が低いのでフレッシュ感があり、魚料理などいろいろな料理に使いやすいといえます。

パンやお菓子といえば

復活祭のパン菓子、鳩(コロンバ)が飛んでいるような形に成型したコロンバ・パスクア―レもパヴィアで生まれ今はイタリア全土でパスクア時期に売られています。

コロンバと同じようなパン菓子、パネットーネ。
パネットーネは イタリアのクリスマス時期に食べるお菓子パンです。
レストラン「CASCINA VITTORIA(カシーナ・ヴィット―リア)」では、シェフがパネットーネはおいしいから一年中食べたいというこだわりで、季節の食材を入れて特別の配合で柔らかくふかふかに作っているのだそうです。

行った時期はいちご入りのパネットーネ。夏場はアンズ、秋はには栗入りが出るそうです。
こちらのパネットーネは1個50ユーロもしてちょっと高価ですが、イタリアで賞を獲得したこともあり、今では注文が殺到しているそうです。

天国(パラダイス)のケーキという名のトルタ・パラディーゾ(torta  paradiso)もパヴィアの街の小さなケーキ屋さんが発祥です。
小麦粉と片栗粉またはコーンスターチ、卵、バター、レモンの皮で作る、ほろほろっとくずれる食感が楽しい焼き菓子です。

レシピはこちら  

天国のケーキ? 北イタリアパヴィア発祥のトルタ・パラディーゾ

2019.07.12

編集部コラム「北イタリアの古都 パヴィアを訪れて②〈食の世界〉」に出てくるお料理のレシピです。https://kurashinista.jp/column/detail/4939北イタリアの パヴィアという街の小さなケーキ...続きを見る

またパンは 米の産地だけあって 米粉を使っているものもあります。
ハード系のパンが多いイタリアのパンですが周りはパリッと中はもちもちでした。
写真はヴィジェヴァーノの街にある「L'OCA CIUCA」というレストランのパンです。

家庭料理について

ここで、レストランにはあまりのっていないかもしれないパヴィアの家庭料理をご紹介します。

パヴィア風スープ。
バターをぬって焼いたパンに、生卵を割り入れ グラナ・パダーノをたっぷりかけ熱々のスープをそそぎます。


レシピはこちら  

優しいお味に思わずほっこり~北イタリアパヴィアの郷土料理 パヴィア風スープ

2019.07.12

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ホワイトアスパラガスのフリッタータ。
今回パヴィアの商工会議所で勤めている2人のお子さんのワーキングマザー、イルデさんに教えてもらった、パヴィアでよく収穫されるホワイトアスパラのイタリア風卵焼きです。


レシピはこちら  

イタリアパヴィアの家庭料理 ホワイトアスパラのフリッタータ

2019.07.12

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ワインについて

イタリア料理に欠かせない飲み物ワインについて。
写真はパヴィアの中心から1時間弱のCODEVILLAにあるワイナリー。

イタリア北部を横断する国内で最も長い河、ポー河の南を超えたあたりの丘陵地帯をoltrepo' オルトレポーと呼ばれワインの産地として知られています。
こちらのワイナリーはまさにこの地帯にあります。

標高は140~280の小高い丘に広大なぶどう畑が広がります。
白ワインの品種はコルテーゼ、リースリング・イタリコ、リースリング・レナーノ。
赤ワインは、バルベラ、クロアティナ、メルロー、ピノネーロ、ウヴァラーラなどがあるそうです。

TENUTA MONTELIOではオーガニックで18本のワインを生産しています。
そのうち4本は日本でも販売しているそうなので、それらを紹介します。

ミュラー・トゥルガウ 華やかでさわやかな白ワイン。

コンプリノ・ミロ―サ メルロー100%のフルーティーさを感じさせる赤ワイン。

ピノネーロ・デル・オルトゥレポ・パヴェーセDOC
ピノネーロ100%。ベリー系の香りとしっかりとした果実味を感じられる赤ワインです。

ビアンコ・マトゥーラ・パヴィーア IGT
デザートワインのパッシートです。

ボトルのデザインもおしゃれで、アプリコットのような香りの上品な甘さが特徴です。
こちらのパッシートは日本で4000円ぐらいで販売されているようです。

次回はこれまでのレポートにも出てきたとっておきのレストランや宿泊情報です。お楽しみに!!

第1弾の記事はこちら

ミラノから行く小旅行 vol.1北イタリアの古都パヴィアを訪ねて〜「パヴィアの街」

2019.07.11

「暮らしニスタ」から海外レポーター第1号が誕生!! vol.1 北イタリアの古都パヴィアを訪ねて〜「パヴィアの街」続きを見る

取材協力/在日イタリア商工会議所http://iccj.or.jp/ja)
Pavia Sviluppohttp://www.pv.camcom.gov.it)

 

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